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中塚内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成24年10月30日(火)10時23分~10時42分 場所:金融庁会見室)

【大臣より発言】

今日は、閣議がございました。閣議、それと閣僚懇もですが、ちょっと議題が多くて遅くなりました。

私からは以上です。

【質疑応答】

問)

昨日、日本郵政が上場計画を(郵政)民営化委員会に提示しました。金融2社(ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の上場スケジュールについてはまだ示されず、先送りという形になっていると思うのですけれども、その金融2社の監督官庁である金融庁としては、どのような統治形態が望ましいと考えていらっしゃるかということについてお願いします。

答)

統治形態、コーポレートガバナンスということですか。

問)

そうですね。ガバナンスもそうですし、今、上場するかどうかも含めて明確になっていないと思うのですけれども、その金融2社を監督する上では、持株(会社)の下にぶら下がっている方が良いのか、もしくは上場というものをやはり進めていった方が良いというお考えなのか、その基本的な(ことについて)今お考えになっているところを(お聞かせください)。

答)

個別の金融機関のガバナンスの問題ですから、特に逐一、私の方から申し上げることはありません。一般論として、経営者が自ら適切な経営管理を行って、内部管理態勢などをしっかりと構築していただいて、適切に機能を発揮していただきたいと思っております。

問)

今の郵政民営化委員会の話ですけれども、昨日、西室委員長が会見の中で、「金融2社の株式の売却時期を早期に示せないのは理解できる。」と(発言されました)。示さない状態で新規業務を認可するかどうかという審査も始めていって、早ければ年内にもその是非を判断する可能性があるという趣旨の発言を公の場でされているのですけれども、一方で、中塚大臣は、金融2社の株式売却時期というのが審査する上で重要だとおっしゃられていましたけれども、今回のこの西室委員長の発言についてどう受け止めていらっしゃるかということと、改めて金融庁として、今後どう審査されていくかということをお願いします。

答)

まず、これは郵政民営化委員会に対して、私どもとして意見を聞いている段階ですので、委員長の御発言についてコメントは差し控えたいと思いますが、まず法律で決まっている手続きとして、議決権の割合ということがあるわけです。ですので、まず親会社の株、日本郵政の株をお売りになるということをお話しされていると伺っていますが、法律に記載されている手続きというのは、金融2社の株式の売却というか、議決権の割合ということが書いてあるわけです。更に申し上げると、金融2社の議決権の割合、株式の売却ということは、新規業務については必要条件ではありますが、十分条件ではありません。まず、民営化法という法律に則る手続きの必要があります。そのことに加えて、私どもは銀行法と保険業法に基づいて審査もしていかなければなりません。

ということで、この間から申し上げているとおりでありますが、一定の時間をかけてしっかりと審査を行い、そして、その上で適否を判断するというスタンスに全く変わりはございません。

問)

今、金融2社の株式売却時期を示すというのは必要条件とおっしゃられたと思うのですけれども、ということは、やはりこの時期が示されないことには、なかなか審査というのは出来ないという御認識でよろしいのでしょうか。

答)

(郵政)民営化法に書いてあることを申し上げました。

問)

東洋経済の浪川と申します。

幹事社の質問に対して、大臣は、「個別の金融機関のことなので。」と、お答えを避けていますけれども、個別もへったくれもなくて、政府が株を全部保有しているところですよね。民営化法というのは、これから民営化する企業の道筋を立てている法律であって、民営化しているわけではないので、大臣はもう少しきちんとお答えになった方がよろしいのではないでしょうか。

答)

ゆうちょ銀行、かんぽ生命は、既に銀行法に基づく金融機関であり、保険業法に基づく金融機関です。私どもとしては、金融行政を所管する立場から、今のようなお答えを申し上げました。

問)

お言葉を返すようですけれども、幹事社はガバナンスを言っているので、下の会社のことを言っているわけではなくて、上のホールディングカンパニーを含めたことを尋ねておられると思うのですけれども、下の金融2社は確かに銀行法、保険業法ですけれども、全体的なガバナンスのことを聞いているのではないでしょうか。

答)

