英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣繰上げ閣議後記者会見の概要

(平成25年8月8日(木)10時32分~10時54分)

【冒頭発言】

本日の閣議におきまして、中期財政計画と同時に、平成26年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針についてが了解されております。この概算要求基準は、中期財政計画に沿って、民需主導の経済成長と財政健全化目標の双方の達成を目指すメリハリのついた予算を作成することを、基本的な考え方といたしております。そのため、夏の段階では、歳出の上限を定めず、年末に26年度の税収等の見込みを踏まえた上で、中期財政計画における歳入・歳出の収支の目標を達成するよう、予算の総額を定めるという新しい仕組みとしております。キャップを決めないということです。また、要求では裁量的経費を圧縮しつつ、骨太の方針や日本再興戦略などの諸課題に対応するための新しい日本のための優先課題推進枠を設定し、別途、要望できる仕組みとしております。義務的経費や年金・医療等、地方交付税交付金等につきましても、聖域を設けることなく、施策・制度の抜本的見直しなどを通じて、財源ねん出に努めることと致します。こうした仕組みにより、弾力的な要求・要望を可能とする一方、予算編成においては、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、経済成長や税収の動向を十分に見極めながら、安倍内閣としての優先課題に大胆に予算を重点化していくということに致します。

また、本日の閣僚懇談会におきまして、総理より、消費税率引上げの判断について有識者や専門家からあらゆる知見を吸収した上で、この秋には、デフレ脱却・経済成長と財政再建の両方の観点から、内閣の責任におきまして、私が最終判断をしたいとの御発言がありました。私と甘利大臣を中心に、しっかりと議論を進めるよう、御指示がありました。これを受けて、甘利大臣より、有識者・専門家からのヒアリングについては、経済財政諮問会議のメンバーである、麻生、黒田総裁、民間議員4名及び甘利大臣で、お盆明けできるだけ早い時期に始めることとし、準備を進めたいとの発言がありました。

私からは、消費税率引上げの判断に関係する簡素な給付措置や住宅取得に関する給付措置については、関係大臣と相談し、具体案について検討を進めてまいりたい、また、日本再興戦略の閣議決定に沿って、投資減税の具体化についても検討を急ぐこととしたいが、あわせて、この閣議決定に書かれている投資を促すための制度・規制面の枠組みについても検討を急ぐようお願いしたいと発言をしております。総理の指示も踏まえ、甘利大臣や関係大臣とも協力し、消費税引上げの判断に向けて、しっかりと検討を進めてまいります。

【質疑応答】

問)

今日、中期財政計画と概算要求基準が閣議了解されました。併せて、経済財政の中長期試算というのも示されました。それを見ますとこの後アベノミクスが順調に進んで、名目3%、実質2%という非常にいい形の成長及び消費税率が8%、10%となっても2015年度の半減は何とか達成できるにしろ、2020年度の黒字化というのはなかなか厳しいのではないかという日本の厳しい財政事情の実態が改めて示されたと受け止めております。今回の概算要求基準、中期財政計画を踏まえて、2015年度半減、2020年度黒字化、それからそれ以降、債務残高を安定的に引下げていくという財政健全化目標をどのようにして達成していくお考えなのか伺わせてください。

答)

2年後までの形を一応バランスと言いますか、半減にしますという形で一応の形ができているのだと思います。その後、また5年たった時はどうなっているかということの御質問なのだと思います。この点に関しましては、当然のことですが、経済の成長がさらに進んで大きく税収が増える、消費税を含めまして法人税、所得税等々が増えるという部分、いかに経済成長を促進させて収入を増やしていくという分と、いわゆる歳出についてもいろいろな形で歳出を効率化する、カットする、病院の医療費に関してレセプト化する等々、いろいろまだ手がつけられていない段階のものが幾つもありますので、そういったものを減らすものは減らす、収入を増やせるように経済を成長させるものは成長させる、その両方を積極的にやっていくということで、なるべくバランスさせるようにということなんだと思います。間違ってもらっては困りますのは、プライマリーバランスというものは目的化するつもりはありません。そういうことを書いている記事がいっぱいありますけれども、明らかに間違っていますよ。経済を縮小させてプライマリーバランスをバランスさせるなんてつもりはありません。経済を成長させてバランスさせていくという方向で考えているということだけははっきりしておきたいと思います。

問)

全ての閣僚に伺っているんですけれども、麻生大臣は、8月15日及びその前後も含めて靖国神社に参拝する予定がおありかどうかということを伺わせてください。

答)

私は、今年はもう行きましたよ。毎年行っていますね。1月か4月か10月に行っているのですけど、8月15日に行ったという記憶はあまりありませんね。1回あったかな。

問)

