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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年7月3日(火)11時00分~11時25分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

私の方から、皆さん方に申し上げることがございます。法人関係情報の管理態勢に関する点検についてでございます。

我が国を代表する大手証券会社において、インサイダー情報の漏えい問題が相次いだ事態を踏まえて、本日7月3日、公募増資等の引受業務で重要な役割を担っている大手証券会社12社に対しまして、法人関係情報の管理態勢について点検を行うよう求めることといたしました。

点検内容は、一つ、社内組織体制、二つ、法人関係情報の管理状況、三つ、課題と取組みといたします。点検結果については、自主的な取組みを重視する観点から、各社による公表を慫慂する、促すことといたします。

金融庁としましては、点検結果を踏まえて、問題を有する証券会社に対しては厳正・適切に対応してまいりたい、そう考えています。いずれにいたしましても、今般、このような事態に至りましたことは誠に遺憾であります。証券会社におきましては、その公共的な役割を強く認識して、インサイダー取引等の不公正な取引を防止して、市場の公正性や信認を高めるよう、適切な業務運営に最大限努めていただきたい。

詳細につきましては、後刻、私のこの会見の後、事務方から詳しく説明いたします。

このことにつきましては、今朝行われました閣議におきまして、私の方から報告をいたしました。そして、「今般、このような事態に至ったことは誠に遺憾である。今般の点検の結果を踏まえて、問題を有する証券会社に対しては、厳正に、適切に対応してまいります。」ということを、閣議の懇談会の中で申し上げました。

それからもう一つ、閣僚懇談会で、先週28日に日本郵政の株主総会が開催されまして、私が財務大臣の委任を受けて出席いたしました。私からは、郵政民営化法等の改正法の趣旨を踏まえて、今後とも会社運営に経営陣一丸となって当たっていただきたい旨を要請してきたところでございます。財務大臣や総務大臣などの関係者にも、私が委任を受けて出席したことについて感謝を申し上げました。閣僚懇談会で、このこともお話ししておきました。

以上でございます。

【質疑応答】

問)

増資インサイダーの件で、各社、発覚後に社内調査を行っておると思うのですけれども、それに加えて、このような改めて管理態勢に対する点検というものを、行政主導ではなく各社に求めるという意図について、一言お伺いします。

それと、先週金曜日に野村が調査結果を発表して、大臣は事前に、「自浄能力が大事だ」とおっしゃっていましたけれども、野村の報告や処分を見て、この自浄能力というものが十分に発揮されたと評価されているのでしょうか。

答)

いくつかありましたけれども、まず今般、大手証券会社に対して、法人関係情報の管理態勢に関する点検を求めるということにいたしました。今回の点検は、先ほども申し上げましたけれども、主幹事証券会社、メインの幹事証券会社において、公募増資に係る法人関係情報の管理について、問題が相次いで明らかとなったという事態を受けたものでございまして、背景として深刻な状況になっているということを認識しているということが一つです。

そして、今回の点検の目的ですけれども、一つは、証券会社における法人関係情報の管理態勢等に係る情報を収集し、その業務運営の実態を把握するということ、そしてもう一つは、証券会社における管理態勢の強化を促すこと、この二つであります。金融庁としましては、このように証券会社の管理態勢の強化を促すとともに、この点検結果を踏まえまして、問題を有する証券会社に対しては厳正かつ適切に対応してまいりたいということで、そのことをしっかりと意思表示したと考えています。

それから、自浄能力等の話もございました。野村證券は、6月29日のプレスリリースで、継続的な調査等を通じて態勢の強化を図るとしております。今後は、その改善策を徹底して実行することによって信頼回復に努めると言っておりますし、継続的な調査等を通じて態勢の強化を図ってまいる所存です。と話しておられることを承知しております。調査はやると言っていると、我々は認識しておりますし、社外の弁護士による調査は打ち切りという話ですけれども、社内での調査態勢では引き続きやってまいりますと、CEOの発言がございますから、このことは十分承知しているということでございます。

それを踏まえまして、一連のインサイダー情報の漏えい問題に関して、社内調査を実施していく。それから、その時点で把握した事実関係、原因分析、改善策等について6月29日に公表しておりまして、一定の自浄作用が働いているものとは認めています。

