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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年9月14日(火)11時40分~12時38分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、閣議の前に安全保障会議が開かれまして、私は国民新党の副代表でもございますから、連立内閣でございますから、(安全保障会議設置法)5条の2項の関係者ということで、総理大臣が必要であれば認める閣僚ということで、私が国務大臣として安全保障会議に出席をさせていただきました。そのことだけでございます。

【質疑応答】

問)

先日、ペイオフを発動した日本振興銀行についてなのですが、昨日から預金の払い戻し手続きが始まって、特段の混乱はなかったと預金保険機構の方は発表していますけれども、今後の破綻処理が進んでいく上での課題というものを大臣としてはどのように認識をされていて、今後その課題解決に向けて、金融庁としてはどのような姿勢で臨んでいくのか、その2点についてお願いいたします。

答)

先週の日本振興銀行のペイオフに関しましては、「戦後初」というような記事もございましたが、大変冷静に皆様方のご協力もいただきまして、粛々整々とペイオフを実行させていただいたことを行政(機関)の長として、心から感謝とお礼を申し上げます。

今の質問でございますが、どういう状況であったかということでございますが、週末のうちに預金保険機構において、報道されていましたように、預金者の名寄せ作業を完了し、昨日(13日)午前9時から、本店あるいは中核店15店舗、本店を入れて16店舗でございますけれども、営業が再開されております。

ご存じのように、特段の混乱は生じておらず、解約手続き等の業務は、おかげさまで順調に進んでいるというふうに聞いております。全体としては、非常に順調にいっておりまして、落ち着いたら今回の状況をきちっと検証する必要があるかと、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、預金者1人当たり元本1,000万円までと、その利息は払い戻しの時期を問わず保護され、また元金1,000万円を超える部分とその利息については、民事再生手続きに従って弁済が行われるため、預金者の更に一層な、冷静な対応をお願いしたいというふうに思っております。

問)

今後の課題についてはどのようにお考えでしょうか。

答)

私が先週申し上げましたように、日本は、金融機関が破綻したときの手続きの法律ですね、これは十数年前の、今で言う金融ショックということが大変10年前の苦しい経験を踏まえて、私は世界で一番きちっと、金融破綻の法制が整備してあると、こう思っておりますので、それに従って今おかげさまで各方面のご理解をいただきながら、特に預金者の冷静な対応もいただきながら、粛々整々と実行しているところでございます。

問)

それともう1点なのですが、12日にバーゼルの銀行監督委員会が、新しい自己資本規制策というのをまとめましたけれども、これに対する大臣としての評価と、国内銀行がこの規制に対応していくに当たっての課題というのをどのようにお考えでしょうか。

答)

大変時宜を得た、非常に大事なご質問だというふうに認識をいたしておりまして、9月12日、スイスのバーゼルにおいて、国際的な所要自己資本の規制水準及び段階的実施を検討するため、ご存じのように中央銀行総裁と銀行監督当局の長、日本からは金融庁の長官が出席いたしましたが、ご存じのように会合が開催されたところでございます。

会合終了後、報道されていますようにプレスリリースがございまして、最低基準については総資本の水準を8%とする。普通株等のTier1やTier1全体の比率を高めるということ、それから最低基準とは別に景気悪化時に取り崩し可能な資本のバッファーの積み増しを認めること。それから、新規則の実施時期、2013年から資本保全バッファーも含めた規制水準の全体実施を2019年とするなど、様々な移行時期、経過措置などで合意したところでございます。

ご存じのように、この合意は私も前からも申し上げてきましたが、我が国の主張をかなり踏まえていただけたものだというふうに思っておりまして、中長期的な自己資本の強化を図る一方、急速な実施による実体経済への影響に配慮した措置が相当程度盛り込まれておりまして、金融システムの強化に向けてバランスのとれた結果になっていると評価いたしております。

私が前から申し上げましたように、この10年前の大変厳しい金融ショックの結果、自己資本比率が高ければ高いほどいいというものではない。高ければ確かに安定度は増しますけれども、あのころ貸し渋り、貸しはがしというのが起きまして、まさに非常に社会的にも、経済も収縮する、あるいは銀行も破綻するということがありまして、ですから私がよく申しておりますように、健全な企業、健全な経済の持続可能な発展のためには、安定した強力な金融機関が必要であるということを、我々はあの結果を踏まえて、10年前の金融危機の結果を踏まえてそう申し上げているわけでございますが、そういった意味で我々の基本的な意見が取り入れられたものだというふうに感じております。