この夏改めてまた参拝というようなお考えは今のところは。

答)

どういう意図でそういうことを聞かれているのかよく分かりませんので、相手の意図も分からない話にうかつに乗るつもりもありませんので、いつ行くか、行かないのかということに関して答えるつもりはありません。私は、基本的に、悠久の国家というものを守るために命を投げ出してくれた人達に最高の栄誉をもって敬意を表するということを国が禁じているということはあり得ないと思っています。この30年間に似たようなことをずっと聞いているマスコミもありますよ。私はそこにも寄稿して出したので、若い人は読んでいないのかどうか知りませんが、きちんとした、寄稿して出した記事があるはずです。他にも同じように出しましたね、私は。それが答えです。

問)

中期財政計画の関係で、国際公約を達成するために具体的にどういうような、特に歳出カットなりは非常に痛みを伴うものだと思いますので、そういう具体的な歳出カット策があまり盛り込まれていない計画ではないかという印象を持たせていただいております。そうした理由について、またこれで国際的に信頼に足る計画と評価されるのか、大臣のお考えをお伺いさせてください。

答)

今回の中期財政計画を9月5日、6日、サンクトペテルブルクのG20サミットで出した時に、これに対して各国から非難をされるであろうという期待をマスコミとしては述べておられるんだと思いますけれども、悪いですけどそういう期待は裏切られることになると思います。きちんとした答えを出してきていると私共はそう思っていますので、それなりの内容だと思っています。消費税がという話を多分引っかけて聞こうと思っているんだろうという意図は分かりますけれども、消費税につきましては、1次QE、2次QEということを考えていますので、私共としては2次QEが出るまでの間は現行法によってきちんと提出をします。現行法は法律によって5%から8%、8%から10%というのが書いてありまして、附則第18条でその他のことが書いてあります。そういった点を踏まえて、私共はああいった形の財政計画というものを提出するということなのであって、我々としてはこれによって日本としてはきちんとした財政再建の道も考えているのであって、円安株高等々を政府が意図的にやっているわけではないということを以前から言っています。そういうことを聞かれることに対して、私共はきちんと財政収支等々、バランスについても考えていますということの証明は十分できていると思っています。

問)

特に財政再建をするためには、自然増の額が大きい社会保障をどうやって抑えていくかというのが最も重要な点だと思います。中期財政計画には、そこら辺について徹底的な見直しといったような抽象的な表現は結構入っていると思うんですが、具体策はやや欠けるという印象です。その辺、具体的なことを入れなかった理由というのはどういったところなのでしょうか。

答)

社会保障国民会議というものの答えが8月21日に出てきますので、それを踏まえた上でないと。この前の時の清家会長から出された内容にも十分いろいろなことが書かれています。あれを1回読んでみないと、あの中に書いてある話をもう1回ずっと説明しても無駄なことでしょうから、あそこに書いてある話をもう1回読んでいただいて、結構具体的な社会保障に関する答えも書いてありますので、あれを読むと社会保障というものをこのまま野放しにして毎年1兆円前後伸びていくというような状況が、今後も永久的に続くだけの財政をバックアップするものはありませんから、何らかの形でいろいろな制限がそこに起きてくるということだと思います。

問)

社会保障制度改革国民会議から提出された報告の中で、大臣が一番評価している点はどこかお伺いさせてください。また、8月21日までに大綱を作ることになっていますが、2025年型モデルというのは、今の法律に則った消費税の引上げが前提となって作られています。その骨子を作る上で消費税が前提となっているしっかりとしたものが作れるのかどうか、大臣の今のお考えをお聞かせください。

答)

消費税の判断というのは、9月、10月、この秋ということを前々から申し上げておりますので、8月はまだ秋じゃありませんから、少なくともタイムラグがそこに出てきているということは確かだと思います。しかし、基本としては、そういった場合は法律では5%から8%、8%から10%と書いてありますから、その法律にしたがって計画を立てるというのが当然のことだと思っています。その上で、もしそういう事態じゃないということになった段階では、その段階でもう1回作り直さなければいけないという話なのであって、私共としては、基本としては8月21日に出されるであろう、あれとほぼ同じものが出てくるんだと思います。ああいったものを基本としてやっていくということになるんだと思っていますので、その前提は消費税は5%から8%、8%から10%を前提にして考えておられるのがあの中の内容だと思います。どこが一番私にとって印象に残ったかと言いますと、終末医療の話にしてもそうでしたし、いろいろなところでこれまでと違って、病院完結型というものから違ったものやら何やらを考えてありましたので、現実というものとしては、そういうものが出てきたんだなという感じはあります。今までとは随分変わった。これまでマスコミに一部分だけとられて叩かれたり、いろいろすると話が込み入って、皆さんしゃべらないんですよね。だから何となくこの種の話というのは、皆さん遠回しに話をしておられましたけれども、どんどんこの部分だけで自己負担が、若い人の負担にどんどんかぶっていってというような話に関しては、高齢者の方々の意見も随分この10年ぐらいで変わってきたように思います。現実問題として、高齢化比率というものが急速な勢いで増えてくるのに伴って、状況なり、それを取り巻く環境が変わったせいもあって、考え方も随分変わってきたのかなという感じはします。そういったものが今回の清家会長のあの中には各所で、会議も何回か出ましたけれども、いろいろなところでそういった感じ、時代の変化、皆さん方の考え方の変化、置かれている状況の変化等々が、昔とは随分変わったなという感じはしました。

