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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年2月28日(火)10時00分~10時26分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

お話しすることはございません。

【質疑応答】

問)

幹事社の方から3点ほどAIJ(投資顧問)の関係でお話を伺えればと思っております。

まず第1点目でございます。(先週)金曜日の閣議後会見だと思うんですが、大臣の方から再発防止に向けて一斉点検を行うという話をされておられました。今後いつ頃始めて、いつ位までに行うかというスケジュール、またどういった点検項目について聞いていくことになるのか、そういった詳細な中身についてお話を伺えますでしょうか。よろしくお願いします。

答)

AIJ投資顧問に対して発出した行政処分に関して、今回の事態を大変重く受け止めておりまして、前回発表させていただきましたように、全ての投資一任業者に対して一斉調査を実施することとし、近日中に、報告徴求命令を発出する予定であります。

一斉調査の内容については、現在、事務方が鋭意作業中であり、近々お伝えすることができると考えています。いつやるのかというご質問だと思うんですけれども、報告徴求の発出は、できれば、明日2月29日水曜日にも実施したいと思っております。実施に当たっては、概要を公表するほか、多分明日の午前中になると思いますが、事務方からブリーフィングを行っていただく予定であります。

問)

2点目でございます。今回の事案を巡りましては、資産を管理していたという信託銀行の責任について一部問う声も漏れております。この問題に関する大臣のご所見を伺えますでしょうか。

答)

年金資産の受託者としての信託銀行のあり方に問題はないのかというご質問だと思いますが、本件においては信託銀行は契約上、年金基金等顧客から投資一任を受けたAIJ投資顧問からの運用指図に従い顧客の資産運用・管理を行うこととなっており、投資判断を行う立場になかったものと承知をしております。いずれにいたしましても、当社への報告徴求命令に対する報告内容によっても、毀損原因を現在精査中であるとされているほか、現在、証券取引等監視委員会が(検査にて)精査中であることから、当局としては現時点でコメントを申し上げることは差し控えたいと思っております。

問)

もう一点、ご質問させていただきたいと思っております。今の信託銀行を含めた今後の再発防止策、対策について伺えればと思っております。本日の一部報道によりますと、アマとプロという線引きを変えることによって、企業年金(基金)の方に対する商品を販売する際の事前のリスクの説明を詳細にするといったような報道もなされております。これも含めて、今後の対策はどういったものを行っていかれるのか伺えればと思っております。よろしくお願いします。

答)

当然なご質問だと思っておりますが、本件が発生した原因については、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であるため、事実関係の解明を待つ必要があると思っています。ご存じのように、こういうときは、証券取引等監視委員会がまず事実の解明、それから、大体、基本的に原因の解明、そして再発防止ということをきちんとやっていくことが大事だと思っておりますが、検査当局の事実関係の解明を待つ必要がまずあると思っております。また、監督当局としても、早急に、投資一任業者に対する一斉調査を実施することとしております。これらを踏まえた上で、投資運用業者に関する規制・監督、年金基金・信託銀行に係る規制・監督などのあり方の見直しを含めて、これはこの前も言ったと思いますけれども、あらゆる選択肢を排除することなく、関係官庁とも密接に連携しながら、金融庁・証券取引等監視委員会総力を挙げて、今さっきも言いましたように、事実の解明、原因の追及、再発防止ということに努めてまいりたいというふうに思っております。

それから、私の記憶が正しければ、投資顧問業法上、(投資)一任業務は以前は認可事業だったと思っております。確か平成18年、2006年まではこれは認可事業だったんですよ。ところが、小泉内閣の時代に金商法の改正がありまして、与謝野さんが金融(担当)大臣だったと思いますが、あの頃は滔滔たる規制緩和の時代でして、そのときに金融(規制を)緩和いたしまして、登録制にしたというふうに私は覚えております。

それからもう一つ、これは全く個人的なことで、お聞きにならなくてもいいんですけれども、1990年に、私は本職は医者ですから、自民党の社会労働部会の副部会長をしていました。その頃、1990年ですから、バブルが盛んで、それまではご存じのように年金の受託というのは信託会社と生命保険会社に限られていたんですよ。我々が1983年に国会議員になった頃から、私もずっと社労の下働きをしていましたが。

昭和の年金(制度)大改革で基礎年金(制度)を作ったとき、今720人いる国会議員の中で、多分現存している国会議員は伊吹文明と私ぐらいだと思いますよ。谷垣禎一、彼と一緒に、昭和の年金(制度改革)で基礎年金(制度)を作ったわけですから、5万円の、大改革だったんですね。大変大きな国会でして、谷垣さんも社会労働委員会の一委員でした。私は0.5期上ですから、鹿児島に公聴会に行きましたよ。愛知和男さんが委員長、理事になって行きまして、谷垣さんが飛行機に乗り遅れちゃってね、与党の国会議員は私は一人だったんです。多分向こうには社会党の村山富市さんがおられましたよ。そんな時から苦労しておりまして、勉強させていただいておりまして、私は1990年に社会部会に行ったら、そういう話がありましたので、それはちょっと待ってくださいよ、株というのは永遠に上がるものではないと、やっぱり下がると。当時、株というのは永遠に上がるようにみんな思っていたのですよ。だから、早く投資顧問会社とか有利な運用をしないと、要するにバスに乗り遅れるというような雰囲気がありまして、がんがんそういうことを推進する人たち、あるいは推進している役所もあったのだろうと思います。具体的には言いませんけれども。私はやっぱり社会保障の本質を考えて、安心、安全、確実、有利なものをすべきだと、大変強く主張しまして、確かその投資顧問会社が年金の資金の運用をするのが1年延びましたよ。自分自身もそういう思い出があるんですね。