そして、今後こうした規制の枠組みについての合意が、本年11月のソウルサミットで報告されるとともに、バーゼル(銀行監督)委員会では、規則の細則が詰められていくことになります。これは具体的には、政令、省令、そういったことでございますので、金融庁といたしましても、新規則が長期的、中期的に金融システムの健全性の向上に資するものとなる一方、実体経済に対する十分な配慮をしていくことが重要だということでございまして、引き続き、積極的に貢献していきたいと思っています。

後段の質問でございますが、日本の銀行に対する影響はいかにと、こういうことでございますが、今回の合意については、日本の銀行に対する影響を一概にコメントすることは困難でございますが、しかし、今回の合意は中長期的な自己資本の強化の必要性と実体経済への影響、双方に配慮したバランスのとれたものとなっており、我が国の銀行にとりましても実体経済に大きな影響をもたらすことなく、経営努力の範囲内で達成可能な内容であるというふうに考えております。

問)

(通信)文化新報の古田です。お世話になります。

7日に総務省から試算が出まして、日本郵政グループの金融2社、ゆうちょ銀行と、それからかんぽ生命からの収入がないと、郵便事業が最大で3,300億円の赤字になると。その場合は、はがき、あるいは切手を値上げしなくてはいけないというような、そういう試算が発表されたのですが、総務省ということもあるのですが、郵政改革担当(大臣)としての自見大臣のお考えをお聞きできればと思います。よろしくお願いします。

答)

分かりました。

詳細については、これはもう今ご質問になられたとおり、私は詳しくは承知をしておりませんけれども、今般、総務省では、今ご案内のとおり、金融2社が、郵便局が撤退した場合、郵便事業のみで現在の郵便局ネットワークを維持する場合の収支を計算したところ、今ご質問の中にもございましたね、年間2,900億円から3,300億円程度の赤字が発生する結果になるということが想定されたというふうに聞いております。

この試算の結果から、郵便局における郵便貯金及び保険の三事業の一体的な提供がなければ、今年間2,900億円から3,300億円程度の赤字と、いろいろな前提は当然ありますけれども、そうすれば郵便局のネットワークの維持が難しくなるとともに、郵便料金は郵便法により適正な原価をあてがうこととされているため、仮に郵便料金で赤字を補う場合には、確か試算にも出ていたと思いますが、相当程度の値上がりが必要となって、国民の不便、あるいは負担を強いることが明らかになったものだと、こう思っております。

いずれにいたしましても、国民は今後も郵便局において、3事業が一体的に提供されることを望んでいるというふうに考えておりますし、以上のような趣旨からも郵政改革法案を成立させることが、国民の期待に応えることだというふうに思っています。

私が聞かせていただいたところによると、原口総務大臣は、郵政改革というのは国民の税金を投入しなくてもやっていくことが大事だということを私は仄聞(そくぶん)しておりますので、そういう意味からも3事業一体と、過去10年ほどぐらい前も、郵政3事業でやってきましたけれども、ご存じのように2兆4,000億、当時、私は12年前に郵政大臣をしたときに人件費、当時は30万人の国家公務員がいまして、6,000人ぐらい期間公務員(非常勤職員)といいますか、そういう方がおりましたけれども、大体2兆4,000億人件費が要りましたけれども、当然これは郵政3事業は独立会計でしたから、これで全部賄っておりまして、ところが、当時12年前でございますが、国鉄の長期債務が28兆ございまして、これをどうするのかというのは大変、12年ぐらい前まで、2、3年先送りという、大変大きな問題でございまして、私はいつか申し上げたと思いますが、低金利になりましたので、当時260兆の郵便貯金がございましたが、積立金が3兆ほどございましたが、低金利でございますから、払い出すお金が少なくなるので、ここが4兆に増えたのです。ですから、その1兆円の支払いには当時、もう私は本当に郵政事務次官も反対して、大蔵事務次官も反対したのですけれども、1兆円を国鉄の長期債務返済のために出すことを大臣として決断させていただいて、そういうことをさせていただきました。

