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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年2月4日(金)9時45分~10時15分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

おはようございます。

今日は閣議の後は特別ございません。

【質疑応答】

問)

幹事社から質問させていただきます。

一つ目は、大手銀行グループの第3四半期の決算が大体出揃いました。最終の純利益の水準は前年比で高いものの、本業の収益力が依然脆弱という見方もできると思いますが、この辺の大臣のご評価をお願いします。

答)

今ご質問がございましたように、3メガバンクの平成22年度12月期決算は先週から今週にかけて公表されているところでございます。

公表された3メガバンクの決算を見ると、資金利益が落ち込む一方、国債等の売却益といった市場関連収益が大幅に増加したほか、企業の倒産が大変少なかったということもございまして、与信関連費用が、大幅に減少したことなどにより、平成22年12月までの最終的な純利益は前年同月比で大幅に増加しているものと承知をいたしております。

当方といたしましては、引き続き銀行の経営の状況については注視してまいりたいと思っております。

問)

特に本業の収益力が弱いという点については、ご見解はありますか。

答)

そこは、銀行がどのような収益を獲得するかについては、一義的には自由主義経済の中でございますから、各行がおのおののビジネスモデルやその時々の経営環境等を踏まえて判断するべきものであります。各行においては、安定した収益の確保とともに、それに伴うリスクの管理を適切に行っていくという経営をしていただきたいというように行政(機関)の長として、国務大臣としては考えております。

問)

もう一点、昨日、大手鉄鋼メーカーの新日鉄、住友金属工業が経営統合を目指す方針を明らかにしました。国内では過当競争とも言われる中で注目される動きだとは思うのですが、経済閣僚の一人として、大臣はこの統合をどう評価されますか。

答)

経済がグローバルな中で、経済競争も非常にグローバル化されています。

よく言われるように、20年前に米ソの冷戦構造が崩壊した後、経済が非常にグローバルな中で、規模の拡大、質も量も拡大していかないと企業が生き残れないという現実があるわけでございます。そういった中で、特に私は北九州市出身でございまして、八幡区も私の生まれた所でございまして、ヨーロッパ以外で、日本で初めてどころか、アジアで初めて近代溶鉱炉ができたのが我がふるさとでございます。1900年に官営八幡製鉄所ができたまちが北九州市でございまして、日本国にはたくさん都市がありますが、一つのまちに二つも製鉄所があるのは、実は北九州市だけなのです。かつての官営八幡製鉄所の後に出来た新日本製鉄八幡製鉄所は戸畑区・八幡東区のほうにあります。それから、住友金属の小倉製鉄所という大きな高炉が小倉北区にございます。一つの都市に二つ、日本の大手の鉄鋼メーカーの高炉があるのは実は北九州市だけでございます。

住友金属小倉製鉄所は、私が27年前に選挙に出たときから、これは福岡県旧4区、現在の福岡10区にございます。私は北九州市の(福岡)7区の小倉北区で生まれました。小倉北区で、子どものころから、住友金属小倉製鉄所あるわけでございまして、高等学校のころに図画・絵画を選択しましたので、私は住友金属小倉製鉄所の絵を書きました。今でもまだ飾っていますけれども、それぐらい製鉄とは馴染んだ街に生まれ育った人間でございますから、そういったグローバル競争の中で、新日本製鉄と、それから住友金属が経営統合しようかという話でございますが、今、経営統合すれば両社合わせてアルセロール・ミタルの次に来るということでございまして、日本の製鉄業というのは、私の一般的知識としては非常に技術力が高いのです。

製鉄の非常に利益の大きいところは、自動車の外のボディーなのです。薄板というのですが、あれは非常に薄くて、車のボディーというのは曲がっていますが、薄くすれば当然弾力というか、あの曲がった角なんか実に難しいのです。車に乗っていただいたら分かるように、車というのは必ず曲がっています。あそこは変に曲げると折れるのです。非常に粘り気があって、薄くしなければいけないのです。極めて薄版の技術は難しいのです。あそこを世界で一番よくできるメーカーは日本の製鉄所です。逆に日本の製鉄所しかないと思います。

そういった技術革新の中で、日本の製鉄というのは生き残ったわけです。もう一個、ぜひ強調したいのは、私たちが子どもの頃は煙の都と言われていたのです。昼間の煙は七色の煙と言われたのです。我々、子どものとき、それが日本の産業が発達していて、いいことだと思っていました。電車に乗っても、煙で20メートル先が見えないのです。だけれども、それが日本の産業が敗戦の焼け野原の中から復活し、発達していていいことだと我々は小学校のころ思っていました。

