亀井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要
(平成22年3月16日(火)8時53分~9時20分 場所:金融庁会見室)
【大臣より発言】
今日の閣議は、別に、報告するようなことはありません。
何か皆さんのほうから質問があれば聞いてください。
【質疑応答】
- 問)
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政局絡みになるのですが、自民党の鳩山邦夫(衆議院議員)さんが、新党の結成を視野に離党されました。このほかにも、与謝野(馨 衆議院議員)さんとか舛添(要一 参議院議員)さんも、近い将来の離党を検討されていると伝わっておりますが、7月の参院選を前に、古巣の自民党がこういう状況に陥っているということについて、何かご所見があれば伺えればと思います。
- 答)
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私が(自民党を)出たのは、政策で正面から対決して、「こんな党で一緒にやっていられない」と言って出たのであって、邦夫さんがどういう理由で出られたのか、現在のところ、私にはよく分かりません。あの方なりの思いがあったのでしょうけれどもね。今から、いろいろなことがありますよ。そんなことで一々、皆さんが右往左往してもしょうがないですよ。金融庁の番記者の皆さんにとっては…。そうか、彼(鳩山邦夫氏)は、郵政については「改革を見直すべきだ」という立場(だから)ですか…。
- 問)
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今、金融庁が検討しております、上場企業等の役員で、報酬を1億円以上貰っている人については個別に(報酬額を)開示するという内閣府令の改正を検討されているところなのですが、経済界や産業界から、「そういった、個別に報酬を開示することはいかがなものか」という反対の声が出ておりまして、昨日の段階でパブリックコメントを締め切っているのですけれども、そういう声を受けて、金融庁として規制案を見直す考えはおありかどうか、改めて伺えればと思います。
- 答)
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「(自分の)働きよりも(報酬を)貰い過ぎている」と思っている人が、そういうことを言っているのでしょう。金融庁として、一々、そういうことにまで気配りすることもないですよね。「(報酬を)貰い過ぎだ」と思って、「これを世間にばらされては敵わない」と思っている人は、(報酬額を)下げれば良いでしょうし、「おれはもっと貰っても良い」と思う人は、堂々と、もっと報酬を得れば良いでしょうし。この間も何か質問が出ましたけれども、あなた達が(なぜ)そんなことに関心があるのか意味がよく分からないですね。何で関心があるのですか。
- 問)
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いや、特に…。そんなに(報酬を)貰っていませんし(笑)。
- 問)
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今の、役員報酬の開示のところなのですけれども、経済界の人たちが反発するのは、既存(現行制度)でも役員報酬の総額は開示しているということと、個別の情報になると個人情報保護の問題が絡んでくるということを、多分、彼らは言っていると思うのですけれども…。
- 答)
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だったら、個人情報がどこまで保護されるのか、いわゆる公的な役割、社会的な役割を果たしている方の個人情報がどこまで開示されるべきかという、それは仕切りの問題だろうけれどもね。だから、さっき言いましたが、そういう人には、「私が言っている」と言っておいてください。あれ(自分は報酬を貰いすぎ)だと思うなら、「もうちょっとちゃんと働きなさい」と。世間に(報酬額が)知られて何か肩身が狭い、相応しくないと思われるなら、報酬を下げれば良い話ですし、もっと(報酬を)取って良いと思われるのだったら取られれば良いし。そういうことにまで神経質になられるというのはおかしいのではないですか。もっと、堂々と経営しないと駄目ですよ。あなたたちの給料まで公表することはないだろうけれどもね(笑)。各社違うだろうから。士気が落ちるだろうからね。
- 問)
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消費者金融の見直しなのですが、先日、幾つか方向性が出てきたので、その考え方と、その中に、例の過払金の返還で、「最近の弁護士に目にあまる人がいるから、広告規制なり何らかの制約を課せられないか」という話もあったと思うのですが、消費者金融の見直しに関して、現状を教えてください。
- 答)
