英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

松下内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年9月7日(金)9時25分~9時52分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

閣議がありました。高齢社会の対策の大綱を決定いたしました。

人生60年時代と言われてきました。これが90年時代になるということで、高齢者の市場の活性化、要するに働き方、働く場所、そして高齢者の居場所をしっかり作り上げていくということでございまして、健康な高齢者の皆さん方、まだ意欲十分でございますし、そういう方への色んな居場所の作り方等をしっかりと方向を作っていかなければいかんということでありました。

それから、一般会計予算の執行について。

これは前回も色々申し上げましたが、特例公債法案が成立しなかったということで、いわゆる資金繰りの問題が生じてまいります。地方交付税等の支払い予定先の資金繰りへの配慮について、少し考えていかなければいけないということでございます。

それから閣僚等の海外出張、これも案件を十分に精査して対応していくようにという絞り込みの問題がございます。そういうこと等について、予算執行についてのお話がございました。

それからもう一つは、皆さま方にもお願いでございますが、政府主催の行事等における国の酒、日本酒や焼酎、それから日本製のワインといったものを大いに宣伝して、内外ともに輸出振興も含めてやっていこうではないかという話がございました。我々も大いに気を付けてやりたいということでありました。

それから首相が今日から9日まで海外出張いたします。ロシアです。代理は岡田副総理、それから外務大臣も併せて同行しますが、これは代理は藤村官房長官。それから法務大臣が東南アジア等に出張しますので、その代理を川端総務大臣が行うということに決まりました。

閣議の報告は以上でございます。

金融大臣として来年度、平成25年度予算の概算要求及び税制改正要望等について今から発言しますので、よろしくお聞きください。

なお、詳細については、この私の会見直後に実務の皆さん方からしっかりとまた細部について説明がありますので、そこでしっかりと確認をして頂きたいと思います。

本日、金融庁の平成25年度予算概算要求及び税制改正要望等を取りまとめました。そして、要求書、それから要望書を提出いたします。

平成25年度予算概算要求及び定員要求については、金融行政を巡る諸課題に的確に対応する観点から、一つは、金融・資本市場の公正性・透明性の確保、二つには、中小企業の経営改善・事業再生支援、そして三つには、「日本再生戦略」の推進といった点に重点を置くこととしております。

この観点から、定員要求につきましては、61名の新規増員を要求いたします。なお、定員合理化は23名としているために、差引き38名の純増要求となります。

予算概算要求につきましては、増員のための人件費、それから行政情報化経費等の物件費を含め、総額225億円、対前年度比で約6億円の減額でございます。この総額約225億円を要求することとしております。

この他、中小企業への支援等をはじめとする「日本再生戦略」に関連する施策の実施のために必要な経費として、約7,000万円を「重点要求」として要求しております。これは、中小企業支援対策や日本企業のアジア進出、それから個人金融資産運用のあり方等について調査・研究を委託するといったこと等が入っております。

それから、「東日本大震災からの復興に係る経費」として、約7億円を要求することとしております。これは、二重ローンの対策について、当事者同士双方話し合うわけですけれども、その場における弁護士費用等の助成ということ、そして色々な広報に充てたいということで、約7億円を要求をしております。

それから次に、平成25年度税制改正要望でございますけれども、これは「日本再生戦略」等を踏まえて、次の2点を主な柱といたします。

一つは、まず金融証券税制についてでございますが、国民の資産形成の自助努力を支援する観点から見直しを行いたいと考えております。

具体的には、日本版ISA(小額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)の恒久化等、それから損益通算範囲の拡大や、公社債等に対する課税方式の変更といった、金融所得課税の一体化を要望いたします。

2点目は、中小企業金融円滑化法の最終延長を踏まえまして、来年3月でございますけれども、この最終延長を踏まえて、中小企業の再生を支援するための税制であります。金融庁では、これまでも中小企業の経営支援に向けた取組みを進めてまいりましたけれども、税制面からの、「借り手」の支援も必要であると考えます。具体的には、いわゆる「企業再生税制」の要件等の拡充でございます。それからもう一つは、合理的な再生計画に基づきまして、経営者が資材提供を行おうとする場合の譲渡所得の非課税措置を要望いたします。

