英語版はこちら新しいウィンドウで開きます

麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年9月3日(火)11時13分~11時35分)

【質疑応答】

問)

先週の集中点検会合全体の議論について、まずどのような所感を大臣は受けられたでしょうか。

答)

60人に及ぶ有識者の方々から広く御意見を拝聴させていただきました。これは経済学者の方ばかりではなくて、新聞社の社長もおられましたし、いろいろな方がおられ、幅広い意見を伺うことができましたので、有意義であったと思いました。

問)

増税には賛成だが引上げ時の対策として補正予算を編成すべきとの識者の方もいらっしゃったと思うのですが、大臣が引き上げた時に補正予算を組むとしたら、その規模感とか、編成の時期について、お考えがあればお聞かせください。

答)

補正予算の話ですけれども、これは基本的には引上げを予定どおりやらせていただいた場合には、来年の4-6月において、少なくとも経済成長が落ちる可能性が高い。それに対応するためには、来年4-6月に向けてという話が出てくるでしょうけれども、それは当然のことなのであって、いわゆるなだらかにするために、駆け込み等々もう既に一部始まっているのだとは思いますが、駆け込み等々の点を考えると住宅の話とかいろいろそういったものをなだらかにするような制度は既に実行しています。そういったものを含めてさらなる対策が必要で、補正を来年の4-6月に合わせてやろうとすれば、来年の通常国会ということになるんだと思います。

問)

特に規模感については、まだお考えはないでしょうか。

答)

規模感について、まだ決めているわけではありません。

問)

昨日、法人企業統計の発表があり、設備投資全体はプラス0.02%で3期ぶりに増加になったと思うのですが、製造業の設備投資はマイナス9.1%で依然3期連続で減少しています。設備投資減税について与党税調でも議論が始まっていますが、製造業の設備投資を回復させるためにどういった政策があるか、大臣のお考えがあればお聞かせください。

答)

設備投資は、機械受注が先月でプラスに大分転じていましたから、機械受注があれだけ伸びるということは、半年後には設備投資が伸びます。設備投資の先行指標は機械受注ですから、機械受注があれだけ伸びているという状況を考えたら、少なくとも設備投資に流れているものは総じて悪くない、基本的にまずそう思っています。加えて非製造業の方が雇用の面においても、それからいろいろな面においても、GDPに占める比率は大きなものになっていますので、非製造業の設備投資が伸びているというのは決して悪いことではないと思っています。製造業の方が伸びる場合は、この15年間ぐらい設備投資は製造業においては、海外で生産する等々の話もこれありで、製造業の設備投資は国内ではかなりの部分が古い設備になっていると思います。したがって、こういった設備投資を国内で促すということになった時に、電気料金等々の話について、原発がこのまま動かなければ電力料金は上がりますから、その電力料金が上がるということを考えたら、電力料金が安くなる、そういった省エネ型の設備投資に切り換えていく企業に対してどうするとか、そういったような考え方もあるでしょう。また、設備投資減税の話もありますけれども、減価償却が問題なのであって、物によって償却の年数というのは違いますから、償却の年数は物によって8年だったり10年だったりいろいろしますので、そういったものの償却の年数を変える。国際標準並みにするとかいろいろな言い方があるでしょうけれども、そういったものをしていく等々の考え方というのは、償却の年数で触る方が効果としては大きいかなという感じはしますが、もう少し詰めてみないと分かりません。

問)

5日からのG20についてお伺いさせていただきます。財政健全化の取組み、主に中期財政計画を中心に御説明されると思うのですが、各国の理解を得るためにはどういった点を特に重視して、日本が財政再建にこうやって取り組むのだというところを説明するのか、重視している点をお聞かせください。

答)

