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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年8月10日(金)9時33分~10時05分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

「資本性借入金」の活用状況について報告をいたします。

金融庁では、資本性借入金の積極的活用を推進するため、昨年11月に「資本性借入金の積極的活用について」を公表し、金融機関等に対して活用の検討を行って頂くように、その周知や要請に努めているところであります。

今般、全国の地域金融機関に対して、「資本性借入金」の活用状況についてアンケート調査を行い、その結果を取りまとめました。詳細は、後ほど検査局総務課の事務方からご説明させて頂きますけれども、資本性借入金の活用件数は、平成24年度においては、今後の予定を含め、平成22年度に比べて6.7倍となる409件が見込まれておりまして、活用推進策の効果が現れているものと考えています。

金融庁におきましては、中小企業金融円滑化法の期限が平成25年3月末に到来することを踏まえて、出口戦略の一環として、今後とも、資本性借入金の積極的活用の推進に努めてまいる考えであります。

【質疑応答】

問)

今、大臣の冒頭発言で409件という話がありましたけれども、その数字につきまして簡単に評価というか、総括頂ければと思います。

答)

今、おっしゃったように、私がお話ししましたように、409件の活用が見込まれているわけですが、金融検査マニュアルの運用明確化やその後の周知活動などによって、この資本性借入金の活用水準の底上げが着実に図られているというふうに考えています。

金融庁におきましては、中小企業金融円滑化法の期限が平成25年3月末に到来することを踏まえて、中小企業の真の意味での経営改善につながる支援を強力に推し進めていくための環境整備を行うこととしているわけでして、その一環として、資本不足に直面している企業のバランスシートの改善を図ること、そして経営改善につながるように、資本性借入金の積極的な活用を推進してまいりたいというふうに考えておりまして、着実に活用水準の底上げを図っていきたいというふうに考えています。

問)

この他に何点かお伺いします。

まず、増資インサイダー問題を受けまして、証券12社が7日に自主点検結果と改善策を一斉に公表しました。公表内容につきまして、ご所見や今後の対応等につきまして何かございましたらお願いします。

答)

各社から8月3日(金)に、法人関係情報の管理態勢に関して、一つは社内組織体制、二つ目は法人関係情報の管理状況、三つ目は課題と取組みについて報告がありました。そして、その結果は、8月7日(火)に各社から自主的に公表されました。

各社からの報告や公表の具体的な内容についてコメントすることは差し控えますけれども、各社においては、社内規程等の法人関係情報の管理態勢は相応に整備されているものの、一連のインサイダー問題を踏まえて、更なる課題が明らかとなり、営業部署へのモニタリングの強化等の改善に取り組んでいくということだと承知をしております。

金融庁としましては、引き続き、高い関心を持ってこうした取組みを注視していくとともに、検査・監督を通じて各社の検査態勢を確認して、何らかの問題が認められれば、当然のことながら法令に則り厳正に対応してまいりたいというふうに考えています。

問)

次に、東京証券取引所で7日にシステム障害でデリバティブ取引が一時停止する事態が起きました。東証で繰り返しシステム障害が発生していることにつきましてどのように捉えていらっしゃるのか。

また、東証は、大証(大阪証券取引所)との経営統合を控えておりますけれども、システム統合などの点で何らかの対策を求める考えがあるのかどうかお聞かせください。

答)

金融庁としては、大変遺憾であると考えています。本年2月にも、システム障害が発生したばかりでありまして、投資家の信頼を低下させかねない、あるいは低下させたということで大変遺憾に思っているということでございます。

金融庁としては、再発防止のため、まずは東証において十分な調査等を行ってもらいたいと。そして、原因究明と再発防止策の策定が極めて重要だと考えております。

8月7日(火)に、金商法第151条の規定に基づく報告徴取命令を発出いたしました。その上で、仮に問題が認められる場合には、金融庁として必要な対応を検討してまいりたいというふうに考えています。

