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松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年9月4日(火)10時25分~10時52分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

冒頭に、AIJ投資顧問株式会社の事案を踏まえた資産運用に関わる規制・監督等の見直し等の公表について申し上げます。

AIJ投資顧問株式会社の事案につきましては、これまでの国会審議等において、私からも本事案で明らかとなった問題に対しまして、金融実務を踏まえた実効性ある規制・監督等の見直しを検討することを表明してきたところでありますけれども、このたび、金融庁としての案を取りまとめて公表することといたしました。

この案には、第三者によるチェック、いわゆる信託銀行ですけれども、第三者によるチェックが有効に機能する仕組み、それから二つ目には、運用報告書等の記載内容の充実など、年金基金等の顧客が問題を発見しやすくする仕組み、三つには、投資一任業者等による「虚偽」の報告や勧誘等の不正行為に対する制裁の強化、四つには、投資運用業者等に対する規制、監督、そして検査の在り方の見直し、といった内容を盛り込んでおります。

特に、「第三者によるチェックが有効に機能する仕組み」につきましては、投資一任業者が講じる措置により、年金基金等の資産管理を行う国内信託銀行が、ファンドの「基準価額」や「監査報告書」を直接入手するとともに、投資一任業者が顧客に交付した運用報告書に記載した「基準価額」を入手することを可能とし、国内信託銀行は、これらを突き合わせて、その結果を顧客に通知することとしております。

この案につきましては、金融実務に及ぼしうる影響を踏まえつつ、実効性を高める観点から、ご意見を募集し、お寄せいただいたご意見等も踏まえて、関係法令等の改正案を策定し、準備のできたものから速やかに実施することにより、本事案の再発防止を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。

なお、本件につきましては、投資一任業者に対するこれまでの2次調査の全体的な傾向と併せまして、本日13時、事務方からご説明を申し上げます。

【質疑応答】

問)

2点伺います。

1点目は、今、まさにご説明のありましたAIJ年金消失事件に絡んだ再発防止策に関してでありますが、縷々ご説明頂いたのですけれども、改めてこの事件が色々与えた衝撃の大きさを踏まえて、これによって再発防止に向けた決意というか、大臣の思いというのを伺えますでしょうか。併せて、これでどの程度再発防止の実効性というものが担保されるというようなお考えがあるのかどうか、それも併せて伺えますでしょうか。

答)

2月17日に発覚したわけですね。その1月の下旬から、23日から検査に入ったわけですけれども、内容が明らかになるにつれて、この事案の深刻さ、許し難い行為、顧客の年金基金に手を付ける、その運用のためにさらに悪事を重ねていくというような、これは許し難い行為だったと、激しく私は怒りを持っております。

そういう意味で、少し時間はかかったというご批判もありますけれども、今回、再発防止策を作り上げて、実効性ある仕組み、チェック、しっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。こういうことがあってはならない、国会の審議の中でも、あるいは参考人質問等も含めて、国民の怒りというものが大変強いものであるということを受け止めて、担当する役所としてしっかり取り組んでいきたい考えています。

問)

2点目が、昨日、日本郵政グループのゆうちょ銀行、かんぽ生命保険が、新規事業への参入を申請いたしました。ゆうちょ銀行に関しては、例えば住宅ローンへの参入といったものが柱になるかと思います。一方で、例えば住宅ローンに関しては、民間の競争もかなり激しくて、金利もかなり低くなっているといったような状況の中で、やはり民業圧迫だという批判もつきまとうかと思うのですけれども、こういった点も含めて、この新規事業の参入への申請についての大臣のご所見を伺えますでしょうか。

答)

今、お話がありましたとおり、昨日(3日)、新規業務の認可申請が行われまして、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命の新規業務でございますけれども、先方からの認可申請書類を確かに受理いたしました。これからは、郵政民営化委員会の意見もお聞きしながら、郵政民営化法の枠組みがございますし、金融機関の監督上の観点からも、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命等と十分議論を行ってまいりたいというふうに考えています。

