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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年1月11日(金)11時52分~12時15分)

【冒頭発言】

先程の日本経済再生本部並びに閣議におきまして、緊急経済対策を決定させていただいております。この対策は大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢によって、長引く円高デフレ不況からの脱却と雇用や所得の拡大を目指していくという第2次安倍内閣の政策対応の第1弾であります。復興・防災対策、成長による富の創出、暮らしの安心・地域の活性化の3分野を重点として当面の景気底上げと将来の成長につながる施策を総動員する、そういうように考えて取りまとめたところです。規模の面では補正予算による財政支出は13兆、事業規模は20兆円を超えると思っております。私が総理だった時のリーマンショックの時に補正を3回組んだんですが、あの時の3回目が一番大きかったと思いますが、それを除けば史上で一番大きな規模になろうと思っております。基本的に前にも話しましたけれども、景気とか病気とか天気とか気の付くのはかなり気分という問題が大きな要素でありますので、第2次安倍政権になって、国民にとって、やはり変わったというような気分が実感出来るように、そういった充実したものになったのではないかと考えております。この対策に基づいて速やかに大型補正予算を編成するとともに、25年度、来年度の税制改正並びに来年度の予算編成などと合わせて切れ目のない経済対策をしっかりやっていかねばならんと考えております。

【質疑応答】

問)

経済対策についてなんですけれども、公共事業だとかリスクマネーの供給だとか、様々これまでと違う特徴があると思いますけれども、大臣としてはどういう点について特に重視をして策定に当たられたのかということと、もう1つは国債増発を今回伴うということで、これから先、財政規律がどのように確保されていくかというのは市場の注目もあると思うんですけれども、当初予算も迫っておりますけれども、具体的には規律の確保ということをこれからどのようにされていくのか、お考えをお聞かせください。

答)

最初にどの点について配慮をしたかと言われれば、色々なところに配慮したと言うしかないんですけれども、少なくとも今、やはり笹子トンネルに代表されるように公共工事は悪というイメージというのは、かなり作られたイメージというのはあったと思います。小渕内閣の時に14兆5,000億かな、今約4兆6,000億、10兆円の公共工事というものが減ったと思っていますけれども、結果としてどのようなことになっているかと言えば、いわゆるメンテナンスというものがかなりおろそかになってきているのではないか、笹子トンネルはその例の1つですけれども。また首都高速等々、1号線、これも昭和39年、オリンピックの時に出来てきていますが、こういったようなものはいずれも築50年ということになろうと思いますので、1980年代、荒れるアメリカとして色々な橋が落ちたり色々なことがありましたけれども、あれも1930年、ニューディールの時のものなので、あの頃のものが50年たって落ちているといえば、ちょうどこちらも50年ということになってこようと思いますので、そういった意味では公共工事というものの中で、安心・安全に関するものが非常に重要だなと私が思っていたのが1点と、また新しいものに投資をしようって基本的に民間は個人金融所得で1,500兆、現預金で約800兆を超えるものが個人はある。会社の社内内部留保も極めて大きなものが出てきていて、少なくともかつて自己資本比率が低いなどと言われた時代とは全く違ったものになってきているほど会社の社内は充実したものになってきていると思いますが、その金を設備投資に回さない、労働分配、給与を上げる、労働分配率を上げない等々の形でこれまで来ているというところは、景気をいわゆる推し進めにくくしている経営者の気の部分というのも大きいし、個人で言えば消費を控えるということになっている、それは今日買うより明日買った方が安いとなったら控えますから。そういったものを含めて気分的にそういったものが前向きになるような、すなわち今投資すれば償却を一括で認めますとか、色々な形のやり方があろうと思いますので、お金を出して景気をよくするというより、今すれば税金をとか、今すれば償却をとかといった話のようなものまで考える等々、景気に対していわゆる民間の設備投資が促進される、もしくは個人の消費の増加につながる、そういったようなものに持続的な金が回っていくということの取っかかりがこれになればいいなと思っていました。

問)

財政規律の点についてはいかがですか。

答)

財政の規律については、これは自由民主党が中期財政計画というのを考えて出していますのはご存じの通りなので、その中期財政計画というのを腹に据えながら25年度の予算編成というのをやっていかねばならんと思っています。

問)

経済対策とはまたちょっと別なんですけれども、先日、一部報道で生命保険会社が保険料を安くするために標準利率を引き下げる、算出の方法を変更する方針を固めたという報道があったんですけれども、これは生命保険会社の経営リスクをちょっと高めかねないというような問題点もあると思うんですけれども、事実関係はいかがなんでしょうか。

