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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年4月26日(金)8時56分~9時25分)

【冒頭発言】

5月3日から5日に開催されるアジア開発銀行年次総会等の一連の会合に出席するため、5月2日からインドのニューデリーやデリーを訪問することになります。

今回のデリーの会合にはスリランカのラージャパクサ大統領兼財務・計画大臣が出席されないということでデリーの会合に先立ち、5月1日からスリランカを訪問し、先月ラージャパクサ大統領が日スリランカ60周年で訪日された際のフォローアップとして意見交換を行う予定です。日本政府としては、引き続きタミル・タイガーとの紛争終了後のスリランカにおける平和の定着の推進に寄与してまいりたいと考えております。

日本銀行券の識別性向上に関する取組みの実施ということで、安倍内閣の基本方針において難病や障害、社会的に弱い立場にある人達が、社会で活躍出来る環境を整備するとされております。これを受けて財務省では、日本銀行、国立印刷局とともに、日本銀行券が目の不自由な方にとってより使いやすくなるように枠組みを検討してまいりたいと思いますので、その内容を発表することになります。具体的には、早期実施を目指して着手するのは現在の五千円券の改良、携帯電話に搭載可能な識別機能の開発・提供、券種の識別機器の開発・情報提供という3つの具体的な取組みと将来に向けての取組みです。これらの取組みの方針については、新たな障害者基本計画に盛り込みたいと考えております。

【質疑応答】

問)

消費税転嫁法案についてお伺いします。還元セールの禁止など小売りの店頭表示についての議論が今国会でされていますが、民間の自由な競争を阻害するなどの指摘もあります。それら線引きについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

この規定はもともとは納入業者に対する買いたたきとか、また小売業者の転嫁が困難になることを防止しなくちゃいかんという観点から業者が消費税に関連するような形で安売りの宣伝を行うということを禁止するものです。あくまでも表示の仕方についての規定であって、業者の企業努力による価格設定自体というものを制限するわけではありませんで、具体的に言うと消費税との関連がはっきりしない、単なる春の生活応援セールとかそういった表示とか、また消費税の引上げ幅と一致するだけの3%値下げといった表示が行われるだけで禁止することは法律の解釈として無理があります。そのような規制を行うとするものではないということだと承知しています。また法案によって禁止される表示に該当するかどうかは、これは行政側が立証責任を負うものですから、そういった意味では消費税や税などの表現を使わない場合には宣伝や広告全体の状況から、誰の目から見ても消費税を意味することが明らかであるような場合でなければ禁止される表示にはならないというものだと認識をしています。いずれにしても、具体的にはどのような宣伝などが禁止されるかについては、今後事業者からのヒアリングなども含めて消費者庁が定めるガイドライン等において明らかにされるものだと理解をしています。

問)

米金融業者のMRIインターナショナルが、日本の顧客から集めた1,300億円を消失した疑いがあるという報道がありますけれども、事実関係はいかがでしょうか。

答)

そのような報道があったことは知っています。証券取引等監視委員会が行う個別の金融商品取引業者に対する検査の対応ということについて、これは個別のことであるので、金融担当大臣としての質問だと思いますけれども、個別の案件に関してコメントすることは出来ません。

問)

22日の経済財政諮問会議で菅官房長官が、財政健全化目標について固定化しないでもう少し様子を見てはどうかと発言されたことが議事要旨で明らかになりました。発言に対する大臣の受け止めと現在の目標を堅持すべきかどうか改めてお考えをお聞かせください。

答)

財政健全化目標を今2015年までとか2020年までというのを目標として立てていますので、今の段階で特に変えるというようなものを考えていることはありません。

問)

菅官房長官が固定化しないで様子を見てはどうかと発言したことに対してはいかがでしょうか。

答)

それは別に、諮問会議での話ですから色々な意見が出るのは当然なのであって、15年じゃ無理、16年とか20年じゃ無理だから20何年、そういう考え方があってもおかしくないですよ。それまで景気というのは、新聞に書いているような景気がいいと、新聞によるといかにも景気がいいように書いてあるけれども本当かね。そう思って見たことはないかね。記事を書いていて恥ずかしくないかね。大丈夫か。俺はそんなに世の中景気よくなっていると思わないからね、俺自身は。だから、ほー、某新聞社は、よほど給料がいいんだなと思っているんだけど。まだ給料が上がるところまで行っていないだろう、普通。タクシーの売り上げ、東京で上がっているだろう。大阪上がったか。福岡上がったか。タクシーの運転手に聞いてみて、売り上げ幾ら上がったって。東京に聞いたら大体上がったって言うよ。だけど大阪とかその他、俺は大阪・名古屋しか知らんけど上がっているように見えないから、今の時点ではそんなに簡単になかなかいかない部分もあると思うけどね。