それから、洞海湾というのは死の海といいまして、全然魚も住まなかったのですが今、洞海湾というのはスズキが釣れるのです。(ここまで来るのに)大体8,000億円お金をかけたのです。やはり北九州市のように国も地方公共団体も、それから企業も、住民も、政治が一体になって取り組みをやって、今は、空も澄んでいますし、洞海湾に魚が住むということになっています。エコタウンとして世界的に有名なのです。そのかわり8,000億円のお金がかかっているのです。そのことを私は必ずどこでも言うのです。

そういった意味で、公正取引委員会が関係してくるのでしょうが、そういった大きなグローバルな世界の経済の変化の中で、これを見ると、中国の宝鋼集団ですか、これは確か昔、私の聞いた話でございますからどこまで正しいか分かりませんけれども、鄧小平が日本に来たときに、新日鉄の君津の製鉄所を見まして、「同じものを中国につくってくれ」と、こう言ったという話でございます。私は上海の近くの製鉄所に実際行ったことがあります。中国人の副所長に会って、実際製鉄所も見ましたけれども、最初は日本の技術指導でできたのですけれども、非常にすさまじい製鉄所であり、ドイツの製鉄所も一部入ってきて、非常に巨大な活気にあふれた製鉄所になっていました。

そのような製鉄所が、3,130万トン作り、新日鉄が3,750万トンでございますから、本当に後がないという話です。これは有名な話でございますが、アルセロール・ミタルという一時新日鉄を買収するのではないかという勢いがあったころでございますが、ここが7,750万トンであります。そういった中で、このグローバル経済の中で生き残れないということでございます。

経済閣僚の一人として、そういった世界の状況を考えて、私は賛成です。鉄鉱石は日本の国土36万平方キロメートルの中のどこを探してもないです。それから、製鉄に使う石炭は強粘結炭といいまして、極めて炭素の多い強粘結炭でして、日本にはあまりなく、主に外国から輸入してくるのです。強粘結炭、これは全部、新日鉄、住友金属の工場の埠頭がどこにあるかとか、そこまで子どもの頃から知っていますけれども、全部輸入せざるを得ないのです、残念ながら。そういった意味で、日本の加工貿易、そして、最も付加価値の高い鉄を作っているのです。

もう1つ、この前現場で聞いたのですけれども、鉛の少ない鉄があります。私は環境基本問題調査会長を5年したことがございますが、住友金属は、車のピストンに鉛の少ない鉄をもう既につくっています。今はまだ世界基準はありません。私は医者ですが、鉛というのは人間の体にとってかなり有毒なのです。そうなりますと、結構鉛の少ない鉄でないと、それをシリンダーとピストンに入れませんと、鉛が少し出てくるのです。ゆえに、そのうちいずれ規制される可能性もあります。そういうことを含んで、「これは自見さん、物凄く売れる」と言っていました。

そういった、ただ鉄といえども、されど鉄でして、非常に豊富にございますし、強度もあり、ほかのものに比べて安いのです。ですから、鉄の有用性というのは簡単には無くなりません。(この庁舎のような)ビルでも全部鉄骨が入っています。ですから、そういった意味で、今さっき言った車の薄板とか、非常に技術精度の高い鉄(は非常に需要が高いのです)。

私の同級生が東京工大の教授をしていて、鉄鋼学の日本で有数の教授になっていますけれども、新日鉄で、まだ真っ赤な赤い溶けた鉄に、酸素を音速で鉄にぶつけるみたいです。そうすると、中で炭素が燃えまして、そうしたら、非常に炭素分の少ない純粋に近い鉄ができるそうです。そんなことは世界特許だとか言っていましたけれども、非常に日本人というのは精度の高い、粘度の高い、完成度の高い鉄をつくるのを一生懸命やっているのです。それが日本人の付加価値であります。

そういった意味で、付加価値がないと日本国で生き延びられません。本当に子どものときから身近に見た製鉄所ですから、少し思い入れがあるのかもしれませんけれども、経済閣僚として、純粋に、客観的に見ても、大きい、ある程度の規模の拡大がなければ、生き残れないという現実があるわけです。やはり加工国家日本としてそういう方向にいかざるを得ないと思います。

しかし、公正取引委員会というのがあることは、当然でございますが承知をいたしております。

問)

保険毎日(新聞)の園田です。

日本生命の社長がこのタイミングで代わったことに対する見解をお願いします。

答)

日本生命の新社長との決定を公表したことは承知をいたしております。保険会社の役員人事については、保険会社それぞれの経営判断をする事項であり、コメントは差し控えたいと思います。

その上であえて申し上げれば、新経営陣においても、保険業の公共性というのはあるわけですから、公共性に鑑み、日生は確か規模が日本で一番大きい生命保険会社でもございますし、業務の健全かつ適正な運営等に努められていくことを期待いたしております。