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弁護士の個々の契約を規制するということになると、ほかの案件についても、弁護士の報酬を規制しなければいけないという話になってしまいます。私は、それは無理だと思います。それは、弁護士の倫理観とか、そういうものに期待するところまで踏み込むわけにはいかないと思います。
- 問)
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ただ、ほかの、例えば、返済の期間を長くする代わりに、ある程度、返済総額が増えても良いとか、実質的に緩和できる部分というのは、今後、ある程度、具体化していくのでしょうか。ある程度、返済を猶予するというか、消費者金融についても、今後の考え方が幾つか示されましたけれども、亀井さんとしてはどの辺りを実現させていきたいのでしょうか。
- 答)
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「返済猶予」と言ったって、返済すべきものは返済したら良いのではないですか。だけれども、サラ金業者が「返済に困る」と言ったって、それは、やはり高利な金利を取っておられたのですから、その中において、最高裁判例に基づいて適切な処置をされるというのは、それで良いのではないですか。
- 問)
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(鳩山)邦夫さんの離党の件で二つありまして、一つは、邦夫さんの連携相手で、以前、亀井大臣が連携を模索されていた平沼赳夫(衆議院議員)さんも連携することに意欲を示されていますけれども、平沼さんが連携することについてどう見ているのかというのが1点と、もう1点、第三極を目指す政党が新たにできると、国民新党の目指す「保守」というのとちょっとかぶる点があって、参院選に向けて、有権者の支持、保守の票が割れてしまうのではないかという懸念もあると思いますけれども、その2点についてはどうお考えでしょうか。
- 答)
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あなたはそういう質問をしない記者だと思っていたのですけれどもね(笑)。だって、関係ないではないですか。鳩山(邦夫)さんが誰にあれ(連携)を求めるかというのはご本人が考えることであって、私には関係ないことですから。誰に声をかけられようと…。
それと、ここは国民新党の(会見の)場ではないですけれども、我々は「本格保守」ということでやっているわけで、その政策理念に同調する方が将来的に集まってくるだろうと思いますし、今の時点で、仕切りをつくってどうだこうだという立場ではないです。基本は政策ですよね。
別に、今、鳩山(邦夫)さんが連携を呼びかけてきているわけでもないですし、こちらから呼びかけているわけでもないですしね。そういうことです。
- 問)
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ゆうちょ銀行が、昨年末にかけて、米国債を3,000億円規模で購入していたという報道が一部であったのですけれども、この事実関係と、それから、今後どのように考えていらっしゃるのかということを、改めて教えていただきたいと思っているのですが…。
- 答)
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私は、日本郵政の経営者ではないですから、一々、そんな運用の状況、中身まで報告を受けていません。米国債を買った場合には、為替変動のリスクみたいなものはあるけれども、やはり、そういうことを総合的に運用しているわけですから。健全な運用という意味でやっているのでしょうから、そうである限りは構わないのではないですか。何も、日本の国債だけを買わなければいけないということはないわけですからね。ただ、リスクの高い商品を買って、サブプライムローンみたいなものに手を出すようなことがあってはいけないけれども、そうでなければね…。
- 問)
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金融の話なのですけれども、「返済猶予法(中小企業等金融円滑化法)の期限を延長するお考えがある」という話があるようですが、実際、3月末に向かって、現在での効果はどのように見ていらっしゃるのかということをお聞きできますでしょうか。まだ、一部には、「やはり申請すると新規融資が借りられそうにないのでちょっと躊躇(ちゅうちょ)する」という声もあるようですし、調査会社の調査では、中小企業の2%ぐらいしか申請していないといったデータも出ておりますが…。
- 答)
-
