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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年2月22日(金)11時06分~11時30分)

【冒頭発言】

「中小企業等金融円滑化相談窓口」についての説明を冒頭にさせていただきたいと存じます。中小企業金融円滑化法が3月末で期限を迎えますが、様々な状況におかれている借り手の心配や質問に答えるために、先般の緊急経済対策に基づいて、全ての財務局・財務事務所に、「中小企業等金融円滑化相談窓口」を設置させます。この窓口では、借り手からの相談・苦情・要望等を一元的に受け付けて、きめ細かく対応していくこととしております。本日付で設置し、来週月曜日25日から業務を開始。借り手の皆様におかれましては、是非ご遠慮なく、この窓口をご利用、ご相談をいただければと思っております。また、現在、寺田副大臣以下、島尻政務官等金融庁の幹部職員を全都道府県に派遣、円滑化法期限到来後の金融庁の対応方針などについて業務説明会を開催するなど、中小企業金融円滑化に万全を期しているということを申し添えさせていただきます。

【質疑応答】

問)

韓国の大統領就任式に出席されるとのことですけれども、日韓関係の修復、課題と思われますが、今回の訪問ではどういったことを目指されて、また今後の日韓関係、どうあるべきかお考えをお聞かせください。

答)

韓国に前回の大統領就任式も伺ったのですが、5年に一回外でやる、モスクワに匹敵するぐらい寒いのが記憶ですけれども、今回も行くことになりました。今、総理自身はアメリカに行っておられますし、また外務大臣も同行しておられる、そこで日韓交流協会の、今、中曽根さんが会長、私が会長代行をずっとしているので、日韓関係というのには意外とこれまで関わってきたことが長いものですから、就任式には私が出席するということになったのだと理解しています。私の方から言ったのではなくて総理の方から代わりにということを言われましたのでお引き受けをしておりますけれども、今、何をと言われたら、それは基本的にはこれまでの日韓というのはどう考えてもこの北東アジアの中において共通の価値観を持っている数少ない民主主義国であり、G20のメンバーであり、非常に関係の深い国でありますので、この両国が今後とも手をつないで未来志向で事を進めていかなければいけないということを言うのが一番の基本なのだと思いますけれども、そこのところは。そこが一番きちんと構築できるようにしていかなければいけない。隣国ですからいろいろ細かいことはいっぱいありますよ、歴史的なことを含めて、避けられない問題なのであって、だからといって基本とか大局とかというものをずらす、それから外れるということはない。それが一番肝心なところだと思います。

問)

日銀総裁の人事についてですけれども、安倍総理は訪米から帰国後に最終的な検討をされるということで、国会答弁などでは国際金融のインナーサークルだとか批判に対しては理論でもって反論できることだとか、そういった言及をされています。大臣はこれまで組織運営だとか語学力だとか健康ということを挙げて、学者については総裁には適任ではないというお考えも示されてきていると思いますけれども、検討の大詰めということで特に重視される点、あるいはこれまでおっしゃってきたことにつけ加える点がありましたらお聞きしたいのと、学者を総裁に起用することの是非については大臣と総理、おっしゃっていること、おっしゃり方が少し違うようにも感じられるのですけれども、その辺りの調整の状況を大臣どのようにお考えかお聞かせください。

答)

