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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年10月18日(火)9時37~10時03分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特別にございません。

【質疑応答】

問)

先週末G20(財務大臣・中央銀行総裁会議)が行われまして、ヨーロッパの債務問題解決に向けた議論が行われましたが、その会議の結果、議論について大臣どのようにご評価されているかお願いします。

答)

ご質問のとおり、10月14日の金曜日、15日土曜日にフランス・パリで開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議においては、欧州の債務問題等の世界経済の現状とともに金融規制改革についても議論をされ、11月のカンヌ・サミットに向けて金融規制改革の進捗に関する重要な合意が得られたと承知をいたしております。

最近の国際的な金融市場における緊張の高まりの中で、G20において、このような合意が行われたことを歓迎しております。我が国としては、引き続き、金融危機の再発防止・金融システムの強化に向け、国際的に協調して取り組んでまいりたいというふうに思っております。

問)

今日は、被災地の方に行かれるかと思いますけれども、どういう話を聞いてこようかとお考えで、どういうことを金融庁として伝えていきたいとお考えですか。

答)

今日、1泊2日で岩手県に行ってくる予定でございます。震災が起きて、いの一番に仙台(市)、石巻(市)、宮城県に行かせて頂きまして、先般は福島県で、特に原子力発電(所)の事故のあったところの地方銀行(の頭取)に会い、信用金庫、信用組合(の理事長)にも会ってきました。今回は岩手県でございまして、特に岩手県の地方銀行、それから三陸の宮古(市)、それから釜石(市)に行かせて頂きたいというふうに思っております。そこには信用金庫があるようでございますが、そこら辺の実情と、特に私が今頭にあるのは、金融機能強化法をこの前6月22日に全会一致、全党一致で作らせて頂きました。今3つほど(の金融機関が)手を挙げて、(うち2行については)利用して頂いており、公的資金を資本に注入させて頂いたのでございますが、これは金融機関の信用金庫、信用組合まで入れて、非常に震災特例的な法律でございますから、ぜひこれを使って頂いて、金融機関の先にある中小零細企業あるいは個人の住宅ローンを借りている人、こういったところを救わせて頂くということが、金融の仲介機能で一番大事でございますから、できるだけ実情に合って、また基本的には民間金融機関ですから、経営者の方々がご判断されることでございますけれども、できるだけ金融機能強化法をお使い頂ければありがたいということを申し上げたいというふうに思っています。

もう一点は、この地域の郵便局も視察をさせて頂くようにしておりまして、特に被災地において、私は前々から言っておりますように、今日はたまたま岩手県の郵便局の方が全員集まる大会があるようでございまして、それに行って、しっかり意見を聞かせて頂きたいというふうに思っています。

私の問題点としては、特に郵便局、まだ今、ご存じのように法律が宙ぶらりんでございまして、再建に関しまして、どういうふうにしていいか、まだ見えていないのです。今は5分社化でございますが、政府原案は3分社化ということで、方針がはっきりしていないということが、非常に今ここにおいても、現地のそういった声が聞こえてくるわけでございます。また、福島県、宮城県に行っても、津波で流されてしまった郵便局もたくさんございますが、5分社化と3分社化というのは程度が違います。一言で言えば、普通郵便局でも5分社化であれば5つ会社がありますから、総務課だっていくつも要るのです。ところが、3事業一体でやりますと、これは極端な話、昔は郵便局へ行ったら総務課というのは1個でした。そんなことから、設計からも違ってくるのです。ですから、そういった意味で、そういう問題があるのかどうか。

それから、私がよく言いますように、今、公的年金って4人に1人は郵便局でもらっているのです。昔は3事業一体ですから、過疎地は高齢者が多いので、よく被災地の方から聞く声が、前は郵便局の配達の人が来たら、「すまんけどこれちょっと郵便貯金やって、すまんけどおろしてきてくれ」と、こう言って、特に車を運転されないお年寄り、日本の場合は70(歳)以上が多いですから、そういったところで、とってきてくれていたのですけれども、今は当然違う会社ですから、郵便事業会社ですから、郵便貯金のお金は扱えません。そういった意味で非常に齟齬が来ているというのは、現実にそういう問題が起きています。そういう問題があるのかどうか。