当時、大蔵省でしたけれども、たばこ消費税は1本につき1円上げると。たしか当時、今と違って2,800億円の収入がございましたので、これは国債整理特別基金に入りましたが、今でも国鉄の長期債務はそのスキームで返しておりましたが、(当時の)国会の予算委員会で、「国鉄の赤字で、何で郵政大臣、郵便局と関係あるのか」と大変厳しいお叱りもいただきましたけれども、当時当然、みんな国の事業でしたから、やはりそれは国家の一つですから、それは郵政大臣として決断させていただいたということを何回も申し上げましたけれども、やっぱりそういった、同じ国家の仕事でございますから、1兆円の国鉄長期債務に、この郵便貯金のお金を補てんをさせていただいたことも事実ですし、また日本郵政公社、基本的には私がもう基本設計したところがございますが、あれは上納金を50%(日本郵政公社法第37条に基づく国庫納付金。「平成18年度末積立金」から「基準額」を差し引いた額に100分の50を乗じた額)というふうに法律上作りまして、当時、今でもご存知のように、法人税はトヨタ自動車をはじめ40%ですね。これは租税特別措置法がつきますから、実効税率が少し低くなるのではないかと、まだ論議がございます。そういったことがあったのでございますが、それまで大変な公租公課を払っていないと。国の直接事業であった場合は、郵便局では公租はかかってきませんから。大変おしかりをいただいておりましたので、やはり国の納付金は50%というふうに決めさせていただきまして、4年間だけ日本郵政公社が続きましたが、確か4年間で9,800億円、約1兆弱の金を上納させていただきました。

私はよく申し上げるのですけれども、今は天下り先だとか何とかいろいろ国民からおしかりをいただいておりますけれども、郵政事業というのは自前でやって、きちっと2兆4,000億の人件費ももらうし、なおかつ13、4年のうちに2兆円の金を国に上納している組織だったのだということをー今はもう80兆円も郵便貯金も減ってしまいまして、非常に残念なことに経営基盤は脆弱になっていますけれどもー当時はそういう組織体であったということを、ぜひ国民の皆様方にご理解していただきたいというふうに思っております。

問)

今日、いよいよ民主党の代表選なのですが、国民新党の副代表として、なかなかコメントは出しづらいかと思うのですが、この数時間後に控えているその結果を前にコメントをいただきたいのと。

もう一つが、尖閣諸島で今、(中国)漁船が(海上保安庁巡視船と)衝突して船長逮捕と、拘束している状態で、中国側の方が非常に反日感情が高まっているということなのですが、先日大臣も訪中されて、日中の経済関係の大切さというのを改めて実感されたということなのですけれども、今後のこの問題の日中経済に対する影響についてどのようにお考えなのか、ご所見をいただきたいと思います。

答)

最初の質問でございますが、私は何回かは申し上げましたように、小沢一郎さんが(民主党)代表のときに、国民新党は綿貫民輔先生が代表でございまして、当時3人で、「民主党・新緑風会・国民新・日本」という統一会派を野党のときに作らせていただきまして、それからご存じのように、小沢一郎代表と綿貫民輔代表と、去年の8月30日に国民の選挙を受けまして、その前の両党のマニフェストにもきちっと書いてありますが、その合意書を結んだのが当時の小沢一郎(元)代表と綿貫民輔(元)代表でございます。

それからもう、ご存じのように、先般、菅直人民主党の代表と亀井静香国民新党の代表と、また、この前の国会はご存じのように、同じ法案を出すということを両党署名捺印いたしておりますから、我々は、国民新党は民主党との、きちっと公党と公党との約束でございますから、大変信義は重たいものだというふうに感じておりまして、どちらともきちっと約束をしていただけたわけでございますから、我々はどちらがなるか、これは民主党がお決めになることでございまして、我々はあくまで友誼と信頼をもって見つめさせていただくと。

どちらがなられても、きちっと公党と公党との約束でございますから、これは大変重たいものでございますから、信頼を持ってきちっと見つめさせていただいているということでございます。

それから後段の質問でございますが、これはもう尖閣列島は、我が日本の領土でございますから、いろいろなこと、私も担当大臣ではございませんから、詳しいことは知りませんけれども、やはり領土、領海は主権でございますから、これはきちっと守る必要があるというふうに思っております。

中国との間にいろいろなことが起きているようでございまして、中国の外務当局からも、日本の丹羽(中国)大使に対して抗議があったというようなこともお聞きいたしておりますけれども、この戦略的互恵関係ということがございます。大きい意味では、きちっと日中は、お互いに補完し合うことの多い両国でございますから、私は未来指向型のきちっと経済環境を含めて、日中のこの交流を深めていかなければならない、こう思いますが、やっぱり隣国でございますから、こういった問題がいろいろ、時々起こるわけでございますけれども、やはりそういったことをできるだけ、お互いに冷静な対応をして、きちっと対処していくことが私は必要だというふうに思っております。

問)

では、経済については今後、特に影響はないとお考えですか。

答)