また、金融庁としては、東証において、大証との関係ですけれども、スピード感を持って、大証との統合を進めてもらいたいと考えておるわけでありまして、今回の問題がその障害とならないように、システム面も含めて、緊張感を持って、万全の体制で対応することを促してまいりたいと考えています。

本年2月にもシステム障害が発生したばかりでありますから、その学習効果が現れなかったのではないかと思っていますけれども、しっかり混乱のないように対応してもらいたいということでございます。

問)

次に、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)について、不正操作問題に関連しまして、イギリスの金融監督当局が三菱東京UFJ銀行のロンドン拠点の行員に対しまして、不正行為に関わった疑いがあるとして調査を進めております。この事実関係と、金融庁としての対応等についてお聞かせください。

答)

ご指摘のような報道があったことは承知しています。個別金融機関の個別事案に関する事柄でございますので、コメントは大臣として差し控えます。

一般論として申し上げますけれども、金融庁としましては、これまでも検査・監督を通じて、各金融機関の金利の呈示等に係る内部管理態勢等を確認してきております。今後も、引き続き、こうした点について検査・監督を通じて確認して、仮に問題が認められた場合には、法令に照らして適切に対応してまいりたいというふうに考えています。

問)

私から最後ですけれども、消費税増税法案が今日成立する見通しとなりましたけれども、紆余曲折を経てようやく成立までこぎ着けた形ですけれども、まず感想等をお願いします。

また一方で、野党が6党だったと思いますけれども、共同提出しました内閣不信任決議案は否決されるなど、政局は、総選挙の動きも絡んで緊迫感が強まっていますけれども、政治情勢も絡めて何かご意見等あればお願いします。

答)

まず、成立の見通しが立ったということでほっとしておりますし、良かったというのが率直な感想であります。

本来なら、長く続いた自民党政権の中で、もっと早くこういう問題に取り組み、答えを出しておくべきだったというふうに私自身は考えております。経済状況等の色んなことを勘案しても、そういうタイミングはあったと私は思っておりまして、そういうことを考えても、今回、消費税の将来見通し、前提条件は色々ありますけれども、やるべきことの対応はしっかりやるとして、今回成立の見通しが立ったということは、非常に良かったと私は考えています。

不信任等については、いたずらに政局に持ち込み、自分たちの主張はあるとしても、このことで貴重な国会が空転したということについては、私は残念だと思っています。多くの国民や東日本(大震災)で被災している人たち、福島の人たちがどういう目線で見ているか、よくそこの仕事をしてきただけに、大変残念だという気持ちを持っております。

問)

マガジンXの神領です。

消費税増税も国会をいよいよ通るというところで、皆さんおっしゃっているように、国民の負担はどんどん増える方向なのですが、金融庁の中で言うと、やはり火災保険、それから自動車保険、こういう損保関係も料率の引上げというのも来年度は目に見えていると。それから、金融庁が所管している、あるいは車に対してもそうなのですけれども、自賠責保険が先週、国交省の方で「自賠責のあり方懇」(今後の自賠責保険のあり方に係る懇談会)というのが毎年開かれていて、来年の頭には金融庁所管の自賠審(自賠責審議会)があって、自賠責の料率、保険料が上がるということは決まっている。それから一方で、国民の負担は増えていますけれども、色んなところで節約をして頂いて、国民の保険料負担上げをなるべく圧縮してもらいたいと思うわけですが、大臣の所見があればお願いいたします。

答)

前回も、そういうご質問が確かあったと記憶しています。

その時にも申し上げましたけれども、この自賠責保険料の水準でございますけれども、おっしゃったように自賠責審議会において、その審議の上で決定されるという手続が、しっかりとしたものがございますので、私からそのことについてコメントすることは差し控えたいと考えています。

また、任意の自動車保険についてですけれども、損保料率機構がありますが、各損保の契約実態を基に算出した「保険料の目安」、参考純率といいますけれども、これも参考にしつつ、各損保において、自動車運転者それぞれの特性等を踏まえて、経営判断で保険料の水準を設定しております。その具体的水準について、やはりコメントは差し控えたいと考えています。