それからぜひ、政府としては、今の法律が最善だと思っていますけれども、(民主党の)野田代表と(国民新党の)亀井代表と修正協議を含めて、ということもございますから、私としては、今の法律が最善だと思っていますけれども、最終的にお決めになられるのは唯一の立法機関である国会でございますから、その意見に従うというのが当然、憲法上の仕組みでございます。そんなことを含めて、何が何でもこの法律の基本的な部分、郵便局での3事業の一体的サービスの提供、それから金融分野でも、ユニバーサルサービスはきちんと三陸(地方)の僻地でも、あるいは津波で流されてしまった地域でも、きちんと、やっていけるのだということを示したいなというふうに思っております。

以上です。

問)

関連なのですけれども、郵政改革法案で公明党が次の臨時国会で審議入りを容認するということなのですが、この点について大臣として受け止めは。

答)

これは政党の話でございまして、色々国民新党の幹事長レベルでは話が来ているやにも聞くわけでございますけれども、私は政府の立場でございますから、今の法律が最善だと思って今の国会にも提出をし、今、郵政改革特別委員会も開いて頂いておるわけですから、私として申し上げる立場にはないと思っています。今私が申し上げましたように、色々な各党・各会派が知恵を絞って頂けるということはありがたいことだというふうに思っております。

問)

世界日報の野村と申します。

大臣が今問題になっておりますTPP(環太平洋経済連携協定)の交渉参加問題ですが、これに関する閣僚協議会の一員にお入りになられたということを聞いておりますけれども、金融(担当)大臣としてどのような態度でお臨みになられるのか。可能ならばご所見をお伺いできればと思います。

答)

新聞ではTPPの閣僚委員会に私が入ったやに報道がありますけれども、まだ正式には官房長官から何もそういう連絡は実は頂いておりません。

ただしTPP、自由貿易というのは、私も今回大臣になったときも答えさせて頂きましたように、日本というのはどういう政治体制であっても、やっぱり基本的に加工貿易でないと、今の経済力は維持できないのです。

私がこの前申し上げましたように、石炭とか鉄鉱石を輸入しまして、そしてそれから自動車を造ったり、パソコンを造ったり、カラーテレビを造ったり、そういった付加価値をつける、更に高度な付加価値をつけてマザーマシンを作ったり、そういったことがやっぱり日本が今でも栄えてきた理由だと思っています。今からも更にこの繁栄を維持する、ましてや人口が減少する中で、きちんとやっていくためには、そういったさらに付加価値の高い、さらに生産性の上がることをしていくことが、国全体として必要だと、こう思っています。

しかしまた同時に、私もあのとき申し上げましたように、農業という問題がございまして、これはもう、3,000年前だって農業ってあったわけですから、一番人類で古い産業というのは農業です。私は医者ですから言うのですけれども、これは生命産業なのです。やっぱり食べ物と水と空気がないと、人間というのは生物としての生命を維持できないわけです。ですから、そういった意味で農業というのは、非常に自然条件に制約されますし、日本は化学肥料の発達あるいは農耕の進歩によって反収(たんしゅう)等々は非常に高度の集約的な農業になっておりますけれども、やはりどうしても自然の障害、例えば耕地面積の広さとか、こういったことがございますし、それから農業の高齢化の問題もあります。それから同時にこの前も申し上げました農地が持っている多面的効果といいまして、例えば水田に溜まる水というのは、明治以来作ったダムの2倍以上溜まるのです。皆さん方、雨の物凄く降った日に、東海道新幹線なんか乗って頂ければ、水田が一面水でしょう。あれを見ると、保水する水というのは物凄く、明治以来作ってきたダムの2倍の水が水田に実は溜まるのです。あの水が一気に河川へ来るのを防いでいます。また、農業というものがそういった自然に対して、例えば森林が水田の涵養(かんよう)といいまして、あれは、はげ山だとすぐに水が流れて、すぐ洪水になるのです。ところが森林がありますと、一遍染み込んだ雨が木の根に吸収されまして、一遍に水が流れないということで、非常に森林が整備されていると、洪水、それから山崩れ、非常にこういったものの防止になるのです。

そんなことを等々挙げればたくさんございますが、そういった農業が持っている多面的機能といいますか、生活に必要な、生命の維持に必要なこともたくさんしているわけですから、これは、農業と工業とだけ挙げましたけれども、他の色々なサービス産業24分野が対象になるという話で、まだはっきりしていないところもあるようですけれども、これは非常に、そういった意味でまだしっかり我が党の中でも色々議論をしております。当然タイミングというのもございますし、しっかり見極めていきたいというふうに思っております。