御質問、お尋ねは、下の金融2社のことだったと理解していますが。

問)

では、整理させていただきます。幹事社に代わって僕が言うのも変ですけれども、ガバナンス、統治形態というのは、上が統治するわけですね、親会社、ホールディングカンパニーが。統治される形態ではない。統治される金融2社のことを言っているわけではなくて、ホールディングカンパニーがどう全体を統治していくかということだと思うのですけれども。とすると、確かに金融2社は、銀行法、保険業法の認可を受けたものではありますけれども、その上の持株会社は、政府が株を全部保有しているわけですから、一般に言う民間企業としての個別の問題という答えでは成り立たないような気がするという意味でお尋ねいたしました。

答)

持株会社も、会社法に基づいて設立されている会社だと思います。第一義的に、株主は財務大臣であります。私は、金融行政を所管する立場から、金融2社についてお話をさせていただきました。国務大臣という立場で申し上げれば、会社法に則って適切なガバナンスがしっかりと発揮されるようにお願いしたいと思っています。

問)

確かに、会社法、銀行法、保険業法の認可でしょうけれども、民間企業というか、一般的な民間企業と同じようなレベルで考えてよいのでしょうか。

答)

民間企業で求められるレベルは、少なくともクリアしていただかなければいけないということだと思います。

問)

昨日、民主党から離党者がまた2名出たことの受け止めと、離党者が続出していることについての危機感をどのようにお考えでしょうか。

答)

離党者が続出していることには、本当に残念だと思っております。確かに、私どもの政権交代に期待した皆さんの期待にしっかり応えられていないということについては、誠に残念だし、申し訳ないと思っていますが、一方で、長い間、一生懸命みんなで頑張って、やっと政権交代を成し遂げたわけです。政権与党だからこそ出来た数々の政策もありますし、これからも政権与党だからこそ出来る政策もあります。そういった意味で、ぜひこれから今まで自分たちが頑張ってきたこと、それから加えて与党の責任というものを自覚して政治に取り組んでいってほしいと思います。

問)

先ほどの御発言の確認をさせていただきたいのですが、「民間に求められるレベルをクリアしていただかないといけない。」という発言があったかと思うのですけれども、そのレベルというのは、常日頃おっしゃっているような内部管理態勢といったことについてでしょうか。

答)

まず、誤解しないでいただきたいのですが、別に、ゆうちょ銀行やかんぽ生命だけに特別に辛く厳しく当たっているわけでも何でもありませんで、これは全ての金融機関に対して、同じように私どもは審査をしておるわけです。軽く申し上げますと、銀行法、保険業法上の審査項目というのは、経営管理。それから財務の健全性(については)、銀行法においては財産的基礎、収支見込、リスク管理、保険業法においては保険料及び責任準備金の算出方法。それから業務の適切性については、銀行法においては人的構成(として)、知識、経験、社会的信用、法令等遵守、利用者保護、システム整備など、それから保険業法では保険契約者等の保護、保険契約者等の需要・利便への適合性、保険金支払基準等の適合性など、ほんの一部ですけれども、こういったことをしっかりと審査する。別に、郵政グループだけに厳しいわけではありません。ここで、官と民で差別があるということではありませんので、さっきも申し上げましたが、もう銀行法上、保険業法上の金融機関ですから、そこについてはしっかりと審査をするということに尽きるわけです。

問)

金融2社の(株式)売却時期を、西室委員長が、昨日、示せない、出せないということを言った理由として、東証の子会社の上場規則を根拠として触れられていたのですけれども、この根拠について、先ほど大臣は、金融2社の売却時期のスケジュールがまず示されることが重要だということでいろいろ理由を説明されたわけですけれども、西室さんのこの理由について、どのように受け止めていらっしゃるのかというのをお聞かせいただきたいのですけれども。

答)

これは、先ほども申し上げました。今、民営化委員会に対して意見を聞いているところでありますので、委員長の御発言に対してコメントは差し控えさせていただきます。

問)

大臣がおっしゃっている金融2社の株式売却スケジュールというのは、確かに結構先のことなので、事細かに書くのは難しいと思うのですけれども、どこまで具体的なものがあればよいのかという、そのニュアンスを教えていただけますでしょうか。

