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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年1月17日(火)11時38分~12時03分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は特別にございません。

【質疑応答】

問)

先週末に米格付会社のスタンダード&プアーズ(S&P)がユーロ圏のフランスなどの国債を格下げしましたけれども、この国債を保有している日本の民間金融機関ですとか日本の金融システムの影響について、どういうふうにご覧になっているかお伺いできますでしょうか。

答)

分かりました。

今お話がございましたように、13日(金)のS&Pによるユーロ圏9カ国の格下げを受けて、欧州の財政・金融問題に対する懸念等から、通貨ユーロの下落など、為替市場を含む金融・資本市場で不安定な動きがみられているということは承知いたしております。

私は何度も申し上げておりますように、我が国の金融システムについては、総体として健全であり、安定しているということでございまして、内外の経済・市場の動向や、それが我が国の金融システムに与える影響については、高い緊張感を持って、注視してまいりたいというふうに思っております。

先般、ニューヨークに行かせていただきまして、金融界では、邦銀、メガバンクの責任者というか、アメリカ大陸の責任者ですね。日本の邦銀の場合、ニューヨークの支店長というのは中米・南米まで持っている、そういった金融機関も結構あります。それから当然、色々な人の話も聞きましたが、当然アメリカの金融界の人の話も聞きました。

やはりそんな中でも、カナダと日本の金融機関がリーマン・ショック、あるいは今度の欧州の通貨危機の中でも比較的安定しているというふうなことを言っている人が結構おりました。そういった意味で、私は高い緊張感を持って、眺めていかなければなりませんが、私が何度も申し上げておりますように、1997年、それから98年、私は第2次橋本改造内閣の郵政大臣でした。当時、北海道拓殖銀行が破綻、100年続いた山一証券が破綻ということで、あれから始まった、いわゆる金融危機があり、皆さん方はよくご記憶の方も多いと思いますが、日本の金融危機を世界の金融危機に広げてはならないということで、私も与党の国会議員でしたが、大変苦労をさせていただきました。金融国会等々の大変苦しい経験を踏み越えて、我が日本国は、私が何回も言っていますように、金融機関が破綻したときの法制だとか、それに対するきちんと財源的な裏打ちだとか、そういう仕組みはもう本当に世界でも1、2(位を争うくらい)私は完備してあると思っております。

そういった意味で、本当に苦しい目に遭いましたから、その結果が逆に言えばリーマン・ショック、あるいは今の通貨危機の中でも、私は我が国の金融システムは総体としては比較的健全であり、安定しているというふうなことを、アメリカに行っても、色々な金融界の方、アメリカで世界を代表するような民間金融機関のナンバーツーの人ともお話を色々させていただきましたけれども、そういう感じを私は全体として持ちました。

しかし、いずれにしましても、これは非常に世界的な危機ですから、高い緊張感を持って、本当に目を皿のようにして注視してまいりたいというふうに思っております。

問)

総合取引所のことなのですけれども、先日、副大臣級で金融庁に監督規制を一元化するということで合意したということなのですが、その合意の中身と今後その法案提出や実施時期について見通しをお伺いできますでしょうか。

答)

分かりました。

総合的な取引所については、金融庁、農林水産省、経済産業省の副大臣、大臣政務官で構成する「総合的な取引所検討チーム」において検討を進めているところであります。

私は、何度も過去、皆様方にご質問いただきましたけれども、これは政治主導で、閣議で総合取引所を作るということを一遍決定していますから、そういった意味で、決めたことはきちんとやらせていただくということが政治の信用の第一歩だと私は思っています。

必ず政治主導でやらせていただきたいということです。率直に言えば3省庁は長い歴史と伝統がありますから、よくご存じのように、金融市場、資本市場というのは、金融庁が所掌をさせていただいております。農林水産省が所掌しておられる米とか大豆とか小豆とかトウモロコシ、これは主食でございますし、ましてや日本は江戸時代から米の先物相場を始めたというような歴史もあります。農業というのはやはり一番古い産業ですから、私は極端なことを申し上げますが、人間というのは食べ物と水と空気さえあれば生きていけるのです。私も28年前から自民党にいましたから、農林問題はずっと、基礎科目として勉強させていただいたのですが、300年前とか200年前というのは電気も車もなかったのに、農業だけがあったというのは、世界のあらゆる国でも農業は一番の基礎であり、絶対大事な生命産業なのです。

