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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年8月19日(金)11:11~11:40 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、いわゆる二重債務問題に対処する方策の一つとして、民間関係者の研究会において、個人向けの私的整理のルールを定めた、いわゆる個人債務者の私的整理に関するガイドラインが取りまとめられ、今月22日からガイドラインの適用が開始されることになっております。

こうした中、政府といたしましては、ガイドラインの運用支援を推進する観点から、被災された債務者が第三者委員会であるガイドライン運営委員会を利用する際の弁護士費用等を補助するため、本日の閣議で平成23年度東日本大震災復旧復興予備費として10.7億円の使用を閣議決定したところでございます。

この措置によりまして、ガイドラインによる債務整理が円滑に進み、被災者の方々が復興に向けて再スタートを切る一助となることを期待をしております。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

預金保険についてお聞きします。

来年度から料率の引き下げを政府が検討しているとの報道がありましたが、現在の検討状況と今後の検討スケジュールについてお聞きしたいのですが。

答)

現時点において、来年度の預金保険料について、政府が引き下げる方向で検討を始めたという事実はありません。平成8年度から21年度にかけては、預金保険機構一般勘定には、ご存じのように欠損金が生じておりまして、多分総額7.5兆(円)ぐらい、金融危機がございましたから、この欠損金が累積で生じていたと思っておりますが、平成22年度時点で責任準備金が1,373億円となったことについては、承知をいたしております。

今後の預金保険料については、預金保険機構の足下の財政状況のみならず、預金保険機構の長期的な財務状況、また現状及び将来の我が国の金融システムの安定度、それからまた各金融機関の負担能力、過度の負担の回避といった中長期的な視点も踏まえて検討する必要があると思っております。

問)

通信文化新報の園田です。これからねじれ国会の中で郵政改革法案を成立させるための戦略というのがもし大臣の考えとしてあればお願いします。

答)

私はしばしば申し上げておりますように、この郵政改革法案は政権交代した時の政権交代がなぜ起きたかと、選挙の始まる1週間ぐらい前に、実はご存じのように民主党、社民党、国民新党で、総選挙に当たっての共通政策というのを出させていただきました。

私はたまたま国民新党の政調会長でございましたから、六つの共通政策を巡って、各党、各党の中でなかなかいろいろな苦労がありましたので、よく覚えておりますが、その中にもきちっとお話ししましたように、小泉・竹中さんが中心としたやったいわゆる構造改革ですね。それの1丁目1番地が郵便局の民営化だということで選挙があったわけでございますが、そういったことをきちっと小泉・竹中政治がいわゆる行き過ぎた規制緩和、それから官から民へと、小さな政府として、どんどん、どんどん予算規模を削っていくということで、医療福祉、年金、介護なんかは、毎年骨太方針2006というので、毎年、毎年2,200億機械的に歳出を削っていくということがございましたが、いつか地方交付税交付金が非常に減額されたということがあって、地方が非常に疲弊したわけでございますが、そういった政治を基本的に見直すということが私は政権交代した最も大きな理由であったと思うし、そのことをきちっと国民に公約して選挙を戦わせていただいたわけでございますから、そういった意味で、私は国民新党の副代表ではございますが、確かに我が党にとっては大事な1丁目1番地ですが、政権交代した非常に大きな大儀の一つが言うまでもなく郵政のこの民営化の見直しだというふうに思っておりまして、それは皆様方もよくお分かりですけれども、それは一郵便局の見直し、民営化の見直しということだけでなく、時代の大きな流れ、30年続いた要するに経済のグローバル化、その中に特に米ソの冷戦構造が終わりまして、アメリカが1強になって、非常に経済のグローバル化、特に金融のグローバル化が非常に進んだわけですね。

その中で、日本の当時郵便局が持っていた郵貯資金、当時は260兆円ぐらいありました。簡保のお金が110兆円ぐらいありまして、370兆円ぐらいのお金を政府が国民から預かっていると、そういった言うなれば官のお金がまさに民に出てこなくて、非常に日本の経済を阻害していると、あるいはそういう論議が大変盛んでして、それがまさに市場原理主義、新保守主義の行き過ぎた流れであったというふうに、我々は当時から思っていましたし、今ごろでもそのことは大体リーマン・ショック以来、アメリカの行き過ぎた金融至上主義といいますか、金融資本家が非常に大きくなって、世界が結局それが破綻し、崩壊し、今でも世界の経済危機につながっているわけでございますから、それほど一時代、一世紀を画す大きな事件の象徴的なことですから、我々はきちっと郵政民営化の見直しということを国民新党として挙げているわけですから、そういった中で、この前ご存じのように、衆議院の特別委員会で自民党さんだけは欠席されましたが、公明党さんも出席されて、私と片山(総務)大臣とあいさつをさせていただいたわけでございますが、それ以来また今お聞きするところによると、理事会に自民党さんが出てこない、延期、延期というふうになっているというふうにお聞きしておりますが、私はこれはそういった一つの時代を大きく画した法律でございますし、30年ぐらい続いた一つのイデオロギー終焉でもあるのですよ。