いずれにしましても、保険料は、保険金の支払い状況や契約者間の公平など、様々な要素を考慮して総合的に判断されるものだというふうに考えております。

金融庁としましては、保険料の見直しに際しては、自動車ユーザーを含む保険契約者の保護の観点から、適切に対処してまいりたいと、前回も、お話し申し上げましたけれども、そのように考えています。

問)

財務大臣と国交大臣が、歴代4代にわたって(自賠責保険料積立金が)6,000億円溜まっているわけですが、それが一般会計に繰り延べされていると。この事実はご案内でしょうか。

答)

詳しく内容等は知りませんので、再度しっかり勉強していきます。

問)

LIBORの件ですけれども、イギリスの方ではLIBORの算定方法の見直しという論議も出ているようですけれども、今後、国際的な会議等でもどういう基準金利がふさわしいかという議論が多分されると思うのですけれども、日本当局としてどのようにこの議論にコミットしていくようなお考えがあるのか、教えてください。

答)

繰り返しになりますけれども、海外当局などによる指標の見直し作業が行われているとの報道があることは承知をしています。

他方、TIBOR(東京銀行間取引金利)につきましては、TIBORの取りまとめ・公表機関である全銀協(全国銀行協会)において、8月10日を期限として、全呈示行等に対して、「TIBORの公表要領」の遵守状況につき一斉点検を行っておりまして、その点検結果や英国銀行協会のLIBORの見直しに向けた検討状況等も踏まえながら、必要があれば見直しを検討する方針であるということは承知をしています。

このように、TIBORの運営については、一義的にはその取りまとめ、あるいは公表機関である全銀協において責任を持って検討すべき問題であって、しっかり対応してもらいたいと考えています。

但し、金利に関する不正操作は、金融市場の公平性・透明性に対する信頼を損ないかねない重要な問題であるために、金融庁としても、高い問題意識を持って、こうした全銀協の取組みを注視しているところであります。

なお、金利の呈示等に係る個別の金融機関の内部管理態勢等については、金融庁としては、今後も引き続き検査・監督を通じて確認して、万一問題が認められた場合には、法令に照らし適切に対応してまいりたいと考えています。

問)

「資本性借入金」の活用が進んだということなのですが、中小企業の再生支援のパッケージ等で見ると、再生計画を3,000件作っていかなければいけないとか、一方で地域金融機関が今後のローン債権をどういうふうに取り扱っていくのかとか、地域金融機関の体力低下の懸念はないのかとか、あるいは逆に中小企業の倒産件数が増えないのかとか、色々そういう懸念もあると思うのです。大臣が、今後、(平成25年)3月末までに(中小企業金融)円滑化法(の期限)が切れる中で、資本性借入金はここまで来たと。今後、どういうところを取り組んでいかなければいけないのかと、強化していかなければいけないのかと、問題意識を持たれているのかというのを改めてお伺いしたいのですけれども。

答)

金融庁も、関係省庁と政策パッケージを作りました。工程表を今しっかり作って、そして金融庁としては、各地域に財務局がございますが、そこを通して私たちの考え方、そして来年3月にいわゆる最終期限となる円滑化法、それに対応する中小企業の体質強化のための持続可能な強い体質にしていかないといけないと。条件変更でいたずらに、という表現は悪いかもしれませんけれども、支払いを引き延ばしていくということが必ずしも経営体質強化につながっていかないということも考えて、しっかりとした持続可能な強い体質を作っていくための色んな対応策、そして銀行のコンサルティング機能を発揮する、そして関係団体とも緊密に相談し、相対で対応しながらやっていこうという考え方で指導をしております。ですから、そういう方針に則って、地方のそれぞれの金融機関についても、しっかりした対応はして頂きたいと思っていますけれども、今、色々な体質強化の問題等もご心配の話がございましたから、これは色んな、今、「資本性借入金」の活用等も含めてしっかりと取り組んでいかなければいけないと考えております。

問)