そんなことで、皆さん方の中には、農水省から今この記者クラブに来ておられる方も(いるかも知れませんが)、農水省はやはり物凄く外郭団体も多いのです。明治以来、こんな外郭団体があるのか、あんな外郭団体があるのか。確かにその時代その時代では非常に必要であったことが多いのです。今はだいぶ整理したと思いますけれども、我々が若くて色々やっていた頃は、非常に農水省というのはそういう意味では、まさに地に足がついた省庁でございまして、はっきり言えば役所としての影響力は非常に強いところも、それはどの国でもそうです。アメリカでも、それから発展途上国でも農業というのは非常に大事なのです。

そういった意味で、穀物の先物取引、それから金だとか生ゴムだとかプラチナだとかガソリンですね。皆様方よくご存じのように、ニューヨークの相場とか、昔はドバイの船出しのときの値段だとか、それが日本の経済に特に第1次、第2次オイルショックのときは一喜一憂したことを、私は通産政務次官でしたから、当時、本当に心臓が縮むような思いをしました。

何でそんなことを申し上げたのか。一つ一つの先物取引、あるいは取引所に非常にやはり人類の産業革命、あるいは産業革命以前からの非常に古い必要な、経済活動で必須なものが多いわけですから、そういった意味で非常に色々な企業団体、あるいは社会にきちんとビルトインされていまして、そういった意味で、大臣にならせていただいた当初は、「そう簡単な話ではない」というふうに私も思っていましたけれども、おかげさまで昨日、3省庁副大臣の打合せが行われ、総合的な取引所について、規制・監督を一元化するという方向で、共通認識が得られてきているところと聞いております。

「総合的な取引所」の実現は、日本の市場の将来にとって極めて重要なことと考えていまして、今後、引き続き、関係省庁と連携して、取引所、取引業者等の関係者の意見を聞きつつ、次期通常国会に向けて所要の法案作成作業を進めさせていただきたいというふうに思っております。

以上です。

問)

引き続き金融担当大臣になられたと思うのですけれども、今年の世界経済や金融システムの最大のリスクは、どういったところにあるとご覧になっていますか。

答)

今、現下では欧州の、今日も月例経済報告が官邸でありまして、当然総理大臣、日本銀行総裁等々出席でございまして、経済閣僚はほとんど出席でしたが、その中でもやはり欧州の金融経済の問題、これは今日、日本銀行総裁も、もうこれは公式には発表していますけれども、経済の最大の下振れリスクは、まさに欧州の債務問題だと、こういうことを言っておられます。

やはり目先の問題というのは、まず今日、明日の問題が大事ですから、そういった意味では、欧州の金融危機の問題、それが当然、金融の問題が経済にも波及していますし、EU27カ国、ユーロを使っている17カ国、皆様方よくご存じのように、統一通貨ユーロは1999年から作りましたけれども、財政政策の方は17カ国ばらばらでございますから、それも憲法改正までして、ある程度きちんとやっていこうというような決意を示しております。

そういった意味でも、国際情勢を注視して、関係大臣、当然財務大臣、それから日本銀行をはじめ、経済産業省もありますが、たくさんの省が関係しておりまして、関係大臣と連携して迅速な対応を行うということが私は非常に大事だというふうに思っております。

それから、これは内閣改造における総理大臣指示にも含まれることですけれども、金融機能の安定を確保するとともに、地域金融の円滑化に向けた取組を進める。また必要な資金が新たな成長産業・市場に提供されるよう、金融資本市場の機能強化を推進する。これは非常に大事なことだというふうに思っております。

それから、去年もご存じのように、東日本大震災が発災したわけでございますが、東日本大震災事業者再生支援機構法に基づき、東日本大震災の被災者、被災事業者等が抱えるいわゆる二重ローン問題、事務局へは金融庁からも、かなり(人を)出しておりますので、そういった意味で二重ローンに対する支援措置が円滑に講じられるよう、関係大臣と協力していきたいというふうに思っております。