今年2月のモスクワでの第1回目のG20において、あの時の話でもその前の話でも、日本の場合は円の独歩安みたいな形でいろいろな御意見が各国からあったと思いますが、今はないと思っています。その大きな背景は、日本はきちんとして、ほかの国と違って、デフレーションによる不況というのを過去20年近くやってきたのです。それから、いわゆるリーマンブラザーズの頃にドル換算108円だった円が、その後75円ぐらいまで円高になりました。あの時は貿易収支は黒字でしたが、今は原発の停止、また石油・ガスの値段の急騰等々によって、日本の貿易収支は4兆8,000億ぐらいの赤字になっていますので、3年前とは状況は全く違います。したがって、日本として、我々としては当然のこととして、財政出動等々によって、また日銀の金融緩和等々によって、このデフレーションの不況から脱却するというのが目的の第一です。円が安くなったのは副次的な話であって、目的はデフレ不況からの脱却ですと。これが目的ですと。ただ我々はこれをずっと続けるわけにはいきませんので、日本としては基本的に税金を上げます、既にこの問題については与野党で合意して、我々は上げるということを決めていますと。ほかの国と違って、いわゆる国内が上院と下院というような形でねじれているという点に関しては、日本も衆・参ねじれている中にあって、与野党が税金を上げるという国民受けの悪いものを与野党合意で既に成立させておりますということは、日本の民主主義の成熟度合いは皆さんの国に比べて日本の方がはるかに進んでいると私共はそう思っていますと。したがって、その方向で事を進めていきたいと思っていますという説明をし、今度の9月のサンクトペテルブルクのサミットまでに、各国は中間財政計画を出すことになっていますので、日本もその方向で出しますという話をして、今回に出しますと、それだけです。

問)

G20について、2日目から総理に代わって首脳会談にも臨まれると思うのですが、シリア情勢とかについて、何か大臣のお考えがあればお聞かせください。あるいはシリア情勢について、どういった議論がなされるか、見通しがあればお聞かせください。

答)

シリア情勢について、今の段階で議題に挙がっているわけではありませんから、挙がるであろうというマスコミの予想に従って答えることはありません。

問)

G20で中期財政計画について報告する時に、併せて有識者会合の結果について説明されるのか、それともわざわざそこまでは触れないという形なのかお聞かせください。

答)

有識者会合についての特段の質問がない限り、この有識者会合でどうだったかという話をG20で話すことはないと思います。

問)

汚染水の対策について聞きたいと思います。昨日、茂木大臣を含め、汚染水にかかる費用について、総額で数百億ぐらいかかるだろうという話をされています。その中で、以前に大臣にもお聞きしましたが、予備費の活用というところでその考えはあるということも聞いています。予備費の額をはじめ、対策全体で幾らぐらいを計上して、大体予備費は幾ら使うことになるのか、今日の閣議又は閣議後の対策会議でどういった話が出たのかについてお聞かせいただければと思います。

答)

財政措置の規模という点からいくと、凍土により手前のところを囲む陸側遮水壁というのがあるでしょうが、現時点での極めて粗い概算で、事業費全体で約320億円と思っております。そのうち予備費を取り急ぎ使って、事を急いでいきますので、早めにやらなければいけない分は約140億円だと思っています。もう1つの多核種除去設備については、これも同じく事業全体として150億円ぐらいになると見込んでいますが、そのうち予備費を活用するのは、現在まだ精査中ですけれども、大体70億円ぐらいになるのではなかろうかと思います。重ねて言いますが、極めて粗い概算ですけれども、それくらいのものになるのだと思っています。

問)

今回のいろいろな対策についての金額が出てきたと思うのですけれども、東電の汚染水問題は、その前からいろいろ問題が出てきている部分ではあったのですが、こうした対策が少し遅かったのではないかという声もあります。その点はどう考えていらっしゃいますか。

答)

