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自見内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年3月16日(金)7時51分~8時10分 場所:院内)

【大臣より発言】

今日は特にありません。

【質疑応答】

問)

AIJ(投資顧問)の問題についてなのですけれども、今回の問題となった投資顧問会社に対する一斉調査が行われていました。14日までに1次回答が各社から出てきたと。今後、どれぐらいのスケジュール感で、この第1段階の結果をまとめていくかということと、その公表段階において、どんな内容を公表すべきかという点について、どういった要素を想定されているか、教えてください。

答)

ご存じのように、2月29日の水曜日でございますが、一斉調査のための報告徴求命令を発出しましたが、報告書の提出期限である3月14日までに、全ての投資一任業者から、265(社)だったと思いますけれども、提出をされました。

今後、提出された報告書を精査し、記載事項について業者に対し補正や訂正の指示を行った上で、できる限り速やかに、第2次調査の対象となる業者を絞り込み、より深度のある第2次調査を行ってまいりたいというふうに考えております。

なお、第1次調査の取りまとめ結果については、できる限り速やかに概要を公表することとしたいと思っておりますが、第1次調査の結果ということでございますが、かなり膨大な調査報告が来たと仄聞しております。今から徹夜で一生懸命、それを集計するということは聞いております。

問)

社会保障と税の議論なのですけれども、消費税法案の方は閣議決定に向けて大詰めを迎えておりまして、国民新党(代表)の亀井さんが「消費税の増税というのは、国民新党の立党以来、一貫して反対だ。」と言い続けていると。「国民に対する約束を破ることになるので、法案に賛成できないのは当たり前の話だ。」とご発言しているのですけれども、大臣は(党の)副代表でもあるわけですが、代表と同じお考えを今の時点でお持ちなのかどうか。

答)

結論から言えば、今後、消費税増税に関わる法案が閣議決定されようとしているときの賛否については、仮定の話でございますから、今の時点でお答えすることは適当でないというふうに私は思っています。

いずれにいたしましても、もう皆様方ご存じのように、小泉さんが竹中さんとされた構造改革、それの一番象徴的な法律は、小泉さん自身が郵政民営化というのは構造改革の本丸だと言ったわけですから、それを私は何度か申し上げましたように、一つの法律を超えて、一つの時代のシンボルなのですね。

例えば、例えが適当かどうか分かりませんけれども、60年安保、70年安保、特に70年安保改定というと、(当時)私も学生時代ですが、巻き込まれましたが、それは当時(、東側諸国)の計画経済、社会主義経済がいいのか、あるいは西側(諸国)の自由主義社会がいいのかという極めて大きな選択という意味を持っていたわけですね。(郵政改革法案というのは、)それと一緒ぐらいに私は大事な法律だと思っていまして、ずっとこの30年間、特に米ソ冷戦構造(終結)以来、世界にずっと興隆してきた一つの新保守主義といいますか、そういった思想、それに基づいた経済政策、それによる社会の変化、政治の変化というのは、それはもう非常にアメリカを中心にあったわけでございます。

アメリカは米ソ冷戦構造の後、一強の国でしたから、経済的にも政治的にも、軍事的にも極めて大きい国でございましたから、いわゆるワシントン・コンセンサスといいますか、これはノーベル賞をもらった経済学者などが言っていますけれども、お隣の中国も改革開放ということで、鄧小平が自由主義経済に参入してきたと。それから当時、かつてはソ連の衛星圏だった東欧も、要するに、よくご存じのように自由主義経済に参入してきたと。

そういう大きな変化があった中で、アメリカが一強として、要するに基本的に小さな政府、それから過度の規制緩和、それから官から民へと、それから市場原理主義という、言うなればその四つの言葉に象徴される、できるだけ政府の関与をなくして、企業が企業活動をしやすいと言いながら、現実には当然、世界企業が非常にビジネスがしやすいというふうな環境をつくろうということを、極めて強力な力でやってきたわけでございます。

日本でも、むしろ小泉さんと竹中さんがそれを積極的に取り入れたという政策を採ったわけでございます。しかし、本家本元のアメリカ自身が、経済的にはまさに経済のグローバル化というのは結果として起きたわけでございますけれども、経済のグローバル化というのは、もうよくご存じのように情報通信の発達、あるいは金融工学の発達というのがあったわけですけれども、そういったことの総括として、3年前のリーマン・ショックというのがあって、それがうまくいかなかったと。会社も倒産したし、アメリカの経済社会にもものすごく混乱を起こしたし、経済のみならず社会、政治にも(混乱を)起こしたと。それが今ヨーロッパにも、日本にもずっと伝播したわけでございました。