そこまで、やっぱり我々は、領土は領土、領海は領海でございますから、この線は我々は当然、日本国の政治家として譲るわけにはいきませんけれども、それはそれなりにお互いの国民がおられますから、いろいろなのは当然ですが、お互いの国民の感情というのも非常に大事でございますので、どちらかというと、お互いの国民にかかりがちでございますが、やはり冷静に対処していくことが、広い意味でのお互いの両国の長い目で見て利益だということをきちっと踏まえてやっていくことが、私は必要だというふうに思っております。

問)

金融タイムスの大嶋ですけれども、振興銀行についてなのですが、22年3月末の数字を見ると、そんなに悪くないと思うのですね。これで預金者に自己責任を問うというのは、ちょっと無理があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

答)

この前も申し上げたかと思いますが、振興銀行に過去3回ほど検査をいたしておりますが、22年6月28日に公表いたしました業務改善計画について、大口預金先の点検をする中で、この債務者の信用状況を適切に把握するための決算資料等の整備、自己査定のマニュアルの変更を申し入れました。

これは要するに、その間に経営者は変わったわけでございますが、特に平成20年秋ぐらいから21年にかけて、それぞれの債権買い取りビジネス、これは旧商工ファンドということも先週申し上げたと思いますが、これから債権の買い取りビジネス、あるいは親密企業に対する大口融資等による業容の拡大が行われて、平成21年5月から3回目の検査に入ったわけでございますが、それまでの検査の結果、確かに今言われたように、表面的な検査の結果だけを見れば、そういうふうに思われるかもしれませんけれども、実は自己査定の正確なやり直しを命じたわけでございまして、その結果、簡単に言えば、これはやっぱり粉飾決算に近いものだったのですよ。そのことがきちっと発覚いたしまして、大変な検査妨害があったということは、もう皆様方ご存じでございます。2回から3回目のときも、法律には触れませんけれども、ほとんどこちらが行っても対応しないと、あるいは木村剛さん本人が出られるというような、本当に普通の金融機関で考えられないような検査に対する態度でございまして、そういった意味で、私もこの前申し上げましたが、3回目の検査のときは、同じ検査官が3回目に行きまして、これは9か月間も実は検査をさせていただいたのですが、もう皆様方よくご存じのように、大体普通、金融機関に対する検査は3か月か、長くて6か月なのですよ。そして、ご存じのように検査忌避ということが発覚したわけでございますし、同時に自己査定のやり直しということで、業務改善命令として出したわけでございます。

その結果、1,870億円の債務超過という数字が出てきたわけでございまして、そういった意味でそういった事情をご理解をいただきたいというふうに思っております。

問)

フリーランスの高橋清隆と申します。

今の日本振興銀行の件に関してなのですけれども、ペイオフを実施しない方がずさんな融資を繰り返した経営陣の責任を大きく問えたのではないかと私は思うのですが、そこについてはどういうご判断だったのでしょうか。

それからもう一点、この銀行の設立経緯についてなのですけれども、不透明な部分を感じておりまして、当時、竹中平蔵金融担当大臣のもとで、新規の金融業務が全く認められない中で、異例の早さでこの銀行は開業が認められました。そのあたりについて、追及されるお考えはないのでしょうか。

答)

最初の質問でございますけれども、これは実は、私は先週も申し上げましたように、金融破綻処理制度の原則は定額保護でございまして、そして例外といたしまして、ご存じのようにシステミック・リスクが起こる可能性がある場合は、例えばこの前、日本振興銀行と足利銀行の例を引き合いに出しましたが、日本振興銀行は約4,000億円の貸付金、足利銀行は4兆円の貸付金でございまして、特に足利銀行というのは、確か、栃木県の指定の金融機関でもございまして、その地域における足利銀行の占有率というのは非常に高いということもございまして、これは例外的に足利銀行は、金融危機対応会議というのを開かせていただきまして、これは内閣総理大臣が議長でございまして、当然、金融大臣もメンバーでございますが、内閣官房長官、金融担当大臣、金融庁長官、財務大臣、日本銀行総裁と。それが要するにシステミック・リスクのあるときでございますが、今回の場合は、金融破綻の原則でございまして、そこまでのシステミック・リスクはないということを考えまして、それから先週申し上げましたように、これは定期預金しか扱っておりませんので、いわゆる決済システムには、この銀行は最初から決済システムというのは、そういうものがないビジネスモデルでございまして、ですから、例えば振り込みとか、そういうこともございませんし、定期預金だけでございますから、そういった意味で、破綻したときの広がりというのは少ないと、そういったことも、これはいろいろこの前も説明しました。そういった意味で、やはり原則は原則で、私は定額保護ということにさせていただいたわけでございます。

