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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年6月22日(火)11時20分~11時44分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

今日は、閣議、その後に閣僚懇がございまして、(長妻)厚生労働大臣から、「我が国の自殺者は12年連続で3万人を超えている事態となっておりますが、政権交代後の9か月間は、連続して、(前年)同月比で減少している」という発言がございました。私も、本職は医師でございまして、この自殺率の向上、特に20歳代は、確か、主要死因の1位は自殺でございますから、そのことに大変、自由民主党だったときも胸を痛めておりまして、いろいろやったわけでございますけれども、結果として、9か月間連続自殺者が減ってきたということは大変ありがたいことだと思っておりますし、(長妻)厚生労働大臣の発言によりますと、政権交代後、「コンクリートから人へ」の方針のもと、内閣府をはじめとする各省庁が、それぞれ緊急雇用対策…。これは、確かに、緊急雇用対策を従来の政権に比べれば非常に手厚くやっていると思っております。「自殺対策など、人の命を大切にする政治を基本とする施策を積み重ねてきた結果ではないか」という発言がございましたので、一言、紹介させていただいておきます。

それから、金融担当大臣としてでございますが、改正貸金業法については、ご存じのように、先週の金曜日、6月18日に第4段階を経て完全施行されたところでございますが、完全施行に当たっては、改正貸金業法の円滑な実施のために講ずべき施策について検討を行うことを目的としまして、「貸金業制度に関するプロジェクトチーム」、大塚副大臣が座長になっていただいたと思いますが、最終的に、「借り手の目線に立った10の方策」、皆様方にも記者会見(等)でもうお配りしたと思うわけでございますが、取りまとめたところでございます。

今回、改正貸金業法を円滑に施行し、必要に応じ、速やかに適切な対応を検討していくために、今日でございますが、金融庁の中、政府の中に、この「プロジェクトチーム」を代えて、「改正貸金業法フォローアップチーム」というものを設置いたすことに決めました。

「フォローアップチーム」の具体的な実施内容、及び、構成メンバーにつきましては、皆様のお手元に、今、お配りしていると思うわけでございますが、今後の「フォローアップチーム」といたしましては、改正貸金業法に係る、まず制度の周知徹底、これは、前回の記者会見でも、「どうも周知が足りないのではないか」とお叱りをいただいたわけでございますが、そういったことを、これまでよりも更に徹底していく。新聞、テレビ、あるいはメディア、インターネットを通じて、あるいは金融庁のホームページがございますから、そういったことを通じて徹底していくということと、それから、改正貸金業法の施行状況や影響について、まず実態はどうなっているかと。いろいろ、新聞、テレビで私も拝見させていただきましたが、実態はどうなっているのか、ということをまずきちんと把握することが必要だと思いますし、それから、改正貸金業法に係る制度のフォローアップ・点検、この3本を柱に強力に推進していきたいと思っております。

金融庁といたしましては、このような取組みを通じて、改正貸金業法の円滑な施行に万全を期すとともに、改正貸金業法の完全施行後の状況の推移をよくフォローアップして、必要に応じ、速やかに適切な対応をしていきたいと思っております。

ご存じのように、先週の金曜日に(施行)した後、すぐ「フォローアップチーム」を作るということは…。少なくとも、私も25年この世界におりますけれども、行政府が、そういった「フォローアップチーム」を作ったということはあまり記憶にないわけでございますけれども、政権交代したわけでございますから、さっきも(言いましたが)、「コンクリートから人へ」ということもございますし、やはり、借手の目線に立った行政をやらせていただきたいと思っておりますので、大塚副大臣にお願いして、関係省庁は多数ございますが、金融庁を始め、消費者庁、あるいは、そういった意味で厚生労働省、警察庁等々と連携をとりながら、そういった形で事務方にも入っていただいて、一つ、金融庁を中心に、政府を挙げてこのことに取り組んでいきたいと思っております。

私からの発言は以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の(改正)貸金業法の「フォローアップチーム」の仕事の内容についてなのですが、制度の周知徹底並びに影響の実態把握ということが書いてあるのですが、その「フォローアップ」という意味においては、何か現在の法律で不都合な点があれば、その見直しや追加の措置等々も踏み込んで、このチームはやっていかれるのでしょうか。その点をお願いいたします。

答)

