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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成23年11月18日(金)10時6分~10時30分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特にございません。

【質疑応答】

問)

2点質問させて頂きます。

一つ目はオリンパス問題に関連して、銀行団が支援を継続していく方針を明らかにしていますが、大臣のご所見をお願いいたします。

答)

オリンパスの件について、大変恐縮でございますけれども、個別の金融機関の経営判断に関する事柄でございまして、当局として逐一コメントすることは差し控えたいと思っています。

いずれにいたしましても、金融庁といたしましては、正確な実態解明と迅速な情報開示が行われるよう東京証券取引所等の関係機関と緊密に連携し、スピード感を持って対応してまいりたいというふうに思っております。

問)

もう一点です。公的資金を受けているあおぞら銀行についてですが、公的資金の返済が終わっていない中で増配に踏み切りました。大臣のご所見をお聞かせください。

答)

これも恐縮でございますが、個別金融機関の配当政策に関する事柄であり、当局としてコメントをすることは差し控えたいと思っていますが、一般論としては、公的資本増強行は、経営健全化計画の下で安定的な収益を上げつつ、企業価値を向上させることが求められておりますが、その時々の配当の具体的な水準は、同計画の履行状況や業績等を踏まえ、各行の経営判断により適切に定められるものと考えております。

ですから今申しましたように、経営健全化計画の上で、その延長上で色々、当然民間金融機関ですから、民間経営者の判断があるわけですから、そういった意味で一般論として申し上げれば、各行の経営判断によって適切に定められるものと考えております。

問)

オリンパスの問題なのですけれども、先日、メインバンクのトップが粉飾を見抜けなかったという発言がありました。これは一般論として聞かせて頂きたいのですけれども、企業の経営の透明性ですとか、公正性を確保していくときに、メインバンクの役割ですとか責任について、金融行政を預かる大臣のお考えをぜひ聞かせて頂きたいのですが。

答)

一般的に言えば、当然メインバンクがきちっと把握するのが適当であるというふうに思います。そうはいっても、情報開示、今、企業のガバナンスが非常に大きく取り上げられている時代ですし、ガバナンスの制度を変えたJ-SOX法等々やってきたわけですけれども、そういったことできちっと、やっぱり具体的な情報開示を企業がやっていくべきだと思っています。

率直に言えば昔はメインバンクというのは非常に強かったのです。我々が国会議員になった27~28年ぐらい前は。ただし、メインバンク、系列というふうなことも日米構造協議で大変言われまして、私の短い政治経歴の中でも、昔の日本は、非常に系列メインバンクというのは非常に強かったですけれども、そういったことを大変厳しく世界から非難されました。確かあれは、中曽根内閣の時に、日本銀行元総裁が前川レポートなんかを出して、それから非常に構造改革が始まったのです。

それから、私の率直な感想ですけれども、私の地元でもメインバンク制というのがだんだんだんだん弱くなってきている。メインバンクをむしろ持たないとかいうような企業も増えてきまして、今でもメインバンクはありますが、27~28年前に比べれば、メインバンクが持っている企業に対するガバナンスが、非常に弱くなってきたなというのが一般的な感想です。

しかし、当然ですけれども銀行というものは、私が何度も申しますように、基本的に人様から預かったお金を貸して利子を付けてお返しをするというのが、民間金融機関の基本です。当然、預け入れした人に(対する)責任があるわけですから、そういった意味で、ご存じのように銀行法上、公益性、公共性もきちっと担保されているわけでございますから、そういった意味で、やっぱり広い意味での銀行というものは社会的責任があるというふうに私は思っています。

問)

ファクタ出版の阿部と申します。

BNPパリバ証券についてお尋ねします。

BNPパリバは、過去に三菱電機EB債(他社株転換社債)事件とか、アーバンコーポレーション事件とか色々起こして行政処分を受けていますが、今回、クレジットトレーダーが日本相互証券(株式会社)を通じて不当な安値販売を行ったということで、いずれ証券取引等監視委員会から金融庁に処分勧告があると思いますが、金融庁としては、再三再四こういった行動をしているBNPパリバに対して、累犯ですから、従来の処分ではなくて業務停止処分にする考えはあるかどうかをお尋ねします。

答)

BNPパリバ、本体はもうご存じのようにフランスで一番大きな民間金融機関で、私も去年の8月パリに行った時に、BNPパリバに行って頭取にお会いしました。今はご存じのようにフランス一の預金量を誇る銀行でございまして、それの系列の証券会社の話だと思いますが、これは個々の話になりますから、しっかり意見は聞かせて頂きますけど、個別のことでございますから、私から申し上げることは適当でないと思います。いずれにいたしましても、やっぱりこういうのは公正性が非常に大事でございますから、そこら辺は色々な意見があると思いますが、きちっとした判断をしたいと思っております。個々の話でございますから、コメントは差し控えさせて頂きたいと思います。

問)

