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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成22年12月7日(火)11時27分~12時01分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、2点ございまして、1点は閣僚懇での私の発言ですが、郵政改革(担当)大臣でありますから、郵政改革法案が、これは政権交代する前の選挙において、民主党、社民党、国民新党でつくった6つの公約、私はスーパーマニフェストと言っているのですけれども、このスーパーマニフェストの1つが、まさに小泉さんの構造改革の1丁目1番地である郵政改革と言ったわけでございます。小泉さんが行なった、いわゆる構造改革というのが新保守主義的な理念でございまして、過度の規制緩和や小さな政府、これは必要な歳出も削るけれども、お金持ちからも税金を取らないということなのです。これは非常に大事です。

フラット税制、今オバマ(米国大統領)がアメリカで非常に非難していますけれども、フラット税制というのは30年前の間違った税制だと確かオバマさんは言っていますけれども、これは要するに金持ち優遇であり、金持ちからは税金を取らないということなのです。

私が27年前に国会議員になったときに、9,000万円以上所得のある人は88%の所得税(国税)、地方税を取られており、つまり、所得税が70%、地方税が18%取られていました。ですから、1億円年収がある人の手取りが1,200万円だったのです。それが、私が27年前に国会議員なった時に超累進課税に一本化されました。ですから、逆に言うと、松下幸之助も相続税が高いもので、3代たったら乞食になるなんて、そんなジョークを飛ばしていたみたいですが、まさにそういう国でした。

それをフラット税制ということで、皆一律に、最高税率40%、地方税も10%ですから、合計で50%というフラット税制にしました。ですから、1億円収入のある人は、手取りが5,000万円ぐらいになりました。昔は手取りが1,200万円しかなかったので、そういう時代から大きく変わったのです。そのことをぜひ皆さん方は理解していただきたいと思います。新保守主義という過度の規制緩和というのは、目の敵にしているわけではないのですが、一つのイデオロギーなのです。

ですから、過度な規制緩和として、これは小泉・竹中体制の時に労働法の規制緩和があります。この前も申し上げましたように日本では、戦後一番民主的な労働法があったのです。工場現場で、あるいは作業現場で正規社員しか働いてはならないというふうな、よくも悪くもGHQの指導がございまして、戦後一番民主的な労働法があったから、日本人は1億総中産階級になれたのです。それを、アメリカの企業が上陸しにくいという理由や、不況の影響もあり、労働法の規制緩和、人材派遣業の改正をしましたら、たちまち工場の生産現場から正規社員がいなくなって、どんどん非正規社員になったわけでございます。また、2年前にリーマン・ショックが起きた時に、日本の大企業も派遣切りを行い、日比谷公園に年越し派遣村もできました。

私の地元の福岡県北部では、大企業の自動車会社等々がございまして、そこでも本当に派遣切りで悲惨な目に遭ったというのは私自身実感しています。やっぱり人は物ではなく、人は人間なのです。ですから、そういう社会システムの仕組みがいけないというので、2年前に政権交代が起きたわけでございますから、貴重な原点だと思っています。それから小さな政府、規制緩和、それから「官から民へ」という流れの中で、官僚というのは親方日の丸で、これは良くないものだという考えや、民間に任せればいいのだということが非常に言われていました。しかし、リーマン・ショックになりまして、政策金融も全部民間にしようと思っていたのをやめました。

それから、もう一つは市場原理主義があります。強い者は強いのだと、弱い者は弱いのだという考えがあり、資本主義における経済原理には、東京一極集中で、金持ちは更に金持ちになるという、そういう部分がございます。そして、貧乏な人や、地方だとか高齢者は幾ら働いても自己努力が足らず、そういう人たちは、落ちこぼれても仕方がないのだというような、思想なのです。