言うなれば、1929年、私は何回も申しておりますように、世界大恐慌が来たと。その影響が、経済がブロック化して世界大戦になった、第二次世界大戦の原因の一つになったと、こういうことを私は何回か申し上げておりますが、今度もそれに匹敵するような、この市場原理主義の失敗で、へま(を)すれば、これは本当に(自由主義経済からブロック経済への)コペルニクス的変化(になり得るの)ですから、それを防げるものは(国際協力以外に)ないということで、G7、G20を人類は今やっているわけでございます。

G7、G20の代表(的な議題)を見ていただいたら、金融規制改革なのですよ。全部「金融規制」という言葉が書いてありますし、アメリカでもドッド・フランク法を作ったり、ボルカー・ルールを作ったり、秩序あるといいますか、本当にアメリカはよくグリードと、強欲金融資本主義と言われますけれども、それが非常に今世界中で、やはりちょっとそれは行き過ぎではなかったのかという流れが世界中で強いわけですから、そういった時代を象徴するのが、官から民へという郵政民営化だったわけです。そのことをぜひ皆様方に分かっていただきたい。

何も、郵政の一法案でない、ましてやもう(旧)郵政省の利益だとか、そんな小さな話ではございません。これは世界観の話でございまして、何百年に一遍ぐらい世界は大きく変わるのです。私はもう一強が、今はアメリカの景気はいいのですが、非常に大きな歴史・政治的な変化、300年ぐらいヨーロッパ文明が中心で世界を引っ張ってきたわけでございますけれども、私が言いますように政治としては議会制民主主義、それから経済としては資本主義、それも今言いましたように、金融優位の資本主義、そしてもう一つはグローバリズムですね、この三つがどうも今の世界と調和をしていないと。

例えばグローバリズムで、皆さん方はこんなもの(ICレコーダー)を(テーブルに)置いていますけれども、これは多分、部品は結構東南アジアとか中国で安く作っておられると思いますよ。そうしますと、当然いい面としては、中国だとかああいった、昔は発展途上国だった国々の労働者に働く機会が非常に増えまして、膨大な富が新興国に集まって、それが中国、ブラジル、あるいはご存じのようにインドとか、そんなところに来たのだけれども、同時にそのことは先進国と昔言われた、いわゆる議会制民主主義、それから高度の資本主義、そしてやはりグローバリゼーションの原動力を持っている、世界企業を持っていた、その国の中産階級の所得をダーッと下げたのですよ。

日本でも残念なことに、今、野田さんが一生懸命「分厚い中産階級」と言っていますけれども、結果、たしか100万円ぐらい所得が落ちたのですよ。3年半前の我々の政権交代の1週間前に文書をつくりましたが、あれに政府が当時、麻生内閣の発表にも、国民の所得が平均100万円落ちたと。皆様方の給料だって10年前と比べて上がったかというと、多分余り上がっていないのではないかと思います。そんな現象がアメリカでも、ドイツですら起きているわけですから、そういった中で先進国において、国内的には議会制民主主義によって対立が非常に厳しくなったのですね。

私の今まで生かしていただいた経験からすると、どんどん経済が大きくなる時は、余り国内の矛盾点は露呈しないのですよ。経済が縮小しますと、縮小均衡になってくると、非常に対立的な意見、あるいは労使の対立とか…そんな中で、やはり私は今後の消費税増税に対する法律(案)が閣議決定されるということで、賛否について、仮定の話であるということですが、今の時点では恐縮でございますけれども、お答えするのは適当でないというふうに思っています。

いずれにいたしましても、消費税の増税は大変重要な問題でございます。私自身も竹下内閣の時、消費税(制度)を設立したときの政権与党でございましたし、議院運営委員会の議事進行係でございましたから、国会運営の要の一人、本当に末席でございましたけれども、そういったことで、消費税の増税は大変重要な問題であり、その具体化に当たっては、今後大綱に寄せられる民意等も踏まえて、さらに多面的、多角的に検討し、今も予算委員会についても、この質問はたくさん出ておりますし、民主党も党内で話し始めたやに聞いておりますが、そういった議論を尽くしていく必要があるというふうに考えております。すみません、ちょっと長くなりました。

問)

一昨日、昨日と、銀行業界の各団体の会見がありまして、そこで「AIJ問題の再発防止策としての規制強化に反対する」という声が相次いだのですけれども、この受止めと、反対されたとしても規制は強化すべきだというふうにお考えかというのを教えてください。

