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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年6月18日(火)9時15分~9時35分)

【質疑応答】

問)

先週末に骨太方針が閣議決定されまして、これから8月に向けて中期財政計画の策定が本格化するかと思うんですけれども、改めて具体的に詰めていく中での方向性並びに大臣が重視なさるポイントがあれば伺えればと思います。

答)

この間、閣議決定された骨太方針ということですが、あの中に書かれているのは経済の再生と、それといわゆる財政の健全化の良い意味での循環、両立性というようなことを目指してというので、歳出の方における重点化をやらなければいけないとか細かく書いてあったように思います。そういったところで、きちんと経済の活性化をやると同時に、財政の健全化もやらなくてはいけないと。基本的には日本の国債の信用というのを確保していくということをやらないといけませんので、両方やるんですというところが一番肝心なところだと思っております。私達としては、歳出の重点化とか効率化とかいろいろな表現が書いてありましたけれども、そういったものをきちんとやって、経済はきちんと活性化させつつ、同時に財政の再建も図らなければいけないという極めて難しいハンドリングをやらなければいけないということだけは確かだと思います。

問)

G8サミットの首脳宣言で、経済部分が既に発表されていますが、かなり日本についての言及もなされています。大臣としてどういうふうに受け止め、評価されているか教えていただけますか。

答)

良いことじゃないですかね、極めて。今までG8のサミット等々この十数年間の中で、日本の経済政策がスポットライトを浴びたことなかったと。私の記憶ではないですね。したがって、そういった意味では日本のアベノミクスというものが、我々としては日本のデフレからの脱却、経済成長が世界の経済発展のために役立つというのを、ずっとG8の財相会議では申し上げてきましたけれども、それが首脳会議においてもその方向というのが容認されて、ある程度認知されつつあるということなんだと理解しています。

問)

中期的な財政計画についても改めて首脳宣言に盛り込まれて、首脳宣言でこうした言及をされるという意味も重いと思うんですが、こちらについてはどういうふうにお感じでしょうか。

答)

それも同じで、それもこの前の時、いわゆる2015年まで、2020年までにというプライマリーバランスの話をずっとしてきましたので、それはある意味での国際公約にもなっていますから、その方向に沿って財政運営をしていくということなんだと思います。

問)

投資減税の関連で、昨日、一括償却・即時償却というようなお話が出たというふうに報道で知ったところなんですけれども、これについて若干御説明いただきたいのと、この一括償却・即時償却というのが成長戦略という、どちらかというと短期ではなくて長期の戦略とどういうふうに絡めていくのかと、その点についてお願いします。

答)

法人減税のうち、いわゆる国際競争にさらされているのは、主に製造業というのが大きな比率なんですが、今、法人税の中に占める製造業の比率は3割切って約25%。納税しているところが全体の3割とかよく言われますけれども、その納税している人達のうちのパーセントは、約8兆として約25%ぐらいということになっているんだと思うんですね。残りの75%は国際競争をやっているわけじゃありませんから、それは間接的に、やっているということではないということなんだと思います。要はそういった国際競争にさらされている企業は、このままでは国内にとどまるより海外に行った方が良いという経営判断をするということになるというのは、それは雇用とか設備投資とか景気とかという国内に与える影響が大きいですから。したがって、その点から考えたら、製造業が日本の国内で設備投資をしてもらえること、イコールそれは雇用の確保であってみたり、いろいろな意味で日本のGDPに直接関係しますから、国内で設備投資をしてもらえるというのであれば、償却にある程度優遇できるという方が、よりインセンティブを与える、刺激を与えるということになるんだという感じがします。一括償却とか即時償却とかいろいろな表現がありますけれども、そういったものは1つの手段としては考えられると思いますね。

問)

