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亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年3月5日(金)8時50分~9時17分場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

(今日の閣議で、)皆さん方にご報告するようなことはありませんから、皆さん方から嫌がらせ質問でも、何でもどうぞ。

【質疑応答】

問)

一部報道で、「ゆうちょの(預入)限度額引上げについて、3,000万(円)にする」とか、あるいは「郵政に対する政府の出資比率について方針が固まった」との報道もありましたが、これらについてご所見をお願いします。

答)

そうやって、「郵政改革担当大臣」が(報道)各社にいていただいていますから、良いのではないですか(笑)。まだ、決めていません。

問)

一方で、(ゆうちょの預入)限度額引上げのところについては、与党内でも、「法案の取りまとめを待たずに政令改正で行っても良い」という意見もあるようですが、これについてはどういうお考えでしょうか。

答)

法律を出す時点で、一応、(ゆうちょの預入)限度額については、金融(担当)大臣という立場で、それとは別にやれることですけれども、できればそういう方針は示したほうが良いでしょう。

問)

「方針」といいますと、つまり、「全体の像を先に示したほうが良い」という意味ということですか。

答)

それとあわせて、(ゆうちょの預入)限度額にはどう対応するか、ということは同時に示したほうが良いでしょう。

問)

改めて、スケジュールなのですが、大臣のお考え、ご結論を出すおしりの時期というのは、どのくらいにお考えでしょうか。

答)

だから、今、法律の中身をいろいろと検討している最中ですけれども、今週の土曜、明日ですね、福岡で、また非正規社員の皆さん方から状況の聴取をします。今、日本郵政に新しい雇用形態を検討させている最中なのでね。この間も、(齋藤)社長が中間の検討状況を持ってきたので、「まだ、それでは駄目だ。もうちょっと、ちゃんとしたものにしろ」と言って、検討するようにお願いしましたから。まず、これをちゃんとしないと。

(非正規社員が)23万人ぐらいいるでしょう。これを全部、中には「パートのほうが良い」という人もいらっしゃるし、いろいろなあれもあって、全部ではないわけですけれども、やはりこれは、相当、人件費がグッと上昇しますから。このあいだ、馬鹿な議員がいろいろ質問していたけれども、「コストアップにつながるのをどうするのだ」みたいな質問が出るぐらい、今の日本の雇用に関する基本的な姿勢が間違っているのですよね。ちゃんとした、人間としての処遇をしていくということが原価なのであってね。今、経営者の都合で原価を下げて利益を出していくというようなことがまかり通っているわけでしょう。日本郵政については、そういうやり方はやらせません。それに耐えるような、それをちゃんと、人間を大事にしながらやっていける経営とはどういう経営なのか、組織形態から業務の中身(まで、それ)を考えていくべきです。そういう観点で、これは全体に関係することなのですよ。今、私がいろいろな問題を考えているのですけれども、この雇用の問題というのは、全体のことに根底的に関係する話なのでね。その辺り、日本郵政がどういう対応をしようとしているかということも見極めた上で、郵政改革の全体の対応の姿というのを決めようと思っていますから。

問)

ということは、(今週の)火曜日の時点では大臣は「来週いっぱい」というふうに…。

答)

だから、そうなのですけれども、一昨日、齋藤(日本郵政)社長が来たでしょう。「もう一度、さらに検討しろ」と私が命じましたから、これがどの程度時間(が)かかるかですね。

とにかく、なかなか、私は、齋藤社長をちょっと叱ったのですけれども、まだ、小っちゃな郵便局が三つに間仕切りされている状況が解消されていないと。テレビカメラが局長の席を監視している状況は変わっていないといいますからね。「何やってるのだ」と言ったのですよ。そうしたら、「いや、金融庁がそうしてと言っている」と言いますから、私は、「ええっ」と思ってびっくりしたのですけれども、別に、金融庁がそんなことを指示するわけないですよね。「檻をちゃんとこうしろ」なんて金融庁が言うわけないでしょう。今、やっていることは人間の檻ですよ。そんな姿は良くありません。

問)

郵政の関係なのですが、正社員化を増やすとすれば、今、正社員の方で、給料を貰っている人たちの水準を幾らか下げる、ワークシェアリング的に正社員の方の給料を幾分か下げるというような可能性もあるのでしょうか。

答)

あなたの社は、そんな経営をしているのですか。

問)

私は、そういうふうにしたほうが良いとは思うのですけれども、つまり…。

答)

あなたはそう思っているのですか。

問)

私はそう思います。

答)

下げたほうが良いと。

問)

つまり、今、強い労組のJP労組みたいなものが既得権を持っているという指摘もありますが、正社員化だけを進めて、全部同じ賃金体系にするというのは難しいと思うのですけれども。