かつてベルリンの壁が崩壊して、世界からある意味でマルクス・レーニン主義的共産主義が実態として滅んでいったと、それに匹敵するぐらいの大きな時代の世紀的な事件だと私は認識いたしておりますが、その結果の象徴的な法律でございますから、ぜひ「小異を超えて大同に付く」といいますか、時代をそれぞれの党の中にはそれぞれの党の中の小宇宙があると思いますよ。それは私も政治家を26年間していますから分かりますけれども、そこは賛成、反対いろいろあっても、私は少なくとも審議をすることが大事だというふうに思っておりまして、内閣で閣議で決定して、立法府の方に出させていただいた人間でございますから、まさに私は担当国務大臣でございますから、何が何でもこれはまだ時間がございますから、そういった意味でもこの法律の持っている歴史的意義、それから歴史的総括、そういったことを踏まえてぜひ審議をしていただきたいということを改めて強く申し上げますけれども、具体的方法論をどうするのかというご質問だろうと思いますが、それは民主党の国対、それから我が党は亀井さん、下地さん等々と全力を挙げていただいておりますので、それを見守りながら、私も水面下で努力をさせていただきたいというふうに思っております。

以上です。

問)

自民党が欠席する中で、審議の今後のスケジュールというのは大まかに今決まっているのでしょうか。

答)

それはちょっと立法府の中の話でございますから、私は行政府の責任者として今記者会見させていただいているわけでございますから、しっかり各政党、各政党の幹事長の会見、あるいは国対委員長の会見においてしっかり聞いていただければありがたいなというふうに私は思っております。

問)

もし野党から修正が入った場合に、大臣として譲れない部分とかありますでしょうか。

答)

私は少なくとも行政府の責任者として閣議、内閣で決まって立法府に出させていただいたわけでございますから、私としては今の法律案が最善のものだと思っております。最終的にお決めになるのは、それは当たり前でございますけれども、憲法上、唯一の立法機関である国会でございますから、当然国会がお決めになられることに従うというのが民主主義の大原則でございます。しかし私といたしましては、そういうご質問をいただければ、私としては今の郵政5分社化の持っている弊害が特にこの前からお話ししておりますように、被災地において非常にその矛盾が吹き出ていますから、そういったことをよくするために、また士気を高めるために、非常にまた郵政3事業の経営的基盤、あるいは人的基盤も非常に脆弱に急速になっておりますので、そういった意味を改善するためにも、私は今政府が出させていただいた郵政改革法案が最善だというふうに、私は確信いたしておりますけれども、何度も言いますように、国会というのは当然国権の最高機関は議会でございます。議会には現実に各党、各会派があるわけですから、そこら辺でいろいろ話がもし付くとすれば、当然行政府としてはそれに従うというのが議会制民主主義の原則ですから、そういうことでございます。

問)

今日一部の報道で地方銀行についても、自己資本比率規制の強化を検討するという報道が出ましたけれども、これについてはお考えをお伺いできますか。

答)

昨年の12月に国際的に活動する銀行を対象として自己資本及び流動性が含まれているバーゼルIII、ご存じのバーゼルIIIが公表されたところでございまして、本邦の国際銀行についても、2013年からの段階的適合に向けた準備が現在事務的に進められていると認識をいたしております。

国内においてのみ活動する金融機関、いわゆる国内基準行に対する取り扱いについては、我が国の実情を十分踏まえるとともに、金融機関の健全性を確保しつつ、金融仲介機能が発揮されることを念頭に置きながら、今後検討していきたいというふうに考えております。

具体的な枠組みの検討に当たっては、国内基準行の資本や業務の実態等をしっかり把握した上で行うことが必要と考えており、そのため検討に必要な情報の収集を現在中小の地域金融機関も含めて、幅広く行っているところでございまして、今後の検討に当たっては、国際的な論議を注視しつつ、情報収集の結果をも踏まえ、関係者の皆様方のご意見を十分にお伺いしながら論議をしていきたいということでございます。

ここまでは事務方に一生懸命つくっていただいた文章でございますけれども、私は何度も申しますけれども、銀行というのは、よくお分かりのように12、13年前の1997年に北海道拓殖銀行が倒産しまして、それから山一証券が崩壊、98年に日本長期信用銀行、日本債権信用銀行が破綻いたしまして、私は本当に、西日本新聞ならよくご存じのように、私は北九州市の出身でございますから、北九州市にあった2つの「そごう」という百貨店、小倉駅前の百貨店と黒崎にあった大きな百貨店、2つともそごうは破綻しました。