これは金融(担当)大臣と関係がない話ですけれども、やはり年金ですから、そういうところはきちんと国家というものが(制度を整えて)、儲けていいところは幾らでも儲けていいんですよ。そのかわり(投資者の)自己責任ですよね。だけど、こういう年金なんていうのは、法律によって、高齢者の方々が老後を頼んで、1段目は基礎年金、2段目は厚生年金、3段目は企業年金といって、基本的に自己努力の分野ですけれども、それでも国がある程度やっているわけです。そういう意味で、やはり政治というものは安定した部分と、それから自由主義社会ですから、自分の才覚、あるいはリスクは少々とってもリターンを追うと、当然二つあっていいと思います。その辺のどこを線引きするかというのは、やはり自由主義社会における政治家として非常に大事なところだというふうに(思っています)。私は今度のことも、昔、1990年、一人だけ社会部会で反対しましたよ。そこら辺が、今郵政の問題にしても、基本的に市場というのは非常にダイナミックに(動いており、)お金も大きくなりますし、経済も発展しますけれども、同時に、人間対人間ですから、社会的存在ですから、そこをどこら辺で線を引いていくのかということが、私はやはり自由主義社会において非常に大事な政治家の役割だと思っています。

例えば一例を言うと、ちょっと悪いのだけれども、「警察なんて、あんなのなくていいよ」と言う人はいますか。しかし、警察は利益、利潤を上げますか。上げないでしょう。だけど、警察がなかったら、まさに泥棒が来そうだとか何かいうときに、電話で110番にかけても、「あなた、5000円お金を持っていますか」とか、「1万円ぐらいかかりますけれども、お金を持っていますか」といって来なかったら、治安なんかできませんよ。それと同じように、やはり世の中というのはみんなの社会ですから、そういうお金、利潤も確かに大事だけれども、そういったことを超えた公といいますか、警察、治安の安定だとか、みんなが落ち着いて幸せに暮らせるとか、そういったことが必要だと。とかく、警察の予算なんかもったいないから、変な話、警備会社に全部(委託)しろというのは、誰も言わないでしょう。その辺、金融の世界も、特に私は今こんなことをさせていただきまして、今日は年金の問題ですが、そこのところのバランスというのは、派手ではないかもしれないけれども、政治家が一人一人、国家観と、歴史観と、価値観を持ってきちんと決めていく問題だというふうに私は思っています。人間というのは、天使にもなれれば悪魔にもなれるというのがヒンズー教の人間の定義ですけれども、どういう時になっても、それはある程度社会で保障されるということが大事ではないですかねというふうに私は思っています。

問)

これだけ大きな問題を起こしたAIJ(投資顧問)の免許の取り消しについてはどのようにお考えですか。

答)

これはいろいろ新聞、テレビがやっていますけれども、私は今さっき極めて重大な話だと、重大なということを言ったと思いますが、当然ですが、まずこの実態(解明)、それから原因の追及、再発防止ということでございますけれども、まだ今の時点で、やはりこれは法律国家の話でございますから、係る事態が発生したことについては、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であるため、事実関係の解明の必要があるということでございますが、私はこれらを踏まえて、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁とも密接に連携し、今さっきも言いましたけれども、やはりあらゆる選択肢を排除することなくということに強い気持ちがあるんだということをよくご理解いただきたいと思っています。

当然、近代国家ですから、当たり前ですけれども、行政ですから、証券取引等監視委員会の検査が継続(中であるため)、まず事実関係の解明を待つ必要があるというふうに思っております。ただし、このこと全体が非常に重たいことだと、私は非常に遺憾に思うということもこの前言ったと思いますが、そういったことを総合して感じていただければと思っております。

問)

もう一点だけすみません。ケイマン諸島などへの調査体制については、海外からの協力も得られているのでしょうか。

答)

ケイマン諸島ね、租税回避地というので、以前、サミットだったか、(米大統領の)オバマさんがそういったところを少しなくしてはどうかとか、いろいろそういった話題が出ていましたが、そういったことが新聞には踊っていますけれども、証券取引等監視委員会に関わるこの事態については、まだ調査中でございますので、コメントを差し控えさせていただきたいと思っています。いずれにしましても、サミットでも議題になったように、世界には幾らかそういった租税回避地と称される地域があります。それが全体的な金融業にとっていいのか悪いのかということもきちんと考えていく必要があると私は思っております。幾らか全世界にありますね。

