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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年2月24日(金)9時37分~9時50分 場所:国会内)

【大臣より発言】

本日、AIJ投資顧問株式会社に対しまして、金融商品取引法第52条第1項及び同法第51条の規定に基づき行政処分を行いました。当社は、年金基金を主たる顧客とする投資運用業者であり、証券取引等監視委員会の検査継続中でありますが、投資者保護の観点から、本日、当社に業務停止命令1か月及び業務改善命令を発出したところであります。

いずれにいたしましても、今般、このような事態に至ったことは、誠に遺憾であります。詳細につきましては、事務方から今日11時から、証券課長以下、金融庁の会見室で説明をさせて頂くことにいたしております。

【質疑応答】

問)

AIJ投資顧問のことなのですけれども、一部報道では2,100億円の年金資金について大半を消失していたという報道もありますが、その消失の額ですとか、あとその経緯についてのことなど(事実関係をお教え下さい)。

答)

今般の行政処分(業務停止命令及び業務改善命令)でございますが、顧客資産が毀損していると見られていることから、投資者保護の観点から実施したものであります。

なお、毀損額及び毀損原因などは、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であることから、当局としては現時点では確たる内容を申し上げることは困難であります。

それから経緯につきましては、もう今さっき大体申し上げましたけれども、まず、2月17日に、証券取引等監視委員会より、本年1月から実施しておりますAIJ投資顧問への検査の過程で、当社において投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について疑義が生じている旨の連絡を受けました。この連絡を受けまして、急遽、同日中に当社に対しまして報告徴求命令を発出したところ、当社より「投資一任契約に基づいて行う顧客資産の運用状況について、現時点では毀損額、毀損原因は精査中であるものの、投資家に説明できない状況にある。」という旨の報告を昨日の夕刻受けました。

こうした事実は、金融商品取引法第52条第1項8号に基づく「投資運用業の運営に関して、投資者の利益を害する事実がある。」との処分事由に該当すると認められるため、投資者保護の観点から、当社に1か月間の業務停止命令及び業務改善命令を発出したところであります。この業務停止命令と業務改善命令は、今日、朝8時15分というふうに私は聞いておりますけれども、発出をしたというふうに聞いております。

問)

今、当社の説明で(顧客資産を)毀損したということなのですけれども、毀損した理由については何か言っていましたか。

答)

そういったことは(証券取引等監視委員会が)検査中でございまして、今申し上げましたように、確たる内容を申し上げることは今の時点では困難でございます。

問)

もう1点、この(毀損)額ですとか、あと虚偽の説明をしていたというような報道もありますけれども、刑事告発も視野に入れるということはどうでしょうか。

答)

当然、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であることから、当局としては今の時点では何ら見通しを申し上げることは困難でございますが、当然、法と証拠というものがきちっとありますから、それに従って、淡々粛々とやっていくことは大事なことだと思っております。

問)

別件なのですけれども、今週末G20がメキシコで始まるのですが、欧州危機対応のほか、金融関連ではボルカー・ルールについて議題に上がりそうなのですが、(金融担当)大臣としてどういう議論を期待されますか。

答)

今日、閣議で安住財務大臣が出張されるという話がございまして、まさにこのG20に安住大臣が出席するための海外出張だと思いますが、今のご質問でございますが、各国(が)それぞれの国内で金融規制改革を進めるにあたって国際基準を遵守しつつ、他国の金融機関や金融市場に不必要な悪影響を与えないように、他国と十分協議することが重要だと思っております。

今、お話に出ました米国のいわゆるボルカー・ルールの実施にあたっても、この方、私、一昨年でしたか、アメリカに行ってニューヨークでもお会いしましたし、昨年、私の金融大臣室も訪ねて頂いた、2メートル7センチぐらいある大変大きな、前の前のFRBの議長さんでございますが、このボルカー・ルールの実施にあたっては、他国の金融機関や金融市場に不必要な悪影響を与えないよう、多国間・二国間の協議を通じて、十分な調整が行われることを期待をいたしております。

今回、G20の財務大臣・中央銀行総裁会議について、会合開催前の現時点でその議論の内容を予断することは差し控えたいと思っておりますが、各国が密接に意見交換を行うための重要な会議であり、現金融規制改革に関わる論点を含め、世界全体の経済・金融の安定に向けた有意義な議論がなされることを期待をいたしております。

現在のボルカー・ルール、これは皆さん方は本当によくご存じだと思いますけれども、外国の金融グループの米国外の拠点に対して直接的にボルカー・ルールを域外適用されることにより、世界の金融市場の流動性に悪影響を及ぼすのではないかというふうな指摘があります。それから、適用除外の証券がご存じのように米国債、米エージェンシー債、米地方債に限定されているため、日本の国債や他のソブリン債市場の流動性が低下するおそれがあるということが指摘されておりますし、それから、短期の為替スワップ取引が規制対象とされており、米国外の銀行によるドル資金の調達に悪影響があるのではないかというふうに指摘をされております。

ご存じ(のように金融庁)といたしましても、昨年12月、当庁と日本銀行の名前でボルカー・ルール案に対する懸念を表明するコメントレターを提出いたしております。

問)

AIJ(投資顧問)なのですけれども、たくさんの企業年金(基金)が運用を委託していて、その背景にたくさんの年金受給者もいたと思うのですけれども、企業年金の年金への影響と、その影響の深刻度合いについて、改めてお願いします。

答)

私は、各年金(基金)の財務状況に影響を与えかねないことから、年金行政を所管する厚生労働省とも密接な連携を取ってまいりたいというふうに思っております。

私が最初申し上げましたように、今回の件も踏まえて、厚生労働省とは一層緊密な連携を取ってまいりたいというふうに思っております。

問)

投資者保護という観点から、そういう企業があること自体を見抜けなかった金融庁の責任とか問題意識というのはどういうところに持っているのでしょうか。

答)

私は申し上げましたように極めて遺憾でありまして、まだ現時点では、AIJ投資顧問の顧客資産が毀損している可能性が高いと見られますが、まずは、早急に、事実関係がまだ分かっていないわけでございますから、事実関係を明確にする必要があると考えておりまして、いずれにしても、やはり今般、このような事態が起こったことは誠に遺憾でございますが、やっぱりそういったことを踏まえてきちんと再発の防止、あるいはこういったことがどこまで(本当なのか)、まだ事実は分かっていませんけれども、金融庁あるいは証券取引等監視委員会の総力を挙げて再発防止に努めてまいりたいと思っています。

いずれにいたしましても、様々なご批判を真摯に受け止め、あらゆる選択肢を排除することなくやっていくことが私は必要だと思っています。

それからもう1点、こういったことを含めまして、本件が発生した原因について、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であるため、事実関係の解明を待つ必要があるが、監督当局としても、まず、早急に、投資一任業者に対する一斉調査を実施することとしたいというふうに思っておりまして、投資一任業者は263社ございますから、同時にAIJ(投資顧問)は今言った経過のとおりでございますが、投資一任業者を一斉に調査をすると、さっき申し上げたとおりです。

どうもありがとうございました。

(以上)

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