答)

少なくとも標準利率を改定したというような事実はありません。

問)

今回成長による富の創出ということで、これまでの経済対策や本予算でも中小企業対策や企業対策が盛り込まれていましたが、改めて今回の施策、これまでとどう違うのかというところを教えてください。

答)

中小企業について言えば、中小企業の定義というより、むしろ零細企業、小規模企業というところに光が当たる、恩恵が行くということを考えないと。少なくとも公共事業は出て、それによって大きな企業だけにいわゆる新しい事業が回るというのでは下になかなか金は散っていかない。大きな企業が仕事をとると、その仕事を小さく分散してそれぞれ下請に出す。その請けた企業がまた孫請に出す。その間には全部利ざやが取られて、下に行くのは小さくなるという形にどこでもなりますから、この下のところに行く金がなかなか絶対枠として、利率としては減るということになりますので、そういったことにならないようにするためには下のところで取れる仕事が直接出ていくというと、それは利幅が大きくなるということ。利幅が大きくなるというのは仕事が安ければいい、安い方にどんどん出していくというのは、インフレの時代はそれでいいんですけれども、デフレの時にそれをやると安ければいいということになると2つ問題が出てきて、1つは工事の手を抜く、利益が少ないから。利幅が少ないから工事の手を抜いて、いわゆる利幅をそこで取る。質を落として利幅を取る、それが1つ。2つ目は、いわゆる安ければいいということになると、企業は新しく機械を買い換えない、設備投資はしない等々、利益が出ないということはイコール自分の利幅が生まれませんから、当然のこととして給料は増えない。設備投資、新しい機械設備も買わないというようなところになってくるので、これは、なかなか今後、建設の発注の仕方というものは色々考えないかんところが多分出てくる。もう既に出てきているんだと思いますけれども、そういったところを考えないかんと思っているんですけれども。あとは中小企業金融円滑化法案の期限が来ていますので、そういった意味では、何万社ってあるわけですから、そういった中を見て、もうちょっとやれば立ち直りますという企業と立ち直らない企業、もうやめた方がいいですよという企業は幾つかあるんですけれども、これは財務省で座っていてそんなの分かるはずがありませんから、そういったものをきちんと出来るように、現場にいるところではそういったセーフティネットやら何やらを貸し付けるに当たっては融資を行うところ、融資を止めるところ、業種を変えるところ、そういったようなところの経営改善を促していくというようなことで、ちゃんと支援するんですよというようなルールを作ったり、細かく言っていくと幾らでも出てきますけれども、そこのところは直接金融庁に聞いて。

問)

ちょっとうがった見方かもしれないんですが、そういった小さい企業を含めて投資やイノベーションを喚起するためにやっていこうとすると、実態のない企業なんかにも国民のある意味税金が使われていく可能性もあるんじゃないかなというふうにも感じてしまうんですが。

答)

それは洗えば出てきますよ。それはそれこそあなた達の仕事や。それまで全部政府が目をつけたら政府の役人がものすごく増えるよ、数が多いんだから。それを全部と言ったって、実態は現場で見えて分かっている範囲以上に潜っている部分とか色々な部分がある場合は、これは実態がないじゃないですかと堂々と記事にすればいいじゃない。それで俺に教えてくれ。教えてくれたらこっちが助かる。その分だけ税金が安く済む。

問)

設備投資なんですけれども、国内と国外の設備投資を企業が考えていると思うんですけれども、国内向けと国外向けはどのような比率で今後応援するつもりなのかということと、今年秋に消費税の増税を決定しなきゃならない時期があると思うんですけれども、これに関して景気条項もありますけれども、この先の判断としては今の段階ではどう考えていますでしょうか。

答)

例の18条というのがありますので、あの部分に関してはきちんとした条項、細かいことはいっぱい長々句読点もなく書いてあるけれども、書いてあるのは一言、景気がよくなければ上げないということが書いてあるんですが、何を基準に景気がよいか悪いかというのを決めるのは4-6月だけで出来るかというのが1つの問題として出てくるとは思っています。従って4-6月と言えば、予算が出来上がるのが5月ということになる確率が高いので、そういった意味では本予算が、暫定を当分の間組まないといかんということになりますので、4-6月にその効果がすぐ出てくるかというとなかなか出にくいんじゃないかなと私自身はそう思っていますから、補正というのを大型に組まないかんのだと思ってやっているんですけれども、いずれにしてもそういった状況というのはその時にどういうような株価になっているんだか、為替になっているんだか、消費動向がどうなっているのか、色々なことをよくよく考えないと簡単に決められる話ではないと思っていますので、そういった意味では十分にそういったものは配慮した上で考えないといかんと思っています。