これは最終的に総理が決断される話なので、意見を求められたら私の方からいろいろ申し述べることはしていますけれども、大きな組織を動かすという時には、やはり組織を動かした経験がない方が組織を動かすとなかなか物事がうまく回っていかない、これはどの組織においても同じことだと思っています。したがって日本銀行もその例外ではないとそう思いますから、基本的にはいわゆる組織を動かしたことがない人は日銀の総裁には不向き、これは申し上げてきたとおりだと思いますけれども。今FRBやらECBに比べて日本銀行というのは、やはり世界の中央銀行の中では冠たるものですよ。私はそう思いますね。少なくともリーマンショックの前は108円だったと思いますけどね、あの頃。それが円高、最高75円まで行っていろいろ銀行として金融政策等々、いろいろな御批判はあるとは思いますけれども、少なくとも自国の通貨の価値をきちんと維持してきたという点は確かですし、またその内容についても財政の崖とかそういったことに悩まされることもなく、少なくとも日本銀行というのはきちんとした対応をやってきた銀行だと思います。その日銀の総裁というのは、各国の中央銀行にとっても注目の的として存在のある立場になりますので、それにふさわしい人ということを考えておかなければいけないということだと、これも前、こんなに詳しく言わなかったけれども、前も同じようなことを言ったと思いますので、そういった意味である程度語学ができないとほかの人からわっと来られた時に対する対応等々が日本銀行として中央銀行の総裁としていかがなものかということにならないように、そんな何も流暢にしゃべれる必要は全くありませんけれども、普通にそこそこできればよろしいのではと思います。その程度の英語が要る。あとは今の流れというのは、基本的にこの前の共同声明でほぼ大筋はでき上がっていますので、その方向に沿って金融政策を運営していただければよろしいのだと思います。

問)

国会審議でも大臣何度も答弁されていますけれども、春闘の賃上げについて具体的な企業名も挙げられて答弁されていますが、この間おっしゃってこられたみんなのヒラメの目が今どういう状況にあるのか、今どんな空気でどういったことを期待されますか。

答)

少なくとも元経営者として炭鉱労働組合、通称炭労という組合と賃上げ闘争とかそういったようなことに関わってきた立場から言わせてもらえれば、今これだけ内部留保が厚くなったのだから、我々なりに労働分配率を上げろというのは連合の仕事なのではないですか。連合ってそれで、俺達自民党が賃上げを交渉して票は民主党、おかしいのではないですか、と言いたいのがお腹の中。正直なこと言いますけど。だけど僕は何しておられるのかと正直思いますね。したがって労働分配率を上げるというのは、僕は経営者の立場から言えば、あなた達2カ月前に勝ったけど7月大丈夫ですかとか、ちゃんとこのまま行くのだろうねと思う気持ちはありますよ、絶対に。また自民党、たくさん数が増えたらもめるのはあなた達の習性じゃないかと。だからもう少しきちっと、少ない時はまとまるけど多くなったら割れるのはあなた達の特徴だろうと。あなた達とは言わないかもしれないけど日本人の特徴、世界中どこでも人間みんなそうですけれども、割れてもめたりして経済政策が違ってしまうのではないかとか、いろいろなことを心配するから、そんな簡単にベースアップはしませんよ。ただ一時金とか賞与とかいろいろな形で、これだけ円安のおかげで純利益が全く予定外にぼんと入ったわけですから、その分に関しましてはこれまで随分デフレーションとは言いながらも実質賃金は下がっている分の方が大きいですからね。だからそういった意味の分は苦労をかけたから、その分だけ払いますということを言った某企業なんていうのは大したものだと。そう言ったら、その企業の話ばっかりするなと言われましたけど、私が事実を知っているのは、そこしか知らないから、ほかの会社も憶測で、じゃああそこがやるならうちもやるというところがあるのかどうか知りませんよ。だけどそこらは、そういった企業が1つでもあるというのであれば、それに合わせていろいろな話を横の話で、えっ、あそこは高いの、というのだったら学生はそっちに行って、優秀な学生がそっちに行かれるのだったらこっちもやらなきゃというような、いい意味での相乗効果があればいいなとは思いますけど、その情報を全部詳しく知っているわけではありません。

問)

センシティブな話ですけれども、為替の話、日本で唯一専権的にお話しできるのは大臣だけですので、この間G20が終わって為替、この前からの水準を大体保っていて、今日は92円後半に少し落ちたりしていますけれども、ミニッツが出たりして。ですけれども92円から94円ぐらいの感じが続いているわけですが、この水準なりG20を踏まえた結果を、今の状況はどういうふうにご覧になっていますか。

答)