そしてまた、責任についてはどうかということでございますが、預金の保護(定額保護)と責任追及とは基本的には関係のないことでございますが、しかし、私が先週も申し上げましたように、これは竹中平蔵さんのときに、金融庁の顧問に木村剛さんがなられて、やめた後、日本振興銀行の設立のお願い書を出して、そして、竹中平蔵さんのときに銀行の設立が、これはもうよくご存じのように、銀行業というのは免許業で、(金融業は)公共性の強いものでございますから、国家としても大変重たいものであり、健全な企業、あるいは健全な経営・経済のためには、非常に健全で強力な金融業が必要であるということは、もう皆さんよくお分かりでございます。(金融業は)免許業でございまして、重たいものでございますから、そういった意味でも、私はこういったことが6年半ぐらいで破綻をしたということは大変遺憾なことだと、残念なことだと思っていますが、私がこの前申しましたように、今預金保険機構が全部経営権を握っているわけでございますから、法に沿って刑事上の責任、あるいは民事上の責任をきちっと追及していこうと思っております。

ただし、設立の時は、この前申し上げましたように、セブン銀行だとかソニー銀行だという普通のビジネスモデルとは違う銀行が同じ時期に、同時に設立されましたし、今もセブン銀行、ソニー銀行というのは、きちっと機能を生かしておりますので、そこのところは特別早かったということはないというようなことは、報告を事務当局から受けていますけれども、私がこの前言いましたように、私は竹中平蔵さんというのは(当時の)国務大臣でございまして、なおかつ国会議員もしておられたわけでございますから、なおかつ自分のときに金融庁の顧問、そして自分が大臣のときに免許を出したわけでございますから、道義的責任は免れないということをこの前私は申し上げましたが、そのことはきちっと認識をいたしておりますし、また官房長官も、(再検証は)この(金融庁の)政務三役にというような発言があったようでございますが、そのことも大変重たく視野に入れつつ、きちっと今後とも対処していきたいというふうに思っております。

問)

さっきのペイオフの判断についてちょっと伺いたいのですが、大臣は先ほども「原則ペイオフだ」というふうに、定額保護だとおっしゃっておりましたが、一方で、今回の措置に当たっては、この銀行の特異性を非常に強調していらっしゃいます。これは、ちょっと論理的に矛盾しているのではないかとも思うのですが、その辺はどういうお考えなのか。

答)

私は、論理的に矛盾はしていないというふうに思っています。やはり、このペイオフというのは、たしか1971年ぐらいにこの制度ができたのだと思いますが、ペイオフはあのとき、たくさんの銀行がつぶれましたし、私自身も1997年から98年まで第二次橋本内閣の閣僚でございましたが、あのときも北海道拓殖銀行が倒産しまして、それから山一証券が破綻しまして、まさにあの時期、数十の金融機関が日本国で破綻したわけでございますからね。そのとき、ご存じのように、当時非常に預金者の不安があり、たくさんの金融機関が破綻いたしましたので、ペイオフは1996年から2002年3月まで、法律上は(記載が)あっても、ペイオフを実施はしないということを、政府として決定されたわけでございますが、今は金融状態もご存じのように、足利銀行以来、ある程度落ち着いておりますし、世界的にはリーマン・ショックというのがございましたが、日本は金融の全体的な情勢が落ち着いておるということは皆さんもご存知だと思いますので、やはり私は、預金する方もきちっと自己責任においてどういう銀行かというのを選ぶ必要があると。そして同時に、私は特に経営者の方にも強調したい。ペイオフになったら(預金者の方に対して)大変申しわけないわけですよ。1,000万円プラス利子以上の方が、この預金保険法によって概算払いができて、後から幾らかは減りますから、そういったことで非常に預金者の方にご迷惑をかけるわけですから、そういった意味でも、私は日本の金融機関のすべての経営者、経営に携わっている人に改めて、金融業はそれほど重たいものであるという経営責任をきちっと分かっていただきたい。

それから、預ける国民の方も、やはり金融業というのは1,000万円プラス利子でございますが、そこまではきちっと国が法によって保護いたしますけれども、それ以上のことは、やっぱり金融機関を選ぶということが、大変苦しいことでございますけれども、金融業はまずそういうものであるということをご理解いただければありがたいと。今回の場合、その辺は非常に申しわけないのでございますけれども、日本振興銀行の方々の預金者の方にご迷惑をかけたのは申しわけないと思っていますけれども、非常に冷静な対処をしていただいたことを、私は担当大臣として本当に申しわけないと思うと同時に、感謝をいたしております。

問)