まさに核心を得たご質問だと思っています。当然、まず実態を把握することでございますが、そういったことも、結果が出れば、やはり借手の目線に立って(ということ)でございますし、特に、ご存じのように、個人事業者、あるいは法人というのは、除外と例外規定を作らせていただきましたけれども、これがなかなか周知徹底されていないようなところも、新聞、テレビでもそういった記事、ニュースがございましたので、そういったことも視野に入れつつ、速やかに必要に応じて必要な対処をしてまいりたいと思っております。

問)

保険毎日新聞の園田です。

就任会見のときに、大臣が、「金融機関とか事業者の保護というのが大事だ」ということでおっしゃっていたと思うのですけれども、逆に、消費者の保護とか、ADR(裁判外紛争解決手続)とかも10月から動き出すので、その点についてどういうお考えを持っているのかをお聞かせください。

答)

両方とも大事だと思いますよ。要するに、やはり消費者、利用する人のきちんとした保護、一人一人血の通った人間ですから。あるいは、中小・零細企業であったり、大企業であったり、そういったことのきちんと利用者の目線に立った金融機関、それと同時に、やはり金融機関というのは安定していることが大事ですから、当然、経営の健全化だとか、同時にまた、メガバンクに至っては、もう国際金融になっているわけですから、そういった中でもきちんと使命を果たしていくことが大事で、どちらかとか、AかBか、という話ではなくて、AもBも極めて金融行政として大事だと思っております。

問)

フリーランスの岩上安身と申します。

昨日、菅総理の記者会見が行われまして、そこでもまた菅総理はギリシャのことを引き合いに出して、財政危機のこと、そして、その再建のために消費税の増税の必要性、その議論の必要性を強く訴えておられました。

しかし、ギリシャと日本というのは経済の基礎条件が全く違います。国債を発行しても自国内で消化することが可能な日本と、それができないギリシャとを混同すること自体、根本的に、何か誤謬(ごびゅう)があると思いますし、そういう形で国民に対して財政危機の不安感を煽るということ自体、非常に不見識ではないか、とも思います。もし、亀井前大臣がおられたならば厳しく批判されているでしょうし、また、「もし消費税を上げれば連立を離脱する」というようなご発言を国民新党の党首としてされているとも聞いております。

自見大臣は、国民新党の幹部のお一人として、また、しかし、菅政権の閣僚のお一人として、非常に苦しいお立場かもしれませんが、ご自身の見解、この菅総理がお述べになっているようなお考えについて、どのようにお考えになっていらっしゃるのか。消費税の必要性、議論の必要性ということについて、どうお考えなのかお聞かせいただきたいと思います。

答)

まさに時宜(じぎ)を得た質問だと思っています。

1点目は、もう皆さん方のほうがずっとご専門でございますが、日本とギリシャの置かれた環境というのは、日本の国債は大変多額でございますが、95%は国内で消化いたしております。一方、ギリシャは、日本の経済規模の大体20分の1ぐらいではないですかね。多分、85%は海外で消化していたのですね。そういった意味で、経済の規模からいって、また、国家全体でも、大変、日本には国際競争力の優れた企業もたくさんありますし、そういった意味では、一様に違うところもありますけれども、菅総理とされましては、ああいった国際会議に行かれて、やはり財政規律ということを非常に強く印象付けられたのではないかと。我が国民新党も、「財政規律はどうでもよい」などということは決して言っておりませんで、国債を減らすには、まず景気回復して経済を大きくしないと。ご存じのように、経済の全体のGDP(国内総生産)が分母に来て、分子に発行した国債が来ますしね。それから、もうご存じのように、八百数十兆円の国債がございますが、同時に、日本というのは外国にも大変たくさんの官民資産、200兆円以上の金融資産も持っていますし、それから個人の金融資産も1,300兆円、1,400兆円と言われるわけですから、そういった状況は必ずしもギリシャと同じではないですけれども、しかし、「財政規律」ということで言えば、やはり、確かにそういったことを強く印象付けられたのではないかと。私は、直接、話は聞いておりませんけれども、そう感じております。

