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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年9月20日(火)11時21分~11時39分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、特にございません。

【質疑応答】

問)

欧州の金融不安、相変わらず収まる兆しを見せず、特に金融危機の発火点となったギリシャがユーロからの離脱が浮かんでは消えという状況ですけれども、日本の金融機関が保有しておりますギリシャ向けの融資、あるいは取引、この規模と経営に与える影響をどのように考えていらっしゃるでしょうか。

答)

3メガ融資残高1.9兆円と、全貸出金の1%程度という記事は私も読ませていただきました。ご指摘の報道は承知しているが、各金融機関の特定の融資状況等について、当庁から所感を述べることは差し控えさせていただきたいと思っております。

ただし、金融庁といたしましては、市場の動きなどを注視しつつ、各金融機関において、適切なリスク管理が行われているか等の観点から、引き続き高い緊張感を持って、監督してまいりたいというふうに思っております。

問)

ゆうちょ銀行が、来月にも全国銀行協会加盟の方向と言われておりますけれども、これはゆうちょ銀行が純粋民間金融機関として生きていくという、そういうことなのでしょうか。大臣はどのように受け止めていらっしゃいますか。

答)

ゆうちょ銀行は、振り込め詐欺やらマネーロンダリング等に関しまして、利用者保護の観点から、より責任ある対応を行うため、情報収集の強化を目的として、全銀協への加盟を打診していたというふうに聞いております。

ゆうちょ銀行の加盟の可否、及び加盟のあり方については、これはもう全銀協がお決めになることだというふうに承知いたしております。

郵政改革法案は、先週色々話題になりましたが、あれは株式を上場すれば、お金になるのではないかという話が、復興債に関して色々出てきたわけでございまして、本会議でも質問が出ておりました。

総理と私は同じ考えでございまして、ご存じのように、郵政改革法案が通れば、(郵政)株式売却凍結法も一緒に同時期に廃止されますので、理論的には3分の2売れるわけです。しかし、前から私は何度も言いましたように、株式が上場しても、そう簡単に売れるものではございません。色々やはり営業努力と言いますか、そういうものがないとNTTの場合でも、私はたまたま(衆議院)逓信(委員会)委員長なんかをしていましたから、NTTをよく知っていますけれども、非常に日本郵政グループそのものの努力が要って、そしてやはり魅力ある投資だなというふうに、投資家の方が思ってくれないと、なかなか株式というのは売れません。

また、もうよくお分かりのように、経済情勢全体が、これは世界の経済情勢がどういう状態かというのが非常に多く影響しますし、たしかNTTでもいつか売り出すという予定だったけれども、景気が悪くなりまして延期したことがあります。そんなことも含めて、中長期的な話でございますが、ただし復興債の償還としては、総理も言っておられますように、すぐには間に合いませんけれども、やはり将来の方向としては、私はいい話ではないかなと。

政府も国有財産の売却ということを方針として決めておりますから、そういうふうに私は思っております。

問)

金融タイムスの大嶋ですけれども、北九州の方は、ちょっとオーバーバンキング気味かなとも思うのですけれども、あえて新しい銀行を作ったという意味合いは何でしょうか。

答)

北九州銀行の営業免許が交付されたが、所感は如何にということでございますが、北九州銀行の営業免許の申請については、銀行法の審査基準に則り厳正に審査を行ってきたところでございまして、9月16日の金曜日に、北九州銀行に対して営業免許を交付したところでございます。

金融庁としましても、新銀行が、地域密着型金融をきめ細かく実践し、地域金融の円滑化や顧客利便の向上、さらには地域の活性化に寄与することを期待したいというふうに思っております。

問)

東洋経済の浪川です。

今のこととも関係するかと思うのですが、さはさりながら、日本は何だか知らないけれども、商業銀行ばかりになってしまっていて、金融が多様化していないように思えるのですね。その中で、例えば今回震災があったときに、多様化していないがゆえに、民間のお金が流れないという現象が起きているというお考えはないでしょうか。

答)