あと一点、地域金融機関が再生支援に取り組んでいくということがなかなか難しいというのと、関係機関との連携というのも結構大事なポイントだと思うのですけれども、現状、地域金融機関の取組みというのは、大臣から捉えられて十分しっかりやっているというご認識なのか、今一歩取り組まなければいけないところがある、物足りなさを感じているところがあるのか、十分やっているのか、その辺どういうふうにご認識なさっていますか。

答)

個々に色々あると思いますけれども、それは私はコメントしませんが、やはりしっかり取り組んでもらいたいという強い気持ちを持っています。

特に金融円滑化法の期限が切れるということで、一つの政策が次の政策に変わっていくという節目になるわけですけれども、もう一方では、急速に進んだ円高とか、それからなかなか進んでいない経済連携でありますとか、エネルギーの供給の問題とか、国内の企業が抱えている税制の問題等も含めて、国内の製造業を中心として海外に出ていく、あるいはエネルギー革命が起こることによる、あるいは新興国とのテレビとか半導体とかそういうものの競争に負けて業種転換していこうということで、製造業を含めて海外に出ていくと同時に、業種転換をしてやっていこうという深刻な、真剣な状況が進行しておりますから、それに引きずられて地方の中小企業も自分たちの仕事の中身を変えていかざるを得なくなる。どうしていけばいいのか。それに併せて金融機関にしても、その新しく生じてくるであろうそういう新しい業種の仕事が将来どういうふうに進んでいくのか、どういうリスクを持っているのかということを含めて、今、大事な産業の転換期にあると思っていますから、その面で地域が、製造業が出ていってしまうということによって、地方で全く新しい、地域そのものが中小企業も含めて、関連する産業も含めて、商店街や農業や観光等も含めて、大きな打撃を受けるし、転換点にあるという相当質の高い地域の活力をどう活かしていくのかということにまで関連していきますので、金融機関ももちろん大きな役割を果たしていますけれども、関係各省庁の総力を挙げた取組みが地域にとって極めて大事なポイントになると思っておりまして、経済産業省、内閣府と、そういう危機意識を持って取り組んでもらいたい。そういうものの中に金融円滑化法の期限が止まるということもあるし、それによってどういうふうに中小企業を作り直していけばいいのかという問題もあるし、もう少し幅広く深く考えていかないといけないなという認識を持って、私は取り組んでいます。

問)

2点教えてください。

これは一応念のための確認なんですが、先ほどちょっとご説明ありました全銀協のTIBORの調査なのですが、今日締切りで全銀協が自主的にやられているということは承知しておりますが、監督官庁である金融庁の方に現時点で何らかの報告なりがあればその内容を教えてください。

あともう一点は、ちょっと金融の話と異なる話で恐縮なのですが、間もなく8月15日の終戦記念日がまいりますが、靖国神社への参拝について大臣はどのようにお考えでしょうか。そこも教えてください。もし参拝に行かれるということであれば、時期とその理由を教えてください。

答)

前段の方ですけれども、全銀協が8月10日を提出期限として、全呈示行等に対してTIBOR公表要領の遵守状況について一斉点検を行っていることは承知しています。

今後、この全銀協からは、必要に応じ、適切な形で金融庁にも点検結果について報告頂けるものと考えています。これは当然のことだと思っています。いずれにしましても、TIBORの運営については、一義的にはその取りまとめ・公表機関である、全銀協において責任を持って検討すべき問題だと考えておりまして、しっかりと対応してもらいたいと考えております。

それから、後段の靖国に関連する一連のご質問でございますけれども、私は今回は参りません。武道館で全国の戦没者の慰霊式典が行われていますから、そこで御霊に対してしっかりと自分の気持ちをお伝えしたいと思っています。

私は例年、こういう大臣とか副大臣とか、あるいはこういう重要な役職を経験する以前から、この季節にはいつも家族と沖縄に一緒に行きまして、ひめゆりの塔でありますとか、あるいは各地にあります戦績の跡とか、平和の礎とか、そういうところを私自身は毎年訪ねて、そこで亡くなられた人に対する感謝と自分の思いをいつも伝えてまいりましたので、今年もそういう機会をつかまえて沖縄に行きたいなという気持ちは強く持っています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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