先日、シンガポールの金融管理局が、シンガポールの銀行間金利、SIBORと言うんですけれども、これを不正操作した疑いがあるとして、三菱東京UFJ銀行を含む20行を事実上処分したんですが、この処分についてどのように受け止めるか、シンガポールの対応並びに三菱東京UFJ銀行を含む銀行の行動についてどのようにお考えになるか。また、昨年からずっとこの銀行間金利の不正操作問題というのが、世界を揺るがせてきているわけですけれども、日本当局のこれまでの対応は、国際的に比較をすると法的な枠組みが違うんですけれども、何となく処分の結果だけ見ると日本が割と軽めに映るんですけれども、このことについてどういうふうにお考えになるかお願いします。

答)

もともとロンドンで始まったのが、ばれた話になってから、あちこちに、オーバーナイトコールの話だったね、これ確か。それで始まったんだと記憶しますけれども、今回の場合も、海外当局の個別の行政対応について、私らの立場としてコメントするというのは、ちょっといかがなものかと。どうのこうのと言えるものでもないと思いますが、いずれにしても、この種の話というのは、モラルの問題を含めていろいろ考えておかないといけない話なんだと思います。一般論として言えば、各国の金融機関というものが、各国の法律をきちんと遵守して業務運営を行ってもらいたいということしか言いようがないんですけれども、この種の話というのは、よほどきちんとしておかないと、金融機関の信用を失うということになりますので、金融収縮とかいろいろな大きなことやそういうところまで発展しかねない話ですから、こういったものに関しては、大事に対応していかないと、大事にというか、各金融機関においてきちんとした指導なり対応なりをしていってもらわないと、信用を失うということになるんだと思いますけどね。

問)

マーケットの方は相変わらず落ち着きがない状況で、一方で月例経済報告等では着実に持ち直しているといったような形で、景気の判断を少し上げているような状況です。一方で、大臣も気にしていたボーナスの行方なんですが、私の取材によると今のところ去年よりは確かに持ち直しているけれども、それほど、言うほど良いという状況ではないというのが現状のようです。今そういった市場の状況と庶民の実生活の部分で乖離も少し出てきていて、アベノミクスというのが今どういう局面にあるのか、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。大臣の中ではいろいろ、会見の中でもこれから起こり得るだろうというような話もしていましたけれども、アベノミクス、現在の状況の局面について少し考えを教えてください。

答)

今の段階でアベノミクスという定義が極めてあやふやで、定義で言うと何ですかと言われると、みんな勝手なことを言うんですけれども、基本的に1、2、3と3本の矢で、1番目、2番目の矢は成功した。はっきりしていますよね。3本目の矢がついこの間正式に発表されて、第3の矢として出てきたのは、これは我々としては、1番目は日銀、2本目の矢は財務省、3番目は民間ですよという話を申し上げているので、この民間が今からどう対応されてこられるかというのは、これは少し行政の立場として言える話ではないんだと思います。少なくとも今の指標というものを見ていれば、下を向いている指標というのは探したってなかなかない。全ての指標は設備投資にしても機械受注にしても、機械受注は前月落ちましたけれども、そのまた前の月がすごく高いからね。機械受注が上がっていくときというのは、単月では上がったり下がったりしながら、中期的に上がっていくものですから。そういった意味では、指標に関しては、ほぼいずれも景気は上向いているという指標、しかも消費は、特に高額商品の消費が上がってきているというような例を見るまでもなく、間違いなく飲食店等々の利用率がパーセントが上がってきているし、ゴルフ場も去年までマイナスが今年に入ってから2桁プラスの月もある。そういった意味では、いろいろな意味で生活必需品以外のものに、そういった金が出回り始めているという現状は、先行き景気は良くなるという思いがあるからそういうことになっているのであって、それに合わせて企業というものが投資をしたり、いろいろボーナスをということになるんでしょうけれども、まだ今までの繰越赤字を消して、輸出産業なんかでもこの円安のおかげで繰越赤字を消して法人税を納めるところまでいっていないんじゃないでしょうか。僕の感じだけど。ですが、そういった意味で、自動車会社でもやっとちゃらになるぐらいのところもあるぐらいのところだと思いますので、これから増えてくることは確かでしょうけれども。今までのところではちゃらになったぐらいというのであれば、これは確実に今の政策方向をそのまま堅持していくという姿勢が大切なのであって、何となく株が上がったとか下がったとかと言っているけれども、もともと8,600円からスタートしたんですから、1万3,000円つけば5割増しになっているわけで、あまり欲をかいちゃいけませんよ。給料やら何やらというものも、一番肝心なのは賃金であって、一時金ではないんですよ。今上がっているのは一時金でしょう、ほとんど増えているのは。一時金が増えているというのは、ボーナスが増えている。それよりは賃金というベースが上がってくるまでになるかといえば、まだそこまではいっていない。だからそういった意味では、3本目の矢というのは、まさにこれからなんだと思います。

