亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(雑誌・フリー等の記者)
(平成22年1月15日(金)10時35分~10時56分 場所:金融庁大臣室)
【大臣より発言】
今日の閣議は、別に皆さん方に報告するようなことはありません。ただ、18日から国会が開かれますので、「皆さん、しっかり気を引き締めて頑張っていきましょう」という話なのですけれども。
ちょっと、(記者クラブに対する)会見で言ったことなんかにちょっと触れると、一つは、外国人の参政権の問題がいろいろお話しされていますが、これは別に、(与党)3党連立の合意事項ではありませんので、だから、これはそれぞれ各党が、党内においてこの問題を議論をしていくというところからやっていかなければいけないことだろうと思います。
それと、私自身の考え方ということを言うと、それは、韓半島に対して日本が支配をしたという歴史の中で、韓半島の人たちに対して大変屈辱的な思いをかけたと。そういう方々が、日本に移り住まれていろいろな思いをしてこられたということは事実なので、そういうことに対して、私は、お詫びをしなければいけないと思います。しかし、そのことと憲法上の国民の固有の権利に特記されていることについて、それを簡単に、参政権を付与するというような形で対応すべきではないと。参政権を行使したいところまでの気持ちを持っておられるのであれば、私は、やはり帰化をしていただくということ、それでいろいろな障害が、もし難しいことがあるなら、それを帰化しやすいようにしていくということも一つのあれではないかと思います。
私は、この問題を考えるたびにいつも思い出すのは、新井将敬(元衆議院議員)、今度十三回忌をやりますけれども、彼が自決をする前の晩に、私に最後の…、もうそれが最後でした。私は、泣きじゃくりながら電話をしてきたのを忘れることができません。「亀井さん」と言ってね、「私は日本人になって、日本のために政治家として頑張りたいということで、今までも頑張ってきたし、今からも一生懸命頑張ろうと思っているのに…。私は政治家だから、友人が株について有利なことをやってくれたかどうか知らないけれども…。そういうことで、政治家だからということで、いい目を見たかもしれないということになれば、それは申しわけないかもしれないけれども、法律に反するようなことは私はやっていません。ところが、わずか3時間ぐらいで事情聴取を打ち切って、『もう今にも(逮捕)許諾請求』というのが新聞等で躍っているような、明日にもそれがされるような状況で、一方、日興証券の自分の友人は、何日も、何十日も事情聴取をずっとされてきたと。どういうことなんでしょうか。もう、私のそうした思い、そういうのを全然理解してくれようともしないし」と言って、泣きじゃくっていました。それが最後でした。だから、私は葬儀のときに、彼の思いを弔辞で冒頭祈りながら歌を添えてやったのですけれども、「敷島の大和心を人問はば朝日に匂ふ山桜花」というのがありますね。彼はまさに日本人になって、日本人としての生き様を求めたので。皆さん方ご承知のように、日本の侍は、主君から辱(はずかし)めを受けた場合、その主君に抵抗するというのではなくて、自ら命を絶つということで主君に抗議したのですよね。日本の侍の処し方というのは。彼も、そうした辱めを受けて、それに対して、司法に対して抵抗していくという道を選ばないで、日本の侍の作法に則って、自ら命を絶つという道を選んだということを、私は、弔辞の中でお話をしたわけですけれども。彼のそういう、あのときの私に対する悲痛な訴えがいつも私の中をよぎってくるのですが、(ただ、)この参政権問題にしても、私は、日本のそうした韓半島の人たちに対して与えた苦痛、いろいろなものに対して、そういう形で対応すべきではないだろうと思っております。
そんなことですかね。あと何か皆さん質問があったら。
【質疑応答】
- 問)
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銀行研修社の佐藤と申します。
ちょっと話が違うのですけれども、12月に金融円滑化法が施行されて、それを基に、中小企業庁で条件変更対応保証制度というのをなされたのですが、こちらの対象が、(まだ)公的金融を利用していない中小企業者の方々が対象ということで、本当に必要としている中小企業は公的金融を既に利用されているので、「実はなかなか届かないのではないか」、「使いづらいのではないか」という声が出ていますし、一部報道でも、「中小企業の金融円滑化法に関する申し出が横ばいだ」ということで出ているのですが、その辺についてどう思いますか。
- 答)
-
それはあなた、黙って座ればピタリと当たるような、そんな対応というのはやりたくてもできないのですよ。これはただ、公的な金融機関から受けている場合もそうではない場合も含めて、できるだけ広く、金繰りに困っている人たちが、それがうまくいくようにということを、本当に、経済産業省とも緊密なあれをとりながら、共同提案と言っても良いぐらい努力をした結果、田村(大臣政務官)君なんかも一生懸命努力をしてくれてやったわけなので。(ただ、)その結果、100%うまくいくとは…。