国内投資というものが海外投資になると、これは雇用に影響してくるんですよ。従ってなるべく国内で競争力が維持出来るような設備投資、いわゆる個人の人件費が仮に高くても、いわゆる設備投資によって新しい機械を装備することによってきちんとしたものが出来るというような設備投資、それは大いに雇用の関係からいっても国全体の歳出を考えればそちらの方が安いというのであれば応援していきたい、そう思っています。

問)

今日発表されました経常収支が大幅な赤字になりまして、過去2番目で、輸出が減りやすい1月を除くと初めてということだったそうですけれども、これについて大臣のお考えを伺わせていただければ。

答)

基本的には今ご存じのように石油、ガス、そういったエネルギー関係のものが大幅に値上がりしていますから、そういったようなものに引きずられる部分というのは貿易収支を含めて至極大きいんだと思っていますが。11月のあれで2,200か、出ていたと思いますので、いずれにしてもEUとか中国向け等々の輸出が減ったこと等々と貿易収支の赤字が大きく拡大したことが要因なんだと思いますが、今の段階で今後ともこれが続くかということは一概に言えないと思っていますので、今の段階でこの1カ月だけ見てこれでどうこうというようなことを申し上げる段階にはない。ただエネルギーのコストが上がってきているということは総じて貿易収支の赤に響き、それが企業にとってコストアップにつながっていますから、そういったものに与える影響は少なくないものがあると思って注視しています。

問)

先程、中小企業金融円滑化法の終了を見据えたお話がございましたが、今回、「緊急経済対策」で企業再生支援機構を「地域経済活性化支援機構」に改組しますが、その狙いについて伺いたいのと、もう1つ、円滑化法に関連して、公明党が再々延長を求めておりますが、大臣は「再々延長はない」とおっしゃいましたが、ただ連立のパートナーとしての意見は全く無視は出来ないと思いますが、どう対応されるかお考えを伺いたいと思います。

答)

再々延長というのは私共はしないというのは再三申し上げてきた通りです。その点は再々延長はしませんが、あと一歩というようなところだってないわけではありませんので、そういった企業に対しては、私共としては、個別案件に対応出来るように、細かなもので、コンサルタントとかいろいろな仕事、中小企業診断士とかいろいろな人がおられますので、そういったものを考えていきたいと思っています。それから地域についてということでしたけれども、地域は間違いなく地域によってかなり差があるんですよ。そういった意味においては地域でよく分かるようにしておかないと、地域の部分によって景気の良い地域、そうじゃない地域、仕事が増えているところ、増えていないところ、日本というのは南北に長い国で、地域によってかなり差が出ているのは確かなので、そういった意味では地域の再生というのに非常に大きなあれを置かないと、都市にさらに集中するということになっていくというのは、我々としては望んでいるところではありませんので、そういった意味では、地域において地域の経済が活性化していくためにはどうするかというのが、地域というのは少し割ってみないと分からんのではないかというのが作った意図です。

問)

冒頭のお話で、今回の対策が景気の気の部分に作用する上では充実したものになったというお話がありましたし、安倍総理、先程の会見で今回のものは安易なばらまきではないというお話がありましたが、この予算編成の、経済対策を作る過程で我々取材していて、最初にやはり10兆円という目標に向かって事務方は一生懸命数字を積み上げていて、結局数字が先にあって、そこに向けて進んできた、必要な対策の積み上げではなくて結局は数字先にありきのばらまきじゃないかという批判もあると思いますし、私自身もそう思うんですけれども、そういった批判にどうお答えになるか。

答)

全然違うと思います。

問)

違うのはなぜですか。

答)

積み上げてきた結果だと思っているから。

問)

あくまでそういうことですか。もう1点、この裏付けとなる国債発行、財源の方ですけれども、今回補正で10.3兆円というのが出ていますが、これに対応して新たな国債を発行するのは幾らで、その内訳はどうなる見通しでしょうか。

答)

建設国債で約5兆が主たるものだということに、確かそうだと思いますが。公債発行おおむね約5兆円程度と思っていますので、今申し上げた通りです。プラス年金の負担分2分の1というのがあったでしょうが、あの分を足すと13兆になるんですけれども、その分を入れますと年金の特例公債が2.6兆、年金公債が。赤字公債の増発というのを今やらないで済むだろうと思っています。

(以上)

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