亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(雑誌・フリー等の記者)

(平成22年1月19日(火)11時10分~11時34分 場所:金融庁大臣室)

【大臣より発言】

今日は閣議で、別に皆さん方に報告するようなことはありませんから、皆さん方から、何か質問なり、いろいろなものがあったら遠慮なく聞いてください。

【質疑応答】

問)

通信文化新報の永冨といいます。

郵政改革のことなのですが、先週、国民新党のほうで考え方をまとめられたのですが、その中で、経営形態について、1社体制は十分検討に値するとする一方で、3社体制も挙げられているのですけれども、その辺の今後の検討の方向性というのは、どうなっていくのでしょうか。

答)

これは今、そこらを含めて、こういう問題を最終段階で協議している最中です。うちの検討チームと、(日本)郵政、また3党の政策責任者との間で、だから今週から来週ぐらいにかけて、その辺りを最終的に詰めていくという形になると思います。

問)

月刊北方ジャーナルの小笠原と申します。

今月になってから、総務省と外務省で大臣会見の参加枠が広がったりとか、いわゆるオープン化が少しずつ進んでいると思うのですけれども、こちらの場所というのは、もう3か月以上、1回に2度(記者会見を)開いているという状態が続いているのですが、今の段階で、大臣のお考えとしては、こんなふうになったらこのままこの形でずっと続けていこうというお考えなのか、それとも当初のお考えどおり、理想的には一つにまとめるべきであるというお考えなのか、ちょっと伺いたいのですが。

答)

それは、私も忙しいですから、一緒にやってくれたほうが楽であることは間違いないのですけれども、何か下の(階の)連中(記者クラブ)が、「皆さん方と一緒にやるのは嫌だ」と言うから、しょうがないから、下の(会見)時間を切って、そして、ここで2度にわたってやっているわけなので。情報というのは、もう、あらゆるジャーナリズムが共有していけば良い話であって、一部の日刊紙だとかテレビだけが独占すれば良いものではありませんから。

問)

日本証券新聞社の田口です。

JAL(日本航空)の問題なのですけれども、今、起こっております事態につきまして、大臣としてどのような感想をお持ちなのか、また、どういった方向性に持っていくべきだとお考えなのか。その辺りをお願いします。

答)

ANA(全日空)は、七転八倒しながら、一応、ちゃんと経営しているわけですから、こういう状況になったことに対しては、JAL自身も、自分たちの過去の経営のあり方、業務執行のことについて、やはり反省していくべきだと思います。ただ、一方、地方自治体の強い要望を受けてあちこちに空港をつくって、そこに対しての採算性が非常にあやふやな状況にもかかわらず、JALが地元の要望に応えてそこに飛ばしていったという面もあるし、着陸料なんて、世界に比べて日本なんかはべらぼうに高いでしょう。そういういろいろな問題で、必ずしも全部が全部、日航の経営責任というわけではないけれども、しかし、日航自体が、やはり経営体として今までの反省に立って、ぜひ再出発をしてもらいたいと思います。

問)

東洋経済の浪川です。

郵政に関してですけれども、12月4日に、(株式)凍結法が成立した同じ日に、行政処分が(日本)郵政にありましたよね。あの内容を見ると、要するに、隠蔽(いんぺい)が十何年も続いていたというようなケース…、犯罪が17年も続いていて、発覚するのが遅れたというものが結構あって、取材で話を聞いてみると、過去にも、民間企業よりも、そういうものが見つかるのが遅い傾向があるということがあるようなのですけれども、今度の法改正で、特殊銀行、特殊会社になっていくということで、さらに言うと、大臣がおっしゃっているように「公共的サービスをもっと担わせるのだ」ということになると、これは民間になる以上に、公共的なサービスを担うのだったら、もっとそういうことがあってはいけないわけですよね。そうすると、その業務チェックとか法律の遵守ということの枠組みというのは、今の法改正の議論の中でも出てきているということなのでしょうか。

答)

