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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年11月12日(金)9時21分~9時39分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日の、閣僚懇では、菅総理がG20サミット(20カ国・地域首脳会議)で、おられませんでしたけれども、私から民主党の党首と国民新党の党首と郵政改革法案が速やかに成立をすると3回ほど署名捺印して頂いているわけでございますから、なおかつ閣議決定して国会に提出して頂いたということでございますから、しっかりそのことを履行して頂きたいということを強く強く申し上げておきました。

【質疑応答】

問)

3点あります。

まず1点目ですが、今まさに開催しているG20首脳会議で、本日、バーゼル III の枠組み導入が了承される見通しです。改めてその評価と、今後の巨大銀行への対応など具体的なルールづくりが焦点になると思いますので、日本としての要望があればお願いします。

答)

昨日から韓国のソウルで開催されているG20サミットでは、世界情勢と並んで金融規制改革も議題となっております。

金融規制改革に関しましては、以前にも大きな話題になりました10月22日から23日は慶州でありました財務大臣・中央銀行総裁会議において、先般の中央銀行総裁・銀行監督当局長官との会合で作成された銀行の自己資本、それから流動性の新たな枠組みを歓迎し、期限内に完全に実施することにコミットすること、また今お話がございましたシステム上重要な金融機関(SIFIs)については、FSB(金融安定理事会)、この下部機関の一つにバーゼル銀行監督委員会がありますが、これが提案する政策の枠組み及び作業手順及び日程を承認することを聞いておりまして、G20サミットの議題として、そのことを優先することを合意したところでございまして、そういった意味で国際的な金融規制の改革については、中長期的に金融システムの強化及び金融機関の健全性の向上に資するものとなる一方、各国の金融システムの実情の違いを十分に踏まえたバランスのとれたものにすること、実体経済への影響に十分配慮し、十分な計画期間を設けるなど、時間をかけて実施していくことなどが極めて重要であり、今回のサミットにおいてもこうした姿勢で臨んでいます。

十数年前、日本は大変厳しい金融危機がございましたが、その苦い経験を踏まえて、ある意味では、世界各国の中で日本は金融機関の破綻法制が一番完備している国ではないかと思います。そういった中で自己資本比率が高ければ高いほど、確かに一見銀行が安定したように見えますけれども、十数年前を考えて頂いたらよく分かるように、自己資本比率を必要以上に高くしては、銀行が貸し渋り・貸し剥がしをし、大変経済に与える影響が大きくなり、(経済規模が)縮小いたしまして、普通なら生き延びられるであろうというような企業があの時代かなり倒産したという苦い経験を持っております。そういったことを一貫して日本国は中央銀行総裁・銀行監督当局長官会合でも主張しておりまして、かなりそこに近い線に世界は収斂してきたというふうに思っております。

ただし、今言いましたSIFIsの問題は、これは特に英国、米国から強く出てきたというふうにお聞きいたしておりますが、今後の手順、手続、日程等を優先的にやっていこうということで合意をされるというふうに聞いております。

問)

2つ目ですが、政府税調で証券優遇税制の廃止が論議されております。大臣としてはご所見とご対応があればお願いします。

答)

今日の新聞を色々見させて頂きましたが、昨日の税制調査会において証券の軽減税率についても様々な議論がなされたことは承知しており、色々な意見が出たということは聞いておりますが、何らかの方針が示されたということは承知いたしておりません。

金融庁といたしましては、平成23年度の税制改正(要望)について、現下の厳しい、もう皆さん方よくおわかりのように、経済・金融情勢や先行きの悪化懸念、配当の二重課税問題等にかんがみ、証券の軽減税率は延長を要望しているところでございまして、今後とも、関係者の方々のご理解が得られるように努力してまいりたいというように思っております。

問)

最後3点目です。

これは一閣僚としてお尋ねです。尖閣諸島沖の、今話題になっている中国漁船の衝突事件です。海上保安官がビデオを流出させたという疑いが今持たれておりますが、まずはその受け止めと、そもそもこのビデオが秘密に当たるのかどうか、どういうようにお考えなのかお願いします。

答)

私は、閣僚ではございますが所掌ではございませんから、一生懸命所掌に当たる閣僚が、あるいは総理大臣が国会で色々答弁していると、新聞やテレビでしか聞きませんけれども、適時適切にきちっと処理をして頂けると、そして国民の理解も得られるように解決方法を考えて頂けるというふうに信じております。

問)

秘密かどうかについてはご答弁ありますか。このビデオが秘密に当たるのかどうかということですが。

答)

今、所掌の閣僚が色々国会で答弁しているようですし、民主党と国民新党の間の信頼関係から連立を組ませて頂いているわけですから、(所掌)閣僚のご発言・ご判断を、信頼しております。

問)

先ほど、閣僚懇で郵政改革法案の提出を3党で約束していると。それをしっかり履行してもらうように求めましたというお話があったかと思うのですが、これは早急に審議を始めて欲しいというようにおっしゃったのですか。

答)

それは、あの文章を見て頂いたら、速やかに成立を期すということを、菅直人(民主党代表)、亀井静香(国民新党代表)が署名捺印しておりますから、当然速やかな成立を期して頂きたいということを申し上げました。

問)

郵政(改革)の関係で閣僚懇の冒頭に発言をされたのは、最近、民主党の国対筋等々から今国会での成立は不要であるというような発言も相次いでいるということを受けているという理解でよろしいのでしょうか。

答)

