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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年6月25日(火)10時06分~10時24分)

【質疑応答】

問)

昨日立ち上がった政府税制調査会についてですけれども、当面の景気回復と中長期な財政健全化の両立に向けて、財務大臣として新たな政府税調の役割にどういったことを期待されますか、改めて御所見をお聞かせください。

答)

法律とか経済、財政、税務等々のプロが集まっておられるので、こういう御議論をいただくということで、確か3年間ぐらい民主党の間は政府税調はやめていたんですね。これは我々としては、是非こういった中長期的な問題というのをきちんと議論していただくという場は大切だと思っていますので、是非そういった経験者の話やら何やらを考えて、中長期的なものの話をきちんとしてもらうというのは大事なところだと思って、これを復活させていただきました。総理の方からも発言があったとおりで、例の租税回避の話やら何やらを含めていろいろ諮問されたということだと思います。この問題は今G8の話にもなっていますので、きちんとそういったものを踏まえて、いろいろ意見を聞かせていただければと思っています。

問)

東日本大震災の復興予算の一部が、復興と関連の薄い事業に使われていたと指摘されている問題について、週末に政府が自治体に1,000億円分ほどの未執行分の返還を要請するという方針を固めたという報道もありましたが、その後の調査状況はいかがでしょうか。

答)

これはまだ検討している最中で、まだきちんと決めたわけではありません。したがいまして、7月初め頃には出せるんじゃないかなと思いますけれども、まだ今の段階で、スケジュールはこうなっています、額は幾らになっていますということをきちんと言うのは難しいです。

問)

設備投資について、これまで大臣は国会でのねじれが解消して、政治の不透明感が払拭されることが、設備投資の本格回復の1つの条件とお話しされていましたが。

答)

それは主語が違います。設備投資開始の条件ではありません。設備投資をするような気持ちに企業者側がなるという話をしているのであって、主語は企業者であって政府ではありません。

問)

都議会議員選挙が終わって、だんだん不透明感というのは少しずつなくなってきているのかなという感じもするんですが、先にはおそらく消費増税というようなことも控えているのかなと思うんですけれども、経営者の本格回復に向けたマインドの変化というのは見えてきた感じなのか、まだほかにも政府としてさらにやることはあるという感じなのか、どのように見ておられるでしょうか。

答)

少なくとも今回勝った勝ったと、59人全部通ったとか、公認候補が全員通ったというような話を皆書いてあるけれども、だからこれがそのまま参議院に行くなんていうように、そんなに選挙って甘くないんですよ。今回の東京都で、これからの参議院と違ってはっきりしていることは、少なくとも投票率が10%、11%ぐらい下がっているでしょう。投票率がどんと下がっています。投票率が下がれば浮動票の絶対量が減りますから、その分だけ基本的には組織を持っている公明党、共産党、自民党等々が強いということになる、それが1つですよね。もう1点は、やはりアベノミクスというものの雰囲気とか、いわゆる何となく景気が良くなったなという感覚というものは、東京都とか1都3県に近いところは既にそういう雰囲気が出ていると思いますけれども、地方で出ているでしょうか。少なくとも地方にそんな雰囲気はまだ実態として、予算が実行に移されて、おっというような感じに地方がなっているとはとても思えませんね。7月までにそれが行き渡ればちょっとしたもんですけど、なかなか国の予算というのは下期の方に多く出てきますから、前倒し率が高くなったとはいえ、なかなかそういった感じは出てきませんから、地方がそういった気持ちになるか否かというのは参議院の選挙までに出てくるかどうか少し不明です。この2つがまず違うところですね。東京都では簡単に地方、参議院を予測できない。少なくともそれが1つ。もう1点は、それによって地方の経営者というか、投資をどうしようかなと思って控えているところは、やはり今かなと思う気になるかどうかというのは、少し何とも、経営者側に立たないと分からないところですが、少なくともそこのところを後押しするようなシステムとして、いろいろ設備投資についての話は今年度の税制でも出ましたけれども、それによってやるかどうかというのは、やはり経営者というのはそこに需要があるということがない限りは、そんな簡単に設備投資なんかしませんよ。もう1点あるのは、15年ぐらいやっていませんからね、設備投資を新しく。したがって、そういった意味から言ったら、設備が古くなっている分だけ生産効率が落ちていると思いますね。省エネの機械とかそういったようなものが大きな要素を占める、スマートグリッドとかいろいろなものが出ていますから、そういったようなものに設備投資をした方が、結果として利潤が高くなるという計算をするか否かというところはこれからなんだと思いますので、まだ今の段階で設備投資が確実にわっと増えてくるというほど増えていない。設備投資が減っている分が、少し減りが少なくなったというところはあるかも知れません。しかし、それ以上のものにまだなっていないんじゃないかなと思います。