これは、一応、政府が株を持っていても民間会社ですから、そこは自主的に、自主監査能力をきちんと高めてもらうということが前提ですよね。それと併せて、金融や保険業務等については、やはり、他の一般の金融機関と同じような面からの監督検査も必要になるわけですけれども、ただ、一方では、一般の金融機関にはない責任も負わせるわけでしょう。では、三菱東京(UFJ銀行)や三井住友(銀行)が山の中まで支店を出してあれして、その辺りの預金業務、払い出し業務をやってくれるかといったら、やってくれないわけですから。やはり、そういうサービスを担ってもらうような点から、やはりそうした機関について、三菱東京(UFJ銀行)の支店と同じような検査をやるというのもちょっとおかしな話になるので、その辺りを、一生懸命、大塚(副大臣)君や田村(大臣政務官)君、長谷川(総務大臣政務官)君やみんなが、どういう監督のあり方が良いのか、これも今、検討している一つの大きなポイントですね。

副大臣)

今のご質問で、「特殊銀行や特殊保険会社になるわけですが」とおっしゃったのですが、そういうことが別に決まっているわけではありませんので。

問)

そうですか。選択肢としては、政府の基本方針としての6項目の中に、「銀行法、保険業法の規制以外の」という表記があるのは、その一つの選択肢…。

副大臣)

「銀行法に代わる規制を考える」と書いてあって、それは別に、「法律」とは書いていないわけなので、今、特殊会社になるということを前提に議論しているわけではありませんので。そこだけはちょっと、現状はそういう状態ということをご理解ください。

問)

月刊ファクタの宮嶋と申します。

政・官の関係で、年初に、総務省の事務次官がああいう形で辞められて、それで内閣(官房)のほうに行くというような話もあったようにも聞きますし、政治主導は良いのですけれども、ああいうやり方というのは、ある意味で、役人のやる気を失わせるのではないかと。事務次官の首を切るなら、やはりしかるべく切っても構わないと思うのですけれども、その後どこかへ、内閣(官房)に行くような話が出てみたり、大臣も、まさに捜査二課長をやっておられた経験からしまして、役人の使い方ということについて、本当にすごく疑問に思うのですけれども、どうお考えになるのか。

答)

これは、総務大臣のおやりになったことですから、私がどうだこうだと…。

問)

その問題のみならず、いろいろ、運輸省の話もありますし…。

答)

批判する立場にはないですからあれなのですけれども、とにかく、「政治家だ」と言ってみたところで、私など、こんなアホな頭で(笑)、難しい金融行政から郵政の見直しをやれと言ったって、頭がパンクしてしまって無理ですよ。ただ、問題点をきちんと押さえて方向を示していく、それを解決していく方向性を示していくということは、私は、大臣なり政治家がやる仕事だろうと思いますよ。それを、今、(大塚)副大臣や(田村大臣)政務官と一緒になってやっているわけです。

それを、具体的な行政の中身というようなことについて言えば、これは情報量からいって、(大塚)副大臣や私のところに全部上げてきているわけではないのですからね。それぞれ滞留しているわけですから。やはり、それぞれ情報を持っている役人の情報と、我々は、ずっとこの場にいるわけではないのですから、継続的にその場にいて蓄積したノウハウとかそういうものを、新しい大臣や副大臣や政務官の方針に従って仕事をしていくということが事務方の仕事です。だから、「脱官僚だ」などと言ったって、大体、いつも言うように、官僚のアホと政治家の頭の良いのがチョボチョボですから(笑)。いや、本当に。彼ら(大塚副大臣、田村大臣政務官)は別ですよ。別だけれども、そういう、役人を除外して、彼らを手持ちぶさたにして遊ばせておいて、絶対、仕事が進むはずはないですよ。それは絶対にあり得ない。格好だけそんなことが起きても、行政の空洞化が起きますよ。だから私は、絶対にそういうことがあってはいけないと思います。

問)

金融庁では、そういう人事はされないというお考えですか。

答)

人事は、それは悪いのがあったら吹っ飛ばしますよ。だって、私は、就任したとき、最初に、「小泉・竹中の金融政策のもとでしか仕事をやりたくないという人間は辞めてくれ」と言ったのです。がらりと金融政策が…。

問)

それは、かなり、もう「辞表を持ってこい」というようなことを言われていたのですか。

答)

「辞表を出して」と言ったわけです。誰も今まで出さないけれどもね。だから、「新しい方針に従ってやります」ということでやってくれているわけですから、それで良いのではないですか。私は、運輸大臣のときも同じことをやりました。