先ほどお話の出たオリンパスについてですが、先ほど申しました三菱電機EB債、2002年ですけれども、その前のEB債を販売する時点で、BNPパリバの債券部長は、現在のオリンパスの社外取締役の林純一さんなのです。そのようなオリンパスの時価会計を超えるために色々な不正を、損失隠しを行った時に、BNP(パリバ証券)はある部分、一枚かんでいるわけです。

そのかんでいるところについて、当事者が現在社外取締役をやっているというのは、日本の社外取締役制度において不適格ではないかと思うのですけれども、大臣のご意見はいかがでしょうか。

答)

オリンパスとBNPパリバ証券の個々の話ですけれども、恐縮でございますけれども、私の立場から今の時点でコメントすることは差し控えさせて頂きたいと思っております。

問)

先週金曜日の会見で、「こうした個別ケースをもって我が国上場企業や市場全体を規律に欠けるものと評価することは正当でない」というふうに大臣はおっしゃいましたけれども、これは個別ケースではないという、つまりBNPパリバとか、そういう外国証券会社がこういった飛ばしとか、そういうものに関与しているという構造があるということは、今まで金融庁は考えていなかったのか。

一つは、6月に企業会計審議会で臨時委員を大量に入れて、国際会計基準の反対派の人を随分入れたと思うのですけれども、その中にテルモ(株式会社)という医療機器メーカーの和地(孝)名誉会長が入っていますが、テルモとオリンパスは非常に親しい関係で、テルモは(オリンパスの)株主でもあります。和地さんのような、国際会計基準に反対している方を入れたということは、要するにオリンパスのようなこういう不祥事を、日本は制度的に国際会計基準を遅らせることによって入れないと。それは見せないということになるのではないですか。

答)

大変想像力をたくましくしておられますけれども、私は医者でもございますから、テルモというのは我々昔、医療の関連企業として非常に成長してきた企業でございますし、和地さんというのは、たしか富士銀行の取締役をしておられて、後からテルモに入られて、非常に傾きかけたテルモを業界一にしたということで、審議委員に入って頂くことは(問題ないと思います)。人格、識見、それから若いころ、やっぱり当時の富士銀行の取締役までなられた方ですし、後からきちっと医療関連業界、あの分野ではたしか日本一です。(テルモを)再建された能力もある経営者だというふうに思っておりまして、今、色々言われましたけれども、そういったことは一切、私も今初めて聞いたことでございまして、全く方向違いの話だと(思っております)。

やはり企業会計基準について言えば、昨日、今度はSEC(米証券取引委員会)がスタッフペーパーをごく最近出しています。昨日か一昨日か出して、その報告を受けたのですけれども、このSECは今年いっぱいに、2011年までにどうにか方向性を出すという話をしていましたが、なかなか簡単には、色々な世界のビッグ500社の中でIFRSを採用している約180社の企業、当然その中にアメリカはございませんけれども、それをきちっと分析して色々な報告書を出しているようでございます。そういったことを含めて、SECはかつて2011年に態度を決めるというふうに言っておりましたけれども、今の時期にああいうスタッフペーパーを出してくるのは、どういうことを考えておられるのかなと思っております。国際会計基準は国際会計基準の話で、これとは別の問題だというふうに私は思っています。

問)

しかしながら、海外の報道及び機関投資家は、日本の会計基準について強い不信感を持っていて、国際会計基準の実施を遅らせること自体が日本の信用を損なうのではないかという気がしますけれども、それはいかがでしょうか。

答)

私は全くそういうふうには考えていません。むしろ日本の会計基準というのは、IFRSとアメリカの会計基準と同質性の評価をされておりまして、国際的にきちっと通用するということに世界的にもなっております。そういった意味で、やはりIFRSというのは、ヨーロッパは入っておりますけれども、ヨーロッパの中でも、この前フランスに行って、フランスの会計基準庁のハース長官にお会いしました。フランス政府の中でも余り論議なく、IFRSを入れたのだけど、(今では)フランスの中でも色々なご意見があるという話も聞かせて頂きました。私は本当に経済が大きくなる、強くなるというために、世界の多くの方々が納得した会計基準を入れるべきである、入れるのが必要だろうと思っています。今何度も言いましたように、日本の会計基準も同質性の評価というのをして頂きまして、世界でIFRS、アメリカ基準、それから日本基準というのは国際的に耐え得る会計基準だと、今のところでも言われています。またIFRSはご存じのように日本は任意適用していますから、ぜひ入れたいという企業は入れていいわけでございますから、そういった意味でもちょっと見解の違いがあるのではないかというふうに私は思っております。

問)

最後に一つだけ。

今回オリンパス(の問題)で、のれん代の過剰計上ということが言われていますが、のれん代を認めること自体も含めて、日本の会計基準に欠陥があるということが今回証明されたのではないかと思うのですけれども、それでも大臣は日本の会計基準は世界に通用すると思っていらっしゃいますか。

答)