問)

大臣の考えを含めて少しお聞きしたいんですけれども、今、経営者側は経団連を含めて政府がどんどん減税してもらえるのであれば、設備投資を含めてやってもらえるんだったら大歓迎だというような話になっています。そういった中で、自民党の方も設備投資をしっかりやってほしいという話になっています。一方で大臣は設備投資じゃなく即効性のある投資減税、償却に対する減税をやった方が良いというふうに、企業に対しては経営者の判断だというようなところで、経営者側はまだ政府にやってくれ、自民党の方は設備投資だ、何かそれぞれ意見、考えがまとまっていない感じがするんですけれども、大臣はその状況をどう考えていらっしゃいますか。

答)

設備投資は最終的に、しょせん行き着くところは社長なんですよ。社長の決断、それが全てです。産業競争力会議でも言いましたし、それから諮問会議でも言ったことがありますけれども、社長の決断1つなんですよ。僕はそれが全てだと思いますね。これまででも、産業競争力会議で言えば、例えばコマツの坂根さんという人が産業競争力会議に出ておられますけれども、あの会社なんか僕の知っている範囲ですけど、こんな減税やら何やらが全然ない頃にばさっとやっているでしょう。それで猛烈な勢いでコマツという会社の内容は良くなったわけですよ。少なくともアメリカのキャタピラーが倒産するほどの勢いでコマツやらコベルコとかがみんな出てきたわけでしょう、産業機械、建設機械というものが。しかしその中であってコマツはそういう減税やら何やらとかインセンティブがなくてもやり切りましたから。やって利益を出しているというのが良い例ですよ。だから、そういうのがあるからやった方が得だと思うのは分かりますよ。だけど基本的に最後に決めるのは社長、最初に決めるのも社長かも知れませんけれども、そういった意味では、今の状況で設備投資をやった方が良いという判断というのは、それは社長がするんですよ、最終的には。ですからその意味では、今の段階で消費税が上がる前にやった方が良いと思うとか、税金が投資減税とか償却がとかという話になった時にやった方が得だと考えるのは、やろうと思っている人が考えるのは分かりますよ、それは。あと2カ月もあればそういう法律が通るかもしれないと思ったら待つ。それはそっちの方が得だからというのは十分にありますよ。でも基本的には、最終的な判断は社長が今やるか、来年やるか、5カ月後にやるか、それは社長が決めるもんですよ。ですから今の段階で、どちらが良いかとかというのを悩んでおられるのは分かりますけれども、僕に言わせたら企業って設備投資をした時にお金を借りるか。市中銀行からお金を借りてまでやるかというところがマネーサプライが増えるか増えないか一番の問題ですよ。金利をいくら緩めたって日銀の当座預金のところにお金がたまって、マネーサプライまでお金が行かないということになれば、それはなかなか経済効果、金融を緩和した効果というのは出てこない。何でお金を借りないのかといったら2つ、1つは持っているからですよ。内部留保金がやたら厚い、それが1つ。もう1つはやはり、あの貸しはがしやら貸し渋りを経験したのはついこの間の話ですから、あの恨みつらみはずっと残っていますよ。だから、それはそんな簡単には借りない。なるべく借りないでいきたいと。株価も悪くないから、いわゆる間接金融じゃなくて直接金融でやった方が良いと。そんなことはみんな考えるもんだと僕はそう思いますね。しばらく経営をやっていないから分かんないけど、大体常識的にはそんな基本的なところは変わらないと思いますよ。ですから今の段階でどうするかというのは、まだまだ景気が良くなってくる、何とか良くなってくるのを見て判断するものなんじゃないですかね。僕はその意味ではあと数カ月してどうなるか、選挙の結果は出ますよ、それは間違いなく。ああ、これはいくなあと。それで10月、消費税をやるのかやらないのかというのは10月ぐらいには分かりますから、そういったものを決めて、そうなら下期でやっておこうとかというような、下期というのは10月以降ね、下期までにやっておこうとかというのを考えるんだと思いますので、いろいろな要素がありますから。おまけに何となく海外の方の先行きは訳が分らなくなってきたじゃないかと中国関係をやっている人はそう思うだろうし、ほかの国によって少しまだ分からないなというところもあるだろうし、いろいろなものを考えてするんですよ。是非そういった意味で多額のお金を投資する以上、企業はよほど慎重にかかりますよ、それは。間違いなく一番大事なことはデフレが終わってインフレに向かうという確信が出てくるか出てこないかです。そこが一番大きなものだと思いますね。それは需要が出るか出ないかと密接に関係しますよ。だから需要が先だと言われればそうかもしれないけど、デフレではなくてインフレになるという確信が持てたら、大きな気持ちとしてはそちらの方向にということは十分に考えられると、僕はそう思います。

