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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年7月29日(金)9時19分~9時36分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

昨日、片山総務大臣と私とで、首相官邸に総理を訪ねて行きまして、郵政改革法案の早期審議入りを(申し入れました)。ご存じのように、衆議院に郵政改革特別委員会が出来まして100日を経過しておりますけれども、議運(議員運営委員会)のつるしが降りず、まだ議題になっておりません。

これはよくお分かりのように、特別委員会における法案というのは、非常に重要で、そういった特別委員会をつくりながら、100日も審議をしてないということは、非常に異常な状態でございますので、これは約4年前から民主党と国民新党の党首同士、あるいは組織決定した共通の政策でございますから、ぜひ今国会で速やかに審議入りするように、片山(総務)大臣と私とで(総理に)お願いに行ったわけでございます。

片山大臣は特に総務大臣でございますが、被災地に行きまして、1,932(箇所)ほど東北6県に郵便局がございますが、約150の郵便局が今度の地震・津波によって被害を受けておりまして、それを再建する場合、今の法律では5分社化です。

それから、今の法律が通れば3事業一体ということでございますが、(5分社化の現状と)3事業一体になった場合とでは、カウンターの高さまで違うそうでございまして、そういったことで地元から「どうにか態度をはっきりしてくれ」ということを非常に強く地元からも総務大臣として要請があるようでございまして、そんなことを菅総理に言っておられました。

私は昨日も申し上げましたように、日本郵政が調査したところ、一番困るのがご存じのように被災地における高齢者の方です。今、高齢者の方々の4人に1人は、公的年金を郵便局でもらっているというのが現状でございまして、東京に住んでおられれば、なかなかそういうふう(なこと)に気がつかないかと思いますけれども、昔の市町村、全部に郵便局はあります。特に過疎地帯に行きますと、郵便局しか金融機関がありませんから、また特にそういった過疎地には高齢者の方はたくさん住んでおられますから、若い人は街に出て行きますから、そういった意味で、非常に深刻な問題でして、昔は郵便配達の人がそういった人から頼まれれば、当然共同担務ですから、お金も扱ってよかったわけでございます。ひまわりサービスというのがありまして、それで届けていたのです。昔、田舎に行きますと皆さんご存じのように、公共のバスというのはほとんど今ないです。バス会社も非常に赤字になりまして、私のかつての選挙区もほとんど田舎の方はバスが廃止になっておりまして、その代わりに少し私鉄と町が、お金を出し合って、1日3回ぐらいマイクロバスを出して、役場辺りを回っています。そんな中ですから、足の不自由なお年寄りが郵便局に行くのは物凄く大変なのです。

そうしますと、中には、タクシーで往復して、公的年金を貰いに行く人がいるのです。だから、わずかな公的年金がタクシー代で引かれるのです。その苦情を私なんかは何回も聞いておりまして、まさに5分社化の弊害というのは、一番弱い、戦後苦労された高齢者の方々が、公的年金をもらうときの場において、非常にご負担になっているということをよく知っております。日本郵政が色々と調査したようですけれども、そのことが非常に強く指摘されたというような報告も上がってきまして、被災地におられるお年寄りは、自宅が流れて、どこか離れたところにいても、車なんかは運転しません。

そうすると、体が動けばいいですが、動けない方は、郵便局まで行かなければいけない用事を、今までは郵便配達の人にお願いしていたのです。「持ってきてくれよ」と。それが今は、不便だということを言われております。そんなことを言われて、1000年に一遍の津波・大地震、あるいは原発事故の中で、まさに5分社化の矛盾が噴出しているということでございまして、そういった意味でもこれは、ぜひ直すべきだと、そのことは、私はきのう総理にも説明申し上げまして、ぜひ審議していただきたいということを強くお願いいたしました。

これは先々週も総理から、私と片山大臣、それから枝野官房長官にご指示が総理からございまして、それから岡田幹事長にも指示しておくということでございまして、次の日、委員会のときにお会いしたら、総理から岡田幹事長に指示をしたという話でございましたが、改めて昨日、片山大臣と私と2人が所掌でございますから、お伺いをしたということでございます。総理が前向きに受けとめていただけたというふうに、私は思っております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

今の関係なのですけれども、今、大臣おっしゃったように、総理もちゃんと先々週指示をしたと、そういう話なのですけれども、一方で、遅々として進まないという現状もあるわけで、毎回記者会見のたびごとに大臣がご懸念されていると表明されているわけですけれども、このままの状況が続いた場合、大臣として何か期するところがあるのか、その辺はどういうふうにお考えですか。

答)

大臣として期するところがあるかという質問ですけれども、私もはっきり言えばこの5年半、この1点にかけて政治活動してきたつもりでございます。小泉さんが言った構造改革の1丁目1番地は郵政の民営化だと言ったのです。

これに対し、構造改革とは何かと、ご存じのようにアメリカの新保守主義でございまして、小さな政府、行き過ぎた規制緩和、必要以上に小さな政府、それから規制緩和、官から民、それから市場原理主義という30年ぐらい前の、レーガンさんの時代からざっと芽を吹きまして、学問的にはシカゴ学派、フリードマンが中心で、ネオコン(Neoconservatism)とも申しますけれども、こういう流れが膨れてきて、経済的には経済のグローバル化に伴った、要するに金融資本主義、アメリカの場合はバックにウォール街の強欲な投資銀行を中心とした金融資本家がいて、それがブッシュさんの政策を経済的に押したと。