ということは大臣、当たり前の話かもしれませんが、今後判断に当たっては、今回の振興銀行のような特異な銀行でなくても、もう判断を講じ得ると、そういうことでよろしいでしょうか。

答)

それはケース・バイ・ケースにおいて、そのときのきちっと金融担当大臣が判断するべきことだと思っていますよ。一般論として言えるものではないと、私は思っていますね。ただし、当然、破綻法制があるわけですから、法制があれば法律によって、状況によってそれが施行されるということも当然あり得るわけです。これは当たり前ですけれども一般論でございまして、ケース・バイ・ケースによって、そのときにはやっぱり金融大臣がきちっと判断することだと思っております。

問)

東洋経済の井下と申します。

振興銀行なのですけれども、3回目の検査がひどかったというのがあるのですけれども、では1、2回目というのは、今の検査監督体制においては適正な運営がされていたという理解なのか。それともやはり何らか、銀行に対する金融庁としての検査体制とか監督体制に何らか今回課題がとか落ち度があったのか、その辺のところはどういうふうに考えてございますか。

答)

私は、事務方から聞いているところによりますと、日本振興銀行に対して、直近の21年3月期を基準日とする検査のほかに、過去、今さっき(申し上げた)ように19年3月期及び17年3月期を基準日とする前回及び前々回検査を実施しておりますが、上記検査の結果、同行は、前回及び前々回検査の検査基準日において、財務状況に関しては資産超過の状況にあったものと認識しておりますが、また業務運営に関しても、直近検査に認められたような行政処分につながる重大な法令違反や体制の不備等はなかったものと認識をしておりますが、私が何回も申しましたように、途中から無理な業容の拡大や経営陣による、率直に言えば無理な経営拡大を急ぎ過ぎたといいますか、最初は私も先週言いましたように、最初の1回目の検査のときには、非常に中小企業を対象とした新しいビジネスモデルだというようなことでやっておられたけれども、それからリーマン・ショックも重なったということもあるのかもしれませんけれども、非常に無理な業容の拡大を行い、当時の木村剛会長のもとで、非常にこの方は能力のある方で、しかし、悪く言えばワンマン経営だったというふうなことを漏れ聞いておりますけれども、業容拡大に非常に走ったということが、今日の結果を招いたのではないかなというふうに思っております。

問)

そうしますと、特に監督体制、監督検査体制の今後見直しの必要があるかとか、そういうところは考えておりませんか。

答)

結局、今さっき申しましたように、日本振興銀行に対する免許の付与に当たっては、法令に基づき適正に審査が行われたというふうに思っておりますけれども、私は今さっき言いましたように、竹中平蔵元金融大臣に、やはり結果としてこういうことになったわけでございますから、道義的責任は免れないということを申し上げましたが、しかし、行政的には適正に審査が行われたものと承知をいたしております。

また、金融機関の検査・監督に当たっては、立ち入り検査や日常の監督等により、法令違反や利用者保護上の問題が判明した場合に確認された事実と法令に基づいて、必要に応じて厳正な対処を行っておりまして、日本振興銀行についても同様な厳正な検査・監督の実施に努めてきたわけでございますが、当庁としては1回目、特に2回目の検査、これは非常に行政でございますから、やっぱり法律に基づいてきちっと適正にやっていかなければならないと。明確な法律違反のことがない限り、行政というのは恣意的なことはできないわけですよ。しかし、3回目の時はもうご存じのように、明確な法律違反のことがございますから、法律に基づいて、それからやっぱり法律と事実に基づいてやっていかなければいけないというのは、行政というのはそういうものですから、そういった意味で、何で最初から早くやらなかったのかというおしかりをいただくというのも、気持ちとしてはよく分かりますけれども、私は行政というものは、きちっと法に基づいて、客観的な事実に基づいて、きちっと指導をしていくもので、見込みだとか、恣意的な要請というのはできるだけあってはならないというふうに、私は行政(機関)の長としては思っております。それが法によって、法と事実によってきちっと行政をあずかる者の一つの大事な点だと、こう思っておりますが、そういった意味で、しかし結果としては破綻をしたわけでございますから、当庁としては、今回の教訓を生かして、引き続き金融システムの安定化に努めていきたいというふうに思っております。

業容の拡大、それから私は先週も申し上げましたように、これはいわゆるネットワークビジネスといいますか、親密企業約120社に対して、たしか融資は(貸付の)80%近い融資をし、(融資先を)全部足せば2万9,000社ぐらいに融資していると思います。善良な、かつ誠実な融資対象は当然法律によって保護されますけれども、この貸付の8割近くを120社に集中しているというのは、これはもう私が考えてもバランスを欠くわけでございまして、そういったことが平成20年から平成21年にかけて起こって、そういったことが平成21年5月から3回目の検査で、そういう事実が分かってきたということでございます。