問)

日刊ゲンダイ矢田と申します。

先ほどお話しいただいたJAL(日本航空)に関してなのですけれども、新しくCEOに就任する稲盛さんの意向もあって、新社長、新COOの人事が、今、まだ決まっていません。これに関して、新しいJALの社長というのは、どういう人がふさわしいとか、そういうお考えがあれば、ちょっとお聞かせください。

答)

それは、一般論というか希望というと、やはり、まず能力。アホではしょうがないですよね。能力的に優れていて、その能力には統率力も必要だし、先見性、企画力、こういうことも必要になってくるわけで…、まあ、そうは言っても大変でしょうね。これは、稲盛さんが、ちゃんとした人物をあれされると思いますよ。

問)

取り調べの可視化なのですけれども、最近、また議論が進んでいくと思うのですが、大臣は、その点に関してどういうお考えをお持ちでしょうか。

答)

私自身が捜査を具体的に…、ああいう贈収賄事件だとか知能犯捜査、これは反吐が出るほどやったのですけれども。全国の事件の2割ぐらいを私がやってしまった経験があるのですけれども。東京地検特捜部は完全に沈黙してしまって、警視庁の(捜査)二課も。当時の東京地検特捜部長が、「どうやったら事件があんなにやれるのか教えてくれ」と、産経の社会部長を通じて私のところへ来られたぐらい…、威張るわけではないですけれども、本当に、反吐が出るぐらいやりましたけれども、ああいう事件とか、あるいは極左事件、連合赤軍事件とか爆弾事件、成田の事件とか、私はあのとき、キャリアの連中がやるような仕事ではないあらゆる事件を…、私は、現場そのものを、現場指揮そのものをやったのですけれども、もちろん取調べも私自身がやったこともあります。

「取調べ」という言葉では簡単なのです。そこから真実を引き出していくということは、そう簡単な話ではありません。だから、基本的には、どうやったら真実が発見できるのかということだと思いますよ。しかも、それには人権を尊重するという条件の中で、どうやったら真実が発見できるのかということだと思います。

だから、取調べを完全に可視化するということは、一つは虚偽の、心ならずも偽ったという供述をしない環境にはなると思うのです。しかし、一方で、今度は犯罪者が自分の良心に照らして、「ああ、悪かった。申しわけなかった」という気持ちになって真実を述べるという環境にとって、テレビが常時覗いているという状況が、心静かな状況をつくることにふさわしいかというと、やはりこれは、現実問題としては、なかなか難しいと思いますよ。取調官と被疑者は対決していくわけですから。そういう意味で、現実問題として、逮捕してきて、最初からテレビがここを見ているというような状況のもとで取調べをやった場合、人間だから、「よし、これは嘘を言って逃げちゃえ」とか「完黙(完全黙秘)して逃げちゃえ」というような心理状況になる被疑者も、相当、多いと思いますよ。

だから、冤罪が起きる可能性が非常に少なくなります。一方では、本当に犯罪をやった者が、否認して釈放されていくというケースも非常に多くなることを覚悟しなければいけないと思うのです。だから一つは、社会として、冤罪を絶対防ぐという観点から、犯罪者が処罰されないでどんどん出ていく場合も多くなるということも覚悟するという、そういうことをするかどうかなのです。それは選択だと思いますよ。難しいですよ。

ただ、本当に、拘禁性ノイローゼにかかるのですよ。「ほとんど」とは言わないですけれども、インテリほどかかりますよ。捕まると、あなたたちのうち半分ぐらいはかかってしまいますよ。心理的に、取調官の言うままになってしまうのです。両手錠をかけられて引きずり回されるでしょう。引きずり回されると、社会的地位のある人間、インテリほど弱いですよ。もう、見ていると、その引きずり回している警察官に対して完全に、「おまえやったろう」、「はあ、やりました」という心理状況に、相当数の人間はかかりますよ。だから、供述は必ずしも信用できません。私なども、誤逮捕する危険性を侵したことが何度かありますよ。だから、捜査というのは、そう簡単なものではないのですね。

問)

可視化のほうが良いということですか。可視化は良くないということですか。

答)