昨日だったか、私は、広島で金融機関の方々との懇談をやったのですけれども…。別に、私が広島出身だから「おべんちゃら」を言われたわけではないのでしょうけれども、(金融機関の)皆さん方が言っておられたのは、「自分たちも金融機関として返済猶予の相談に乗ってきたし、そうした対応もしてきたので十分にやっていると思ったのだけれども、この法律が施行されたら、その申込みが、従来に比べて3倍、あるいは5倍ぐらい相談が殺到した」と言っておられました。だから、それで、「やはりそういう点、自分たちは、従来、借手に対しての努力が足りなかったのだなということを痛感した」と。だから、今も、そういう申込み、相談がどんどん来ているということをおっしゃっていました。これ(そういうことを言っていた金融機関)は、1社、2社ではなくてね。(金融機関側が)そういうことをおっしゃって、そういう意味では、私は、この法案が浸透してきていると思うのです。それと、金融機関自体が、「自分たちも、そういう法律ができる前から努力していたけれども、やはり、国全体がこれを積極的に推進しているという流れの中で、自分たちがもっと努力しなければいけない」という意識を強く持ってこられた。これは、もう間違いないと思います。
ただ、一方で言っておられたのは、「(借手に)新規の事業をやろうという意欲が、非常に、もうなくなっている」と言っていました。そういう意味では、資金についての新規需要が、もう非常に落ちていると。信金・信組の場合、4割ぐらいというのが多かったですね。だから、資金需要が非常に落ちてしまっている。要は、結局、中小・零細企業にとって仕事がない、経済が冷えきっているという実態があるということです。
私も、雰囲気は非常に変わったと思いますよ。借手のほうも、今は、別に、(返済猶予を)申し出たから(といって)レッテルを張られてしまって新規融資が受けられなくなるとか、そういう不安というのは相当なくなっているのではないですか。今、金融機関のほうから、「どんどんいらっしゃい、いらっしゃい」というPRをどんどんしていますから。これは、全国的に非常に積極的にやっていますよ。手前みそですけれども、そういう点は非常に、あの法律の後、社会的責任を強く求めたことが、非常に強く浸透し始めていると。そういう意味では良かったと。
ただ、これを時限立法にしているのは、当初、(施行期間を)どうするか判断した場合、そういう貸し渋り・貸し剥がしみたいな状況がずっと続くような状況は決して望ましくないので、だから期限を切って、将来は、法律がなくても、ちゃんと貸手、借手の間がうまくいくという状況をつくるという意気込みで時限立法にしたという経緯がありますから。これは、今の時点で判断することではありません。来年の秋の臨時国会辺りで、どうするかという判断をすれば良いことで、今、判断することではないと思います。
- 問)
-
郵政の法案なのですけれども、先日の国会で、「今週以降の早い段階で(法案を提出する)」というふうにおっしゃられていましたが、今、亀井大臣の頭の中に描いているスケジュール感を、もう一度教えていただけますでしょうか。
- 答)
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だから、同じですよ。もう、来週初めぐらいの間には決着したいと。大体、本当に千差万別、いろいろな意見がたくさんあるのですけれども、これは、最終的にきちんと決めなければいけませんので、「斎戒沐浴(さいかいもくよく)」して、やはり歴史の判断に耐え得るような決着をしたいと思います。
- 問)
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今の郵政の話なのですけれども、大臣が一番頭を悩ませているところはどんなところなのでしょうか。
- 答)
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やはり、中小の金融機関に対する経営上の圧迫みたいなものが出ないこと、保険のおばちゃんを泣かせるようなことにならないように配慮しながら、かつ、郵政事業がユニバーサルサービスをきちんとやっていける、そういう経営体にするにはどうしたら良いか。その辺りが一番悩ましいところですね。
それと、今、おかげさまで齋藤社長が、ある意味では、ぐんぐん陣頭を仕切って、雇用関係の実態把握、それに対する日本のあるべき雇用形態のモデルをつくるべく努力してくれています。そのことについても、何回か彼と打ち合わせをしましたが、非常に積極的に、前向きに取り組んでくれていますね。これは、まだそこまで調査していませんから、(意見を)とってみないと分かりませんけれども、(非正規社員全体の)20万人ぐらいのうちで、ざっとした感じでは、やはり、正社員を希望している人が半分近くいらっしゃるのではないかなという感じがします。そういう方で、ちゃんとした勤務をやっておられる方、意欲のある方は、原則として正社員になっていただくという方向で、今、検討しています。
だけれども、これは、やはり人件費が相当上がりますよ。まだ、ちゃんとしたあれ(試算)ができているわけではないから分からないですけれどもね。これで、二、三千億円程度は人件費がアップすると思いますが、これは当たり前のことなのです。(非正規社員を)安く使って、それが「原価だ」というのは…。今の経営者は、ほとんどがそうです。こんなの間違いなのです。