答)

それは、基本の問題は、今の賃金体系が適切かどうかということでしょう。正社員化していくことで、正社員の給与体系の待遇を悪くするという方向に変えろというのはそぐわないですね。賃金総額を総額と決めて、「内部のシェアだ」という考え方は、経営者の立場の考え方です。会社だって、経営者のためにあるわけではないです。

問)

そうすると、増えるコストの部分をどう、利用者も含め…。

答)

それは、ちゃんと稼がなければいけないですね。効率的に、業務を効率化していくとか、新たに利益を上げていくとかね。

問)

それは、郵便料金のアップとか手数料アップとかせずに、(業務を)効率化(すること)で(コストを)吸収できるというお考えですか。

答)

それはいろいろなやり方があるでしょう。今、コバンザメみたいになっているような子会社に随意契約で契約して、出血しているという面もあるでしょう。そういうものをきちんとしていって、待遇すべき人をちゃんと待遇していくこと。朝、出勤してきて、もう何から何までの新聞を、あまり読まなくても良いようなところまで読んで、裏までひっくり返して広告まで全部読んで、それでも夕方まで時間が余るような役員を抱えているようなことにお金を注ぎ込むようなことで、本体の利益がなくなるというようなことは間違いでしょう。そういうこともちゃんと合理化する。今、これも聖域なく減免しているのですよ。そういうものも全部洗って、そういう意味で、いわゆる無駄をなくしていって、ちゃんとした雇用態勢、経営を作ってくれと。ただ、これはでかいですからね。本当にでかいのですよね。これをやる作業を一生懸命やってくれているようですけれども、「それが全部終わるまで、あと1年、2年かかってから改革をやれ」というわけにはいかないですからね。だから、「中身のそういうこともできるだけ急いでやってくれ」ということを、齋藤社長には更に厳命しておきました。

問)

普天間ですけれども、先日、国民新党でキャンプシュワブ陸上部への移設案などを決定しましたけれども、今後、これが政府の案として、総理が「3月中にまとめる」と言っている案になり得るのかどうかということも含めて、そのシュワブ案への評価をお願いします。

答)

これについて、国民新党も一生懸命、党内でも検討してきたし、今の時点においては、これが良いと思って出したのですけれども、もっと良い案が出れば、それでも良いと思っています。これにこだわりませんが、今の状況では、この案しかないと。現時点においては、我々としては「これだ」と思って出しているわけですから、これよりも良い案が出れば幾らでもそれが良いと思います。要は、沖縄県民のために、安全と騒音をどう解決して、日米関係もきちんとうまくいくようにするかという話ですからね。

大体、国民新党が言っているとおりなのですよ。うちは、まともなことばかり言っていますから。あなたの社も、そろそろ兜を脱いで、そう思うでしょう。うちは、常に、常識的なことを言っているのですよ。ベストが良いに決まっているけれども、ベストが駄目な場合は、現実、人間の営みで動いているのですから、より良いところに落ち着けていくということしかないのですよね。といって、理想を失うわけにはいかないですからね。理想を追い求めながら、それをやって、これが政治ですよ。

問)

企業・団体献金についてなのですけれども、大臣は、今までお話をいただいていますけれども、昨日、与党のほうで「協議機関を作ろう」という話になったのですけれども、改めて、そもそも、この(企業・)団体献金を廃止することの考え方と、国民新党として協議機関にどう臨むかについて、お聞かせください。

答)

それは、政治資金全体について検討することは、常にやったら良いと思いますよ。何度も言っているように、今の政治資金規正法なんていうのは、あんなもの駄目です。つぎはぎだらけでしょう。あなたたち分かりますか。分かったって、政治家の立場になった場合、実行できますか。

だから、これを常により良きものにしていく努力はするべきだと。ただ、「企業・団体献金(禁止)」と言って、何をやろうとしているのか中身は分からないですけれども、一口に言って、そんな簡単な話ではないです。政治家がどうやって政治活動をやっていくのか、あるいは政治家になる前の段階、新人には公的助成はないのですから。立候補しようとしている者に対して、(助成金が)ないわけでしょう。立候補しようとする者が、どういう形で選挙準備のための資金を集めるのかという問題だってあるでしょう。

だからそれは、鳩山総理のように恵まれた方ばかりが国会議員になっていくというのであったら、企業・団体献金禁止で簡単ですよね。私なんか自分の身につまされて…。最初、立候補したときのことから考えて(みても)、私なんか350万(円)の退職金から始めたわけですけれども、現実問題、実際にそれだけではやれないのですよ。やはり、いろいろな善意の方の、そういういろいろな形での献金とかに頼らざるを得ない。それをどう可能にしていくのかと。