一つは、それを銀行に相談に行くと、新規の融資をしてくれなくなるのではないかということで躊躇(ちゅうちょ)して相談に来ない、行かないという方たちが、本当は猶予をもらいたいのに、そう言って「シュリンク(萎縮)している人も多いのではないか」という声も私のところに聞こえます。だから、そういうメンタルなところまでを含めて、どう効果のある形でこの法律を実施していくか、またそういう面で、金融庁の検査官を含めてみんなが、今、金融機関に対して、「金融機関のほうでコンサルタント的な役割をどんどんお金を借りている人に対してやってくれ」ということを、今、やっていますので、だいぶうまくいっているのではないかと思いますよ。一時の空気とは変わって。「金融庁が怖くて」、「検査官が怖くて」という空気だったのですよ。私なんかも頭取や理事長に言うと、「いや、亀井先生、検査官が怖いから」と言って、そういう状況は、残念ながら金融庁の恥を言うみたいな…、金融庁の職員が悪いのではないです。あれは、小泉・竹中が悪いのであって、金融庁の職員が悪いのではないのですけれども、そういう空気から今がらっと変わりましたね。ちゃんとした融資をやった結果、「金融機関自体が金繰りに困るようであったら、資本注入までしますよ」ということを言っているわけですし。だから、そういう意味では、金融機関としても、逆に、一時は、「亀井さんのような乱暴なやつがあれしたから、何をやるのだろうか」と言って構えて震えていたけれども、実際は、非常に、「我々としては、金融機関のあるべき姿を取り戻していける状況、機会をこの法律につくってもらった」という声もでかいのです。自画自賛するわけではないけれども。
それと一つは、サラリーマンの方が、住宅ローンの「ボーナスもあれだ(減った)」と、「給料も」という中で、相当、これ(円滑化法)を活用しようという形でやっている方も多いですから。私は、金融庁の職員が、金融(検査)マニュアルの改定も含めて、夜も徹夜してやってくれた結果、自画自賛するわけではないですけれども、少しは資金繰りが良くなってきたと。毎回言っているように、問題は仕事を出すことなのですよ。幾ら金繰りを良くしたって、先々仕事が出なかったらしょうがない話でしょう。出した仕事が儲かる仕事でなければいけないですから。これ、公正取引委員会の連中を呼んだのですよ。とにかく「公正取引法違反で、儲かりもしないような値段でどんどん仕事を出すみたいなことをおまえたちはやめさせろ」と言ったでしょう。一気通貫ですよ。そういう返済猶予措置もする、あと新規融資もする、また仕事も出る、その出る仕事が儲かる形で出ていくという形、一気通貫でやって初めて零細企業等が助かるのですね。だから、それがまだ全部、全体がうまくいっているかというと、必ずしもね…。まあ、今度、補正予算も執行されていく中で、地方の零細企業向けの仕事がどの程度出てくるかということもあると思うのですけれども、これは中身について、相当力を入れてやったつもりですから。
- 問)
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公的金融の利用できない、していない中小企業というのは、実際ほとんどいないわけで、2月の返済猶予のチェックというのもあわせて、本当に中小企業にお金が回るか、というところで更なる制度が出てくるのかというところも最後に…。
- 答)
-
だからそれは、私がさっき話をしたでしょう。黙って座ればピタリと当たるようなことにはならないのですけれども、全力を挙げて、この法律の趣旨を貸し手も借り手も理解をしてやってもらう努力を、金融庁としても、職員が、今、必死になって頑張ってやっていますから。
- 問)
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日本証券新聞社の田口と申します。
昨日、東証を訪問されましたが、その理由や背景、また感想や、今後、東証に金融庁職員を送り込むという話も出たそうですが、展望につきましてお話をいただきたいと思います。
- 答)
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とにかく、東証は直接金融のメッカですから。私は、行って、ちょっとびっくりしたのが、もう(JALの)株価が何か7円ぐらいまで下がったのを10億(株)の買いが入って10円まで上がっているというような状況を目の前で見て、やはり株というのは、ある面では怖いなと思いましたね。だから、直接金融という経済に対して、大変大事な責任を持っている分野ですけれども、いわばそれが実体経済と離れていると。いわゆる取引の中だけで利益を得ていこうという行為が、これはズーッと肥大化していったと。アメリカなんかは、それがバーンと跳ねちゃったわけですけれども、そういう危険性も孕(はら)んでいる世界なのです。だから、それを金融庁がどういう形でうまく制御しながらいくかという、それには、東証が現場のあれとしてきちんとやってもらわなければいけないと。ただ、金融庁の職員も全然実務を知らない、分からないで、そういう監督、指導なんかできないわけですから、思いきって職員を入れて、実務をちゃんと身に付けた上で、現場の実態を分かった上での金融庁の行政をやってもらうということで、長官とも話して、早速、そういう形で人選も含めて、送り込むということをやらそうと思っていますから。