問)

今の財政健全化に絡んで質問させていただきたいんですけれども、その財政健全化の進め方につきましてですけれども、G20でも財政再建については指摘もありましたけれども、一方で大臣、これまで例えばインフラの改修であるとか、補修であるとか、そのような必要な公共工事とか出動の面もまだ残されているということをおっしゃっていまして、今後、財政再建とそういう必要なものとどうバランスをとられるか、そのバランスのとり方について大臣どのようにお考えになるのかという点と、夏に策定される予定の中期財政計画ですけれども、ここには大臣はどのようなものを盛り込みたいのか、その辺の思いについてお伺い出来ますでしょうか。

答)

これは基本的には今言われたように民間が出動する、いわゆる矢でいけば3本目の矢、その前の2本目の矢の財政の機動的運用というところで今まずは財政が最初に動いてこない限り民間が、これまでのデフレで来た民間が動くということは常識的には考えにくい。従って財政が確実に動いてきているということが一番最初にいわゆる土地代等々にかかわらずやれることといったら、例えば補修、道路のメンテナンス等々、電柱の地下埋設、港湾の水深、1級港湾で言えば14~15メートルだと思いますから、それを17~18メートルにします等々はいずれも公共工事であり、それをやることによっていわゆる流通とか運航とかというものが便利、快適、スピードが上がる等々のことによって経済に与える影響は大きい。そういったようなものにおいて公共工事というものは大きい。新しいものでいくのであれば、例えば1935年ぐらいから手をつけたサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジ、ネバダにあるフーバーダム、いずれもサンフランシスコで言えばバークレーに渡るダンバートンブリッジとか、ほかの橋があるにもかかわらずあそこにゴールデンゲートという橋を架けたけれども、あのゴールデンゲートがサンフランシスコ最大の観光客の呼び物になった。あれが一番。ラスベガスも当時は壮大な無駄と言われて、シエラネバダから水を引いてくるなんて正気の沙汰じゃないとか言われたけれども、今日のラスベガスの繁栄はあのフーバーダムを除いては考えられない等々、フリーウェイをあちこち作っていますけれども、そういったものは結果として、アメリカの公共施設の充実が結果としてアメリカの繁栄につながっていった、観光客を呼んだなどなど色々ありますけれども、そういったようなものを含めて広い意味でそれが新しいGNIを増やすかGDPを増やすか、色々な表現があるんだろうけれども、そういったようなものにつながっていくんだ、というような考え方で基本的な整理をしておけばいいんだと思っています。傍ら、それによって税収が伸びる、また先行き色々な収入がつながるということを考えてやれば、今言ったように年央をメドにということになった時は税収が増える分、傍ら、中で整理をしなくちゃいけないものとしていわゆる社会保障などなど色々なものに関してもう少しとか、こういったようなものはさらに合理化すればとか、色々な話はこれから幾つも出てくるでしょうから、そういったものを整理して基本的にはバランスのとれたようなものにするような考え方というのを年央をメドに色々考えていかないかんということだと思いますけどね。

問)

先程のMRIインターナショナルの件と関連するんですけれども、昨年のAIJ投資顧問による1,500億円ぐらいの投資詐欺、今回もこのような巨額なものが、現状の金商法の法体系、あるいは金融当局の検査・監督体制に対して何か問題点とか現状お感じにならないでしょうか。

答)