これはアメリカの国の対外経済戦略にまでなっていたわけでございまして、そういった影響を受けた小泉、竹中さんが、一番それの象徴として、当時360兆円の政府が預かっている金がありましたから、その金を市場に放出することが、彼らの考えにとっては非常に進歩なのでしょうけれども、私は国家というのは、マーケットも大事でございますけれども、それぞれの立場の人がいますから、そういったことで、これはまさに小泉さんがそういった新保守主義も、そういった一つの思想の流れです。

米ソの冷戦構造が終わって、特にアメリカが1強になって、世界中がこの大きな、良くも悪くも、中国ですらまさに影響を受けたわけでございまして、私はそういった流れが、これは人類の歴史を考えても、必ず間違えであるというふうに思っておりましたから、郵政民営化法に政治生命をかけて反対したのですけれども、落選して1年10か月、苦杯をなめて地獄を見ました。しかし、絶対間違えだという信念だけは変わらなかったので、もう一度同じ考えをする綿貫さんをはじめ、国民新党から拾っていただいて、全国区を通ったわけでございます。ここ(郵政改革)が象徴でございますし、ご存じのようにリーマン・ショックというのがありまして、世界中の人が、この金融資本主義が最先端であるということは、明確に事実をもって否定されたわけです。

ですから、私も去年アメリカに行ってきましたけれども、アメリカですら金融規制改革法を出す、ドッド・フランク法を出す、それからボルカー・ルールを出しました。今、アメリカでは、4年前、リーマン・ブラザーズが破綻する前までの形の投資銀行というのは、一つもございません。

みんな銀行と一緒になったと言いますか、そうしないと公的なお金がもらえません。そういったアメリカですら大変革があって、ご存じのようにAIGだとか、ゼネラルモーターズだとか、アメリカにおいてすら、株式を全部国家が所有せざるを得ない。そのときの国が出したお金のことが、今のご存じのように8月2日まで決着するかどうかという政府の負債になっているわけです。これは世界史的な話なのです。私が最初に申し上げたと思います。

それが破綻して、その代償を今、アメリカ政府がしっかり払っています。そのことが、全世界に波及して、全世界がまた同時不況になって、それがヨーロッパの今通貨危機にもつながっているわけですから、まさにそういった意味では、一つの歴史が非常に曲がり角にある大きな事件であったということは、今、現実が証明しているわけです。そういう意味でも少しのぼせ上がって聞こえるかと思いますけれども、そういった時代をきちっと総括するためにも、私は郵政民営化というのは、ただ一法案ではないと、日本で言えば地方切り捨て、弱者切り捨て、強い人はどんどん強くなって、弱い人、高齢者は自己努力が足らないのだというふうな風潮がはびこりましたけれども、そういった一つ一つの時代を政権交代によって終わらせるということで、非常に象徴的な話、シンボルでございます。そういった意味で、私はしっかりこのことに5年半かけてやってきたわけでございますから、私のこの改革、郵政改革法案は国会を通させていただきたいと(思います)。

私は国会でも言っておりますように、各党、各会派に賛成、反対があるのは知っています。だけれども、それは少なくとも審議をさせていただきたいということを国会でもきちっと郵政改革(担当)大臣として言っておりますので、国会になれば、色々お立場のある人もおられるというのは、よく分かっていますけれども、そういったことですから、私は本当に強い、深い決意を込めて言わせていただいておるわけです。

問)

先だって、(7月)26日の衆議院の東日本大震災復興特別委員会で、東京電力の原発事故を受けての賠償支援機構法案というのがあるのですけれども、これに絡んで附帯決議がなされて、いわゆるステークホルダー(利害関係者)の協力を求めるだとか、6月14日の閣議決定を見直すのではないかとか、色々と市場の方でも、どういうことになっているのだという声も聞かれたりもするのですけれども、端的に言うと株主の責任、あるいは融資している金融機関の協力を求めると。6月14日のいわゆる債務超過にさせないのだといった趣旨の閣議決定があるわけですけれども、これを場合によっては見直すこともあると、そういう理解でいいのか、大臣としてのご見解をお伺いしたいです。

答)

特定の債務者上場企業が債務超過になるといった仮定を前提として、関係金融機関に対する影響について、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思っています。

なお、現在、国会でご審議をいただいている原子力賠償支援機構法案は、東京電力の賠償問題について、迅速かつ適切な損害賠償の実施や電力の安定供給の確保等を図るものであり、ぜひ早期に成立させていただきたいというふうに思っております。

いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、金融・資本市場全体の安定に不要・不測の悪影響を生じさせないことが重要であり、引き続き市場の動向について、しっかり注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

今のお話で、債務超過と仮定をしてのコメントはしないということだったのですが、もともと閣議決定の段階では上場は維持する、その意味というのは、一つが債務超過にはさせないのだということが書いてあったわけで、そもそも仮定をする余地というのができたという言い方でよろしいのかどうか、お答えください。

債務超過になるかどうかという仮定に対するコメントはしないということだったけれども、もともとの閣議決定というのは、債務超過にさせないということが書いてあったわけで、そこの前提が変ったのかどうか、それをお聞きしたい。

答)

そんなことも含めて、仮定の問題については、私はたまたま今、金融庁を預かっている責任者でございますから、コメントをすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

ただし、私が最後に申し上げました金融資本市場の全体の安定に不要・不測の悪影響を生じさせないことが重要であると、強調したことの意味を分かっていただければ有難いなというふうに思っております。

(以上)

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