亀井内閣府特命担当大臣初閣議後記者会見の概要

(平成22年6月8日(火)23時07分~23時27分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

引き続いて、同じ(郵政改革・金融)担当(大臣)をやることになりました。もう、今の(官邸での)記者会見でも話しましたから、皆さん方に、特別に、私のほうから改めて、しょっちゅうお会いしている仲ですから、申し上げる必要はありません。

あと、(国会の)会期も少ないですから、郵政改革法案、それから保険業の一部の改正(保険業法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案)をきちんと成立させていただいて、両案の施行について全力を挙げていきたいと思っております。

金融行政についても、金融業界が社会的責任を…。アメリカみたいに大統領がああいう、ある強権を発動してまでいくような状況にならないように…。日本の場合も、過去、非常に手痛い目に遭っているわけですから、社会的責任をしっかりと自覚した業務展開をしていくように、今後とも、金融庁としては監督もし、指導もし、サポートもしていくという、今までどおりです。

何かありませんか。何か特別に聞くことがあったら聞いてください。

【質疑応答】

問)

郵政(改革)法案についてなのですが、本日の、菅総理の夕方の会見で、「成立を期するという合意もある一方で、多少の延長をしても必ずしもすべての法律を成立させることは難しい。それならば、選挙の後に改めて取り組むこともあっても良いのではないか」というご発言があったわけですが、これはどのように受け止められましたでしょうか。

答)

だけど、それは、私の関係に関する法律のことは言っておられないでしょう、当然ね。そのように私は思っております。

だって、郵政(改革)法案が今国会で成立しなかったら、それは、もう元の木阿弥、お釈迦になってしまう可能性もあるわけですから。両党間で「きちんとやる」ということを合意しているわけですから。その上で連立を組んでいるわけですから、私は何の心配もいたしておりません。

問)

菅政権、菅新内閣を見ますと、やはり財政健全化に対して、かなり本格的に軸足を移していくのではないか、というふうに現時点で見受けられます。亀井大臣の財政に対する考え方と平仄が今後合っていくのかどうか、ということについて、ご所見をお願いいたします。

答)

私は、別に、総理と今までも、財政政策、経済政策についていろいろ意見交換もしてきましたけれども、基本的に、食い違っているとは思いませんよ。やはり、経済の成長なくしては財政再建もあり得ないということは全く同じなのであって、ではどうやったら経済を成長させていけるのか、という方法論についていろいろ考え方があるわけですけれども、今後…。財政再建というのは当たり前の話ですよね、これに取り組んでいく(という)のは。ただ、経済をちゃんと成長させていくということなくしてはできないという中で、どういうことをやっていくのか、という方法論の問題なのですよね。そういうことについては、総理とも、今後ともいろいろ話をしていくと思います。

問)

前政権では鳩山首相も、新しい首相の菅さんも、クリーンな民主党を強調しているということで、「政治とカネ」についてクリーンであるためには何が一番大切なことだと思われますか。

それと、小沢(民主党前幹事長)さんの説明責任についてなのですが、政治倫理審査会に出るのか出ないのか、今、ちょっと出ないような方向にいっていますけれども、それについてどう対処すべきとお考えですか。

答)

私は、前から言っているように、「政治とカネ」の問題は…。もう自分の財産だけで(政治活動が)やれるわけはないのですから。資産家だけが政治家になるわけにはいかないでしょう。そういう意味では、政治活動を支援していく方からの浄財に頼らざるを得ないというのは当たり前の話であって、だから、きれいなお金、きれいに集めてきれいに使う、ということに尽きるのですよ、「政治とカネ」というのはね。

政治資金規正法みたいに、もう本当にわけが分からない。私は分かりません。あなたは分かりますか、今の政治資金規正法。読んでよく分かりますか。木造建築にプレハブを継ぎ足して、またコンクリートを継ぎ足して、みたいなことをやってしまっている。そういうことの形式的な運用で政治家が本当にきれいになっていくのかどうか、という大きな問題に、今、直面していると思いますよ。そういう意味では、私は、抜本的に「政治とカネ」のあり方というのを考えるときだと思いますよ。そういう中で、企業団体献金というのをどういう扱い方にするのか、それは議論すれば良いと思いますけれどもね。「献金が全部駄目だ」ということになってしまって、個人献金だって、そんな個人献金をどんどんするような日本の風土ですか。そういうことも抜きにして、中学生や高校生が社会科の時間に議論して思いついてみたいなことを、「ああ、クリーンだ、クリーンだ」とやったってうまくいくわけがないのですよ。やはり、我が国の風土、そういうものに合った形での制度を構築していくということも考えないと。もう、そういう意味では、社会科の時間に子供が考えてみたような制度でやろうと言ったって、現実の政治はそれによってはきれいになりません。私はそのように思います。