それは難しいご質問ですが、私は金融庁を預かる人間として、震災があった後、すぐ石巻(市)に行かせていただきました。東北地方の地方銀行(の頭取)、信用金庫、信用組合(の理事長)ともお会いしておりますし、特に東北財務局、また金融庁の新旧監督局長にも厳しくきちんと、「東北地方の金融機関をよくウォッチしておくように」ということを、私は常々、この2人、あるいは銀行一課長、(銀行)二課長にその辺を申しておりますが、そういった意味で、金融機能強化法(等改正法)というのを作らせていただいたわけでございます。

私は、金融機能強化法(等改正法)というのは金融の法律、体系としては、非常に1000年に一遍の災害有事のときに作った法律でございますから、地域の金融機関、金融機関の先に中小零細企業、あるいは東北地方の個人の生活がかかっているのですから、そういった意味で、6月22日に前の国会で、全会一致で通していただいたわけでございます。

また、金融政策全体としては、私は何回か申しましたように、例えば損保、これは地震保険がございますが、3月11日その日に日本銀行総裁と私の連名で、1000年に一遍の震災ですから、有事には有事の対応の仕方があるということを国会でも申し上げました。例えば損保協会は非常に協力してくれまして、今までは損保協会というのは全壊か損壊か半壊かと、そこの判断が非常に大事なところですけれども、(今回は)航空写真で見て、(協会に)入っている損保会社の一社が、それはもう全壊だと言えば、全部全壊にしてくれということをお願いをして、その辺でご存じのように、この前の新聞でも東北6県を主として、(地震保険の支払い見込み額が)1兆2,000億(円)、宮城県だけで5,200~5,300億(円)出ているということで私は申し上げたかと思いますが、全国規模の銀行の会長が私のところに株主総会で選ばれましたと言って挨拶に来まして、「自見さん、びっくりしました。うちの仙台支店は預金量が増えました」と、こう言ったのです。ですから、私はやはりこれは嬉しかったです。はっきり言えば。一生懸命、何といいましても、復興のためにはお金が必要でございますから、それもたくさんの政策を駆使しないと、一つの政策さえ打てば、うまく経済が流れていくと思っておりません。

その一つが金融機能強化法(等改正法)であり、一つが損保協会にしっかりと協力を求めるということで、この辺は金融庁の範囲内ですけれども、同時に政策金融というのが経産省・中小企業庁、それから農林水産省、あるいは住宅に関しては国土交通省があります。それから二重ローンの問題も、これは内閣官房、あと金融庁、財務省にまたがるわけでございますから、これはもう何度も国会でもありましたように、内閣官房に一応取りまとめ事務局を置いております。それから当然、民間の企業が非常に頑張っていただいております。サプライチェーンの思ったより早い回復ができましたし、官民挙げて、そしてそれぞれのいいところ、弱いところ、利点、メリット、デメリットは違うわけですから、そこら辺を踏まえて、官民のベストミックスで、しっかり、この東日本大震災の復旧・復興に努めていきたいというふうに思っております。

特に、中小企業金融円滑化法(の関連では)、金融機関は、コンサルタント機能をしっかり発揮してくれと言っておきましたので、従来の単なる延長でなくて、コンサルタント機能をしっかり発揮してやってくれということを監督指針の中にも、そういう項目を入れさせていただいたわけでございます。そういったありとあらゆる政策を総動員して、やっていく必要があると思っています。私の場合は民間金融機関が主でございますから、これはまた色々皆さん方のご意見を聞きながら、全力を挙げて復旧・復興に努めていきたいというふうに思っております。

問)

ありがとうございます。

今おっしゃった点で、銀行の資本基盤が強化されれば預金吸収力が増すのは当然だと思いますね。だから、(改正金融機能)強化法を打ち出された効果は出ているということなのです。だけれども、地震保険とかそういうものが支払われた結果、東北の地銀、金融機関は著しい預金超過に陥ってしまいまして、一方で貸出ができないと、貸出できるような環境ではないということで、めちゃくちゃ預金超過になってきていると。