もう1点、消費税の問題ですけれども、昨日の(菅総理の)記者会見を聞きまして、我々は3党合意で、この4年間は…。当時、民主党、社民党、国民新党で、これは選挙の前にきちんと共通政策として6項目を出しましたが、政権を獲得した場合、「政権を獲得した間は消費税を上げない」ということを明記いたしておりまして、しかしながら、当然、菅総理の話も、これは言うなれば、今日も話がございましたが、一つの、やはり社会保障、今から高齢化社会に向かって「安定的財源が必要だ」ということは、もう皆さん方もご承知のことだと思いますけれども、そういった中で「消費税を含む税制改革をやりたい」ということでございますけれども、私は、昨日のテレビしか見ていませんけれども、「これは2年か3年か、場合によってはそれ以上かかる」というようなことを言っていましたので、同じ信義を…。連立を組んでいる政党といたしまして、何も菅総理から事前に連絡はございませんでしたが、これはこれで、やはり政党の党首として、内閣総理大臣として、そういった問題提起をするということは、この連立の信義で、ほかの政党のことですから、そこまで我々がとやかく言うことは、やはり見識に欠けると思っておりますから。しかし、我が党といたしましては、ご存じのように、まず景気回復だと。その後、こういった、もうご存知の、小泉(元総理)さんの時代に国民の1人平均所得が100万円減ったということは、もう麻生内閣のときに公式に政府から発表していますからね。やはり、小泉(元総理)さんは「構造改革」と言いながら、結局はデフレになって、非常に、国民の所得も減る、経済も収縮したということは、皆さん方、ご存じだと思いますので、そういったことを、「まずきちんと景気回復して、その後、抜本的な恒久的財源を含むことをやろう」というのが、基本的に、国民新党のスタンスでございますから、そういった意味では、私は、今日も総理が発言しておられましたが、「実施は2、3年後」ということを言っていましたので、そんな点では一致点があるのかなと思っています。

昨日、亀井(国民新党)代表の話を私は聞いていましたけれども、「賢明な菅総理だから、すぐは実行には移されないだろうと思う」ということを言っていましたので。どうも最初の発言を聞くと、「もう、すぐに消費税を実行に移しそうだ」という話のようでございましたが、私も、この前テレビで、日曜日の「新報道2001」で言わせていただきましたけれども、橋本内閣のとき、消費税を3%から5%に上げたときに閣僚でございまして、まさにあのときにダーンと…。それから、医療保険の自己負担分を上げまして、合計で国民負担を11兆円増やしたのです。それまで「少し景気が好い」と言っていた…。まあ、これは大蔵省等々の推計でございますが、「(景気が)好い」と言っていたのがドーンと、もう奈落の底に沈みまして、山一証券が崩壊する、北海道拓殖銀行が破綻するというような、実際、そういった目に遭っていますからね。やはり、そこら辺は、「経済の全体の動向等を踏まえて、国民負担ということは慎重に考えていく必要がある」と、私は、日曜日にも申し上げましたけれども、そういったことはきちんと、やはり経済があって税収が増えるわけです。

橋本(元総理)さんのときに、2%消費税を上げましたので、大体、あのころは少し経済が小さかったので、2%上げて4兆円増税になったのですよ。そうしたら景気が悪くなりまして、法人税と個人所得税が減りまして、(税収が)6兆5,000億円減ったのです。そうしたら、差し引きが、結局、歳入で減ってしまったのですよ。そういうこともございますから、やはり、常に経済を拡大させる、拡大均衡させていくという前提のもとで、やはりこういう税制というのは考えていく必要があると思っております。

問)

世界日報の野村と申します。

消費税の増税(の話)が先行されているような感じなのですけれども、「やはり景気回復」ということを先ほどおっしゃられたのですけれども、そのために国民新党が、特別会計の見直しを中心とした景気対策を打ち出されていらっしゃると思うのですけれども、「そういう財政構造、あるいは特別会計の見直しといったことが、もっと先にあって然るべきではないか」という意見がありまして、私もそのように思いますけれども、この点についてはいかがでございましょうか。

答)

その辺は、ご存じのように、事実として申し上げれば、平成21年度の補正予算で政府が出した原案は2.7兆円でございましたが、国民新党はこういったデフレの中で…。完全失業者も300万人超いますし、雇用調整助成金を貰っている方も100万人おられるわけですからね。景気も、決して「自律的回復をした」というような状況ではないということは皆さん方が一番よくご存じだと思いますから、そういった中で、やはり、「2.7兆円では少な過ぎる」ということで、あのとき、基本政策閣僚委員会で亀井静香大臣(国民新党代表)が大変強く主張しまして、7.2兆円に景気対策の補正予算が増えた、ということは、皆さん方、記憶に新しいと思いますけれども、そういった意味で、折に触れてきちんとそういう路線は主張していきたいと思っております。