結局、政治浄化というのは、きれいなお金を集め、きれいに使うということしかないのです。そこから離れてしまっているのですよ。何か事件とか、いろいろなことがあると、すぐ政治資金規正法をいじるとあなたたちマスコミが満足するのですよ。マスコミを満足させるためにやるみたいな話ですよ。そして、ちぐはぐの現実離れした政治資金規正法になっていくのですよ。それで罪人が生まれるのですよ。罪作りなことをやっているのですよ。そうではなくて、あるべき政治のためには、政治資金に関するどういう制度が必要なのかという観点から法律というのはなければいけないのです。今は、全然、逆ですね。何か事件が起きるたびに…。

今度、北教組(北海道教職員組合)ですか、ああいう問題も起きたけれども、もういろいろな形で…。簡単に(言うと)、「政治とカネ」の関係というのは、ある意味では倫理観なのですよ。これをちゃんとしなければ(駄目)ですよね。民主党のとばっちりを受けて、私たち国民新党みたいにちゃんとやっている党が、「はい、どういう全面禁止でも結構でございます」と言うわけにはいかないですよ。あなたたち、そう思わないですか。

問)

政治資金規正法は、各党協議で、議員立法で出す動きになっておりますけれども、基本政策閣僚委員会の政府の枠組みではないのですけれども、こういう政治家の身分に関わるものは、多数決ではなくて全党的な合意を得て進めていくべきものだと考えますか。

答)

これは、議員がどんな法律を出そうと自由ですから、これは出したほうが良いのでしょうけれども、今は、公職選挙法にしても何でも、政党政治という立場をとっているでしょう。全部、政党単位になってしまっているのですよ。国会の中の運営だって、全部、政党単位になってしまっているのです。そうである場合は、やはり各党が、数が多い、少ないに関係なく合意をしていくというプロセスをとるべきでしょうね。議員の数が多いから数の多いほうに、都合の良いほうに法律を決めてしまうというわけにはいきません。多数決で決めなければいけないこともありますよ。民主主義というのはそうですからね。そうだけれども、やはり政党全体の活動に関係してくること、個々の議員の活動に関係してくるようなことについては、やはり、政党が責任を持って協議して合意していくことが大事なのではないですか。

問)

先日、金融機関の代表との意見交換会(年度末金融の円滑化に関する意見交換会)で、中小の金融機関のほうから、いわゆるゆうちょの(預入)限度額の引上げですね、「これは(中小金融機関にとっては)死活問題だ」とか、「これをやると、かえって中小・零細企業への金融円滑化に支障が出かねない」というような発言もありました。この辺について、大臣はどのようにバランスをとっていかれる考えなのか、お伺いします。

答)

私は、いつも言っているように、郵便局だけが高笑いして、信金・信組や第二地銀、そういうところが真っ青になるような状況は作るべきではないと思っています。それは、当たり前な話ですね。地域社会を守っているのは郵便局だけではないのです。信金・信組も保険のおばさんも守っているわけですから。そういう意味で、「ユニバーサルサービス」と言うけれども、それは、いろいろな民間の、そういう貢献というか関与もあって維持されているわけですから、そういうことをガタガタにするようなことでは(本当の)「改革」ということになりません。

ただ、小泉・竹中改革なるものが、そういう郵便事業のネットワークをガタガタに、機能不全のような状態にしてしまっているので、これは、(すでに)そういう現実があることもまた事実なのです。それをまた、生き生きとしたものに甦らせていく、あるいは、もっと社会的責任を果たさせていくには、この際、どういうことが必要なのかという観点から、今、私も検討している最中です。

それで、来週辺りに、最後、本当に精力的に…。(ただ、国会の)委員会(審議のために時間をとられてしまうということ)がありますからね。夜、徹夜してやれば良いのでしょうけれどもね。いろいろな方もいらっしゃるから、なかなかそうもいかないし。来週ぐらいに精力的にやりますよ。各紙でいろいろ騒いでくれているけれどもね(笑)。

ただ、私は金融機関にも言うのですけれども、とにかく、すぐ「民業圧迫だ」と(金融機関側が)言うのですけれども、「民業圧迫だ」と言う前に、やはり「自分たちがちゃんとした努力をしているのかどうかということを、もっと(しっかり)問う」という姿勢がないとね。自分たちが商売しやすいように、「そういう環境を作ってくれ、作ってくれ」と。それも大事ですけれども、やはり、自らが社会的責任をきちんと果たしながら…。日ごろの融資活動についても、「ちゃんとやっているのか」と言われてしまったら、自分たちはそういうこともやらないで「民業圧迫だ」と(言う)。ほかの面で、国民、地域の人たちにとって便利な状況が出てくると、(それが)自分たちにとって商売するのに「邪魔だ」と言ったって(反論したって)、それは駄目なのですよ。