問)

今回、今国会の会期を延長するにせよ、しないにせよ、来月、参議院の選挙が控えております。「参議院の選挙は政権選択の選挙ではない」とよく言われていますけれども、鳩山(前)政権がこういう形で終わった中で菅政権になって、あと一月半から二月近くの中で、菅政権が参院選に向けてなすべき課題はどのようなものかお聞かせください。

答)

それは、国民のために、もう全力を挙げて政治に取り組むということですよ。選挙のために政治をやっているわけではないのでね。だから、そういう意味では、今国会にかかっている法案をきちんと審議して成立させていくという、そのことをやらないで、「選挙をやろう、やろう」と言ってみたところで、そういうことは本末転倒だと思いますよ。やはり、きちんとこれを成立させる、その努力をきちんとすることですよね。それに尽きます。

だから、私は言っているでしょう。さっき(官邸)の記者会見でも言ったように、うち(郵政改革推進室、金融庁)が出している法案について、「『審議する時間が足らん』と言うのなら徹夜でも良い」と言ったのですよね。私は怠け者ですけれども、応じますよ。土曜、日曜でも構いません。そういう、審議をきちんとやっていって、なお時間が足りるのか、足らないのかというわけです。そういうこともしないでおいて、まともに審議に取り組まないで、もう最初から法案を成立させないという前提に立っての取組みというのは議会制民主主義に反しますよ、そういうことは。私は、良識ある野党はそういうことはしないだろうと期待しています。

問)

菅総理は、先ほどの会見でも、財政再建に関係して、特に、税制の構造を変える、議論するということを、特に強調されているきらいがありますけれども、大臣は、この税制をどう考えていくのか、菅総理との議論をどういうふうに考えていかれるか。

答)

それは、税制も、国家が資金を調達する上において、国民からどういう形でいただけば公平であり、国家にとっても望ましいのか、という意味で、税制は、全般について、常に検討すべきことですけれども、税の取り方ばかり考えてみたところで、必死になったところで、さっき(官邸)の記者会見でも言いましたけれども、経済が死んでしまったら、税制を幾らいじったところで税収は上がらないのですよ。消費税を幾ら上げたところで、大衆の懐が寒くなっている状況で消費税を何%上げたところで税収増にはつながらないのですよ。そういう意味では、特に、消費税の場合は大衆課税ですから、そういう意味においては、国民全体が豊かになっていくという前提の中で、そうした大衆課税的なものは検討しないとね。「結局、税率を上げたところで税収は上がらない、ますます落ち込んでいく」という意見だってあるのですよ。そういうことです。

問)

ただ、今回、菅総理は、まず財政再建を議論するに当たって、税制というか、その税制の優先順位をかなり高く上げているきらいがありますけれども。

答)

そうですかね。だけれども、やはり、「第3の道」を模索したり、総理は、どうやったら経済が活性化できるのかということを…。自・公時代の10年間のやり方では駄目だと。「経済をどうやったら活性化できるのかということを真剣に考えるべきだ」ということを、成長戦略ということでも言っているでしょう。それは、税だけを…。これは子供以下ですよ。これは、赤子が考えたって、そんなことはあり得ないことなのですよね。マスコミなんてそんなことばかり言っていますけれども、経済をどう活性化していくのか、ということを考えないと。

それは、あなた方、マスコミだってそうでしょう。あなたの社はあれかもしれないですけれども、広告取りを一生懸命努力してみたところで、経済が駄目になっていったら広告は取れないのです。広告の取り方を幾ら工夫してみたところで、やはり広告を出すだけの力が企業にないと駄目なのですよね。同じことなのです、そういうものは。

問)

そういう点では、菅総理と、経済活性化のための道具立てというのでしょうか、議論する優先順位は、亀井大臣とやはり少しこう…。

答)

いや、そんなことはないですよ、それは。(国会の)財金(委員会)などでもよくやっているでしょう。違いますか。あなた方が、そういう、事あれかしと思って一生懸命、「私と菅(総理)さんが喧嘩すれば良い」と思って、事あれかしと言葉の端を捉えていろいろなことを言っているだけの話であって、そんなことはありませんよ。あなたたちが思うように喧嘩しませんから、心配しなくて良いですよ。

問)

昨今、ヨーロッパのいわゆる財政危機、ハンガリーへの懸念など、飛び火しながら日本株も下がっていると。輸出への影響も考えられる中で、今後、こういう状況が、外的要因が続いていって日本経済への影響が出てくると、「改めて、経済対策も含めた対策を打つべきだ」とお考えでしょうか。