しかし、より大切なことは、これは前にも申し上げましたけれども、法令遵守意識、それから職業倫理など、役職員の意識改革も含めて、改善策が着実に実施されることだと考えています。まだ道半ばという認識です。ですから、この実行が伴って、初めて自浄作用が発揮されたという評価ができると思っていますから、まだ刮目してその動きを見ていきたいと思っていますし、今回の点検という作業に入ることも、我々の意思をしっかりと示したと、自分としては思っております。しっかりとフォローアップしていきます。

問)

昨日、民主党の小沢元代表のグループの議員50人が離党届を出しました。政権にとっては、基盤の弱体化にもつながる動きかと思われますし、国民新党としても分裂の回避を求めていたと思うのですけれども、この小沢元代表グループの動きについて、どう評価されますでしょうか。

答)

連立を組んでいる国民新党でございますから、やはり政権がしっかり安定していく、これは最も大事なことだと考えています。そういう意味で、自見(国民新党)代表からも、下地幹事長の方からも、党首会談でそのことは申し入れたと報告を受けています。私も、今回の分裂騒動の結果については、本当に残念だと思っています。世界の経済状況は、ご承知のとおりに非常に安定しているとは言えないような状況でございますし、経済・産業界の空洞化の問題も深刻に進んでいる。日本の雇用はどうなるのかということも心配です。一時的な景気の浮揚、そしてその動きについてそれぞれ一喜一憂しているのですけれども、長い目で見たときの産業の空洞化、国内から主要な製造業が外国に出て行ってしまう、国内で雇用が無くなってしまうということの深刻な状況を、やはり我々は国として取り組んでいるわけですけれども、こういう問題を抱えている。そして、東日本の大震災、そして福島の深刻な原発事故の対応、これを考えますと、自分もそのことに没頭してきただけに、一丸となって当たるべき政治がこのように安定さを欠いていくということは、非常に私としては残念でなりません。さらに一層、安定を求めてしっかりとした対応していただきたいと強く望んでいます。

問)

今の野村の弁護士の調査の打ち切りの件について、これからも社内で調査していくと言っていますけれども、これまで社内の調査でずっと見つけられてこなかったわけですよね。それで、今回、SESC(証券取引等監視委員会)の摘発を機に、社外の弁護士を集めて調査して、やっとここまで分かってきたと。それなのにここで打ち切るというのは、自浄能力を発揮していると思われますか、大臣。とても見えないのですけれども。

答)

初動が遅かったのではないかということも含めて、社内全体のガバナンスの問題も含めて、もっとしっかりとした対応はすべきだと私は思っています。その面で、今回の調査結果一つ一つの内容については、会社が判断したことですからコメントは差し控えますけれども、一般論として、もう少し初動も含めたしっかりとした対応があって欲しかったと思っています。そういうことも含めて、今回の点検を12社に対してやるということも我々は判断したわけですから、そこのところをしっかりと斟酌していただきたいと考えます。

問)

12社の一斉点検をされるということですけれども、国内の三大証券全てでインサイダーへの関与が認められたということで、金融庁の監督責任と言いますか、金融行政について問題があったと思われますでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

答)

そのことについての判断は、まだ持ち合わせていませんけれども、一連の事案をしっかりと、今回点検に入りますので、そういうことを含めまして実態がどういうことだったのか、まず事実関係の把握、そして社内の管理態勢、高い倫理意識、職業意識がどうだったのかということをしっかりと判断して、その事実を見極めることが大事だと思っています。

問)

野村の件で、1点確認なのですけれども、引き続き社内調査はされるということを先方は申している。ただ、「改めて社内で調べた結果、こういう問題もありました」あるいは「全くもって問題はありませんでした。」という報告を、改めて当局として求めるということはあるのでしょうか。それとも、調査していて、無ければないで、別に改めて報告は必要ないというご認識でしょうか。

答)

今後の社内調査の体制、これは野村證券自身が判断すべき事柄だと思って、コメントは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、連続して反復して起こっている、常態的にそういう状態があったのではないかということも世間は見ているわけですから、それなりの社内の判断の中でしっかりと対応してもらえると私は考えています。

いずれにしましても、今後の社内調査の内容や、その十分性も踏まえて、これは法令に則って厳正に対応していきたい。今回の点検を、しっかりと我々は取り組んでいきたいと考えています。

問)

アイティメディアの垣内と申します。国際会計基準について、一つ教えてください。昨日、企業会計審議会から中間的論点整理の文書が出されたかと思うのですけれども、特に任意適用の拡大などをうたわれているかと思うのですが、今後の金融庁の対応として、国際会計基準について何かご予定がありましたら教えてください。

答)