これは基本的に30年前からある新保守主義であり、レーガン、サッチャーの時代から起こりまして、ミルトン・フリードマンが思想的な背景の中心をなしていますが、それが米ソ冷戦構造のあった20年前に終わった時から、アメリカが持っていた世界的な経済的戦略です。それに小泉・竹中さんも迎合して日本をアメリカ型に変えてしまおうと、アメリカの金融資本主義に、都合のいいように変えてしまおうと思い、結果として3党合意にも書いていますように1人の所得が100万円減ったのです。これは麻生内閣の時にも出しています。

デフレのときに緊縮財政したら絶対いけないことですけれども、経済のGDPが少なくなったということは、よくご存じだと思います。現実として、日本は10年間ほとんどGDPが増加しておりませんが、アメリカは(日本のGDPの)1.5倍になっています。ヨーロッパだって(日本の)1.3倍、1.数倍になっていますけれども、これはプライマリーバランスの是正、すなわち財政均衡という大義名分があって、日本はデフレのときに緊縮財政を行なったことで、まさに経済が渺々(びょうびょう)となってしまったということですから、それが、駄目だということは、1年数か月前の8月30日の選挙のときの我々の基本的テーゼです。

最初の3党合意の時に書いてありますし、それから選挙の前でもそれは書いてありますし、その6つの中の1つが「官から民へ」ということの典型として、小泉さんが、郵政民営化がまさに構造改革の本丸だと言ったのです。本丸がありますので、二の丸があると私は言いますけれども、過度の歳出を削る、これは2006年当時、毎年社会保障2,200億自動的に削っていくというもので、そのことが何をもたらしたかというと、日本に産婦人科医が、町においてもいなくなり、小児科医者もいなくなりました。結果、医療崩壊をもたらしたわけです。それから、過度の規制緩和ですが、タクシー業界の労働者の悲惨な状態があります。あるいは、いま言いましたように、まさに派遣切りというようなことが起きたわけです。そういったことに我々は反対して政権交代したわけです。

閣僚懇でも言いましたが、何も郵政民営化というのは、国民新党が言っているからではなく、そういう社会がいいかどうかという話で、我々は1年前にきちっと国民に問うて3分の2を超すに近いような議席を衆議院でいただいて、政権交代できたわけです。そのことをきっちり踏まえて、何も国民新党が言うからするのではなく、これは日本の将来における社会のあり方であり、地域にある伝統、あるいは弱者や地方を無慈悲に切り捨てていくという政治が良いかどうかということを、今日の閣僚懇の席で申し上げました。

来年の4月、通常国会での(成立を)菅党首・総理大臣と亀井さんと合意書というよりもむしろ、岡田幹事長から下地幹事長にレターという形をとっておりますけれども、そのことをぜひご理解頂きたい。

そして、大手の全国紙でも、郵政民営化法案が棚ざらしだと日本の国益を失うというふうに書いてありまして、これは地方新聞にも書いてありましたし、名前は言いませんけれども、全国紙の社説にもきちっとそういうことを書いてくれるような時代になってきたわけでございまして、この10年間に3回日本郵政は経営形態を変えました。約90兆円の郵便貯金が流出をしまして、非常に今は経営基盤が脆くなっております。簡保は大正時代に作られましたけど、これは8,500万件あったのです。ところが、今は4,000万件減りまして、4,500万件になっております。ですから、これはいかに分社化という、小泉さんと竹中さんが行なった郵政の民営化というのは間違った郵政民営化だったかということは、明々白々なことだと思っております。

また、全国紙の社説にも書いてありましたように郵便の遅配なんて郵便局長に言っても、「それは郵便事業会社のことですから他に聞いてください」と言われ、あるいは郵便配達をしても、昔は、住民が「ついでにこれ貯金もしといてね」と言ったら、3事業一体で共同担務でしたから、郵便局員というのは郵便事業も貯金も保険もすることができたわけです。郵便を届けたついでに、住民から、郵便貯金の依頼を受けても、共同担務ということで、引受けることができたのです。それは、便利で簡便な制度だったのですけれども、今はそんなことは到底できません。郵便事業会社の人がゆうちょ銀行のことをしたら、これは完全に法律違反です。