ついこの間まで金融庁というのは「金融処分庁」と言われたところだからね、ここは。処分する以外に他に何かやること、育てることはないのかとか、当時おたくも書いていたけれども、そういうような役所の雰囲気だったところが、色々金融を通して中小企業なり零細企業なりを育てるという状況になって、金融庁というものが監視を強める話と、いわゆるもっと緩めて育てる方にというのと、そのバランスの取り方が難しいんだと思います。この種の話は、MRIの話にしても、アメリカでもエンロンとか色々ありましたけれども、ああいった話を見ると、こういうような話は、国際的なものになってきている分だけ、今までとは目を付けておかなければならぬところが変わってきていることは確かだと思いますね。国際的になってきているんだと思いますよ。これは集めた金を国内で動かさず、そのまま、どの道、アメリカだかケイマン諸島だかどこだかで動かしているのだろう。そういった形になってきていますので。税の方でもOECDやら色々なところで、いわゆる日本で商売をしている海外の会社が、おたくらどこに税金を払っているのかというと、日本に払っていない、本国にも払っていない。どこに払っているのというと、中間のどこか訳の分からない国に、無税だからといってそこに行っているというのはおかしいじゃないかという意見というのは色々な国から言われるようになった。そういったようなものに対するルールというのは、全然別なルールで考えないと、今のインターネットとか国際化している時代にはなかなか税の体系自体が追いつかないことになっているという点は、今後取り組まねばならない方向だと思います。

問)

消費税転嫁法案の関連なんですが、先日の衆議院経産委員会で消費者庁の審議官は消費税という文言がなくても消費税に関連している値引き宣伝であるというふうに解釈されれば禁止されるんだという言い方をして、その具体例として幅とか、3%とかということだと思うんですが、時期などという言い方をして、かなり幅広な雰囲気を持った答弁をしていたんですけれども、大臣の話とは若干違うと思うんですが、大臣の見解の方が正しい見解だというふうに。

答)

今からガイドラインを作るんでしょうから、その中で色々検討されていくんだと思いますけれども、要は中間にいる小売業者とか零細中小業者がいわゆる不当に大手の方から下げろとか、その分は俺達払わないとか、そういったような感じにならないようにするのが本来の目的だから、そこらのところは本来の趣旨というものを踏まえてやってもらえればそれでいいです、私の方は。そこが一番肝心なところです。

問)

プライマリーバランスの関係で先程大臣、今の段階で15年、20年の目標を変えることは考えていないとおっしゃられたと思います。これは今後骨太と、あと年央の中期財政計画と、確認なんですが、そこは今まで出しておられる公約、国際公約を前提に作られるということでこれは今後変わらないという理解でいいのかというのがまず1点です。

答)

その方向で少なくとも今は進めないかんでしょうね。何が起きるか、経済というのは分からん世界だからね。いきなりまたリーマンみたいな話が起きてみたら、みんなバーンと止まっちゃうし、各国みんな色々目標を立てたけれども、その目標を達成した国というのはヨーロッパにはほとんどありませんし、みんな3%以内とか言っていたんだから、あれも全然うまくいかなかった。そういった意味では国際公約というものにうまく合致した国はほとんどないという状態にありますので、それは経済情勢が急激に変化すれば起こるというので、こういう今のような状況というのは何が起きてもおかしくないので、外から見たら日本なんか最も安定した国じゃないかと。日本の国債が大変かといえば、あんなのは自国通貨でやっているんだろうと。ヨーロッパみたいに外国の通貨でやっているんじゃないだろうと言われると、それはそうですなと。ヨーロッパよりはいいかもしらんなという話になるんですよ。だからそういった意味では、我々は確かに中央銀行としては、ECBやらFRBに比べて間違いなく安定したものであるということは間違いないとは思いますけれども、しかし国債の問題としては我々としては常に考えておかないと、国債というもの自体の信頼がなくなると話が全然込み入ってしまうので、これだけ国債が出ていれば少なくとも我々の習った経済学が全然ついていかない時代になっているんですよ。普通、借金が500億から1,000億に増えたら金利は上がるんだよ。500億の時は金利は7.4%だった。今0.5とか0.6とか0.7とか、全然理解が出来ないような状態になっているんだよ。それはいわゆる多くの金がソブリンファンドとか色々な表現があるけれども、そういった投機の金の動く桁が大きくなっているもんだから、今株が上がっているけれども、これは長期かと。いや短期で動く、1秒でなくなるからね、今。そういったようなことを考えておかないといかん時代に今生きているので、その点では常にきちんとした目を配っておかないと取り急ぎ7,000円だったものが1万3,800円とかということになってくれば、倍近くに伸びてくれば年金の運用だって赤字から黒字に変わっているだろう、それは。そういったようなものだって、随分色々な影響する、いい意味で影響することは確かですけれども、だからといってプライマリーバランスの点はなるべくきちんとしておいた方がいいと。プライマリーバランスがよければいいのかというのは、それは全然関係ないんであって、アイルランドとかほかの国を見てもプライマリーバランスはものすごい、日本に比べればはるかにいいのが先に倒産したからね。何がと言われるとちょっと難しいですけれども、基本的にはよくする方向で考えるのは、それをしないと駄目だと思いますね。