なかなか迂闊には答えられないところなのだと思いますが、少なくとも為替が安定しているというのは大事なので、毎日毎日5円も10円も下がったり上がったりするのは、そういうのが一番企業とか経済とかというのは迷惑するところなので、こういったものが安定しているというのは大事なところだと思います。その相場感がどれくらいかについては、ちょっとこれは言えません。

問)

日銀総裁人事に関連して、今度は日銀の総裁と副総裁の3人の人事のバランスという観点からお伺いしたいのですけれども、安倍総理が全体的なバランスという点で何度か触れていらっしゃいまして、大臣の方としましては3人のバランスについて、例えばどうあるべきかという点をお伺いしたいのですが。その際に例えば金融政策を運営する上でその3人の中で、例えば財務省出身者がいた方がいい、もしくは望ましいとお考えなのかどうか、その辺りの理由も含めて御説明いただければと思うのですけれども。

答)

日本銀行と財務省というのは、これはいわゆる金融政策とか経済政策とかいろいろなことをやっていく時において両輪ですから、その意味では連絡がきちんととれるというのはすごく大事なところで、何となく日銀と財務省が対立しているような構図というのはほかの国からつけ込まれる可能性を増やすだけであって、それは国益を害すると思いますね。したがってそういった連絡がきちんととれる人であれば財務省じゃなくてもいいですよ。きちんと連絡が間違いなくとれる人、そういう人であればと思います。

問)

現在といいますか、ここ最近5年間ですけれども、財務省出身の方というのは3人の中にいなかったのですが、これについて大臣の方の印象としまして、例えば今おっしゃられたように連携面というか、コミュニケーション面で十分であったのかどうかという、その辺りについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

あまり十分じゃなかったと思う。ということが結果的に、安倍総理をして、いろいろ日本銀行に対する批判がえらく出てみたり、いろいろいらつかれたりしておられる部分というのは、情報とかコミュニケーションというのがそんなにスムーズじゃないという部分もあったのではないかなと、これは僕は直接担当しているわけではないですから想像の域を越えませんけれども。これまで例えば民間で日銀総裁をやられたという人は、多分、宇佐美さんが最後かな、三菱銀行の宇佐美さんが昔日銀の総裁をやられたと思いますけれども、あの方以後、僕はちょっと知らないのですけれど、あとは大蔵省、財務省がずっとなって、そういった意味では日本銀行との関係というのはやはり両方とも、日銀の独立性とかと言いますけど、独立なんてマスコミが書いていますけど、独立性なんて法律には書いてありませんからね。あれは自主性と書いてあるのだから、日本銀行法をよく読んでもらえば。独立性なんて全然書いていませんからね、あれ。自主性よ、正しく言葉を大事にしなければいけません。マスコミとしては、是非、自主性と独立性を間違えないようにしていただきたい。そういった意味では、きちんと自主性を保つということをやられるのは当然のことなのであって、それをどうのこうの言うつもりは全く財務省としてもないのでしょうし、双方きちんとしたあれを保っているわけですから、その上でどうやってうまく連携していくかという話だと思いますね。

問)

今日、竹島の日ということで韓国側、日本政府から政務官が行くことに反発の声も出ている、その点についてどうお考えかということと、さきの日韓関係の悪化の際に通貨スワップ、それとは関係ないという話でしたけれども一度止めていたりという点や韓国国債を買うという話について今回お話をされる予定があるかどうかお聞かせください。

答)

韓国の国債を買うといった、そういった具体的な話が今回の訪問時に出ることはありません。竹島の日、これは地元でやられる行事ですから、行事というのはその地域地域でいろいろありますので、私共としてはそれに対していわゆる政務官が行かれる、そういった形で対応させていただいているということであって、これによって日韓関係がおかしくなって、それで次のスワップ、金融スワップが要るとか要らないとかという話にはなりません。ご存じかと思いますけれども、銀行が基本的に脆弱な場合があるんですよ、韓国というところは。韓国というのは大きな企業名は聞きますけれども、大きな銀行の名前は聞いたことがないでしょう。基本的に大きな銀行の存在はないのですよ。だからスワップをするとか、そういった急なことになってくると、いきなり日本に振ってこられるというのは私の時にもありましたし時々ある話ですし、1997年もそうでしたし、そういったものは、日韓関係というのはいよいよそういう時になった時に、経済的に韓国にきちんとした形で対応したのは、97年の時にはIMFではなくて日本がきちんとしたというのが歴史ですから、そういった意味で日韓関係というのは、きちんとしたそういったところはいろいろな歴史的な意見の相違とか見解の相違があるにしても、数少ない共通の価値観を有している隣国ですから、そういった意味では今後ともそういった日韓関係というのは、経済とか金融とかそういったところはきちんと対応していくべきだと思います。