閣僚(委員)の話は、新聞には書いて頂きましたけれども、まだ正式には来ておりません。

ただし一点、これだけは申し上げておきたいのですが、日本は今、一番の貿易の相手が中国なのです。ところが、これは中国以外の国と基本的にTPPをやるということでございまして、私はそこのところもきちんと視野に入れて、中国がどういう態度をとるのか、中国がどういう意向を持っているのかということを、当然、日米基軸でございますが、同時に日本はアジアの国でございますから、私は「右手でアメリカと握手したら、左手で必ずアジア、中国、インドと握手することが大事だ」という、前々からそう申し上げていますけれども、やはり中国の意向というのも極めて大事にすべきだと思います。

今、アメリカ、ニュージーランド等々ともやりますけれども、中国のことは何も言及しておりません。しかし、現実にはもう皆様方もお感じのように、中国は、政治体制、それから社会体制は当然共産主義独裁国家でございますから(日本とは)違います。しかし、鄧小平以来の改革開放ということで、非常に経済的には日本と密接な関係にあるわけでございまして、そういった意味で、やはり経済関係がTPPですから、そこのところはしっかり熟慮あるいは非常に慎重に、この問題は、中国の問題を含めて考えるべきだというふうに私は思っております。

問)

今の問題の関連で、農業に改革は必要だというふうにお考えですか。

どういう改革が必要だとお考えですか。

答)

昔から言っておりますように、まず(日本の)農地の(面積は)10年ぐらい前は、平均0.9ヘクタールでした。これは今の農家の平均(年齢)は60歳以上でございまして、もう農地を使わない人がいるのです。農地の流動化政策といいまして、農地をできるだけ使う、やる気のある専業農家にできるだけ土地を貸してやろうと。日本の農業でも田が、大体10ヘクタールありますと所得も増えまして、大体自活できるのです。今、ずっと私が国会議員になった頃から、農地の流動化政策というのは非常に大事なテーマで、30年間近くやってきました。大分、一部農地の平均が広がった部分もあるようでございます。農地の流動化政策(というのは)、所有者はその人が持っていますけれども、使用する権限を、その間に市町村が立ったり、農協が立ったりして(農地を広げていく政策です)。(昔は)農地を一遍貸したら田分け者と言って、結局昔から言う言葉も、農地を貸したらやったものと一緒だと。この言葉は江戸時代からずっとある言葉ですけれども、そうならないように、やはりきちんと法律によって、市町村なり、場合によったら農協が間に立って、きちんと農地を広くするための流動化政策をやっていくというのは一つの手だと思います。

それから、私は特に主張したいのは、やっぱり近郊農家です。私なんか北九州市ですから100万人都市なのです。そうしますと、近くの農家というのは結構若い人がおりまして、「自見さん、こんな北九州市と福岡市が近い、大消費地の近い農業でね、まあ変な話だけど、ここで儲ける気がなかったらいけませんよ」と言う人がいるのです。園芸、それから果実、そんなことを非常に適宜適切につくって非常に高所得を上げている近郊農家も(います)。北九州市100万(人)、福岡市150万(人)の大消費地ですし、また関東圏も多いと思います。そういった非常に近郊農家といいますか、そういう付加価値の高い農業もやっぱり目指していく必要があるけれども、同時に、やはり農業というのは広いですから、宮城県の、あるいは北海道の広大な農地でもきちんと職を得ていける、業として成立つということが私は必要だと思っています。

構造改革というのは昔から、もう30年ぐらい前でありますが、農地の場合は価格政策か構造政策かというのが昔からずっとあるわけですけれども、やっぱり構造政策というのが、私の恩師の渡辺美智雄先生は構造改革派でございましたけれども、やっぱり価格政策も大事ですが、構造改革が大事と思っており、やっぱり基本的な構造改革というのが必要だというふうに私は思っています。

問)

関連質問ですけれども、TPPについて、中国の意向にも配慮というのは、大変政治家的な高い見地からのご発言で、素晴らしいなと思うのですけれども、これは、中国は今TPPに参加する意思は全く見せていないのですけれども、TPPについての中国のスタンスが見えるか見えないかということが、今回APEC(アジア太平洋経済協力会議)までに交渉に参加するかどうかに影響をするというお考えを持っているということなのでしょうか。