問)

確認なんですけれども、AIJ(投資顧問)の免許取り消しについて選択肢を排除しないというお話をさっきされたということでよろしいのでしょうか。

答)

それだけにとどまらず、広い意味で、あらゆる選択肢を排除することなくやっていきたいと思っております。

問)

それと話がちょっと変わるんですが、今後の制度に関する再発防止策の中で、以前は認可制だったのが、登録制になったというふうに言及されたのは、そういった認可制か登録制かという制度についてもまた根本から考えてみるというようなことなのでしょうか。

答)

「あらゆる選択肢を排除することなく」ですから、そういったことも過去にはあったわけですから、そういったことも振り返りつつ、きちんとこういった時代に最適な再発防止方法も考えていきたいというふうに思っております。

問)

私的年金、3階建て部分ではありますが、国民の年金に対する不安というのが広がっていて、2点伺いたいんですけれども、まず、随分過去に遡って、経緯はあるんですけれども、政府の責任というと大げさなんですけれども、問題点。金融行政、厚生労働行政の問題点は何があったのかと、これの認識をお伺いしたいんですが。

答)

今言ったように、これは基本的に厚生年金基金を認可法人にするのは厚生労働省でございまして、しかし、その中で資金の運用の部分の投資顧問業は我が庁が関係しているわけですから、いずれにいたしましても、本件についてこういった事態に至ったことは誠に遺憾であると思っております。それから、事態が発生した原因については、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中であるため、事実関係の解明を待つ必要があると思っております。これらを踏まえて、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁とも密接に関係しながら、金融庁・証券取引等監視委員会と総力を挙げて、再発防止に努めたいと思っております。

問)

大臣、すみません。私の質問は、厚生労働省も見直しに向けて動き出したと、金融庁も見直しに向けて動き出したと。見直しに動き出したということは、今回の問題を踏まえて、過去の金融、厚生労働の行政に何か問題、課題があったからだと思うんですね。それについてどういうご認識かという質問なんですが。

答)

それは本件が発生した原因については、現在、証券取引等監視委員会が検査を継続中でありまして、やはり事実関係をきちんと解明する必要があります。今急いでやっているというか、この前、例外的に(証券取引等監視委員会の勧告より)早く投資者保護のために(行政処分を)やったわけでございますが、また、監督当局として早急に投資一任業者に対する一斉調査を実施することにしております。これらを踏まえて、投資運用業者に対する規制・監督、年金基金・信託銀行に対する規制・監督など、あらゆる見直しを含めて、あらゆる選択肢を排除することなく、これはぜひ意味を酌んでいただきたいと思いますが、あらゆる選択肢を排除することなく、関係省庁とも緊密に連携しながら、金融庁・証券取引等監視委員会総力を挙げて再発防止に努めてまいりたいというふうに思っております。

問)

もう一点、すみません。永田町や市場からは、この問題が今野田内閣が進めている税と社会保障の一体改革に何らかの影響があるのではないかと、こういう指摘があるわけですけれども、税と社会保障の一体改革に何がしか影響を与える可能性があると思われますか。

答)

それは私がたまたま所掌しているところが金融庁(の)担当国務大臣でございますから、特に投資顧問業者の(投資)一任(契約)について、まず事実を確認して、特に何か問題があれば、まずそこをきちんとやっていくということが私は大事だと思っております。

だから、こういうことを私から言うのもおかしいと思いますが、これはぱっぱっぱっぱっと、かなり通常の検査を少し前倒しして、すぐその日に業務改善命令を出したとか、これはやはり影響が大きいですから、そういうことも感じて、私の所掌内でできるだけ急いでいろいろな手を打ったつもりでございまして、それは皆様もご理解していただけると思っていますが、これは押せ押せと言ったら悪いんですけれども、実際こういったことですから、年金を預けた人たちが非常に不安になるということは、政治としては非常に遺憾なことでございますから、できるだけ先手先手を打って、まず一日も早くAIJ(投資顧問)の事実解明をするということをさせていただいたつもりでございます。

問)

確認の意味でお願いします。AIJ(投資顧問)のお金の行方なんですけれども、今精査中と言われていますけれども、預託の大半を消失したとありますが、どのくらいの範囲で毀損が出ていると見ていらっしゃいますか。

答)

その辺はまだ(証券取引等)監視委員会が今検査中でございまして、具体的に私からどうだこうだというのは申し上げる段階には至っていないと思っております。

問)

厚生労働省がAIJ(投資顧問)の年金消失の関係で、(当社に投資残高のある基金について、)加入者が53万人、受給者が34万人というふうに発表したようなんですけれども、この人数の多さについてはどのようにお感じになりますか。

答)

そういう数字が正しいかどうか、ちょっと金融庁のデータとは比べておりませんが、いずれにいたしましても数十万人の働いておられる方の3階建ての部分の年金でございますから、私は今さっきから申し上げておりますように、これは決して小さい数ではございませんから、その点大変遺憾に受け止めております。

(以上)

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