そういった利便性と伝統を踏まえたことにしようという話でございまして、私は一国民新党のためにやっていないと言ったら、嘘になるかも知れないけれども、今後の日本の国のあり方なのです。

そして、アメリカを最大限に新保守主義に引っ張っていった巨大な経済的エネルギーであったウォール街の5つの投資銀行、それが世界の金融のグローバル化を推し進めたわけです。その後、リーマン・ブラザーズが2年前に崩壊したことを受けて、ドット・フランク法という金融規制改革法を作って、アメリカですら大きく変わったわけですから、世界史は変わったわけです。

そのことが、世界の歴史が変わったときに世界の経済情勢、財政情勢が大きく変わったときに日本も影響を受けるのです。ですから、そういったドット・フランク法ができる時代に、世界の経済の25%を占めるアメリカですら、ドット・フランク法で、ハイリスク・ハイリターンのお金は金融機関の自己口座の中で管理しては駄目だと禁止したのです。顧客から頼まれてハイリスク・ハイリターンの取引は可能であるが、自己勘定の中ではしてはならないというのがこの法律です。これは、元FRBの議長が言ったことをオバマさんが採用しまして、法律になったわけです。そういう時代の変革というのを、ご理解頂きたいと思っております。我々は何もエゴイスティックな党のエゴを言っているのではないのです。それはだいぶ、おかげさまで新聞の社説でも、まさに郵政改革法案棚ざらしは国益を失うというふうに書いていただきまして、国民の方々も分かっていただけるようになったのかなと思っていますから、そのことを踏まえてぜひこの法律は来年の4月に成立をさせたいと、そのことを今日は閣僚懇でもきちっと申し上げて、菅総理もしっかり4月にやるという話でございますから、やってくれということを申し上げました。

もう1点は、後から質問があるかも知れませんけれども、昨日、年末の中小企業の金融円滑化法案、これに対して年末の資金繰りについて経済産業大臣と一緒に金融機関の主なところの会長にも集まっていただきまして話を聞かせていただきました。そういった中で金融円滑化法案もございますし、年末の中小企業の資金繰りは、しっかりやっていきたいという話がありました。

そして、この10年間各役所から金融機関に提出を求める書類が増えているのです。ですから、私は昨日、経済産業大臣とも話をしまして、書類を20%減らそうではないかという話をしました。こういう官僚機構には、国民から選ばれた国務大臣でないと、そんなことは言えないのです。金融庁は規制官庁ですから、(金融機関は事務負担を軽減して欲しいと)思っていても言えない。しかし、昨日は代表の中で、皆さんに聞いたら3人ぐらい事務負担が物凄く多いという話を言っていました。私も前々から考えておりましたので、(その意見を)代弁しまして、ぜひ金融庁長官にも金融機関が金融庁に出す書類を20%減らすようにということを具体的に考えてくれということを申し上げましたけれども、それはしっかりやっていきたいと思っています。

そのことも閣僚懇で申し上げまして、各他の役所もここ10年間、例えば、文部科学省が大学に書類を求めるように、色々な機関に提出を求める書類が物凄く増えています。私も医者ですけれども、本当にお医者さんが患者さんを診たら、昔は書類なんかそんなに出さなくても良かったけど、(今は)もう細かく書類を書けと言って、極端な話、患者さんを診る時間よりも書類を書く時間の方が長いような感じがありまして、本末転倒でございます。こんな不況の中、金融機関の資金繰りをきちっと考えるということが、一番原理原則です。とかく書類を書く時間が長くて、本業がおろそかになるとは言いませんけれども、本末転倒的に書類を書くというのはどうかと思います。やっぱり65年も平和が続いて停滞の20年といって、官僚機構というのはそうなりがちなのです。そのことをきちっと改めるためにも、私は20%書類を減らしなさいということを、閣僚懇で言わせていただきまして、ほかの省庁もそれを見習っていただいたらどうかということを言っておきました。