今年も、生命保険協会の新年賀詞交歓会に国務大臣として行かせていただきましたけれども、例えば年金にしても私的な年金というのがございますように、民間生命保険会社が、公的な社会保障と私的な社会保障というのがございます。特に私は医者でもございますから、そういったことで、しっかり生命保険料控除なんていうのを私は25年ぐらい前から、当時から財政が厳しくてどんどん公的年金を削っていかざるを得ないという状況が一方であったものですから、国会議員1年生、2年生ぐらいのときから民間の生命保険料控除を守るために一生懸命努力させていただいた国会議員の一人でございます。それはどういう理由かといいますと、本職は医者ですから、社会保障というのは非常にホームグラウンドの一つでもございますから、私的社会保障、自助努力、自分できちんとやっていく、基本的な部分は、今、社会保障と租税の一体論議ということが昨日まで大変予算委員会の活発な論議で出ていました。同時に自由主義社会ですから、自分で自助努力で将来自分の老後の年金を守る、あるいは疾病になったときに余裕のある方はそういったことを守るということで、保険業には公共性があるわけですから、そういった意味で、業務の健全かつ適正な運営等に努められることを期待いたしております。

話は全然別でございますけれども、そういったことで、今度代表取締役会長になります岡本圀衞さん、現取締役社長でございますが、彼は若いころ日本生命の調査部長をしておりまして、当時私は、若いころから信念を持って民間の自助努力、民間の社会保障ということを応援していましたから、彼が調査部長のころから非常によく知っています。今社長であり、今度は会長になるということも、これは余談でございますけれども、非常に公共性を持った立派な経営者と私は思っています。10年以上前、本社の調査部長のころから一緒に仕事をした仲ですから、そういった意味でしっかりやっていただきたいと思います。そういうことがあるからということではございませんが、行政(機関)の長ですから、公私はきちんと分けなければいけませんが、私も人間でございますし、調査部長をしていた頃からよく知っていますから、しっかりやっていただきたいと思っています。

問)

フリー(ジャーナリスト)の岩上と申します。よろしくお願いいたします。

大臣にTPP(環太平洋パートナーシップ協定)についてお話を伺いたいと思います。TPPが貿易の自由化が進め大変日本の経済の発展のために結構なことだということで進められつつあるところなのですけれども、同時に懸念も広がっております。今朝8時から「TPPを慎重に考える会」という議員の勉強会がありまして、100人ぐらい集まり、浜矩子さんのお話を伺いながら、TPPは実は自由化に向かわず、経済のブロック化に向かってしまうという非常に刺激的なお話でしたが、これを議連に昇格するというお話もありました。農業だけに影響が出るのではなく、金融、保険、医療、あるいは司法界、電気通信事業、さまざまな24の分野に影響が出るということで懸念がどんどん広がっていっております。

このTPPを推進することによって、金融、保険等、どのような打撃を被ることになるのか、その負の側面についての研究、どのようになされているのか、その辺について大臣、ご所見をお述べいただきたいと思います。

答)

非常に時宜を得た質問だと思っております。環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定については、菅内閣としては、関係国と協議を続け、まず今年6月を目途に交渉し、参加についてするかしないかを結論を出すということにしております。今、私の仄聞(そくぶん)するところによれば、(TPP交渉では)24の委員会(作業部会)ができて、そのうち1つが全体をまとめる総務委員会ですから、(他に)23分野で、それぞれの委員会(作業部会)ができるという話を仄聞いたしておりますが、特に私は郵政改革(担当)大臣でございますから、そこら辺は色々と興味を集中して情報を集めておりますけれども、特に郵政改革に関しては、米国等が関心を有していないことは承知しています。米国が個々のバイとしましては関心を有していることは知っております。

しかし、8月に行ったときに、ブレイナード財務次官からも直接懸念を表明されました。それに対しまして、私はきちんと経営の自主性と競争の公平性を確保しているのだ、非常に日本はWTO(世界貿易機構)、いわゆる、GATS(サービスの貿易に関する一般協定)の精神によって非常に利益を得た国でもございますから、非常にきめ細やかに法律の構成をしたのだという話をしまして、第三者委員会をつくって、総理大臣に勧告権を与えるというふうな措置により、他の業種との公平状況を確保するということまでやって、完全に経営の自主権と格差を(なくそうと思っております)。郵政3事業だけ有利だということは、GATS違反でございますから、無差別に外国から来る企業が不利に扱われてはいけないわけです。日本は当然GATSの協定を認めた国家でございますし、そういったことはよく分かっています。そういった意味で、私も非常に関心を持たせていただいていますけれども、今のところ、環太平洋パートナーシップ協定への我が国の参加条件として、郵政改革に関する言及はないものと承知しています。