金融庁といたしましては、今後、これらの要求・要望の必要性・重要性について、年末に向けて、関係当局等とじっくり議論をさせて頂きまして、実現に向けてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。ご支援をよろしくお願いしたいと願っております。

なお、先ほど冒頭で申し上げましたように、詳細については、この直後に実務の人たちから説明をさせますので、どうぞ色々な点を確認頂きたいと考えています。

【質疑応答】

問)

昨日、国会で改正金商法が成立しました。総合取引所の実現に向けた制度の整備が盛り込まれていますけれども、改正法成立の受け止めと総合取引所の実現に向けた大臣のお考えを改めて伺えますでしょうか。

答)

成立したことを非常に喜んでおります。

大変混乱した国会の中で、この金商法の改正が成立したということは、金融庁にとっても大変な喜びでありますし、参議院先議として国会の審議に入って頂いたと。そして、衆議院の方に回付されてきて、そこで色々な混乱の状況の中でありましたけれども、すき間を縫ってしっかりと議論をさせて頂いて、そして成立したということを非常に喜んでおります。

残念なのは、衆議院の段階において、自民党の方たちが委員会の審議に入って頂けなかったということが残念であります。参議院の方では、全党入って頂いて審議頂いて、採決・可決頂いたわけですけれども、衆議院では同じようにいかなかったということはございましたし、また、衆議院の本会議でも、本会議場から退場された野党の方もいらっしゃったことは非常に残念だなというふうに思います。しかし、成立したことを大変喜んでおりまして、今後、その趣旨に則ってしっかりと前進させたいと思っています。

特に、私もずっと経済産業省の副大臣の時から取り組んでまいりましたけれども、総合的な取引所、これに向けて一歩踏み出したという足がかりの土台ができたわけでございまして、これから色々な課題が山積みしていますけれども、世界の色々な取引所に向けて厳しい日本の状況があることを考えますと、しっかりと取り組んでいくことが大事だと思っておりまして、「国際競争力の強化」、そして利用者利便の向上を目指した上で、日本の市場の将来にとって極めて重要なものだというふうに考えています。

これからは、前回も申し上げましたけれども、金融庁、そして経済産業省、農林水産省等で実務者協議会も開催することになっておりまして、緊密に連携しながら、取引所などの関係者に対して、早急に協力を要請してまいりたいというふうに考えております。また、皆さん方のご支援もよろしくお願いしたいということでございます。

問)

もう1点伺います。先ほど冒頭、大臣からご発言があった税制改正要望についてですが、その中で、今、柱としておっしゃった日本版ISAの恒久化というのが盛り込まれていると思うのですけれども、これについて大臣から狙いについて説明頂けますでしょうか。

答)

今回の税制改正要望について、私どもが狙いとしていることがございましたので、それを申し上げたいと思います。

まず金融証券税制の見直しですけれども、一つは、幅広い家計に対して、国内外の資産への長期分散投資による資産形成の機会を提供する観点を踏まえて、日本版ISAの恒久化等に取り組むということです。

二つ目は、投資家が多様な金融商品にバランスよく投資できるようにしていくと、そのための金融所得課税の一体化ということです。

もう一つは、金融円滑化法が来年3月、最終延長の期限でございますので、これを踏まえて今回、やや異例ではありますけれども、「借り手」の方の中小企業に関わる税制改正要望を行うということです。

これは、先ほど申し上げました2点がございますけれども、一つは再生企業が金融機関等から債権放棄を受ける場合に適用される「企業再生税制」について、再生実務に即した要件等とすること。それから、合理的な再生計画に基づきまして、経営者が再生企業に私財提供を行おうとする場合に、この経営者の譲渡益を非課税とするということ等を要望することとしております。

そして基本的なことですけれども、我が国経済の持続的な成長を確保していかなければいけないという重要な役割を背負っていますので、そのための実現に向けて、金融庁挙げてあらゆる予算措置、税制措置等で支えていきたいというふうに努力をしていきたいと考えております。

問)

昨日、欧州中央銀行(ECB)が南欧国債の無制限の借入れ策を発表しましたが、これへの所感と、金融市場への影響をどう分析されているか教えてください。

答)