- 問)
-
フリーの岩上です。よろしくお願いします。
元警察官僚としての亀井先生にぜひご見解をお伺いしたいのですけれども、この数日、小沢(民主党幹事長)さん、その周辺に対する東京地検特捜部の強制捜査が行われておりますけれども、被疑事実を明確にせず、被疑者もはっきりしないまま、石川(衆議院)議員の政治資金収支報告書の不実記載という、非常に軽微な形式犯の被疑事実だけを持って、ほぼ別件と思えるような捜査の仕方を、ガサを2回入れております。かなり強行なやり方であって、それに対して、また一般のマスメディアが一律に検察リークの報道をほぼ垂れ流しているような状態という、一色に染まっているという、こういう状態は、検察とマスコミ一体化による一種の人権侵害であり、えん罪の可能性の問題や何かを全く考えない、かなり強引なやり方ではないかと思われます。
小沢さんという方を支持するという話とかとは全く関係なく、一個人に対する人権侵害ではないかと思うのですけれども、この点、先生はどういうふうにご覧になっていらっしゃるか、教えていただきたい。
- 答)
-
私は、かつて捜査二課長としても、いわゆる知能犯とか贈収賄関係とか反吐が出るほどやり過ぎちゃったのですけれども、いわゆる適正捜査というのは常にやらなければいけない。デュー・プロセス、手続きの正当化。私は、警察であれ、検察であれ、それは常に考えながらやっていかなければいけないと思いますよ。だから、検察も検事総長以下、そういう一つのチェックする機関もあるわけですから、そういうことの中で、私はそういう判断をしながら進んでくれるだろうと、進んでもらわなければいけないと思いますね。ただ、今、具体的なことについて、「どうだ、こうだ」というようなことを私の口から言うべきでもないし、今の時点で「けしからん」と私が言うべきことでもないし、それ以上のことは言えないです。やはり、適正な捜査がされなければいけません。
さっきも、新井将敬(元衆議院議員)の話をしたでしょう。捜査の過程の、相手の日興証券の常務の供述がどんどん変わってきたのを、私は、大学ノートで調べられた中身を、毎日、新井将敬に対して話をしているのを見せてもらったのです。くるくる変わってきて、最終的に新井将敬が犯罪者になってしまった。大学ノートに書かれている内容からすると、最初と全然違うのです。そういう形の中で、新井将敬が泣きじゃくって私に訴えたのですけれども、まあ、捜査というのは、ある面では謙虚でないといけないですね。
- 問)
-
フリーの佐々木実と言います。
今のお話に係るのですけれども、新井将敬(元衆議院議員)さんの自殺は衝撃的な事件だったのですけれども、前日に電話されて、新井さんは検察の捜査が…。
- 答)
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いや、私が電話したのではないですよ。彼が電話してきたのですよ。
- 問)
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はい。「検察の捜査が公正ではない」ということを亀井先生に訴えていたという。当時は…。
- 答)
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いや、だから私に対して、「自分の友達は、何日間も何日間も連日事情聴取を受けて、自分についてはわずか3時間ぐらいで逮捕だという、それはひどいではないですか」という言い方をしていましたね。「もっと聞いてもらいたい」、「真実をもっと聞いてもらいたい」ということを盛んに、電話の向こうで泣きじゃくっていましたね。それが最後でした。あれは、衝撃的な事件で。この女房は気丈な女房ですね。彼が自決するのが分かっていて、一夜をともにしているのですよ。私は知らなかったのです。野中から、翌日に(逮捕)許諾請求のあれがあるから、彼がちょっと連絡をとりたいと言うのですけれども、翌日の朝、私が女房に電話をしたら、「私も探しているのです」と大嘘を言っているのですよ。実際、その前の夜の晩、一緒にいて、ホテルで新井将敬と最後の夜をともにしているのですよ。それで、昼に自決するということを示し合わせた上で、自宅に帰ったのですよ。電話で私に「知りません」としらを切ったのですよね。気丈な女ですよ。それで、昼、示し合わせたとおり、死んだ頃の時間に再びホテルのね…。それで私に電話を入れたのですよ。「亀井先生、死にました」と言って。それで俺が平沼と現場に吹っ飛んでいってしまったと。週刊新潮は妙なことばかり書いて。週刊誌というのはおかしいことを書きますからね。大嘘ばかり書きまくってしまったけれども、それで行って、そうしたらベッドに横たわって、(新井)将敬を奥さんがきれいに、ちゃんとした上で、私に電話したわけですね。そういう状況だったけれども、そういう意味では、奥様はこうやって言いましたよ。「それは法廷で無罪を証明することはほとんど不可能です」、「日本の場合は難しい」と。「それをやっても、まあ、息子たちはそれを信じてくれるだろうけれども、こうした、主人が自決することによって、少なくとも息子たちはお父さんを信じてくれるだろう」と。「少なくとも、息子たちはお父さんの潔白を信じてくれるだろう」と奥さんは私に言ってましたね。
(以上)