それからもう一点は、これは総理から頂いた指示の中にも入っておりますが、国際会計基準の導入に関しては、国際的な動向を踏まえつつ、産業界や中小企業の動向にも配慮して、我が国の方針を総合的に検討するということ。

それから、最後は一番大事なところでもございますが、私が総務大臣と密接に連携して、既に国会に提出している郵政改革関連法案の早期成立を図るなど、郵政改革の着実な推進に取り組むということでございます。

これは私が何回も言っていますように、1年7カ月やらせていただいて匍匐前進でやっと前の(臨時)国会の(衆議院の)郵政改革に関する特別委員会で、法案の趣旨説明をさせていただきました。そういった意味で、非常にスローだというふうに思われるかと思いますけれども、これは一時代を画すような、大変大きな法律でしたから、小泉・竹中さんの時代に、まさに日本の構造改革の1丁目1番地といった法律でございますし、これが現実に、東日本大震災の中で非常に傷んでおりまして、そしてそういった意味で、株式を売却して、それを東日本大震災復興の財源に充てるということも閣議では決めさせていただいております。そういった意味では非常に大きな問題だと思っております。

わざわざ郵政改革担当大臣を作っていただいたわけでございますから、これは今、3党で色々水面下でお話をやっておられるということはお聞きしております。何とかこれは早く、郵政の経営そのものも非常に脆弱になっておりまして、そういった意味で、やはり何がなんでも郵政改革の着実な推進に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

いずれにいたしましても、もう皆様方もご理解いただいているように、難問山積でございますけれども、その中できちんと優先順位をつけて、一番大事なのは、大震災からの復旧・復興でございまして、これは金融機能強化法を各党一致でやらせていただいて、公的資金の注入もやらせていただいております。今後、総理のこういった指示も踏まえて、引き続き緊張感を持って金融庁全員一丸となってやらせていただきたいというふうに思っております。

問)

オリンパスが歴代の監査役5人に責任があるというふうに発表して提訴する方針なのですが、これについての感想と、あと監査法人に責任はないというふうにされているのですけれども、これについて違和感がないか教えてください。

答)

昨日、1月16日(月)、オリンパスの監査役等責任調査委員会が会社に対して調査報告書を提出したことは承知いたしておりますが、個別の問題でもありますので、コメントは差し控えたいというふうに思っております。

私は前から申し上げておりますように、いずれにいたしましても、公認会計士法上問題のある事項があれば、必要な調査を行った上で、法令に則り厳正に対処しているところであり、今後も適切に対処していきたいというふうに思っております。

問)

三井住友フィナンシャルグループがイギリスのRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)から航空機リース事業73億ドル、5,600億円で買収を決めたのですが、このことについて大臣は邦銀の今の立ち位置といいましょうか、どういうふうにあるか教えてください。

答)

私も三井住友フィナンシャルグループ等が、英国のRBSグループ傘下の航空機リース事業を、関係当局からの許認可等が得られることを前提として、買収することに合意した旨を公表したことは承知をいたしておりますが、個別金融機関の経営判断に関わる事項については、コメントすることは差し控えさせていただきたいと思っております。

しかし、一般論として申し上げれば、各金融機関において、それぞれの事業戦略の中、適切な経営管理・リスク管理の下で、状況に応じた的確な経営判断を行うことは重要であり、その結果として、国際競争力と収益力の向上が図られ、財務基盤のより一層の安定が確保されることを期待したいというふうに思っております。

問)

大臣率直に、これは邦銀にとっていいことだと思いますか。それとも余りよくないことだと思いますか。

答)

