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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年7月31日(火)9時21分~9時42分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議の中で、一つは、「日本再生戦略」を了承いたしました。これは、フロンティアを切り拓いて、共創の国づくりを目指すという基本理念の下で、東日本大震災からの復興を図り、我が国の経済成長の礎となるものだという位置づけでございまして、デフレ脱却に向けて、物、人、お金を動かす観点から、平成25年度までに政策手段を動員するということで、平成32年度までの平均で名目3%程度、実質2%程度の成長を目指すということでございます。これが担当大臣の方から話がございました。

「グリーンとライフ、そして農林漁業、これを重点3分野、それに中小企業を加えた4つのプロジェクトを日本再生プロジェクトとして位置づけて取り組んでいくということで、めり張りのきいた配慮が可能となるようにしていきたい」という報告でございました。

それから、防衛白書の報告が防衛大臣からありまして、「動的防衛力を推進していく」ということのお話がございました。労働力調査結果と家計調査結果、それから有効求人倍率等についての報告がございました。

【質疑応答】

問)

増資インサイダー問題ですけれども、大和証券が社長や会長の報酬10%カットなどを決めました。これについての受け止めをお願いします。

答)

今ご質問ありましたように、7月27日に大和証券が社内調査結果と改善策等を公表いたしました。このことは内容を含めて承知をしております。大和証券は、弁護士等から成る調査委員会を設置して、事実関係、それから発生原因の究明及び再発防止策の策定等を行っておりまして、金融庁としては、当社の再発防止策は概ね妥当と評価できるというふうに考えています。しかしながら、色んな場面で申し上げておりますけれども、この当社が策定した再発防止策が十分な実効性を持って実施されること、これが再発防止にとって何よりも重要であるということは当然でございます。

したがって、当局としてはその実施・定着状況を確認していく必要があると考えておりまして、当社に対して金融商品取引法に基づく報告徴求命令を発出して、定期的に再発防止策の実施状況を確認していくことといたしました。なお、仮に今後再発防止策の実施状況等に問題が認められる場合には、当然ながら適切な行政対応を行ってまいりたいというふうに考えております。

問)

もう1点、AIJ投資顧問の問題ですけれども、昨日(30日)、2度目の告発を行いました。それについての所感をお願いします。

答)

初回の告発は7月9日でございました。今回、証券取引等監視委員会は昨日、30日、金商法の「投資一任契約の締結に関わる偽計の嫌疑」でAIJ投資顧問と同社の浅川社長他2名を東京地検に再度告発して、これを受け東京地検は詐欺罪と併せ、浅川社長他2名を再度起訴したものというふうに承知しております。これは被害者の基金が前回7月9日の告発と違うということでございました。内容は極めて悪質だという認識を持っております。

監視委員会におきましては、本年3月の強制調査着手以降、刑事告発に向け鋭意調査を行ってきたものでありますけれども、今般の告発と、それを受けた地検の起訴によりまして、前回の告発もあわせて関係者の責任追及に向けて大きな前進が図られたものというふうに考えております。

いずれにしましても、AIJ問題については、引き続き、再発防止への取組みを含め、金融庁、監視委員会を挙げて、総力を挙げて取り組んでいく考えでございます。働く人たちの年金をだまし取るという極めて悪質だという認識の下に進めていきたいと考えています。

問)

東洋経済の浪川と申します。

公的資金の注入を受けている銀行に関することについてご所見を頂きたいのですが、一部の銀行は今年の秋にも返済期限が来るのですけれども、震災関連の公的資金の注入という問題ではありません。もっと以前から公的資金が注入されている銀行の問題です。

大臣は公的資金を注入した銀行に対して、単に公的資金を返済してもらえばいいということでお考えでしょうか。それとも、公的資金を注入した銀行に対して、それ以上のことをお求めになるというか、どういうふうにお考えなのか、そのご所見を改めてお伺いしたいと思います。

答)

早期健全化法がありますね。これは、資本の増強に関する制度を設けることによって、金融機能の健全化を図り、我が国の金融システムの再構築と経済の活性化に資することを目的としているわけですね。ですから、一般論として申し上げますけれども、この早期健全化法に基づく公的資本増強をしている銀行等は経営の健全化のための改革を行った上で、早期に公的資金を返済すべく取り組む必要があるというふうに考えています。こうしたことから、公的資本増強行においては、経営健全化計画を策定して適切な業務運営を行うと同時に収益力の向上や企業価値の増大に取り組むこととされています。

また、このためには公的資本増強行において、持続可能で安定的なビジネスモデルの確立に向けてしっかりと取り組んでいくことも重要であるというふうに考えています。

こうした経営健全化計画に基づく取組みの結果として、公的資金返済に向けた環境が整い、公的資金の返済の申し出がなされた場合には、預金保険機構のいわゆる3原則がございますから、それに照らして検討を行って適切に判断することとされているところでございますので、そういう形で対応していくということです。

問)

先ほどの大和証券の報告徴求ですけれども、ちょっと確認させて頂きたいのですけれども、いつ付けで発出したのかというのと、報告の期限、さらにもう少し何を報告するよう求めているのか、もう少しご説明頂けないでしょうか。

答)

報告の徴求命令を出したのは先週の金曜日(27日)です。それと個別証券会社に対する行政対応の詳細については、ここでお答えできませんが、金融庁としては定期的に大和証券の再発防止策の実施状況を確認していくということとしたわけでございます。