問)

大臣は前回の会見から、「竹中さんの道義的責任は免れない」とずっとおっしゃっておられますけれども、竹中さんもそうですが、当時の金融当局の幹部の方々なのですが、一切、振興銀に対する取材にはお答えになっていないのですね。説明責任という、竹中さんは今海外出張中だそうなのですけれども、説明責任といいますか、何か道義的責任を免れないのであれば、何をすべきかというふうにお考えでしょうか。

答)

それは大変的確な質問ですけれども、今海外に行っておられるのですか。何か私は新聞では、取材に一切応じないというようなことだけは読みましたけれどもね。私はやっぱり公職にあった人間として、国会議員であったこともあるわけですから、2年近く日本の金融行政をあずけてきた金融(担当)大臣、ましてや小泉さんと竹中さんという、当時まさに大変大きな政治的存在であったわけですから、やっぱり道義的責任というのは免れないと思っていますよ。

問)

当時の事情を説明するとか、例えばこちらから何か追及されるということを考えてはいないというお話だと思いますけれども。

答)

それは今さっき言いましたように、官房長官も政務三役にというようなことを言っておられるわけですから、それを重たく受けとめて、視野に入れつつやっていくところはやっていきたいというふうに思っていますよ。

問)

すみません、ちょっと話は違うのですが、明日でリーマン・ショックからちょうど2年になるので、この2年を振り返り、かつここ最近振興銀ですとかバーゼルとか、今日円高が15年ぶりに83円10銭ぐらいに進んでいるということですけれども、この2年振り返り、かつ、今後、日本の金融というのはどうあるべきかということを、ちょっと幅広いのですけれども、ご意見いただけないでしょうか。

答)

大変壮大な質問でございますけれども、私は政治家としては、いつか申し上げたと思いますけれども、金融というのは、特にサッチャー(元英国首相)、レーガン(元米国大統領)の時代から、新保守主義といいますか、金融が非常に発達して、特にITの発達とともに金融工学というのが発達しまして、アメリカの特に投資銀行というのは金融工学を活用して、非常に大きな利益を上げてくるというふうになってきたと思っておりまして、そして、そういった意味で非常に、私はやっぱり金融(機関)の検査する側も、この前も言ったが1000分の2秒で株を売ったり買ったりするというのですね、東京証券取引所では。この前、香港の方の証券取引所に行きましても、非常に1000分の1秒とか2秒とか、そういう世界なのですよ。そうすると、私は本職が医者でございますけれども、コンピューターで反応するだけですよ、ある意味でね。そしてなおかつ、昔は、証券取引所を経由しない取引も、実は今アメリカなどで非常に多いのですね。

やっぱり私はそういった意味で、この前アメリカでもオバマさんが、金融規制改革法というのを、まさに1929年以来コペルニクス的な転換をして、金融規制改革法を出させていただいたと思いますよ。そこに、ボルカールールを作りまして、投資銀行、あるいは従来のアメリカの銀行、特にアメリカを中心にした欧米の銀行ですね、ハイリスク・ハイリターンの仕事を、要するに銀行の自己勘定ではしてはならないと。お客さんから頼まれた場合はしてもいいのだけれども、日本の銀行はもうご存じのように、比較的そういうことは得意ではなかったというか、していなかったわけでございますけれども、そういう意味で大きな時代な変遷、金融をめぐる、そしてリーマン・ショック以来、実体経済に非常に影響も与えてきまして、日本だって一時、トヨタ自動車が4割も生産が落ちるということになったわけでございます。