基本的に前の内閣の時には全部東電任せにしてあったわけでしょう、どういうわけだか知りませんけれども。全て東電の責任で、政府としては責任を負いたくないという姿勢だったように見えるのですね。我々は野党をやっていたので、そこのところの経緯をよく知らないのですけれども、それはマスコミの方がよっぽどよく調べているのではないかと思っているのですが、少なくともあの段階では全て東電の責任、政府の責任ではないということで一貫しておられたのだろうと思いますけれども、我々から見ると、少なくとも緊急事態宣言を発した段階で、東電自身としてはこの問題に関する指揮命令はほとんど政府になる、緊急事態宣言が出されていますしね。もともと政府が主導して、この原子力発電政策をやってきた経緯というのが、この何十年間そういうことだったので、こういう状況になったらきちんとして政府で対応できるところはさっさとやらないと、2年間、3年間、何もしない状況がずっと続くという状況の方が問題なのであって、政府のお金でやろうと、東京電力のお金でやろうと、どっちのお金でやろうと、そこで避難している方々や極めて不便な生活を余儀なくされている方々、いろいろな方々にとりましては、お金に色がついているわけではないので早くやってもらうというのが基本なのではないですかね。私は、前の政府はどうしてそういう対応されたのかよく分からないのですけれども、基本的には私共としてはさっさとこの種の話は対応すべきものだと思っていますので、このお話が来た時には、私共としてはさっさと予備費を使うべきであるということを申し上げました。

問)

汚染水対策に国費を投入するというのは、これまでの対策と比べてある意味で方針転換ということになると思うのですけれども、一方で東電はまだ民間事業者でもありますので、際限なく国費を投入するということにもならないのではないかと思います。国費を投入する事業と東電が民間事業者として責任を負うべき範囲というのは、どう仕分けていくことになるんでしょうか。

答)

いろいろな考え方があるでしょうけれども、急がれるべきは、まずはこの汚染水が漏水しているというところが、一番優先順位は高いのではないですか。被災者がそこにいらっしゃるわけですから、まずはその方々の話であって、それに対する責任やら何やらとか、どこから出すなんていう話より、まずは汚染水で被害を受けている方々に対する対応を優先順位の一番に上げてしかるべきだと、政治としてはそうですね。マスコミとしてはどうか知りませんけれども。私としてはさもありなんと思いますので、少なくとも東京電力だけに任せないで、凍土遮水壁の話は、あまり聞いたことがないやり方ですので、かなりの長さにわたってそれをやるということになれば、技術的な面から何からあまりこれまで経験がなかったことをやるのだと思いますので、そういったことをやるのであれば、少なくとも国が前面に立って取り組む必要があるというのは当然なのではないですかね、私はそう思います。逃げてはいけませんよ、逃げては。きっちり対応していかないと、大変迷惑している方々がそこにいらっしゃるのですから。

問)

総務省からの税制改正要望に、日本郵政グループの会社間の手数料の消費税にかかる非課税措置が盛り込まれたのですが、今回の見通しについて、現段階で大臣は、どのようにお考えでいらっしゃいますか。

答)

あれは、私が総務大臣の時に申請しました。一発で駄目でした。理屈はいろいろあるのです、両方とも。したがって、今の段階で右とも左とも言える立場にありませんので、今の段階では、今の質問に対して即答することはありません。

問)

サンクトペテルブルクでのG20の件ですが、今回は総理から中期財政計画について御説明があることと思いますけれども、総理御自身は消費税率引上げについて統計等を見ながら慎重にこの秋に御判断されるというお立場ですが、これに対して大臣は法律にもありますし、経済状況さえ許せば予定どおり引き上げるべきだというお考えかと思います。この点、大臣のお考えをG20の場、もしくは首脳会談に同席なさる時に大臣の口から大臣のお考えを御説明するということはあり得るんでしょうか。

答)

発表されるのは安倍総理であって私ではありません。したがって、陪席することはありますけれども、その種の話で2つの意見が割れて外に出るようなことはありません。

問)

それは首脳同士の話合いの場に口を挟むようなことは差し控えるという御趣旨でしょうか。

答)

首脳会議の場ということで、バイ会談の話で、1対1の話を想定しておられるのか、首脳の全体会議を想定しておられるのかは知りませんけれども、いずれの場合にしても、その種の話で意見が2つに割れるということはありません。

問)

大臣お一人でバイ会談をなされる場合には、その場では先方に大臣のお考えはお伝えになるおつもりですか。

答)

私共の考えは紙に出してあるとおりなのであって、今度出される紙に関しては、少なくともこの間の中間報告に基づいてきちんと法律どおりのことが書いてあります。その通りのことを話すことになります。

(以上)

サイトマップ

ページの先頭に戻る