それは当然、三井住友フィナンシャルグループの経営者がそういうふうに判断をしたわけでございますし、私はさっき申し上げましたが、円高ということもありますので、政府全体としては円高というのは日本の輸出企業には大変苦しい、厳しい環境ではございますが、一方、円高のメリットというのもあるわけでございます。買収することを合意したことの前提としては円高メリットがあると思いますので、やはりそれぞれの個々の経営者の経営判断でございますが、自分のところの金融機関が国際的展開をしていく場合に、必要というふうに判断した企業を買収していくといったことは、私は基本的には日本国政府も、例えば前も言いました資源に関することだとか、資源に関するそういったM&Aだとか、そういったことは基本的に賛成する、後押ししたいというようなことも言ったこともあると思いますが、そういった意味で、金融機関が世界での立ち位置を考えて、さらにきちんと国際競争力と収益性の向上が図られる財務基盤のより一層の安定が図られるというふうに経営者が判断してやっていただくこと、そういう動きというのは私としても期待はしています。

問)

総合取引所の関連なのですけれども、一元化に共通認識を得られたということなのですけれども、それぞれの取引所の再編・統合に向けてはどういうお考えでやっていくおつもりでしょうか。

答)

私は、少し小さいことを申し上げますと、副大臣会合で以下のような作業の方向性については確認しているというふうに、私は報告をいただいております。

1点が、証券・金融と商品を一体として取り扱う総合的な取引所については、規制・監督を一元化する。それから2番目に、総合的な取引所に対する金融担当大臣の権限行使に関し、物資所管大臣との間で、情報提供、事前協議、同意、措置要求の仕組みを設ける。それから商品のみを取り扱う取引所については、従来どおりとする、というふうな話も聞いておりますので、そういったことに則って今からやっていくと思いますが、しかしご存じのように、取引所もみんな経営判断でございます。ですから、大証と東証が合併を考えるということも、これはあくまでも両方の経営者の経営判断があると思いますので、各々の取引所が競争力強化の観点から、しっかり判断してもらったらいいというふうに思っております。

問)

あと設立の時期については、以前、閣議決定されたものですと来年を目途にということになっていましたが、それは変わらないという理解でよろしいのでしょうか。

答)

時間のことについては、副大臣と大臣政務官が一生懸命、昨日発表させていただいたので、そこまでは聞いておりませんけれども、大きく外れることはないのではないかというふうに予想はしています。

問)

通信文化新報の園田です。お世話になります。

いつも郵政のことばかり聞いているので、ちょっと漠然とした質問で恐縮なのですけれども、内閣が改造されて、そういう意味では3回目(の続投)でいらっしゃると思うのですけれども、よく大臣が「行政府の長だから」ということで政治家の立場と切り離して発言をされていらっしゃると思うのですけれども、行政府の長としての責任というのを、政治家の責任とどういうふうに違って捉えていらっしゃるのかというのを一度伺いたかったので、すみません。

答)

それは、私は金融担当の国務大臣ですし、郵政改革の国務大臣でございますから、特に金融行政は、きちんと法律に則って、やはり、それこそ「フリー・フェア・グローバル」と昔、金融ビッグバンのときに言いましたし、公正で透明性がある行政というのが大事だと思います。(また行政には)きちんと官僚組織というのがありますし、私は国民新党でございますから、基本的に官と民とはきちんと役割分担で、ベストミックスでいくというのが、私は最初に申し上げたと思います。そういったことを金融庁の職員の方々の能力も引き出しつつ、(金融庁には)専門家もたくさんおられますので、特に今、国際金融は非常に専門的な方、知識を持った方もおられますし、そういったところも総合プレイとしてやっていくと。

しかし、最終的な責任は、当然これは行政府でありますから、行政府の長の私にあります。それは一切変えることはございません。そういった中で、できるだけ金融というのは、産業の血液として、あるいは地域において金融仲介機能を持ってしっかりやっていく。どこまでが政治家の役割でどこからが主務大臣の仕事かと、完全にクリアカットに分けることはなかなか難しいかと思います。私も国会議員を務めさせていただいて27年目であり、14年前も郵政大臣として民営化の厳しいときにやらせていただきました。そこは9回選挙をさせていただきましたので、国民の判断だとか常識だとか(分かっております)。それから世界によく行かせていただきますけれども、世界の大きな流れ、鳥の目と虫の目をしっかり大事にして、足らないとは思いますけれども、全身全霊を挙げてやっていきたいというふうに思っております。

(以上)

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