私も国会議員を25年(間)していますし、特にニュースというのは色々あるから、どの情報を信じてどの情報を信じないかということぐらいは知っています。政治というのは基本に基づいて行なうべきであり、与党の両党首が署名しており、速やかに成立を期すということを書いているわけですから、今日はそのことを改めて、最後でございますけれども、発言をさせて頂きました。

問)

それに対する他の閣僚の反応というのはどうだったのでしょうか。

答)

終わった後に、2人の閣僚から、「自見ちゃん迫力あったな」と言われました。

問)

先ほどの発言を閣僚懇でなさった理由は何ですか。遅々として進まないからですか。

答)

それは当然のことでございまして、(閣議で)全員に署名して頂いておるので、我々は信じております。閣僚の署名というのは極めて重たいものですし、国会の方に(法案を)提出させて頂いているわけでございます。やはり我々は小泉さんの構造改革の1丁目1番地が郵政民営化だったということで、何回も言っていますが、(小泉政権が)小さな政府、必要な歳出の削減により地方交付税交付金を削減し確執が広がった、あるいは骨太方針2006で社会保障費も毎年2,200億(円)削減していき、それから労働法の過度な規制緩和で、(派遣労働者が)1,760万人となり、(労働者の)3人に1人います。元々、日本というのは戦後世界で一番民主的な労働法制があった国でございます。

私は27年前に国会議員になった時から、(厚生)労働委員会に属しておりますので、労働法制の改正が色々ございました。私も旧産炭地、田川市田川郡が選挙区でございましたが、戦前あるいは戦時中、非常に炭鉱の労働者の労務環境というのは劣悪でございまして、ここが特に戦後すぐGHQが来まして、これでは駄目だということで、先進国では非常に民主的な労働法制を作ったというように聞いておりますが、それがある意味で、戦後の1億総中産階級の日本国を作ったわけでございまして、そのことは戦後の国の姿に関して非常に大事であったというように思っておりますが、その後、小泉さんと竹中さんが、なし崩し的に労働法の規制緩和、あるいは人材派遣業法により、生産現場にも正社員以外の方が入ってもいいということになりまして、当時、不況もございましたし、国際競争力の強化というようなことで、生産現場、雇用現場から、派遣切りというのがあり、そのような派遣労働者が今でも1,750万人いて、何年働いても年収200万円ということです。そういった方々が、働いている方の3人に1人いるという経済・社会構造を抱えたまま、これは少子化対策だ、景気対策だと言っても、それは今の格差社会の一番大きな同根の一つだと思っております。

あるいは幾ら景気対策しても、なかなか個人消費が増えません。ですから、この前話したように、日本郵政の非正規社員の方に「ボーナスいくらですか。」と聞いたら、2万円から5万円というような状況では、個人消費が増えないし、そしてやっぱり社会が不安定になり、悪い言葉で言えば、貧困の再生産化になります。また、そういう家庭に生まれたことは、学問をするお金がないという事でもあり、麻生内閣のときに発表したように、現実としてこの10年間で世帯の収入が100万円減ったということです。そのことを踏まえて、この社会の行き過ぎた新保守主義的な改革や市場原理主義、行き過ぎた規制緩和、競争原理・経済的な競争原理はおかしいのだということで、我々は基本的にそのことを理念にして3党合意をして政権交代したわけです。

その改革の1丁目1番地が小泉政権の、要するに郵政の間違った理念による改革でございますから、ここは1丁目1番地、本丸でございますから、それをやるというのは、一国民新党のためではございません。この3党合意、あるいは歴史的な56年間の政権交代をした原点でございますから、そのことを改めてきちっと閣僚に思い起こして頂いて、民主党、社民党、国民新党は、かつて選挙の1週間前に、小泉政権がした新保守主義的な政策が、日本の姿をこんなにひどく変え、所得を100万円減らしたということを最初に明記しております。3党合意したときもそれを明記してありますから、そのことをきちっと実行することは、政権交代の基本だと思っておりますし、当時そういうことであったわけでございます。今でもそれは変わらないことだと思っています。

だから、国民新党は郵政民営化だけが党是のように一般的には言われますが、そうではございません。(郵政改革は)そういった社会全体の象徴であり、小泉政権がかつて、これは1丁目1番地だと言って選挙して、3分の2近い票を取って、日本の社会がひどく歪められたということを直すということが我々の使命だと、政治家の使命だと私も確信しておりますから、そのことを申し上げたわけでございます。

問)

東洋経済の浪川です。

貸金業に関して、ヤミ金の利用がふえてきたとか、そういう報告というのは今のところ、何もないでしょうか。

答)

今のところ、私のところに正式な報告はございませんけれども、フォローアップチームを作らせて頂いておりまして、東副大臣自身からも、特に過払金が高止まりしておりまして、確か大手3社から非常に景気悪いといいますか、非常厳しい経常利益等々の状況報告が来ていまして、過払金の高止まりで3,700~3,800億あるということも聞いております。

同時に、私は、完全施行するときの金融(担当)大臣でございましたから、多重債務者の解消ということで20%という(上限)金利を設けて法律をつくったわけでございます。しかし、1,500万人ぐらい貸金業を利用するマーケットがあるわけですから、非常に社会の問題としても大事な問題だと思っておりまして、(法律が完全)施行してすぐフォローアップチームをつくらせて頂きました。多重債務者の問題は大変悲惨でございますので、皆様方も色々注意をして頂きたいと思います。今、言いましたように、小泉さんが行なった新保守主義的なところで非常に所得の少ない人が増え、階層が2分化し、非常に今景気が悪い中、少しは良くなったと言っても、完全失業率5%で、360万人ぐらいの完全失業者がいるわけですから、そういったことをしっかり頭に入れながら政治家としてやっていきたいと思っています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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