金融機関が健全であるためには自己資本が多ければ多いほどそれは健全ですよ。

しかし、その高い自己資本を積むためには、今度は貸し渋り、貸しはがしというのをやらざるを得ないことが多いのですよ。貸し渋り、貸しはがしをしますと、それこそ私はよく覚えていますが、そごうが2つどんと破綻しまして、それに納入していた当時私の選挙区でしたからよく知っていますけれども、いろいろデパートにはたくさんの納入業者がいますね。そんなところが本当に困ったわけですよ。

今までそごうにこういうものを納めて家業をしていたのに、あの時たしか私の記憶が正しければ、個店としては、そごうは全体としてはなかなか厳しかったのですけれども、北九州のお店、駅前店と黒崎店はそんなに個店としては経営が悪くないという話も聞いていましたから、そんなことで、私自身本当に金融機関というものは、健全性と同時に余り健全性を現実離れして強要すると、一見いいようですけれども、その影で大変経済が縮小します。あるいは経済が破綻しますよ。

そういう銀行が持っている二面性というものをよくよく知っていますから、こういう記事になると、またすぐ自己資本を積むようにと書かれるおそれがございますけれども、そうでなくて、私が金融庁の長としてある限り、きちっとそこは地方の経済、特に地域銀行が、地域の経済に果たしている役割が非常に大きいわけですから、ましてやいわゆる中小企業金融円滑化法案で銀行の持っているきちっとコンサルタント機能を発揮しなさいと、法律で明記したわけでございまして、検査・監督指針を変えたわけですから、そんな精神、ここ2、3年の金融政策、政権交代して大きく変ってきましたから、よくご存じのように。ですからその辺を踏まえて、しっかり実情に合った、バランスのとれた金融政策をやっていきたいというふうに思っております。そこのところをよく伝えておいていただきたいと思います。

前半の部分だけやりますと、また自己資本を増強するなんていうのが、すぐまた貸し渋り、貸しはがしだとお金を借りている企業の方が身構えますから、そこは何よりもデフレ脱却、今震災からの復旧、復興が大事ですから、そんなこともよく見ながら、きちっと論議を進めていきたいというふうに思っております。そこだけは誤解のないように、ぜひご理解していただきたいと思っております。

問)

東洋経済の井下です。大臣、以前から聞いておるのですが、日本振興銀行の行政検証委員会の報告書なのですけれども、これは結局いつごろ公表されるのでしょうか。

答)

今日も実は閣僚懇で、きちっと菅総理から、この内閣で決着をつけることはちゃんと決着をつけてくださいという話がございました。日本振興銀行のペイオフは私が行政の長の時にやらせていただいたわけでございますし、この検証委員会も実は当時お話ししたと思いますが、閣僚懇でも強い指摘が出て、それを受けて非常に立派な方に日本振興銀行の検証委員会をつくっていただいたわけでございますが、同時に行政機関でございますから、守秘義務ということと、それから今個人情報保護法という法律がございますから、そこら辺もしっかり右目、左目に入れながら、今かなりラストに近い状態でございますが、私の希望としては、私の在任中と、いつまであるか分かりませんけれども、それは総理がお決めになられることでございますけれども、できるだけ今日総理のお言葉にもございましたように、きちっと何とか一区切りつけたいというふうに強く希望しております。

問)

公表はするということでいいのですか。

答)

それは一番最初からきちっとお約束していることでございますから。

問)

先ほどの冒頭の個人の私的整理のガイドラインのところにありましたが、企業の方なのですけれども、各県で買取機構の立ち上げの準備というのが行われておるのですけれども、足下の被災地金融機関の動向について、大臣の認識はどのように受け止めていますか。

答)

これは被災地、東北6県と茨城県、これの金融機関につきましても、私は、ご存じのように、今大事な状況にございまして、金融機能強化法を6月12日につくらせていただきました。これはかなり、金融の関係の法律としては、特例的な、異例的な法律だと思っておりますが、これも全党一致でつくらせていただきまして、地方銀行、信用金庫、信用組合等々、金融機関ございますが、非常にきちっとウォッチをさせていただいておりまして、たしか今度新たな金融庁の監督局長、もう行ったのかな。来週、いの一番に震災の地域に行っていただきたいということを言っておりまして、監督局長の前に、西田銀行第二課長ですが、これも人事の後すぐ行かせていただきまして、東北地方の金融機関の方々にお集まりいただいて、やらせていただいておりますし、来週新たに代わった監督局長も一番最初に東北地方に行くようにと、私から指示を出させていただいておりまして、これは本当に最重点課題でございますから、そういった中で金融機関、それから損保、生保等々、非常にありがたいことによく協力していただいておりますし、地震保険も今度のことに関しては1兆円以上いっていたと、宮城県だけで地震保険で5,000億円以上出したという報告も聞いておりますし、この前ある銀行の会長が来まして、株主総会で選ばれたからと、その会長が言うに、「自見さん、うちの仙台支店の預金が増えましたよ」と言うんです。