少し長い話になりましたけれども、国会が終わりましたので、皆様方にご理解頂きたいと思って申し上げた次第でございます。

【質疑応答】

問)

臨時国会を振り返ると、改正保険業法とか国会同意人事とかが通る一方で、今おっしゃったように郵政はほとんど審議されないまま、また継続審議ということになってしまったわけですけれども、一方で問責決議案の採決等色々とありましたが、振り返って国会運営等々含めていかがでしょうか。

答)

参議院選挙で与党が勝てなかったということが大きな原因だと思いますが、私も新聞報道でしか知りませんけれども、昨日、菅党首・総理と社民党の福島代表が官邸で会ったというように今日の新聞で報道がありました。やっぱり新しい枠組み、安定した枠組みが、特に民主党の場合、民主党・社民党・国民新党の体制がこの政権交代の時の基本的なテーゼで、スーパーマニフェストを作ったわけですから、比較的ここはそういった意味で共通の経験をしていますから、そんなことを入れて、亀井さんと菅さんと40分か50分ぐらい、2人だけで話したということは聞いております。その時に、これは亀井党首の持論でもございますから、そのことを菅さん申し上げたのかなというように私は想像をいたしております。

そういったことで、きちっと枠組みの変更というのは、社民党だけではなく、次の国会が開くまでに、色々な枠組みの変更ということが具体的に起こってくるのではないかなというふうに私は思っております。それでないと、やっぱりこれだけ不況の中に世界史が動くような時に、日本の国会が、あるいは政治がそれに応えられないということは、これは物凄い政治不信、不満になりますし、そのことは、痛いほど我々は責任を感じておりますので、そういったことを国民新党も模索していますし、民主党も一生懸命模索をさせて頂くようになるのではないかなというように私は思っております。

問)

先ほどもお話しありました円滑化法なのですけれども、昨日の意見交換会では、事務負担の問題とは別に、全銀協の会長からモラルハザードの懸念もあるという話がありました。そういった副次的効果も検証して、適切な見直しをお願いしたいという御発言がありましたが、こういった御意見についてはどう思われますか。

答)

全銀協の奥会長からモラルハザードということが出ました。私は、金融規律が大事だということをこの席でも何度も申し上げておりますけれども、やっぱり金融業でございますから、お金を貸して、利子をつけて返してもらうということが基本ですから、やはり「貸してくれたまえ」では決してございませんから、そういった意味で、そういう声が出ることは当たり前のことだと思います。

そういったこともきちっと見据えつつ、すべて100%正しい政策はないのです。影があれば日向があり、太陽があれば月がある。しかし、今は不況の中ですから、中小企業の資金繰りや中小企業を救うことが、より優先するという一方で、金融業ですから金融規律ということをしっかり守っていただきたい。特にコンサルタント機能というのは、私も国会議員を25年(間)させていただいており、20年前は、通産政務次官をさせていただきまして、金融機関は物凄く命がけでお金を貸して金融業をやっていますから、物凄く企業の経営とかよく情報をご存じなのです。例えば、どこの会社がどこの土地を売りたいとか、それからこういう企業が今新たな設備投資をしてこういう分野に出たいとかといったことです。私たちは九州ですけれども、地方銀行の支店長さんとか聞いたら実によく知っています。