もう一点は、国民の間で、「第二のAIJ(投資顧問)」があるのかないのかというところで不安が広がっていると思うのですけれども、現時点で「第二のAIJ(投資顧問)」は出ないというふうに思っておられるか、それとも出ても対応できるように動いているというのか、大臣の今の姿勢を教えていただけますか。

答)

(全国)銀行協会をはじめ、金融界の責任者の方が色々発言しているということは、私も新聞の端で見せていただいております。

やはりこの問題については、まだ金融庁としては、これは調査段階でございまして、今やっと、今度は一斉調査の第1次の報告が終わってきて、あるいはAIJ(投資顧問)についてもまだ原因調査中でございまして、それを踏まえて今度はきちんと原因が何か、そして再発防止をしたいと思っておりますので、ちょっと今の時点で行政の方をお預かりしているわけですから、行政というのは正確なことをきちんと、法と証拠に照らし合わせてするのが基本的に行政です。

同時に、非常に大きな国民の感情というのも食い止めねばなりませんけれども、ちょっと今の時点で、きちんと行政というのは法律に基づいて、手順・手続きをきちんとしていく必要があると、それは行政の本質だというふうに私は思っていますので、今の時点で、まだ調査結果も出ていないという時点で、どうだこうだというのは、私は早過ぎるといいますか、早計だと思っております。

ただし、一般論として申し上げれば、このことについて金融界の指導的な方が、大変な怒りといいますか、今日も私、少し読んだけれども、新聞(報道)が正しいかどうか分かりませんけれども、(投資運用会社が)最初からこういった、何か正しくないことをしようと思ってやられたら、もうそれは手に負えないなどということを、どこかの会長が言っておられましたけれども、私は経済人というのは、当然ですが、法律もありますけれども、同時にモラルというのもきちんと、当たり前ですけれども商業道徳といいますか、それがあってしかるべきだと思いますよ。私は法律以前に、人をだましてはいけないとか、うそをついてはいけないというのは、近代資本主義の発展の大変大きな心理的ベースでもございますから、そういったところ、金さえ儲ければ何をしてもいいのだというふうな、一部、特にアメリカのリーマン・ショックの時代にも色々な事件がございましたけれども、そこはきちんとやっていく必要があるというふうに、私は個人的な意見に近いような話でございますが、そう思っていますね。

いずれにしても、行政の長としてしっかり、まず調査をして原因をきちんと追求して、そしてきちんと再発防止、利用者の保護のためにしっかりやっていきたいというふうに思っております。

問)

消費税の増税法案ですが、立場は難しいところもあると思うのですけれども、閣議決定が近づいているからこそ、国民に対して、閣僚として考え方を示すべき一面は当然あると思うのです。迷いはあるのですか、今。

答)

私も27年、政党政治家をしていますし、きちんと国民のために、政治は生き物ですから、そんなことも判断しながら、きちんと責任を持って判断していきたいと思っております。

問)

それは閣僚としての責任を重く見たいということですか。

答)

いや、もうそれは全て、私はもうご存じのように国民新党の副代表でもございますし、同時に今度の内閣の場合(も含めて)1年10か月ですか、郵政改革担当大臣だったわけですし、15年前も郵政大臣だったわけですから、そこら辺はきちんと踏まえながら、私の閣僚としてできる役割というのは、制限がありますし、しかし連立内閣2年半、国民新党と民主党は続けているわけですから、そんなことあれやこれやら判断しながら、また郵政改革の、私はこの前いつか申し上げたと思いますが、ある意味で最後のチャンスですから、(連立内閣に)2年10か月いた、そんなことも勘案しながら、きちんと最後は私の責任において判断をしたいというふうに思っております。

問)

先ほどの質問の2問目なのですが、「第二のAIJ(投資顧問)」が出てもいいように対応されているのか、それとも出ないというように思われているか、どちらですか。

答)

それはもう、少なくとも一斉調査をやっておりますので、そういったことはもう瞬発入れず一斉調査、265社に、たしか金曜日(2月24日)に発表した日に一斉調査をやるということをやったわけですから、それは当然、できることは金融庁としては、まさに非難を恐れず、あらゆる選択肢を排除することなく、きちんとやっていきたいというふうに思っております。

やはり金融に対する国民の信頼を(取り戻すべく)、結果がどうか分かりませんけれども、そういうことを本当に(あらゆる)選択肢を排除せず、非難をしっかり受止めながらやっていくという姿(を見せるの)が、私は今、こういう金融(行政)を預かる責任者としては非常に大事だというふうに思っております。

(以上)

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