答)

それは、金融2社なり日本郵政グループがお考えになることではないでしょうか。

問)

連帯保証人制度の件について、中塚大臣にぜひこの際、伺っておきたいと思います。

連帯保証人制度というのは、日本では極めて一般的で、法人がお金を借りるのでも、個人がお金を借りるのでも、連帯保証人を付けなさいよというのを金融機関は一般的に要求してくるわけですが、これは御承知のとおり、世界レベルでいうと、むしろ少数派の制度だと思っています。例の自殺(者)削減も大臣の所管だと承知している前提でいえば、金融行政の面でどこまで踏み込めるか分からないのですが、やはり借金苦というのが、非常にいろいろな意味で社会現象の中で嫌なことを醸している。この連帯保証人制度を、今すぐどうのこうのというのは正直難しいと思うのですが、ある程度、議論の俎上(そじょう)に載せていくお考えはございませんでしょうか。

答)

まず、連帯保証という制度ですが、それがやはり自殺の社会的要因の一つとなり得るということだと思っています。そういったことも含めて、今年8月ですが、「自殺総合対策大綱」を見直しました。経営者に対する相談事業の実施とか、あるいは第三者保証を求めない融資制度、あるいは融資慣行について周知・要請に関する施策を盛り込んだところであります。実際に、第三者保証を求めない融資制度もございます。そういったものをしっかりとPRしていくということ。それから、金融庁といたしましても、特に中小企業だと思いますが、貸付を行うにあたっては、借り手の経営状況とか資金使途、それから回収可能性をちゃんと総合して判断してくれということ、これは大事なことです。監督指針において、担保・保証に過度に依存しない融資の促進ということを明記しております。引き続き、やはり金融機関がいわゆる目利き能力、これをしっかりと発揮してもらうということで、担保や保証に過度に依存しない融資というものに取り組むように促してまいりたい。あと、担保もいろいろあります。例えばABL、動的担保などもありますから、そういったものの普及も促進することによって、今申し上げたような施策を進めていきたいと思っています。

問)

大臣の発言は、非常に力になる発言なのですが、そう言いながら、私も経営者なので分かるのですが、やはり一札書けと、それを借金させない便法に使われがちですね。「保証人を付けてくれなきゃ貸せないよ。」と、こういうことに対する何がしかの歯止めというのはいかがでしょうか。

答)

やはり金融機関からすれば、融資するにあたって何がしかの担保を取りたいということだと思いますが、何か担保を取らないと金を貸さないというのでは、それはレンダーなので、バンカーというのは、まさにさっき申し上げた目利きということが必要になる。ぜひ日本の金融機関には、目利きの能力というものをより養っていただきたいと思っています。

問)

昨日、野村ホールディングスの7-9月期の決算が出まして、28億円の利益確保ということだったのですが、転じて海外に目を向けると、例えばゴールドマン・サックスの同期の利益が1,190億円、J.P.モルガンが4,480億円など、日本の金融機関の利益水準は海外勢に比べてかなり見劣りするのが現状だと思います。日本を代表する証券会社として、この利益水準がどうなのかという率直な感想をお聞かせください。

答)

経済動向、あるいは個別企業の決算でありますので、物が言いにくいというか、コメントは避けたいと思いますが、やはりまず第一に、地合いとしての経済というのがあると思います。それから、そのことに加えて、やはり個社、各々の会社の収益を上げる体制というものも、しっかりと構築していってほしいと思います。

問)

昨日、下地(郵政民営化担当)大臣がルース(駐日)米国大使と会談されて、その際に大使から、郵政事業の新規業務について強い懸念が示されたということです。おそらく、WTOのGATS協定の関係で、イコールの競争条件が確保されていないということに対する懸念だと思うのですが、(中塚)大臣は大使と同じ懸念をお持ちになっていらっしゃるでしょうか。

答)

そのことについて詳細は存じ上げませんが、他の金融機関との適正な競争関係に配慮し考慮するということは、民営化法の中にも書いてあります。ですので、その法律に則って審査していくということに尽きると思っています。

(以上)

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