全く通用しますよ、今。きちっと同質性の評価がされている。

問)

それが通用しないのは、要するにオリンパスでしょう。

答)

これはオリンパスの件は、この前、記者会見でも申し上げましたし、またロイター(通信)でも色々書いて頂きましたけれども、オリンパスの話は一つの事象でございます。ですから今、金融庁としてもきちっと注視をさせて頂いておるわけでございまして、これは日本全体の企業がそういうふうになっているというふうには私は思っていません。

問)

その根拠は何ですか。日本全体の企業がそうではないという、オリンパス以外にこういうケースがないという根拠は何ですか。

答)

日本の会計制度、あるいは監査制度、あるいは証券上場企業だとか、そういったところはきちっとガバナンスがあるし、透明性があるし、公正・公平・透明性のある市場だというふうに私は信じています。

問)

しかしながら、我々が(記事を)書くまで、監査法人もメインバンクも誰も見抜けなかったではないですか。それは違いますか。

答)

それは、今、実態の解明中でございまして、今オリンパスについてコメントすることは、今の時点では適当でないと思っています。

問)

世界日報社の野村でございます。

TPP(環太平洋経済連携協定)と郵政改革法案のことについてお伺いしたいのですけれども、野田総理の答弁等をお伺いいたしますと、TPP参加に相当積極的になっておられるような感じがいたしますけれども、TPPでアメリカ側はゆうちょ(銀行)とかんぽ(生命保険)への政府の関与をなくすということを強く求めていらっしゃるように思うのですけれども、そういうことであるならば、TPPと郵政改革法案とは矛盾するのではないかということで野党側の反論があって、審議拒否を今後も続けるということで、今国会での郵政改革法案の成立が非常に危ぶまれている状況もあるということで、関係者の方が危惧を表明されていらっしゃいますけれども、それについて大臣のご所見をお伺いいたします。

答)

まず一点、郵政改革法案、これは何度か申しましたけれども、店ざらしは国益に反するということを全国紙でもそういう論説を書いて頂きまして、ご存じのように私も郵政改革担当大臣にならせて頂いて1年5か月でございますが、遅々として進まないようですけれども、しかし、ご存じのように衆議院に郵政改革特別委員会を作って頂きまして、一般的質疑と言えども実質この法案に対するかなりの質問も各党から頂きました。

それから、TPPと郵政改革法案の関係ですが、昨日も参議院の委員会で、これも色々ご質問頂きまして、特に我が国の郵政改革に対してアメリカが関心を有していることは承知をしております。

しかし、TPP協定の参加に関わる関係国の具体的な関心事項や要望は、今後の協議の過程や段階で上がっていくものと考えており、現段階ではなかなか予断(をもってお答え)することは差し控えたいのですが、アメリカUSTRのカーク代表がこのことについて、保険市場ということについて述べられたということは知っております。いずれにいたしましても、この法律、郵政改革法案は第12条で、郵政事業は、同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮するものとすることを基本方針としておりまして、この基本方針の下に「経営の自主性」と「競争条件の公平性」のバランスの取れた設計であり、郵政改革法案は、WTO協定を始めとする国際約束の基本的精神に反するものではないというふうに考えております。その上で、国際約束との整合性を確保していく考えでございます。アメリカに去年の8月に行った時、アメリカの財務省のブレナード次官からもこの懸念を表明されましたけれども、こういうふうに今、法律第12条で、特にこの点は非常に注意深く、組立てさせて頂きまして、閣議決定する時もきちっとそのことは外務大臣から質問があって、私が答えるということで、法律の手続上も、非常にここは大事なところです。日本は色々言いましてもWTOの自由貿易体制の中で、戦後の国富を溜めてきたというのは事実でございますから、やっぱり自由貿易の原則、WTOの基本的精神、GATSの精神、こういうことをきちっと守っていく必要がございます。そういった意味で、ここは非常に丁寧にきちっと法律の構成をやらせて頂いたところでございます。

総理大臣も、実は11月11日の(衆議院)予算委員会での総理の答弁でございますけれども、「現時点では郵政事業を含めた、個別の2国間懸案事項を予め解決しておくことを交渉参加の前提条件として示している国はございません。今後、我が国の交渉参加の可能性について協議を進める場合、仮に例えば米国が郵政改革法案について問題提起した場合には、我が国としては、従来からの我が国の考え」、これはいまさっき言いましたように、「法案は、郵政事業は同種の業務を行う事業者との競争条件の公平性に配慮して行われるものとすることを基本方針としており、WTO協定を始めとする国際約束との整合性を確保していく。」ことを指しておられると思いますけれども、これを引き続き表明し、その国の理解を求めていくことに尽きるというようなことを11月11日の(衆議院)予算委員会で答弁しておられますから、私はきちっと主権国家でございますし、そこまでWTOにきちっと配慮して作った法律ですから、私はそういうふうな確信を持っております。

どうもありがとうございました。

(以上)

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