問)

中小企業とか、あるいは地方まで経済政策が波及するまではどのぐらい時間がかかるのか、あるいはどういった課題があるかをお聞かせ願えますか。

答)

地方に行くのには時間がかかります。まず予算が通っても、今回の予算は土地代等々に予算が消えないようにするためには、補修工事・メンテナンス等々のものに優先すべきということで、いわゆるそうした方針でやって、事実、公共工事等々もその方向で事を進めているんだと思います。中小企業は工事の絶対額は少ないところが多いと思いますけれども、そういった意味では大きな工事がいっぱい出てくると、中小の方に人手が足りなくなってきている。また、いろいろな意味で技術屋もそっちへ回せない等々で、1億、2億の契約に応札してくる業者がなかなかいないとか、そういった形なってきている可能性というのは高いと思いますね。したがって、中小に本予算の方がおりてくるのはこれからですから、もう少し時間がかかります。この夏以降にかかってくる、常識的にはそういうことになってくるんだと思います。いずれにしても、これがある程度継続していくという方向になっていかないとなかなか地方、中小零細企業、特に食い合った場合は公共工事が大きいと思いますけれども、そういったものが出てくるのに少々時間差が、東京と地方では差が出てくるというのは常ですけれども、今回もその例外ではないということだと思いますね、今の段階で言えば。ただ、だいぶ前倒しましたので、随分出てきたなという感じはいろいろな人から聞きますけれども。もう少し、とにかく6月までに、そんな反応がすぐ出てくるのは、補正の方の部分が先に出てきていると思いますので、それから後の本予算の方が今からなんじゃないかしらね、そんな感じがしますけれども。契約を見ると結構前倒ししましたから。

問)

最近のマーケットの状況、やや小康状態といいますか、そういう状況を見て先日決定会合もありましたけれども、日銀に対してさらなる金融緩和を催促するような、市場のそういう声もあるわけですが、大臣としては日銀のさらなる緩和ということについてはどのようにお考えでしょうか。

答)

マスコミ的に言えば小出しにしたら小さな記事にはなるのかも知れませんけれども、それを皆期待していますかね、本当に。一部の人だけじゃないですか。それで商売して、デイトレーダーみたいな人達はそうかもしれないですよ。しかし、ほとんどの国民というのは安定して、株が少しずつ少しずつ確実に上がっていくのを期待するのであって、自分の持っている株が毎日毎日上がったり下がったり、上がったり下がったりしているというのを良しとしているかと言えば、それはディーリングをやっている人達はそうかもしれませんけれども、そうではない人はそんなことは期待していないと思いますね。したがって、日銀の方針としては異次元の世界のものをぼーんと4月4日にやられて以後、きちんと、どんと構えておられるという対応は正しいと、私はそう思います。何となく金利が上がったとか、たくさん書いてありましたけれども、今日は0.8くらいのものだと思いますから、ちゃんと平常どおりなんだと思いますので、そういった意味では、日銀が大量に国債を買っても金利は変わらないという状況は、基本としては正しいんだと思います。

(以上)

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