だから、今、こういうものが売れ筋だけど、これを売るならあそこの商店が今一生懸命やっているからあそこに持っていった方がいいとか、銀行員というのは、特に地方銀行あるいは信用金庫、信用組合というのはまさに中小企業の中に入り込んでいますから、その辺はよく知っています。ですから、そういったコンサルタント機能をしっかり活用していただきたいということが、この中小企業金融円滑化法案の一つでございますから、出来るだけ今は、(完全失業率が)5.1%、完全失業者が335万人と、失業も多いわけですし、リーマン・ショックの後のある意味で、社会的な不景気でございまして、まだ元には戻っておりません。工業生産も6割ぐらい下がって、トヨタだってあのとき(2年前)は、4割生産が落ちました。それから戻ったといってもまだ8割ぐらいであり、それにまた円高も襲ってきていますし、そういった意味で、確かにモラルハザードということも大事でございますけれども、同時に金融業というのは常に金融の規律、モラルハザードということを考えつつ、健全で強力な金融機関がなければ、健全な私企業は育たない、あるいは強力で健全な金融機関がなければ、非常に賢い金融機関がなければ、自由主義経済は発達しないし維持もできません。

そういったところでバーゼル III の話もあったわけですから、そんなことを我々は12年前に日本の金融危機という、当時私が郵政大臣をしたころに北海道拓殖銀行が倒産し、山一證券が崩壊し、痛いほど自由主義社会における金融機関の健全性が求められましたが、しかし当時は余り健全性、自己資本比率ばかり高めるといいますと、凄まじい貸し渋り・貸しはがしが起こりました。私の経験を言いますと、私の地元の北九州市の小倉駅前と黒崎にあったそごうデパートが、2つとも黒字だったけど倒産してしまったのです。その後、北九州市民がどれだけ苦労したかといったら、銀行に金融危機が起こる、それから地域の経済に及ぼす影響というのは、痛いほど苦しい思いをしながら勉強させて頂きました。

あのときは瑕疵担保条項というのがございまして、これは非常に問題でございましたけれども、そんなことを踏まえて金融規律は当然必要でありますが、あの頃は、金融業はばたばた破綻しまして、そういったことになっても当然いけないわけですし、そこら辺のバランス感覚が、私は金融行政を預かる国務大臣にとって非常に必要だと思っています。バランスと、両方の目でよく見ておかないといけないと思っています。

問)

今朝の朝刊で「金融資本市場及び金融産業の活性化等のアクションプラン」についての報道がありましたが、総合取引所の創設の各省の調整も余り進んでいませんけれども、その点も含めてお願いいたします。

答)

アクションプランについての報道があったことは承知をいたしております。本年6月に閣議決定されました新成長戦略の工程表では、「金融資本市場及び金融産業の活性化等のアクションプラン」を策定することとされておりまして、金融庁ではアクションプランを年内に策定する予定でございまして作業を進めているところでございます。

実は本日、アクションプランの中間案を発表させていただく予定でございまして、午後に東副大臣から記者の方々に説明させていただきますので、ぜひそちらの方で詳しい内容を聞いていただきたいと思っています。本日発表させて頂くのはあくまで中間案でございまして、中間案の発表後、必要に応じて各方面の関係者からご意見をさらに聴取させていただいて、年内に最終版を取りまとめる予定でございます。

問)

証券税制の検討が大詰め段階だと思いますが、本来であれば優遇税制の終了と入れかわりで日本版のISAというものを入れる予定になっていたと思います。このISAについての金融庁のお考えなのですけれども、優遇税制を延長した場合はISAも延長するのか、もしくは今一部で検討されているように、ISAの拡充などについてまだ金融庁として受け入れる余地があるのか、ISAの考え方について教えてください。

答)

証券の軽減税率についての延長要望でございますけれども、これは色々ございましたけれども、12月3日の税制調査会において主要事項の中で取り上げるとなりまして、言うなれば今まで門前払いでございましたけれども、一歩前進したというふうに思っております。

我々金融庁としては、証券軽減税制というのは、特に今の景気の中で非常に大事だと思っておりますので、金融庁としては現下の厳しい経済・金融情勢や先行き悪化、配当二重課税等に鑑み、証券の軽減税率の延長をさらに強く要望していきたいと思っておりまして、皆様方もぜひご理解をいただいて、努力してまいりたいというふうに思っています。