答)

すぐいつまでにどうしてこうしてという具体的なことでなくて、基本論として、非常に私はそこが、国の将来の方向として大事なことだと思っています。中国の意向というのはね。

問)

今回の局面では関係しないということですか。

答)

これは現実的な問題ですから、そこら辺ほとんど私、情報ありません。だけど、それはやっぱりアジアの中の一国として生きていく国として、まして私は北九州市ですが、中国との貿易で、物凄く九州の経済が成り立っています。車なんて、今、愛知県に続いて2番目に多い県は福岡県ですけれども、これもほとんど中国の市場を狙っての100万台以上の車の生産です。

そういう意味で、私はやっぱり中国との関係というものを非常に視野にきちんと入れておくべきだと思っています。

要するに、向こうは改革開放と言うけれども、国家全体としては全体主義の国家なのです。ですから、国家として右向け右、左向け左と言いますとね、極めて効率よく、速く一つの方向を切る国ですから。そういったことも含めて、やっぱり隣人でありますから、きちんと付き合っていかなきゃいけません。これは、日本は地図上、引っ越しできるわけないのですから。3,000年も、2,000年も前から付き合ってきているのですから。

そしてなおかつ、中国は今世界で第2番目の経済的な大国になってきたというのは現実ですから。そしてまた、尖閣列島を巡っては、全然領土問題なんかありません。これは日本の固有の領土で、一寸たりとも私は疑っておりませんけれども、向こうは必ずしもそうじゃないですからね、そういう現実はありますから。

もう一言言えば、中国は今後継者争いをやっています。来年、中国は多分、中国共産党の国家主席が代わります。習近平さんと私は2回お会いしたことがございます。ですから、今、中国というのは指導者が代わる前なので、非常にある意味で不安定になっていくのです。ですから、そこら辺も視野に入れて判断をする必要があると思っています。

問)

農業強化の問題については必要だというお話だったのですけれども、今回の交渉参加について、そうすると農業対策に更なる費用をかけるというような条件とか約束をするというふうなことが必要だというふうにお考えなのでしょうか。

答)

農業に関しては、最低限きちんと農業の近代化、あるいは、さらに生産性を上げるという、あるいは、今、非常に日本の農業は高度の農業でございまして、輸出している農業なんかもございます。そういった意味で、農業に関しては最低限そういうことが必要だと思っています。

ただし、他の24分野、色々あるようでございます。私も、よくまだ勉強はいたしておりませんけれども、色々まだ問題点も、そしてまだ交渉に参加していないから、はっきり分からないなんていう政府の答弁も返ってきているようですから、そこら辺はきちんとやっていく必要があると思っています。

問)

最低限必要なのは、追加的な費用をかけることが必要(だと思われますか。)

答)

農業に関してはそうです。農業以外にも、まだ他に24分野であるのではないですか、私も専門ではございませんけれども、ごく一般的な政治家として言えば、色々な24分野にも敷衍(ふえん)してくるということは知っておりますので、そこら辺をきちんと、色々なご意見が各党・各会派の中でありますから、私は、まだ閣僚委員会(のメンバー)となるよう正式に官房長官から言われていませんけれども、(メンバーに)入る、入らないは別にして、一閣僚として、一国会議員として、きちんとこういうことに関してやっぱり私なりの意見を持っておくということは非常に大事なことだと思っています。

問)

それは政治家としてすばらしいあれだと思うのですが、一体相場感としていくらぐらい必要だと思われますか。

答)

それは鹿野農林大臣に聞いてください。

問)

すみません、ちょっとと大事な点なので。

閣僚委員会のメンバーに、先週金曜日は入るというお話だったのが、どういう状況になったのですか。

答)

全然、私にはまだ連絡がございません。ただ、入る、入らないという報道があったということは官房長官に言っております。

問)

確か金曜日、官房長官から入ってくれと言われたという趣旨のご発言を会見で(されていたと思うのですが)。

答)

あのときに話していましたね。

問)

その後、どういう経緯で、今どうなっているのですか。

答)

その後、まだ事務的な連絡が来ていないということで、多分入るのだろうと思いますけれども。

問)

(閣僚委員会のメンバーに入るという話が)流れたということではないのですね。

答)

そうではないと思いますけれども。そうでないというふうに信じております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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