問)

朝鮮総連ビルを落札した最福寺というお寺の方が、落札したけれども急にお金が調達出来なくなったと。それは、この人が銀行から聞いたところによると、国から指導されてお金を貸せなくなったというふうにご主張されているわけですけれども、そもそもこういうことがあり得るのかということと、そうは言いながらも確かに朝鮮総連ビルのようなところにお金を貸す、しかも評価額を大幅に上回るような金額で落札したような、そういうものに融資すること自体もどうかなというようなところも思うんですけれども、この融資そのものについてどういうふうにお考えになるか、お考えを教えてください。

答)

池口恵観、前に何で出たか覚えている?、この人の名前が。新聞にダーンと出た、各社。覚えていない? 世代が違うのかな。宇野宗佑の事件の時だよ。宇野宗佑の事件は覚えている? あの時の駆け込んだ先は、ここだよ。そこで名前が最初に出たんだもの、この名前は。俺達は、そっちの名前の方が有名だね。こういう駆け込み寺があるのかと、その時はそう思ったよ。だけど、その人がやって、結果的に今回、金がといって、最初に手付金の方は持ち込んできたという話だったけれども、あとみんなでせっせと担いで持ってくるのかなと思っていたけど、それが持ち込めなくなりました、止まりましたという話になっていると言っているというので。一般論で言えば、一金融機関と貸出先の話であって、我々としては、金融機関が自分自身が自らの経営判断でやってもらうということ以外に何とも言いようがないね、この種の話は。

問)

ただ朝鮮総連という、何となくそういう意味と、評価額よりだいぶ高い値段でつかんだというのは、そこに貸すこと自体、金融機関の経営姿勢として何か問題点を感じないでしょうか。

答)

そうだね、だけど、場所は良いよ、あの場所は。靖国神社のすぐ近くだし、場所は良いけれども、ただその場所を売却してどうするつもりにしているのかね。再び朝鮮総連というのに貸して、その貸金と借りていた金との金利に差があれば、それなりの商売としては成り立つと思いますよ。いずれにしてもそこらのところはちょっと分かりませんな。

問)

冒頭ご発言ありましたADBに関連すると思うんですけれども、今日一部の報道でADBと同時に日本とASEANが会議を開いて、日本が外貨準備で新興国の国債を購入するなどをしたり、通貨交換の協定もするという報道がありましたので、この事実関係及びこれがもし事実であるのであれば、その狙いについてお話しいただけますか。

答)

今アジアの中、例えば日本と韓国とか日本と中国とは個別にそういった会議があるんですけれども、日本とASEANはないんですよ。従ってそういったようなもので今アジアが伸びてくるのであれば、そういった日本とASEANとの会談というのは1つの方法じゃないかなと。必要な方法になるんだと思ってはいますけれども、今調整中としか言いようがないです。

問)

5月にG7もあると思うんですけれども、先程財政健全化の話が出ていましたけれども、欧州の方でもドイツの色々な考え方と、あと他のところで少し財政健全化のペースを落とせというような話があると思うんですけれども、G7とか世界全体として財政健全化という議論は今後少し緩める方向になる可能性があるのとか、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。

答)

ヨーロッパの場合、ドイツとその他とかなり違いますからね、その全体という定義が難しいと思いますけれども、全体として財政再建というので数年前までほとんどの国が走ったんですけれども、財政再建だけじゃうまくいかない、景気はさらに悪くなるということで、まずは景気回復をやって、経済のパイを大きくしない限りは財政再建は難しいという考え方のほうが少し力を持ちつつあるのかなという感じはしますけれども、ドイツはショイブレ財務相ですから、あの人の場合は徹底して昔から財政再建をプライオリティの1番に置くという傾向がありますので、ヨーロッパの他の国、例えばフランスとかそこらの国とドイツとは少し違うような感じがしますので、全体としてと言われるとちょっと答えが、国によって違うような気がしますけどね。

(以上)

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