「良くない」と言うのではなくて、だからといって、冤罪を防ぐというような観点からも、私は検面調書、検事調書を取るとき、犯罪の構成要件をちゃんと調書をとってくるとき、公判廷に出す証拠になる供述調書をとるときは、テレビがちゃんと見ているという、私は、そういう可視化して良いのではないかと思いますね。

ただ、さっき言ったように、最初からやったら、真犯人が否認して釈放されるケースが多くなると。でも、社会全体として、「これも仕方がない」という選択をすれば、可視化だって良いのではないですか。それが善いか悪いかということですね。

問)

フリージャーナリストの佐々木といいます。

現職の国会議員の逮捕についてご意見を伺いたいのですけれども、今回、特に、強制捜査も政治資金規正法の違反でこういう形になっているというのが、ちょっと分かりにくいのですけれども、大臣のお考えを伺いたいのですが。

答)

私は、やはり捜査というのは、言うは易くしてなかなか難しいけれども、これは昔から言われたように、デュー・プロセスという、捜査の適正、これは、時期、手段、内容について求められることですけれども、捜査機関というのは、やはり犯罪の性質とか、その辺りを適正に判断して、では、いつ着手するのか、そして、着手した場合に身柄をとるのか任意でやるのか、そういう判断をしていくわけです。私なんかも、そういうことをずっとやってきたわけですけれども、これは、非常に難しいことも事実なのです。国会議員の場合、国会で国会議員としての権限を行使するということは…、やはり、選挙民からそのために選ばれたわけですから。拘置所に入っているために選んだわけではないのですからね。

また、一つは、常に「無罪の推定」が働いているのです。マスコミなども含めて、みんなはこれをすぐ忘れてしまうのですけれども、「無罪の推定」というのは、我が国の刑事訴訟法上、これは原則なのですね。だから、「無罪の推定」をされている、しかも、国民から選ばれた代表が、それを行使できない状況になってまで身柄を拘束する必要があるのかどうか、そういうギリギリの判断をしなければいけないのです。それを検察は、やはり、この際、そういう権利の行使、選んでくれた人たちへの権利の行使よりも、政治資金規正法違反の真実の解明のほうを国益的に優先するという判断をしたのですね。その判断が正しいかどうか、妥当なのかどうかということが、次に晒されると思いますよ。それも覚悟してやっているのでしょうけれどもね。

前に、大久保(隆規氏)をやった(逮捕した)とき、私が厳しく批判したのは、政権をとりに行っている党の代表の御大将の秘書を、選挙の直前に、ああいう形、ああいう形式犯で、何もあのときにやらず、選挙が終わってからやれば良いようなことを、あの時期にやってしまうということは、選挙の結果に大きく影響を与えるという予測が出ますし、まあ、結果として(政権が)代わってしまったからあれになったのですけれども、そういう影響を与えることがわかっていて、あの時期にああいう強制捜査をやるということは、私の捜査をやった経験から言って、私だったら、やはり選挙が終わってから捜査をやると。しかも、強制でやったということについて、「それは妥当性を欠くのではないか」ということを、私はあのときに言ったわけです。今は、もう政権ができてしまっているわけですから、この事態で政権がひっくり返るというわけではないけれども、個々の、彼(石川知裕 衆議院議員)の(国民の)代表としての権利行使、本人というよりも選んだ人たちのあれを行使できないということとを天秤にかけて、政治資金規正法違反の形式犯について真実究明するということ(のほう)が重い、という判断を検察がしたわけですけれども、その判断が正しいかどうかというのは、これは国民が判断することだと私は思いますね。

問)

東洋経済の浪川です。

全く関係ないのですが、今日、閣議で、ハイチに対する更なる支援とか、そういうお話はありましたか。あるいは、この間、日本が発表しているハイチへの支援策というのが十分なのかどうかということについては、大臣はどうお考えでしょうか。

答)

これは、十分なわけがないでしょう。ただ、各国とも一生懸命やっていますので。問題は、当初から、今、お金を積んだところで、現実の人命を救助するという観点からいって有効か、となると、物資のほうが有効だという場面もあるでしょう。いろいろとやり方の問題ですね。それは、やはり日本のような、「景気が悪い」と言ったって恵まれた経済大国なのですから、思いきった支援をするということが必要だと思います。鳩山総理も、その気持ちだと思いますね。

(以上)

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