問)

日銀総裁人事の関連ですが、大臣の中で意中の候補というのは固まっていらっしゃるのでしょうか。

答)

固まっていらっしゃるのですかという質問、愚かな質問だと思いますけれども、そういうことは思っていても言わないことになっていますので聞いても無駄だと思います。

問)

では進展状況を。この間、3カ月前よりは進んでいるということだったのですが。

答)

アメリカから帰られてからですね、総理が。

問)

米国のFRB、FOMCの議事録がこの間出まして、あちら結構景況感もよくなっているようで、金融緩和の出口議論も本格化する気配ですが、そのことの日本経済へのインプリケーションとか為替への影響をおっしゃれる範囲でお願いいたします。

答)

アメリカの景気がよくなってきたというので一番の問題は住宅価格ですよね。住宅価格はどれくらい上がりましたか。上がっていないでしょう、あれ。ほかのところは上がった上がったと言いますけど。アメリカの住宅価格が上がっていない限りは本当に回復したかどうかというのは疑わしいと思っていますよ、アメリカ人が。だからそんな簡単に、急に反応してくるとは思えませんね。僕にはそう見える。ただ株価は上がっていますからね。株価はリーマンショックの前を超えたろう、株価の総額は。だから日本の株はもっと上がる余裕があるんだということを言っている人がいるぐらいですけど、さあそういうような状況ですかねとは思わないでもないですけど。ただ株が上がるということは含み資産といいますか、自分の持っている資産、動産という名の資産が増えることになりますから、気分的には何となく消費性向の強いアメリカとしてはそういうものは上がると思いますけれども。ただアメリカもこのところ、貯蓄性向が日本に匹敵する、一時期日本より高いぐらいの貯蓄性向でしたから、それがまた元に戻って貯蓄性向がほぼ2%台ぐらいとか何とかかんとかという台にまで下がってきて、それで消費に全部回っているかといったら、そんなこともない。だからまだ兆しが、1つのいいシグナルであるとは思いますけれども、全体として力強く上がってきているという感じはしていないと思います。

問)

そのアメリカ、これからオバマ大統領と安倍総理が会談されるわけですけれども、経済面、今回は非常にたくさん話題があって、日本の側からアベノミクスもありますし、アメリカ側からは財政の崖をどうするのかとか強制カットをどうするのかとか、そういう話があると思うのですけれども、日本側としてどういうメッセージを伝えて、どういう議論がなされるべきだと財政当局の代表として思われますか。

答)

財政としては、この間、FRBの人も、それからジェイコブ・ルーは来ていませんでしたけれども、その下のブレイナードが来ていたから、こっちの内容を知っていますから、財政のことでそんなに話は出てこないと思いますが。日本として多分アメリカにとって一番大きいところは、日本の今回の補正予算並びに本予算において間違いなく日本は過去十何年間減らし続けてきた防衛費を日本は増やす、しかもかなりどんと増える。そういったことは北東アジアの安定にとって、今、アメリカはアジアの安定、東シナ海の安定とかいろいろなことを考えて、南シナ海を含めて安定ということを言っている時に、国防予算を減らさなければいけないという時に当たって、日本は間違いなく国防予算を増やすというメッセージは、間違いなく我々はこのアジアの安定に対して貢献しようとしているということをはっきり、これはアメリカができないところを日本はやりますということを言うのが、アメリカにとって最大のメッセージになると、僕だったらそう言います。

(以上)

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