要するに、そこに金が滞っているわけで、その滞った金をどう生かしていくのかというのが、次の金融のメカニズムを作っていくあり方だと思うのですが、そういう点はいかがですか。

答)

それは、もうよくご存じのように、金融の問題もありますが、金融の問題以外に、例えば地域において都市計画がまだできていないと、家とか工場を再開したいけれども、まだ国、県、市の都市計画ができていないとか、複合的な理由がありますから、やはりこういうのは、全部のお役所が全部関係ありますから、そこら辺を、私は民間金融が専門でございますが、そこら辺は大分、がれきの処理についても大変ご批判をいただきましたけれども、ある程度できたというような話も聞きます。それからやはり一番大きいのは、今言いましたように、まだ完全な復興のプランが市町村でできたけれども、県でできていないとか、まだまだ復興・復旧の途中でございまして、色々お叱りをいただきますけれども、全体としては半年前に比べれば、かなり前向きに進んできたのではないかなというふうに思います。

ただし、一時的には金が余ることも、今初めて聞きましたけれども、そういう現象が起きているということであれば、またそこら辺もできるだけ、お金を流していかないと、やはり経済は活性化しませんから。

私が申し上げているのですけれども、民間金融機関というのは蒸気機関車みたいなもので、石炭をくべて水入れて、物凄い馬力で走っていくのです。これはご存じのように、ちょっと傾斜がありますと、たちまち蒸気機関車は走れないのです。ですから、スイッチバックだとかやりますけれども、やはり最初の呼び水といいますか、最初のエンジンのスターター、ここのところはやはり税金そのものの投入だとか、政策金融の果たす役割、あるいは信用保証協会、そういったものが私は非常に強いと思いますが、しかしやはり最終的には経済が自立的に、どんどん動いていくということが理想的でございますから、そこら辺の移行期がございます。そこら辺はしっかり判断しつつ、また現地にも私は行かせていただきたいと思っておりますので、適時適切な手を打っていきたいというふうに思っております。

問)

先ほど日本郵政の株式の売却について、将来の方向としてはいい話というふうにおっしゃっていましたけれども、これはどれぐらいのスパンで実現していくおつもりか。

答)

これはなかなか難しい話でして、金融機能強化法(等改正法)、各党各会派で色々お立場があるようですから、これを私としては、郵政改革法案は最善の、ベストのものを閣議決定して出させていただいたと思っています。野田(民主党)代表と亀井(国民新党)代表の中でも、それは当然ですが、国会というのは「国権の最高機関で唯一の立法機関」ですから、この中には現実には色々党派、会派があるわけですから、そこら辺で色々、もう少しここを変えた方がいいのではないかというご意見がもしあれば、そこら辺も、それは当然ですが我々は従う方でございます。私としては、これは今、郵政改革法案はベストなものだというふうに確信しています。国会に出せば当然ですが、そこで色々と、場合によってはそういったこともやむを得ない修正があり得るのかなというふうに思っております。

問)

通信文化新報の園田です。

今の郵政株式なのですけれども、将来的にということを今の段階で、例えば予算の関連法案とかで位置づけてしまって、お金だけ先にというようなことの可能性についてはどうお考えですか。あと、東証を通じていなくても売却できる方法はありますよね。

答)

全く、そういった郵政(株式売却)凍結法案だけ先にということは、全く視野の中にもありません。あれは一つのものでございまして、やはり三事業一体で、ユニバーサルサービスを確保するというのが基本的な理念ですから、その法律だけ切り離してやるということは、私の立場としてはあり得ないというふうに思っております。

東証の場合は、もうご存じのように、これは場合によっては相対(取引)で売ることもできますから、基本的には市場に上場して売るのがメインですけれども、場合によっては、相対で売ることもできる(と思います)。ですから、そのことを三党合意の中で政権交代をしたときに、イの一番にそういう動きもあったように聞きました。これは情報の一つでしたけれども。ですから、そこはきちんと、郵政株式(売却)凍結法案を出して、1つの塊として、郵政改革法案を成立させろと、三党合意の中にも書いてありますし、そういった意思だったわけです。

(以上)

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