だから、そこらのことはお互いに考えていかなければいけません。例のサラ金の問題だって、私は、この間の(年度末金融の円滑化に関する意見交換)会の時に言ったでしょう。「大変だ、大変だ」と、「(改正貸金業法が)6月、(完全)実施されたら大変だ」という問題意識があるのなら…。根っこのメガバンクですよ(そこが、)自分たちはダミーを使って荒稼ぎをしてきた、その仕方について規制をかけ(られ)たわけでしょう。「それで、『困る』と言うのであれば、そうした小口、緊急な庶民の(資金)ニーズに対して、メガバンク自体が、自身でどう対応していくのかという対案を出さないと駄目だ」と言ったのですね。(対案を)出さないでおいて、「ダミーを使って商売するのが難しくなったからけしからん」と、妙な根回しをして、私にプレッシャーをかけたって、「それは通用しない」と言っています。自らが、まずその努力をしなさいと。

だから、そういうことを含めて、何度も言うように、今の地方のそういう中小の金融機関も、自分たちが毎日の仕事を、本当に地域社会のために、組合員のために、いろいろな意味でちゃんとやっているのかどうかということを、きちんと検証をしながらやっていくというあれが必要だと思いますよ。

私がびっくりしたのは、ペイオフの限度額をちょっと上げようと言ったら、「おこぼれが少なくなる危険性があるから嫌です」と言うのですよね。私は、これもちょっとびっくりしましたね。メガバンクに比べて信用力はないわけでしょう。(信用力が)ないから、メガバンクにはない信用力をつけてあげようと。「自分たちだけ、(ゆうちょの)政府保証的なものを相手に戦争するのは大変だ」ということをおっしゃるのなら、そういうメガバンクに対抗できるような信用力という面では、客観的には、ペイオフの限度額を上げてあげるということになるわけです。「この信組、信金に対して預けたって、万一の場合でも大丈夫だ」という、政府保証とはいかないけれども、それに近い信用力が出るわけでしょう。メガバンクでなくても大丈夫だと。これは、そうしたら預金を獲得するインセンティブになりますよ。ところがそうではなくて、それをやってしまうと、「メガバンクの1,000万(円)から上に出た部分をおこぼれ(として)貰っているので、メガバンクのおこぼれがなく(なっ)て、メガバンクにそれが入っていくと、自分たちの預金のチャンスがなくなる」と言うでしょう。考え方がちょっと後ろ向きなのですね。だから、そうではなくて、やはり前へ前へと出ていく。私は、それがないといけないと思います。

問)

今、出た話で、貸金の件なのですけれども、大臣が前からおっしゃっているように、「メガバンクとか、ある程度小口で緊急な庶民の(資金)ニーズに応えていくことも考えなければ」というニュアンスの話をしていますが、今やっているような貸金(のプロジェクトチーム)の検討の中で、そういった大手金融機関の対応をどうしていくかということも、検討課題として具体的に考えていくべきか…。

答)

プロジェクトチームでそんなことも考えているけれどもね。この間もちょっと、具体的なことは言わないけれども、「それはちょっとあさって(の方向)ではないか」と言って注意したこともあるけれども、とにかく、メガバンク自身が後ろに隠れているのではなくて、直接、前に出て、もっと消費者金融の従来の、良い条件で、小口の緊急の需要に応えようということがあっても良いのではないですか。(メガも)「それは勝負にならない(うまくいかない)からやめた」ということではどうしようもないと思うけれどもね。政府系金融機関も同じことですね。

問)

今の、貸金に絡んでなのですけれども、大臣は、以前から、「法改正を伴う見直しは考えていない」ということを繰り返し説明されていらっしゃいます。(その理由としては、)「法改正が全党一致であったから」ということを理由(の一つ)に掲げていらっしゃいますけれども、一方、去年、一昨年と金融危機がありましたということで、それ以後、いろいろ経済環境は変わっておりますけれども、それでもまだ、法改正を伴う見直しは必要ないというふうにお考えなのでしょうか。

答)

基本的に、この問題に関して(環境が)変わっている点はどんな点だと思いますか。

問)

例えば、金融危機がありましたとか、輸出産業がそれによってダメージを受けておりますとか、そういうような、考え方のベースになる部分が変わっていると思うのですけれども…。

答)

それは、私は、相当いろいろ(環境は)変わってきていると思いますけれども、やはり、全党一致で決めた法律そのものをどうこうするというような状況ではないです。(ただし、)運用については、それは「曖昧な」というか、グレーゾーン的な点が多いですから、その点をきちんとするということも必要だと思いますし、それは、今、検討している最中です。

(以上)

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