いずれにしても、話がいろいろ出ているようですが、国会でもその話は出ておりまして、正式に9カ国参加するわけでございます。やはり行政(機関)の長でございますから、確実な情報だとか、確実な交渉内容について考えを述べるというのが職務だと思います。今のところ、予算委員会で、外務大臣にもそういう質問が出ております。情報としては、まだ(TPPに関する)23の委員会(作業部会)で、どういう項目について、どういう話が出たのだということはオープンにするというふうなことを言っておりましたので、今のところはそういう話になっていないと、私は理解をいたしております。当然ですが、郵政改革(担当)大臣としても、一国会議員としても非常に大きな関心を持っているということは事実でございます。

国としてまだ6月を目途に、交渉参加をするかどうかをまだ決めていないわけですから、そのことをよくご理解していただきたいと思っております。参加をするのが前提のような意見が多いのですけれども、非常に大事なところでございますから、交渉参加について、6月を目途に結論を出すということになっているわけですから、そのことを誤解のないようにきちんと、私も腹に据えて、理解しているつもりでございます。

問)

大臣としては、参加には少なくとも慎重な姿勢ということですか。そう理解してよろしいのでしょうか。

答)

私はきちんと予断を持たず見ておきたいと思っています。

問)

東洋経済の浪川です。

(1月25日の記者会見において、日本政策投資銀行の民営化プロセスに関する基本的な考え方についての質問をさせて頂いており、回答は後日とお願いしていた件なのですが)問いはもう言わなくてよろしいですか、回答だけお願いします。

答)

(日本)政策投資銀行について、前回質問をいただいておりましたので、政策投資銀行については、小泉内閣のもとで政策金融改革について、平成20年10月に株式会社にした後に5年から7年をかけて政府保有株式を完全売却し、完全民営化するとされていたところでございます。

当時、官から民へという流れが非常に強い新保守主義的な流れの中だということを、国会でも答弁させていただきましたけれども、5年前、そういう雰囲気が日本国も世界中を横溢(おういつ)いたしておりまして、そういった中で、こういうことになったのだと思いますが、しかし、その後、(平成)20年9月にリーマン・ショックが来まして、そういったところの経済的な原動力だった、経済的なエンジンでもあったアメリカのウォール街の投資銀行の一つでございますリーマン・ブラザーズが崩壊し、いわゆるリーマン・ショック後の厳しい経済情勢に対応するため、平成21年6月には株式会社日本政策投資銀行法の一部を改正する法律の中で、23年度末を目途として政策投資銀行の組織のあり方を見直し、必要な措置を講ずるとされたところでございまして、それとともに、それまでの間、株式の処分を行えないところであります。

ですから、23年度末でございますから、24年3月でございますから、あと1年弱ということでございます。この所掌は財務省でございますから、今後、財務省等において、見直しに向けた検討が進められるものと承知していますが、その検討に当たっては、以前から私が申し上げましたように、官と民とのベストバランスということを図るという観点から重要だと思っていまして、先ほど申し上げたとおり、政府の株式保有をどうするのかということは、当然疑問として浮かび上がってくると思うわけでございます。政策投資銀行のあり方については、今後、財務省内において見直し、検討が進められるものと承知しております。その中で政府による同行の株式保有のあり方についても検討されることとなると考えており、繰り返しになりますが、そういった検討において、官と民とのベストバランスを図るという観点が重要だというふうに私は考えております。

問)

フリー(ライター)の高橋と申します。

与謝野経済財政担当大臣が自民党の財政健全化責任法案の成立に意欲を示しております。国民新党は、かねて積極財政による財政再建化を主張されていますが、消費税引き上げも念頭に置いたこの法案について、国民新党から唯一入閣されているお立場としてどのように対処されていくおつもりでしょうか。

答)

与謝野さんが言っておられるということはマスコミを通じて仄聞いたしておりますが、まだ具体的な話になっておりません。国民新党と民主党との連立内閣でございますから、総理と亀井国民新党党首で、月に1回党首会談を開くことになっております。その前に、政調会長レベル、幹事長レベル、我が党は下地さんと亀井亜紀子さん、向こう(民主党)は岡田幹事長、それから政調会長の玄葉さん、玄葉さんの代理で城島さんが出てこられることも多いようでございますが、そういった定期的な会合をするということは、両党連立内閣でございますから、定期的に話し合われておりますので、そこでしっかり我が党の意見をぶつけていただいているというふうに思っております。

私は閣僚でございますが、具体的な話でもございませんし、いろいろ仄聞はしますけれども、そこの経緯、経過をきちんと踏まえて考えていきたいというふうに思っております。今の段階で、私は両党協議中のときにコメントするのは、やはり幹事長、政調会長、党首との会合を踏まえた上での、私の判断だと思いますので、今の時点では申し上げることは少々慎重さを欠くのかなと思っております。

(以上)

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