答)

国際金融が今みたいに荒れているような状況の中で、やはり、我が国自体の金融界は、そういう意味では、そうしたものに、今、揉みくちゃにされているような状況はありませんし、そういうことがあってはならないように、金融庁としては注意深く見ているわけですけれども、もう、それは、外国の経済に頼っていく、外需に頼っていくということだけでは、やはり危険なのです。これだけの大きい国ですから。衰えたとは言えども、これだけの、ある意味では、まだ経済大国の下っ端のほうにくっついている国ですから、やはり内需を振興していくということが、我が国が安定的に経済発展していく上において、絶対、不可欠なことなのです。中国とかアメリカとか、今、アジア経済が好調だからといって、そういうところにだけ頼るということではなくて、内需も堅調に伸ばしていくという努力も大事だと思いますね。

問)

先ほど、もう一つ質問していたのですけれども、小沢(民主党前幹事長)さんの政治倫理審査会について、対処をどうすべきか。

答)

小沢さんは、何か「政倫審に出る」とか言っていたではないですか、前に。前に言っていたでしょう。私は新聞で見ましたよ。違うのですか。

問)

出るべきではない…。

答)

いや、自分で「出る」と言っていたのではないですか、小沢さんは。

問)

「出る」と一時はおっしゃっていました。

答)

言っていたのでしょう。

問)

はい。ですけれども、今、もう、何か沙汰止みになってしまったのですけれども…。

答)

これは、政倫審などの場は国会が決めることですからね。それは、政倫審が「そういう問題についてきちんと聞く必要がある」ということであれば、そういう場を設けて、また、小沢(民主党前幹事長)さんも、それに対してきちんと対応していけば良いことであって、それは、やはり政府が言うことではなくて、国会がまず決めていく話ですから。私が、「政倫審を開け、開け」とか、「小沢さん出ろ、出ろ、出ろ」と言って…。私も、今の立場上、そういう立場にはないです。ご期待に添えなくて申しわけないですが。

問)

今日、初閣議に臨まれて、菅内閣の閣僚の年齢も少し若返って、執行部もかなり若返った中で、一方、今まで民主党を支えてこられた小沢(前幹事長)さんが、形の上では一線を退かれたわけですけれども、小沢(前幹事長)さんという「重し」が一線を退かれたことについての不安みたいなものは、連立与党の仲間としてお感じになられることはおありになりませんでしょうか。

答)

だけど、あの人は、「政策には口出しせん」ということをやっていたでしょう。「政府は政府としてちゃんとやりなさい」と。別に、政策を采配するという立場をとってこられなかったのですから、そういう意味では、あまり影響はないのではないですか。今までも政策を取り仕切っておられたわけではないですから。「暗黙のあれがある」とか言って、あなた方は一生懸命(記事を)書きまくっていましたけれども、「私は政策のことでは…」と私にも言っていましたから。

問)

今の話に関連してなのですけれども、新政権発足について、評価というか、方向性について、小沢(民主党前幹事長)さんとは意見交換されたりとか、確認されていることはありますでしょうか。

答)

私は、新政権が発足した後、小沢(民主党前幹事長)さんと意見交換していません。

問)

では、お話は全くされていないと…。

答)

そうです。こういう意見交換などはしていません。

問)

郵政(改革)法案もそうなのですけれども、金融庁の案件で保険業法も国会に提出されていますが、これは、国会日程を考えて、場合によっては次期国会に先送りとか、そういうことも可能性としては…。

答)

いや、だから、さっき言ったように、私は「徹夜の審議でも応じる」と言っているのですから。もう、そんな定例日(だけ)の審議だとか時間を切っての審議にしておいて「審議日程が足らない」などと言うのは怠慢ですよ、国会議員のね。もう、そういう意味では、重要な法案ですから、野党も、しっかりと審議日程いろいろなことを含めて対応したら良いと。私もちゃんと対応しますから。怠け者ですけれどもね。これはちゃんと対応します。

問)

それに関連してなのですけれども、先ほどのご説明の中では、郵政法案も含め、大臣が関連していらっしゃる法案について、「成立することで合意していて、その上での連立だ」というようなお話だったと思うのですけれども、これが先送りにされた場合、連立関係に何らかの影響というのは出るのでしょうか。

答)

そんなことがあるわけないでしょう。だって、総理と私がやったのですよ。その協定を結んだのですよ。「信なくば立たず」です。誰とやったわけでもない、菅総理と私が両党を代表して調印したわけですから、それを総理は誠実にお守りになり、実行されるということだと思いますよ。それ以外には何もありません。私は、安心しきって、信頼しきっておりますから。そういうことです。

(以上)

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