それは私はごく常識的に考えれば、あれだけ大震災ですから、預金って減りそうなものだけれども、「何で預金が、おたくの仙台支店は増えたんですか」と言ったら、「どうも自見さん、これは地震保険が宮城県だけで5,000億円出てますから、(それが原因)のようだ」というふうにその会長は言われましたよ。

しっかり3月11日以来、本当に金融庁と日本銀行、挙げてその日から、まさに金融というのは命でございますから、命の次に大事なものの一つでございますから、一生懸命まだ足りませんけれども、一生懸命やらせていただいたことが、銀行の会長から実はびっくりしたのですけれども、仙台支店は預金がふえましたという話を聞いたのですよ。

そういったことが回り回って、なったのかなと思いますけれども、まだまだ、まさに千年に一遍の津波でございますから、その中できちっと東北地方の人々の暮らし、産業を守るということに対する金融機関が働く役割というのは極めて、極めて大きいわけですから、そのことをしっかり自覚させていただて、持てる金融庁の力を最大限に発揮していかねば、被災に遭われた方に申し訳ない、そういった気持ちで3月11日以来、やらせていただいておりまして、また皆様方がお気付きの点、あるいはこういったことが自見さん、足らぬよとか、いろいろあったら、ぜひご指摘いただきたいというふうに思っております。

まさにみんな官民力を合わせて、私は受け持ちは民間の金融機関でございますけれども、ぜひそういうふうにやっていきたいというふうに思っております。

それから、もう一個、生命保険もよくご存じのように、生命保険も私は医者でございますが、死亡保険、あれは大体医者が死亡診断書か死亡検案書を書いて、初めて死亡保険というのは執行されるわけでございますが、たしか失踪した場合、危難失踪といいまして、あれは1年なのですよ、普通は。しかし、危難失踪で1年間といったら、5千人以上の方が本当に胸の痛む思いでございますが、今まだ行方不明でございまして、それで危難失踪で1年というのはちょっと長すぎますので、これは金融庁の局長が非常に頑張っていただきまして、法務省、これは生きるか死ぬかという生死は法務省ですから、法務省と大変激しい交渉をやらせていただきまして、これは3か月だったかな、3か月で簡素な市町村に対する届出によって、死亡の確認ができるというふうになりまして、そんなことを目に見えないことでございますが、いわゆる生保のセールスレディの方もご遺族と一緒にご遺体安置所なんかをどんどん回っていただいておりまして、私は医者ですから、よくああいうご遺体にお会いするという、普通慣れてない方といいますか、我々は本職が医者でございますけれども、いかに精神的ショックを受けられるかということは、私はよく分かりますので、そこまでしてセールスレディの方がやっていただいているという話をよく聞きますので、そういった意味で、私は金融の分野はまさに金融機関、いつかお話ししたと思いますが、宮城県石巻商工信用組合、4日間、連絡が付かなかったのですけれども、ろうそくをつけながら、きちっと人にお金を貸したということをやっていただいておりまして、そういう意味では私は本当に各金融機関、生損保、あるいは証券会社、あるいはそういったいろいろな各関係、金融関係の方に本当に官民一体で未曾有の震災に取り組んでいただいたということは感謝いたしておりますけれども、まだまだ、十分と、そんなに決してのぼせ上がっておりません。いろいろこういう点、ああいう点があるということは、まだたくさんありますから、ぜひいろいろ教えていっていただきたいというふうに思っております。

問)

外資系の保険会社などの顧客情報が過去の販売店を通じて不正売却されたというケースが相次いでいるのですけれども、大臣はこの問題に対してはどのようなお考えをお持ちでしょうか。今後、業務改善命令なんかも出される可能性はありますでしょうか。

答)

私も何かそういうのは新聞記事で読んだような気がいたしますが、金融機関というのは、顧客の情報というのはきちっと保護すべき(なのは)、当然のことでございまして、個々の会社に、企業についてはコメントすることは適当でないと思いますが、そこは規則は規則でございますから、法律は法律でございますから、金融庁として、厳正に注視してまいりたいというふうに思っております。

(以上)

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