また、資材の調達は「中央調達にしたほうが安上がりだ」などと言っていますけれども、これは完璧に地方調達にします。「そうしたら、調達コストがかかる」などと馬鹿なことを言う人がいますけれども、やはり地域社会を大事にする、地域社会とともに生きていく郵政という立場から言えば、それがやはり原価なのです。間違ったことをやって経費を切り詰めたって駄目です。あなたたちの給与、取材費をどんどん切り詰めて、「良い記事を書け」と言ったって無理でしょう。同じことなのです。私は、この作業の推移を見極めながら、全体像の決断をします。
それともう一つは、これも、今、調査しているのですけれども、ファミリー企業というか、そういうコバンザメのように張り付いてしまっている企業が利益を吸ってしまっていますから、齋藤社長とも話したのは、必要なものは子会社にする、そうでないのは切ってしまうと。今、その選別を始めています。そうなってしまうのですよね。こういうファミリー企業とは随意契約でしょう。だから、儲かってしまうのです。儲かる形で、そこに利益が吸収されていくということは変えないと駄目ですね。
道路公団がそうですよ。私が(運輸)大臣に着任してみたら、ファミリー企業がコバンザメのように道路公団に張り付いているのですよね。それが随意契約ですよ。これが儲かるような形で契約しているから大変な状況で、私は、全部スパッときれいに。私のやることははっきりしているのです。あのとき、道路公団(の契約)を全部競争入札にしたのです。ところが、民営化になったでしょう。皆さん、どういうことが起こっているか知っているでしょう。また戻ってしまった。今の道路公団は、民間会社だからといって、また同じように子会社が張り付いてしまって、随意契約で、また甘いあれでやって、そこに利益がザーッと行っている状況になっていますよ。それは、前原(国土交通)大臣にも言っているのですけれどもね。だから、ああいうものは、言葉だけ「官から民へ」と言ったって駄目なのです。問題は、中身なのです。
そういうことを日本郵政についても、今、齋藤社長はその作業ももう始めています。そして、いわゆる天下りというか、あんなに役員が要るのかなというぐらい、あまり中身がないような会社の役員に郵政OB等が張り付いて、高給を取ってしまっている状況がずっとあるでしょう。そういうものを整理しなければ駄目なのです。そういう彼らの犠牲になって、非正規社員が安い給料で働かされて、ノルマをかけられて…。ノルマの問題もちゃんとやらせます。
非正規社員1人に、年賀状2,500枚かな、割り当ててしまって、それを達成できないと契約を切るというようなあこぎな使い方、経営をしてしまっていますね。これが、小泉改革の正体なのです。この際、そういうものはきれいにします。それは、社員も非正規社員も、営業に協力するのは当たり前です。だけど、そんな過大なノルマをかけて…。だから、自分で買ってしまっているのです。そういうことはやらせません。保険についても、過大な目標を立てて、その保険のノルマが達せられないと待遇を落とす(という)ようなことをやっていますけれども、そういう関係も全部見直します。
とにかく、人間的な、そういう経営にしてしまうのです。今やっていることは、日本郵政だけではないですけれども、日本中、あなた方マスコミだってそうですよ。あなた方の会社だって、あなた達は正社員で(雇用)されているけれども、そうではない、あなた達に高給を払うために犠牲になっている人が本当にたくさんいるのですよ。そういう妙な雇用構造になってしまいましたね。一部の正社員を守るために、非正規社員が犠牲になってしまっている。だから、むしろ労働組合がおかしくなってしまっているのですよね。自分たちの組合員の権益を守るために、むしろ、組合自体が非正規社員の存在を緩衝材に考えてしまっています。悪い癖がついてしまっていますよ。やはり、そういうものを直していかないと駄目ですね。
何かこんな質問と関係ないことばかりベラベラ話してもしょうがないので、終わりにしますか(笑)。
- 問)
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先ほどの貸金業の話の続きなのですけれども、広告規制のあり方が、一つの課題になってくると思うのですが、例えば、夜のゴールデンタイムのテレビ番組でやっている弁護士事務所のCMなどの批判が強いのですけれども、大臣としてはどういう規制が必要だとお感じになっていらっしゃいますでしょうか。
- 答)
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だから、そこらを含めて、弁護士がそういう広告を出している意味が、「荒稼ぎしちゃおう」と思って客寄せでやっているのか、そうではなくて、そうした多重債務で苦しんで多額の利息を払っている人たちや、その一部を返してもらいたいと思っている人がいても、どうやったら返してもらえるのか方法が分からないという人たちに、「私たちが手伝ってあげますよ」ということをPRする善意の意味で広告しておられるのか、その辺りは私には分かりません。そういう問題は、そこらを一方的に、「弁護士は悪いやつだ」と決めつけて、判断するわけにもいかないだろうということです。
私は性善説です。あなたの社のように性悪説ではありませんから(笑)。
(以上)