問)

中期財政計画でプライマリーバランスを見ると、地方はプラスを維持しているということで、半減といっても単純にその試算を見ると国だけ改善すればいいみたいな感じに見えてしまうのですけれども、一方で国の財政の中には、当然地方交付税というのも入っています。ですから、国と地方でどういうふうに改善の負担をし合うかというところがすごく大事、ポイントだと思うのですけれども、一方で中期財政計画の中には、地財計画の部分は、地方については地方財政計画の水準を下回らないように実質的に確保するという書き方もあって、その負担の割合、どういうふうにしていくかというところについて、大臣はどうお考えでしょうか。

答)

地方財政計画についてはというところの話をしているのですね、あなたの今の質問は。下回らないようにしているというのは下回らないようにしているんですよ、ずっとこれまでも。地方の方がバランスしてきているのではないかということに関しては、それは地方交付税やら何やらに国から回している分、額というものを減らせばその分だけぱっと引っ張って変わることになります。そういった意味では、これは地方で考えるとか国で考えのではなくて、地方と国と一体になって考えていかないと、何となく国でやっていて地方は全く別に財政をやっていって、何となく訳の分からない財政状況になっていると言われている国が近くにありますけれども、ああいったような形で全然統制も効かなければコントロールも数値も全然つかめていないなんていうようなことにこの国をするつもりもありません。また、そういったような財政の規律の甘いというところもありませんので、きちんとした形で今の話は双方で常に意見交換をやって今のところは詰めていかなければいけないというのは大事なところです。しかも、同じ地方の中でも47都道府県で全部違いますからね、内容が。そこがまた難しいところですよ。地方税の入ってくるところ、地方税が全然入ってこないところ、全然とは言いませんけれども、地方税の入るのが1人頭の額でいくと大変多い不交付団体みたいなところもあれば、ないところもあります。地域によって違いますので、一律に地方とも言えないところがありますから、そういったところも詰めてやっていかなければしようがないでしょうね。

問)

消費税率引上げの関連で、先ほど大臣がおっしゃった、総理が今日の閣僚懇談会で発言があったお盆明けの有識者会議、いろいろな方から意見を聞く会議について、お盆明けから始められるということですが、これについて改めて狙いと言いますか、いろいろな意見を聞いた上で総理が最終判断をする材料とされるということなんだと思うんですけれども、今後ヒアリングを進める上で、大臣としてどういうふうに判断に生かしていかれたいと思っているのか、その辺りを教えてください。

答)

基本的にはいろいろな方々の意見というのがあります。この辺の霞が関とか永田町周辺にいると大体は情報が偏るんですよ。皆さんすごい情報を持っていると錯覚しているだけですから、マスコミは。地方を歩かない限りは情報は絶対偏っています。ですから、国会議員が強いのは地元に帰って地元の話を聞くチャンスが多いんですよ。そこが国会議員と言いますか、選挙というものの面白いところ、良いところなんだと私はそう思っているんですけれども、なるべく自分で情報収集をするという努力をしないと、新聞とかテレビだけ見てそれが世論なんて思ったら大きな間違いですからね。選挙の予想だってあまり当たりませんし、よく見るとみんな分かるんですよ。だからそういうのを実感するには、自分で歩いて探さなければ仕方がないんですよ。自分で歩く、そういったようなのを見ている場合に、これだけ時間が切羽詰まってくれば、なるべく多くの方々の意見を参考にして、呼ばれた方々も夏の暑い中で迷惑の極みとは思いますけれども、事は消費税という非常に大きな話なので、是非力を貸していただいて、こういった方々の意見を広く聞くという努力はしないといけません。こちらが歩いて個別に聞くということは、物理的な点から言ってもなかなか難しいしということで、こういうことになっているのですけれども、そういった意見を踏まえた上で、それをまとめて、その上で総理が最終的に判断されます。そのお手伝いの一環として、甘利大臣と私の方でいろいろ話を、ヒアリングするのを経済財政諮問会議でやるということです。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る