繰り返して申し上げますけれども、仮に今後、再発防止策の実施状況等に問題が認められる場合には、行政として当然ながら適切な行政対応を行ってまいりたいということでございます。

問)

報告を求めているというのは、大和が発表した再発防止策、改善策について進捗状況をその会社から報告を受けるということですか。

答)

そうですね。

問)

この問題に関連してなのですけれども、定期的にというのはとれぐらいの頻度かというのをざっくり教えて頂きたいのと、あと、一体いつまでの期間、この報告を求め続けるのかというところの大体のめどについて、もし分かれば教えてください。

答)

必要に応じて、そしてまた一定の間隔を置いてやっていくと。

問)

改善が、もうこれで十分だというふうに思われた段階で報告する義務がなくなるということなのでしょうか。

答)

分かりやすく言えば、そういうことになるとは思いますけれども、引き続き事柄の状況から見て、やはり必要に応じてしっかりと改善策が実行されているのかどうか、これは当然金融庁としては、報告を求める、あるいは実行されていることの内容を確認するということは当然必要なことだと思っていますから、必要に応じて臨機応変に判断して対応していきたいということです。

問)

もう一つ確認なのですけれども、例えば、野村証券もああいうふうな形で再発防止策を出しておりますけれども、野村証券に対してはこういった形で報告徴求命令というのは出しているのか、出していないのかというところなのですけれども。

答)

今、出しているというふうには承知しておりません。野村が策定した一連の社内調査結果と改善策の取組み、それをさらに精査する、これは必要だと思いますけれども、トップが交代し、根底から中の改革を行うという強い決意が示されておりますので、そのことに私たちも強い期待をしながら、実効性についてしっかりとフォローしていく、これは必要だと考えています。

問)

大和証券の件なのですけれども、裏を返すと、現時点では例えば業務改善命令等の行政処分を大和証券に対して課す必要はないというふうに判断されているということでよろしいのか。今後、報告を受けて問題があれば行政対応ということなのですけれども、現時点でそういった必要性はないと考えていらっしゃっているということでよろしいのでしょうか。

答)

先ほど申しましたように、再発防止策は概ね妥当というふうに評価しているわけであります。それをしっかりと報告徴求を求めながら、さらに実効性をしっかりと確認し、フォローしていくということを考えているということでございます。当然、問題があれば、適切な行政対応を行っていくということはあるわけでございます。

問)

1人だけ全く関係ないことをお聞きしていて申しわけありません。先ほどの件なのですが、大臣のご所見で安定的なビジネスモデル、持続可能性、企業価値の増強というお話なのですが、それをもう少し銀行の業として落とし込んでいくと、やはり借り手の立場を十分に斟酌したような業務運営が求められるというようなこととして理解してもよろしいでしょうか。

答)

一般論ですけれども、やはりさっきも言いましたけれども、公的資金の返済の申し出がなされたという場合は、預金保険機構の3原則がありますから、それに照らして、しっかりと検討して判断するということだというように思っています。

それから、早期健全化法では、公的資本増強行に対して経営健全化計画において中小企業を含む信用供与の円滑化のための方策を義務づけております。

金融庁においては、この経営健全化計画の履行状況について、法律に基づいて半年ごとに報告を求めているところであります。収益の状況や中小企業向け貸し出し等について注意深くモニタリングを実施していくということでございます。

問)

1点ほど確認なのですけれども、今週金曜日、3日に先般発出した証券会社12社一斉点検の報告期限がありますと。これも先日の会見で公表することは考えていらっしゃらないというふうにおっしゃったのですけれども、これは金融庁としては公表する考えはないということだと思うのですけれども、証券会社自らが何らかの形で公にするということについての考え方についてはいかがでしょうか。

答)

7月3日に12社に対して点検をお願いして1か月という期間を設けてあります。金融庁としてこれは公表しませんが、企業に対しては強く慫慂する、発表してほしいと、それを強く慫慂したいという考えでおります。

問)

野田政権がエネルギー政策の見直しを行っているのですけれども、2030年時点で原発の比率を0%、15%、20~25%、この3つの選択肢を示しているのですが、それについて大臣はどの選択肢がふさわしいと考えるかというところと、あと、今後の原発の増設については、どう考えるかというところを2点考えを聞きたいのですが。

答)

それぞれの関係の部門でさらにそのことについて議論しているところですから、その議論の行方をしっかりと注目して見ていきたいと考えています。ここで今、私の発言することは慎みたいと思います。

問)

国民新党の方でも、この辺、エネルギー政策独自で考えていると思うのですけれども、核燃料サイクルの今後の方向性についても聞きたいのですけれども、現行の全量再使用を続けるべきか、それとも全量の直接処分や両者の併存、変更すべきか、その辺についてはどう考えるかというところですけれども。

答)

党としての考え方は党の方に聞いて頂きたいと思います。内閣としてまさにそのことについて議論の最中でございますから、その専門家の人たちの考え方、それらを注視していきたいということでございます。

問)

もう1点だけすみません。色んな意見もあるし、今後考えていかないといけない部分は多いと思うのですけれども、今後、どのような観点から議論を深めていけばいいかというところについて最後に確認したいのですけれども。

答)

それも含めて、今専門家の間で、それぞれのつかさつかさで熱心に議論されておられますから、その議論の方向なり内容をこれからもしっかりと注視していきたいと考えています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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