問)

昨日、日韓通貨スワップ30億ドル分の来月3日の終了が発表されました。この結論に至った背景と、それから今後の日韓の両国間の金融協力のあり方について、大臣のお考えを改めてお聞かせください。

答)

あれは日銀分だったね。期限が来たから、向こうからの要請もないし、となれば自然に切れることになるのではないですか。それだけだと思いますが。それによって日韓関係がどうのこうのというのは、またそういう、緊急にスワップをというのは僕が総理の時にもあったし、韓国から何回かこれまで緊急にスワップの要請というのはあったと思いますけれども、その時に要請に応じて我々は応えてきたと思っていますから、今回要請がなかったからやらなかった、それだけだと思います。

問)

昨日の政府税調の話に戻るんですが、総理の諮問の中に中長期とあるんですけれども、G20でやられている租税回避以外はかなり抽象的な内容の諮問だったと思うんです。例えば中長期で言えば、2回の消費増税の後の道筋みたいなものが、とりあえず自民党の公約の中にもなければ政府の中にもないわけですが、その後のシナリオについてという理解でいいのか、中長期というのはどういう意味を指しているんでしょうか。

答)

それは多分、総理の気持ちを推し量ってしゃべりますので、もしかしたら間違っているかもしれませんが、党税調というのは基本的に目先の話なんですよ。いたから分かりますけれども、どうしたってそれはそうなりますよ。したがって、もう少し落ち着いて、例えば直間比率がどうしたとか、そういったようなものを含めて中長期の話は、少なくとも党税調では出てこないんですよ、そういった話は。目先、消費税を上げるか下げるとかそういう話がどうしてもそっちになりますから。ですから中長期の話をと言われるのは、基本的には、税というのは国の中で最も根幹をなす部分ですから、この点に関して落ち着いた議論というのは政治家で任せておくことほど簡単なもんじゃないのであって、いろいろな方の英知を集めるものだと、私はそう思っています。その意味で総理としても、今1つ直間比率の話をしましたけれども、そういったものを含めて話をしておかないと、何となくマスコミの思いつきの意見にわっと流されたりするでしょう。そういったようなことを避けないと、国際的な税の流れは今どうなっているかなんていうのは、なかなか目がいきませんから。そういったところはいろいろな、今の国際的な流れを見れば日本と少し流れが違うんじゃありませんか、所得税は下げる方向じゃありませんか、上げる方向じゃありませんか、あと国際的なもので言えば何でしょうね、相続税はカナダはゼロですねとか、いろいろありますよ。そんな話はとてもじゃないけど党ではなかなか出てきませんから、政府でやっていただくというのは大事なことだと思いますけどね。

問)

政府が掲げている2020年度までにプライマリーバランスを黒字化するという目標がありまして、それに関して歳入、税収をどうしていくかということは、政府税調の議論の対象になるのかどうかという点についてのお考えをお聞かせください。

答)

それは基本的に中長期的な話でありますから、党でもやりますけれども、当然政府でもしていただけるということになるんじゃないでしょうか。

(以上)

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