それから、認可申請が行われたということは、この内容で認可する方向ということかということに関連しましては、これは、昨日、申請書を受理したわけですけれども、これから、ゆうちょ銀行及びかんぽ生命等と十分議論を行ってまいりたいと考えています。その議論においては、改正された郵政民営化法及び銀行法、それから保険業法により求められているところの一つには、他の金融機関等との間の適正な競争関係を阻害するおそれはないか、それから二つ目には、当該新規業務を適切に提供する態勢が整っているか等の観点から審査を行って、認可するか否かを判断してまいるということになります。

それから、金融庁も大変まじめに取り組んでおりまして、国会でも質疑がありましたように、前さばきをして、こっちに行く、これは駄目ということを事前に、認可申請する前に、前さばきするということはしないということで、金融庁もきちんと対応して頂いて、その点は国民の皆さん方にもオープンな形で審議できるというふうに思っています。

そういう意味で、銀行法、それから簡易保険、保険業法等のしっかりとした審理をしていくことと同時に、西室委員会と言われている郵政民営化委員会、間もなく新所見が確定するというふうに聞いていますので、その段階から、しっかりと内容についても議論をしていきながら、金融庁当局の方と郵政民営化委員会の方との議論もしっかり噛み合うようにして、この問題が前進するようにしていきたいというのが、大臣としての考え方でございます。

認可申請を、郵政会社の方の申請をそのまま受け付けましたので、それがどういう内容のものか、これから一から審査をして、色んな疑問点、それから新規業務を行うに当たっての必要なリスク管理態勢、法令順守態勢等が整備されていることが必要でございますので、このような民間金融機関と同様のチェックを行っていくということは、金融担当の実務として当然やっていくことだと思っています。それなりの時間がかかるという報告を実務担当者の方からも受けております。私の方からは、できるだけスピードアップして、審理の期間も縮めて方向性がしっかり早い機会に出るように努力してほしいというお願いはしておきました。

いよいよ新規業務について、これから実務者同士、そして郵政民営化委員会の見解がまとまった上での、所見がまとまった上での実際的な審議が始まるということで、ほっとしているということでございます。

あとは実務の人たちの力を信じて、そしてまたスピードアップして、国民の期待に応えるための社会の信任を新しい郵政事業として獲得していくこと、経営の安定を図っていくこと、また同時に新しい法律で義務付けられた過疎地等へのユニバーサルサービスというものが、3事業一体として確実に行われて担保されることと、大変難しい課題に取り組んでまいりますけれども、しっかり見守って励ましてやっていきたいと思っています。

最初の目標は、これを上場して、そして東日本大震災による災害対策の財源として、しっかり提供できるようにするということを約束してございますので、それに向かって第一歩が踏み出されたというふうに思っていますし、10月1日の郵便局会社と郵便会社との合併、それによる改正郵政民営化法による新しい出発が始まっていくということで、持株会社も含めて、二つの金融関係のゆうちょ(銀行)、かんぽ(生命)、そして日本郵便が一体となって国民の期待に応えるように、しっかりと体制整備、そして国としての必要な支援というものもやっていきたいというふうに考えています。

問)

ゆうちょ(銀行)とかんぽ(生命)の話ですけれども、全銀協(全国銀行協会)など業界団体が、もうずっと前から新規業務の参入について反対していたと思うのですけれども、業界団体の民業を圧迫するという反対姿勢については、大臣は理解を示されているのかどうかというのをお聞かせ頂けますか。

答)

当然、色々心配をされているということは、よく聞いております。全銀協の佐藤会長ともお会いして、色々お話も直接伺っております。また、郵政民営化委員会の所見を固めていくに当たって、パブリックコメントもいたしましたし、それはまとめて、また、あらゆる金融機関を含めた各界・各層の多くの方たちのお話も直接お伺いして、ちょうどそれが終わったところでございますけれども、それらを踏まえて、金融機関等との色々なご心配も、しっかり私自身として認識をしております。

その上で、今回は、郵政民営化法と銀行法・保険業法により求められているところの他の金融機関等との間の適正な競争関係を阻害するおそれはないかどうかということは、そういう中でしっかりと議論されていくというふうに考えていますし、この当該新規業務を適切に提供する態勢が整っているかどうかということも、一方では大変大切なことでございますので、それらについてもしっかりと審査を行い、また意見交換をしながら認可するかどうかと、どういう範囲のものについて認可していくかということが、答えが出ていくものと考えています。

問)