特に、また特別会計の話は、もう言われるとおり、3年前ですか、財務省は「日本国に霞が関の埋蔵金など一切ありません」と断言して、私も覚えていますけれども、当時の園田博之自民党政調会長代理が「そのとおりです」と、新聞のどこかの囲み記事に載っていましたけれども、あれから既に、ご存じのように、外国為替(資金)特別会計、あるいは財政投融資特別会計等々から、本年度予算、それからその前の予算も、もう20兆円出てきたのではないですか。ですから、やはり、私は、特別会計というのはしっかり考えていくべきだと思っております。

問)

東洋経済の浪川と申します。

成長戦略を出されましたね、政府が。その中で、金融戦略というものも出されたわけですけれども、その中で、「金融自身も成長産業として発展できるよう、市場や取引所の整備、金融法制の改革等を進め」という文面があるのですが、この文面に沿ったものは、この間、金融庁はこの検討に加わっていたのかということと、もう一つ、この「金融法制の改革」というのは、今後、どういう形で、どう検討していくという方法があるのかということを…。

答)

分かりました。それは、この間も申し上げたかと思いますが、総合取引所と申しますか、今、証券、金融の商品ですね。ご存じのように、「商品」と言いますと、大体、これは農水省と経産省でございますが、そういった垣根を取り払った総合的な、要するに、「総合取引所を作ろう」という考えでございまして、政務(大塚副大臣、田村大臣政務官)を中心にやってきているということでございますけれども、これは、いよいよ具体化をきちんと、成長戦略を閣議決定させていただいたわけでございますから、鋭意、取り組んでいきたいと思っております。

問)

確認です。取引所の総合化のため(だけ)の金融法制の改革ではないですよね。「取引所の総合化と並行して、他にも金融法制の改革をやっていこう」という理解でよろしいのですか。

答)

要するに、今までバラバラであった取引所を…。例えば、先物取引であれば農林水産省と経産省の所管だと思いますし、証券、金融というのは、主に、昔で言う大蔵省、今の金融庁が所管でございますが、その辺の「一体的、総合的な取引所を作ろう」、「省庁の垣根を越えてきちんと作ろう」という考えでございます。

問)

もう一度確認します。「金融法制の改革等を進める」というのは、総合的な取引所を作るための法制の改革なのですか。

答)

そうですね。それも一つ、当然、入ってきます。

問)

ほかにもあるのですよね。

答)

それは、いろいろです。やはり、成長戦略という、金融そのものが大きくなることが成長でございますので、それは、もう浪川さんのほうがよくご存じだと思いますけれども、総合的な取引所の創設と制度、それからプロ向けの社債の発行とか流通市場の整備、それから将来の成長可能性を重視した金融機関の取組みの促進、個人連帯保証に依存しない金融慣行の確立ですね。これは、もうご存じのように、中小企業というのは、大体、社長がお金を借りるときは家屋敷を担保に入れていますから、倒産すれば…。まあ、私の親戚でもたくさんそういう例がございますが、家屋敷がなくなって再び立ち上がれないという日本の経営者、それが今の金融の実態でございまして、そういった中で、やはり個人の連帯保証に依存しない金融慣行、「目利き」と申しますか、「この人が優れた経営者だ」と。戦前は、そういうことが普通だったらしいのですけれどもね。いつの間にやら、土地さえあればお金を貸すということになりまして、逆に、金融機関の「目利き」と申しますか、「その企業を見る目というのがだんだん退化していった」とは言いませんけれども、「非常にその能力が少なくなってきた」という話も仄聞(そくぶん)するわけでございまして、そういった意味で、これは、もうご存じのように、なかなか、言うは簡単で行うは難しい話でございますけれども、やはり、気長にそういうことをやっていくことが必要だと思っております。

問)

刑事告発した日本振興銀行に関してなのですが、日本振興銀行の社外取締役には自民党の議員が名を連ねていると。(社外取締役を)お辞めになっていたら、こういう質問をするのは失礼なので、今朝、ホームページで確認しましたけれども、まだお名前があったのですけれども、こういうことについて、大臣はどういう感想をお持ちでいらっしゃいますか。

答)

私も、その事実というのは書類では見ましたけれども、それは、それぞれの議員の…。議員というのは国権の最高機関でございまして、議員でございますし、それぞれの選挙民から選ばれたわけですから、それは、それなりのきちんとした、本人がしっかり、本人のことはきちんと本人で考えるべきだと思っていますよ。

(以上)

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