それから、今ISAの話が出ましたけれども、これは個人の株式を買うことを優遇する税制だと認識いたしておりますが、証券税制は確か1,200~1,300億(円)の減税だったと思いますが、ISAは確か80~90億円の減税ではなかったかと思います。両方とも大事ですが、ISAも個人の方にできるだけ証券市場に参加していただきたい。アメリカに比べまして日本は非常に個人の株主というのは少ないというのが、5年前、10年前から言われていますけれども、なかなかそういった点もございまして、やはり個人の株主にできるだけ証券市場に参加をしていただきたいというのは変わらぬ一貫した考えでございます。

そういったことも考えながら、ISAも非常に大事でございますけれども、証券の軽減税制の延長というのをまず優先させていただきたいというふうに思っております。

問)

優遇税制を延長したらISAも延長するのですか。

答)

なかなか厳しい質問でございまして、そこら辺はまだ、甲か乙かの選択ということでなくて、一番大事なのはデフレを脱却してこの不況を克服するということでございますから、そういった視点でフレキシブルに考えていきたいというふうに思っております。

問)

日本振興銀行の件で、概算払いが近くあるという観測もあります。率も30(%)弱というような観測もありますが、いずれにせよ、かなり1,000万(円)超の預金がカットされるということは避けられない見通しだと思います。これについてのお考えというかご所感をお願いします。

答)

まさに先日、預金保険機構の理事長が国会の衆参(両院)で議決をいただきまして、金融庁大臣室で私が田辺理事長さんともう一人理事の方に辞令を渡させていただいたわけでございまして、本日午後、これは初めての発表だと思いますけれども、預金保険機構において運営委員会を開催し、概算払いの決定について論議がなされるというふうに聞いております。

現段階では、預金保険機構の運営委員会での決議がなされる前でございますから、金融庁としては今日の午後に預金保険機構の運営委員会が開かれる前の今の段階では、金融庁としてコメントは差し控えたいと思っています。

いずれにいたしましても、概算払いの決定がなされれば、速やかに手続が開始されるものというふうに承知をいたしております。

問)

東洋経済の井下と申します。

 (金融)円滑化法の件なのですけれども、金融機関側は法の趣旨は定着しており、措置が終わっても対応は変わらないのだというお話がありまして、一方、大臣は延長も視野に検討しているというところがあって、少しその辺で温度差があるのではないかなと思うのですが、延長に対する考え方というのは変わっておりませんか。

答)

私は基本的に20年前に中小企業担当の政務次官、昔は衆議院から行った政務次官と参議院から行った政務次官2人おりまして、参議院から行ったのは中曽根弘文君でして、私が衆議院からで、昔は衆議院から行った通産政務次官に中小企業省をつくれという運動が昭和20年代から30年代に全国的に物凄くあったのです。

その結果として、私は当時(通産)政務次官でしたが、衆議院から行った通産政務次官が中小企業担当の辞令を内閣からもらいまして、それとは別に通産大臣から中小企業担当の政務次官の辞令を別にもらっていたのです。

ですから、私はそういった意味で1年2カ月ほど中小企業対策をやらせていただきまして、やはり金融機関も大事ですけれども、日本の法人の99.7%は中小企業で、4,000万人以上の方が中小企業で働いております。リーマン・ショック以降、実体経済も、円高も含めて中小企業も非常に厳しい中で、一方、海外流出といいますか、産業の空洞化も起きたということもございますから、しっかり中小企業そのものに主眼を置いて、産業の仲介機能である金融機関も大事ですけれども、どちらかというと今の時点においては、中小企業が何とか経営がやっていけるように、そして、しっかりと経営改善をやっていただくようにと、そういったことの方が、今は力点を置いているという段階だと思います。

どうもありがとうございました。

(以上)

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