審査はなるべく早くというふうに大臣はおっしゃいましたけれども、大体どの時期までにという目途というのはありますか。

答)

目途はまだありません。始まったばかりですから。新規業務そのものが初めて接したわけですので、どういうものなのか内容によって違うと思いますけれども、できるだけ早く。実務方からは、一定の期間はかかりますという報告は受けました。それはよく理解した上で、できるだけ一つ一つスピードアップして、審査をして、方向を決めて頂きたいというお願いはいたしました。

問)

AIJの再発防止の件でお伺いしたいのですけれども、先ほどのご説明の中で、いわゆる投資一任業者による運用の仕組みの全体を第三者として信託銀行が監視すると。これは、信託(銀行)の監視機能が非常に重要だという認識でいらっしゃるのか。あと、業界に対しても、当然、協力というか、義務なのか、どういう要請をされたのかとか、大臣としてどういう思いを持たれているのか、それが1点目。

2点目が、多分、再発防止のところでは、罰則強化というところもあると思うのですけれども、例えば偽計ですと、現状の懲役、個人だと3年のところが5年あたりになるのか、300万円のところが500万円になるのかとか、若干具体的にご説明頂けるとありがたいのですけれども。

答)

(午後)1時から実務の方に関連して詳しくご説明いたしますので、その時にやりとりしてもらいたいと思います。いずれにしましても、特に、第三者によるチェックが有効に機能する仕組み、これをしっかり作り上げていかなければいかんということで、国内信託銀行の役割というのも大変大事だというふうに思っているわけです。

今までは、そこに情報が入ってこないということで、アイティーエム(証券)ですけれども、証券会社が投資一任業者と濃密な関係を作りながら、私たちを、国民を騙していたということがあるし、それが国内信託銀行等に証券会社、アイティーエム(証券)からおりていなかったということ、アイティーエム(証券)が直接ファンドと色々な取引をしていたと、交流していたというところの断絶があったことを我々は重く見て、ここはしっかりやりたいということです。

あとは(午後)1時からやりますので、罰則等についてもそこで明らかにしていきたいと思っています。

問)

AIJを受けての一斉調査ですけれども、2次調査の結果が出たということですけれども、2次調査の結果を受けた今後の対応という点ではどうなのでしょうか。

答)

一斉調査の状況につきましては、順次、証券取引等監視委員会と適切に情報を共有しておりまして、今後は一斉調査を踏まえた集中的な検査が実施されるものというふうに承知をしております。

情報収集・分析能力やリスク感度を高めて、リスクに応じて濃淡を付けた検査・監督に努めていきたいというふうに考えております。今後とも、この第2次調査において、優先的な調査の対象先とならなかった投資一任業者も含めて、順次ヒアリングを行うなど調査を継続して、順次、証券取引等監視委員会と情報を共有していくというふうに考えています。

問)

金融タイムスの大島です。

ゆうちょ(銀行)の新規業務申請で、一応、住宅ローンの対象は個人事業主とか女性とかシニアを基本とはしているのですけれども、一般のサラリーマンも対象になってきているので、例えば認可を取るまでは、「これが基本です」と主張しておいて、認可を取ったら、一般の住宅ローンをどんどん拡大したような場合に歯止めというのをかけにくいと思うのですけれども、そこら辺はどう思われますか。

答)

私も、まだ昨日出てきたばかりで全く見ていませんので、今、金融庁の実務の人たちが、そういうのを含めてしっかり審査して対応しておりますから、逐次明らかになったところで、またご説明する機会があると思っています。

問)

つまり(郵政)民営化委員会は、昔は見直しの機能があったのですけれども、今は検証の機能しかなくて、実際に認可した後に見直しができるというのは国会しかないと思うのです。

答)

当然、他の金融機関との競争関係を阻害しないということは、法律の中で常時、その中で議論される対象の一番大事なところですから、これは日常業務の中で一つ一つ実行していく段階で色んな反応があると思いますし、これは当然、チェック機能が働いたり、新しくまた見直しをしていくということは出てくるのだろうと、私は今、想像していますけれども、始まったばかりですから、まだこれから、昨日、受け付けたところですので、私も内容を見ていませんから、これは予断を持って色々お話しすることはまだ差し控えたいと思っています。

どうもありがとうございました。

(以上)

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