私も、先立っての委員会にも出席させてもらいまして、中間報告の内容については報告を受けました。それぞれの専門分野の人たちが時間をかけて議論された内容でございますので、これはしっかりとこれから検証して勉強してまいりたいと思っています。いずれにしましても、アメリカの状況、そしてヨーロッパのこれからの進め方、そういう国際的な色々な動きもしっかりとフォローしていきながら、我が国の対応はしっかり決めていかなければいかぬと考えています。

問)

国際的な動向を見られてから、その後、金融庁として次のアクションを起こすという理解でよろしいですか。

答)

そうですね。そういう委員会での内容もございますので、そこはしっかりと踏まえて、しかし、適切に遅れを取ることがないように対応を見極めていきたい、そう考えています。

問)

東洋経済の浪川です。

野村證券なのですけれども、先週、野村が出した一連の報告と改善で、野村は自主的に仕事をお休みするという、その理由が調査するためにということなのですけれども、僕の記憶だと、免許業種とか登録業者が自主的に業務を休んでしまうというケースは、あまり過去、なかったような気がするのです。つまり、登録業者とか免許業種というのは、どんな状況でもその業をやることが使命であるはずだと思うのです。国が認めて預かった業を自主的に閉めてしまうことというのは、どう考えてよいのか僕はわからないのですけれども、大臣はどう思われますか。

答)

やはり、コメントは差し控えたいと思います。これは、中で色々な議論があったのだろうと推測します。過去、平成3年頃に、自主的にそういう対応をしたことがあるという報告は受けましたけれども、中で相当議論があったのだろうと推測しますが、コメントは差し控えます。

問)

野村の件ですけれども、社外弁護士らで調査したのは過去の3事案であって、先ほど大臣からも、常態的に行われていたことも疑われるかもしれないとありましたけれども、今後、社内調査だけで十分だと考えられますか。

答)

野村のこれだけのことが連続し、そして繰り返して発生したということを、野村自身がどう捉えているのか。そこは、野村自身が自ら判断して、この深刻な事態に対して答えを出すべきだと思っていますから、今後の動きをしっかりと注視して見ていきたいと思っています。点検もまた、そういう意味でしっかりと取り組む必要があるということでございますので、そのことも我々の意思として示していると受け取っていただきたい、そう思います。

問)

今週、成長ファイナンスについての大臣会合もあるようで、内容は政務官会議で大体まとまっているようですけれども、休眠預金の問題とか、銀行業界から非常に抵抗が強かったものも盛り込まれているようですけれども、全体として大臣は、金融庁としての仕事ぶり、今回の成長ファイナンスについて、どのぐらい評価されているのでしょうか。何点ぐらいなのですか。

答)

成長ファイナンス推進会議の最終報告案というのは、まだ現在、検討中の段階であると聞いておりまして、今、具体的なコメントは、ここでは差し控えたいと思っています。

一般論として申し上げますけれども、我が国の官民が保有する多額の金融資産、これがその運用改善によって、我が国の成長のためにより有効に活かされる、また、運用の成果として国民の富の増大がもたらされるということは、極めて重要だとは考えています。一般論として、そう申し上げるところでございますけれども、具体的なコメントは、この場では差し控えさせていただきます。

問)

通信文化新報の園田です。

今更で申しわけないのですけれども、社会保障と税の一体改革で、法案の中身は3党合意というプロセスを経たと思うのです。郵政もそうだったのですが、大臣は国民新党の副代表というお立場でもあって、3党合意ということについてどうお考えでいらっしゃるか、一言か二言、お願いしたいのですけれども。

答)

新しい取組みとして、与野党が一つの目標に向かって答えを出す努力をしたということは、私は評価しています。国民が一様に関心を持っているこの社会保障の問題、自分の暮らしに直結する問題について、その財源等も含めて、やはり与野党が一つの場で議論して方向を出していったということは、今後の政治のあり方や政策の決め方について一つの道を示したと思っておりまして、私は評価しています。それから郵政についても、それだけの責任がまた伴うということですから、3党しっかりと、国民新党ももちろんそうですけれども、今後のフォローアップが大事だ、そう思っています。

問)

先ほどの証券会社の点検の件なのですが、これから事務方の説明があるということですけれども、12社というのはどこが該当しているかというのは公表されるのでしょうか。

答)

ええ。これは、事務方のほうから話を聞いてもらいたいと思います。

問)

では、後ほどということですね。

答)

はい。詳しい話があります。

(以上)

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