今ご指摘ありましたとおり、昨日ですけれども、6日開催されたECB政策理事会におきまして、国債購入を行う計画が合意されたということは承知をしております。内容等についてはご承知だと思いますが、無制限の国債購入を行う計画の合意ということで、対象国がまず、EFSF、欧州金融安定ファシリティー等に支援を求めていると。その支援条件を受け入れることが要件とされています。自国でしっかりとまず改革の努力をすることが大事だということは繰り返し申し上げておりますけれども、これが満たされない場合は、国債購入は終了すると言っていますし、1~3年の短期国債購入が中心となると。ドイツ連銀のバイトマン総裁は、この合意に異議を唱えたということも承知をしております。

他国の金融政策のことでございますので、その内容について、ここで金融大臣としてコメントすることは差し控えますけれども、各国政府や中央銀行の適切な対応によって、経済・金融の安定や市場の信頼確保が図られるということを期待をしております。

市場に与える影響もご質問ございました。この影響等についてコメントすることは、大臣として差し控えますけれども、金融担当大臣としては、関係閣僚や日本銀行と連携しつつ、引き続き高い関心を持って市場の動向を注視してまいりたいというふうに考えております。

問)

もう1点だけすみません。

ヨーロッパのリスクは、後退の方向に進んだというふうにご覧になりますか。

答)

繰り返していますけれども、まず課題を抱えている自国が、自分の国でその課題克服のための改革をどこまで厳しい環境の中で実現していくかということにまずかかっていると思っています。

その一方で、ユーロ圏としてここまでの踏み込んだ対応をするということが公表されたということで、詳しいコメントは差し控えますけれども、状況が転換していくことを強く期待しているということです。

問)

保険銀行日報、片岡です。

昨日、保険会社に対するERMのヒアリング結果が公表されましたが、それについて何か所感がありましたらお願いします。

保険会社の財務の健全性の実態把握のために行っているヒアリングで、ERMというのは、総合的リスク管理態勢を金融庁が各社にヒアリングして、その実態を把握するということで行っていると思いますが。

答)

まだ、実務方から詳しい報告を受けていませんので、これは次の機会にしっかり説明いたします。

問)

野村證券についてお伺いしたいのですけれども、昨日、経営説明会が行われまして、グローバルな旗を下ろしたわけではないということでしたけれども、投資銀行部門の縮小などについて発表しましたけれども、これについて何かご感想と、あと今後、独立系証券会社というものの日本の金融界における必要性とか、どのような期待を持っているかというのを教えてください。

答)

野村ホールディングスが、ご指摘のとおり、昨日(6日)、新たな経営戦略を公表いたしました。そのことは承知しています。

個別で申し上げませんが、一般論として申し上げますけれども、証券会社においては、経営環境の変化に応じて、将来を見据えた経営戦略の構築、それから収益構造の見直しを図っていくということは極めて重要だというふうに考えています。

いずれにしましても、金融庁としましては、野村ホールディングスの新たな経営戦略の実施状況を注視してまいりたいと思っています。

野村だけではなくて、日本の代表する証券会社において色んなインサイダー等についての不祥事が露見したわけでございますし、それに対して金融庁も真剣に対応してまいりました。特に、日本のリーディングカンパニーとしての野村證券、トップが退陣するということも含めて根本的に根っこから作り変えていくという新しい経営陣の皆さん方の覚悟については、私たちもそれを評価して、その成果をしっかりと上げつつ、世界の中でしっかりとした戦略をもって、再度信頼回復をしつつ前進していって頂きたいということを強く期待をしていますし、他の証券会社等についても同じような気持ちでしっかり見守っていきたいと考えています。

問)

細野環境大臣が民主党の代表選の出馬を見送ったようですけれども、これについてのご感想をお聞かせ頂けますでしょうか。

答)

国民新党でございますので、国民新党の党首の選び方については自分なりの考え方を持っていますし、現に4月には苦渋の決断をしたこともあるのですけれども、他の政党のことについて、連立を組んでいる友党として、今、非常に緊迫した状況の中でありますので、ここでコメントすることは差し控えたいと考えています。

いずれにしましても、それぞれの党のみならず、日本の国そのものが内外ともに決断して解決し、前進しなければいけない課題をたくさん抱えています。そういう状況認識の下に、それぞれの与野党問わず、この国を背負って立つという強い気概と覚悟と意思を示して、1億2,000万人の国民が進む道を間違うことがないように肝を据えて日本を引っ張って頂きたい、そういうリーダーに強く期待をしています。

どうもありがとうございました。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る