また、そういった意味で、非常に金融が実体経済以上にふくらむ、それがなおかつ、一つの金融機関のリスクの中で、リスクはもうおさまらなくなった、リーマン・ショックなんか典型ですね。国全体の経済、あるいは世界全体の経済に広範な影響を与えるというようなことでございますから、そういった中で、1929年はそれぞれの経済がブロック化しまして、それが第二次世界大戦の遠因だという方もおられますけれども、その辺の苦しい反省を踏まえて、G8、G20ということで、何とか英知を集めて、今度のバーゼルもまとまったし、今度はぜひ、これがソウルサミットでまとまっていただきたいと思いますけれども、世界の経済のグローバル化と同時に、やっぱり人類は1929年の後の世界大恐慌よりは、少し学習をしたと私は思っていますし、そういうことも視野に入れつつ、企業を支える金融、あるいは円の円滑化、あるいはリスク管理をきちっとやるというようなことは、これは原則でございますし、なおかつ金融業というのは、この前も申しましたように、基本的には信頼関係でございますから、顧客の方だとか、あるいは金融機関に関する信頼がないと、金融機関というのはうまく機能しないというのはもう皆様方、専門家でございますからよくご存じでございますから、そういったことを踏まえて、非常に難しい時代の金融の舵取りでございます。世界が今非常に金融も変動しておりまして、しかし、そういったときでも、皆様の知恵もかりながら、国民の声もかりながら、そして日本一国の経済ではございませんから、まさに非常に経済のグローバル化、アメリカの経済も中国の経済も、まさに結びついているわけでございますから、そういったことも視野に入れつつ、しっかり責任を果たしていきたいというふうに思っております。

問)

東洋経済の浪川です。

すみません、振興銀行なのですけれども、振興銀行を認可した当時は、たしか竹中(元)大臣で、その下に金融改革プログラムを作る会議か何かを設置して、委員の人、数人でそれをやった会議の中に木村剛さんが入っていて、その会議が一切非公開だったのですよね。非公開の中で、そのプログラムの中に中小企業専門の銀行を新設するみたいな話が出て、それがポッと、結果的には出てきたわけです。その前にあったのはセブン銀行、さっき大臣がおっしゃったように、そういう銀行だったのですが、そこら辺の異業種参入に関しては、非常に厳しい参入ガイドラインを金融庁が作ったのだけれども、全く違う形態の銀行ができることに関しては、そのガイドラインをきちんと作るという作業は、あまりなかったと僕は記憶しております。

何を申し上げたいのかというと、その当時の非公開だった会議の会議録を公開していただけないかなと思っているのですけれども。当時、金融庁、大臣、その会議の中でその銀行の位置づけというのがどういうふうに議論されて、社会的必要性がどう議論されて、どういうふうな形で作ろうという話になったのかというのを知りたいので、もし公開していただければ情報公開を要求するということになってしまうのだと思うのですけれども、そういうことの前に、これだけの破綻が起きたのですから、金融庁として出していただけたらありがたいなと思っているのですけれども、いかがでしょうか。

答)

もうご存じのように、あの時代、私も国会議員でしたが、事前規制と事後規制といいまして、日本は非常に明治以来、お役人さんが非常に手取り足取り許認可をして、そして、銀行であれば以前は、護送船団方式と。あるいは私でも国会議員でございますから、タクシーとか、これは運輸省から認可をいただければ、この需要と供給のバランスで何とかやっていけるという、そういう時代が長く続きましたよ、もうご存じのように。

それから特に、ざっと新保守主義的な流れが来まして、特にこれは小泉さん、竹中さんみたいにマキシマムになったと思いますが、許可したい人はできるだけ政府は許可しなさいと。その後の事後処理は当時の極端な論理としては、私も裁判所にすればいいのだと。これはどちらかというとアメリカ型の、要するに、できるだけ入り口は最低限の要件さえ満たしておけば、それを許可して、それがうまくその企業がいくかいかないかは、まさにその企業の自己努力であって、そして、もし法令違反のことがあったりしたら、それは結果ですから、極端な話、それはもう裁判所の役割だという時代の流れが確かにありましたよ、私もよく覚えています。

そういった時代があったということも、確かにあったのですけれども、私は今の話を初めて聞いたのですが、そこら辺は私は、やっぱり官房長官もきちっと政務三役でということを言っておられますので、そこら辺も視野に入れつつ、きちっとやっていきたいというふうに思っていまして、またいろいろな知恵をきちっと、振興銀行のことは極めて遺憾なことでございまして、私も責任を感じております。そういった意味で、きちっとやっぱりこれを今後、さらに国民の信頼を取り戻すということと同時に、やっぱりこれを他山の石として、しっかりした金融行政をしていかなければならないというふうに思っています。

問)

議事録は残っていないのですか。議事録というものが、事務局になかったのではないですか。

答)

(事務方は)議事録は残っていないということでございますけれども、しかし、私は国民から選んでいただいた、政治家でございますから、それはそれで、お役人さんのお立場というのも、何もこれは25年もやっていますので分からないことはないのですけれども、政権交代をしたから振興銀行はペイオフになったのだというようなことを、どこかの新聞にも書いてありましたよね。そういった色彩も確かに、私も政情としてあると思いますよ。ですから、そういったことも踏まえながらきちっと国民の声に応えていきたいというふうに思っております。

(以上)

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