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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年9月20日(金)10時49分~11時10分)

【質疑応答】

問)

一昨日の18日に、大臣は、総理と官邸でお会いになっておられますけれども、法人税の問題に関して、総理からはどのような指示があったのでしょうか。

答)

10日にお目にかかった時の政策パッケージの話が、主たる話だったと記憶しています。

問)

具体的に何か指示があったというわけではないということでしょうか。

答)

そうですね。

問)

報道によりますと、復興特別法人税を予定よりも1年早く終了すること、あるいは法人実効税率を主要国並みに引き下げるということについて検討するよう総理から指示があったと伝えられていますけれども、大臣のお考えをお聞かせください。

答)

様々な報道が今、いろいろ出されているのは知らないわけではありませんけれども、現時点でそれに対してコメントできるという段階ではありません。

問)

前回、前々回の会見で消費税を3%引き上げる時に、法人税を下げるということが世間で通るのだろうかというお考えを示されていますが、そのお考えについてはお変わりないということでしょうか。

答)

はい。

問)

今日、大臣は総理とお会いになられるのでしょうか。お会いになられる場合はどのような御報告をされるのでしょうか。

答)

総理にお目にかかることになるのだとは思いますけれども、今の10月1日に消費税を法律どおりに引き上げるに当たって、それによって起きるであろう来年の4-6月の成長率が下がるとか、そういったようなものが下がるのに対応して、それをきちんと穴埋めする、加えて今年度から続いている経済成長のラインに戻るようなラインに上げないといけません。したがって、それが7-9月でできるのか、10-12月でできるのかは別にして、そういったものまで穴埋めし、かつ底上げしていくということを考えていかねばなりませんので、そのためにいろいろな経済対策を打つ、その内容を詰めるということになるのだと思います。

問)

法人税の引下げについて考え方をお聞かせください。経営者の経験もある大臣ですが、法人税の引下げ、実効税率の引下げを含めて、それによる効果というのは一体どういうところにあるのだとお考えでしょうか。

答)

法人税を引き下げた場合に、その引き下げた分によって会社の中に出た利益をいわゆる設備投資に回す、また雇用の増大、給与の引上げ等々にきちんと回るという保証を経営者がしますかね。それが確実にできるものでしょうか。ただただ内部留保がたまるということになるのでしたら、今ある約280兆円と言われているものが単に積み上がるだけということになるのでは、およそ意味がないと。間違いなくそれが設備投資、なかんずく人件費に回るという保証がないとなかなか問題だと思いますから、そこの点がきちんとつながるという保証というものを我々としては期待する、探すということになります。方法・手段は、いま一つよく見えませんね、私らから言わせると。企業が約束しますと言って本当にするでしょうか。まずしません。どこのマスコミも給与は高いのでしょうけれども、それを上げてくれるという保証をしますかねと言えば、企業の経営者から見たら政府の関与する話ではない、ここは自由主義経済であって統制経済ではないですと。企業の人件費の上げ下げまで政府に干渉されてたまるかというようなことを言う経営者がいてもおかしくないですよ。ですから、法人税というものを仮に下げるということになった場合、その分を何にどのように使うという保証、確約というものが要るという点が1点、もう1点はそれを受け止めた方の経営者側がどう思うかという点も両方考えておきませんと、この話はそんなに簡単に、はいというような話で、すぐ効果が出てくる種類の話ですかねと。いわゆる普通の話とは別に言われれば、そういったところが問題点としてはあるのではないかなとは思います。

問)

一方で法人実効税率に関しては、税制抜本改革法の中でも見直しをというところでありますけれども、現状の実効税率35%について、大臣は高いと思われますか。

答)

法人実効税率と言いますけれども、簡単に言って1%、約4,000億円、財源は10%で4兆円、なかなかそんな簡単に出てくる話ではありませんし、今回の消費税というのは社会保障との一体改革ということになっていますから、その意味ではいわゆる消費税の引き上げた分が法人税減税に回るということはできませんから、そういった意味ではその財源を今すぐ見つけるということはなかなか難しいです。ただ、長期的に見て、世界中で法人税というものが実効税率から見てどれぐらいのものになっているかというのは、比較検討した上で、今後、日本の企業が海外と競争していくという点からも、その点は長期的な課題としては検討しておかなければいけない問題だと思います。ただ、製造業で国際競争をやっている企業が納めている法人税は、全法人税の4分の1あるかな、それぐらいのものだと思います。

問)

今日、大臣は誕生日だと思うのですが、明日は総理の誕生日ですと。こういうめでたい状況の中で、大臣と総理は法人税の問題をめぐって意見が対立していると受け止めているのですが、そのめでたい日に決着させようというお考えはあるのか、今日中に何らかのそこについて結論を出すというお考えはあるのかお聞かせください。

答)

去年の今頃何をやっていたか覚えていますか。去年の今頃、まだ安倍総理は総裁にもなっていません。去年の9月26日が総裁選挙の投票でした。去年の9月20日は秋葉原の駅前で私と安倍総理と一緒にやっていた頃です、ということすら忘れているでしょう。今言われて思い出したぐらいでしょう。まだ政権ができて1年も経っていません。総裁にもまだなっていないのですから。その意味では今いろいろな状況で、9月20日が誕生日と言いますけれども、悪いですけれども、私は3年連続総裁選挙やりましたからね、9月20日に。ですから、全然9月20日なんて別にめでたくもどうもないですよ、そういった意味で。誕生日に引っかけて話が出ましたけれども、安倍総理と私との間で話が紛糾しているかのごとき話をマスコミは作りたがっているのは分からないことはないですけれども、見識をあまり疑われるようなことは書かない方が良いですよ。こういったところは、落ち着くところに落ち着きます。

問)

そうすると最終的には、総理は消費増税をする条件として法人減税を言っていると受け止めているのですけれども、大臣はそのお考えには、全部は受け止められないけれども、ある程度は受け止めたいというお考えなのでしょうか。

答)

消費増税に総理が反対しておられるという前提で質問されているようですが、消費増税を行うということは法律で決まっているのです。ですから、その点に関して反対なんかないのですと。これは法律で決まっているのですから。それを実行するに当たって、いわゆる経済成長やらデフレ脱却やらアベノミクスやらに影響が出てくる可能性がある。それをいかに抑えるか、アベノミクスを腰折れさせないようにするか等々の点で、経済対策、経済成長戦略等々が要ります。そのためにどういう対策が要るかという点で、今、意見が分かれているというのが正確なところだと思います。

問)

先ほどの質問と一緒なのですけれども、復興特別法人税について大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

復興特別法人税はあと1年ということになるのですが、これが約8,000億円あるのだと記憶しておりますが、これを前倒しで終了するという話というのがないわけではありませんけれども、いろいろな御意見がよく言われているところです。仮定の質問ですので、なかなかコメントのしようもないのですけれども、これもきちんと人件費なり給料のアップにつながるという保証が、いま一つ見えないのですね、私には。それをきちんとやってくれますかというのであれば、傍ら復興に関しては、復興特別所得税というものが25年間かかっていますからね。その25年で約7兆円の部分が、復興にかかっている分をみんなで払っているわけですから、法人だけというのであれば、人件費に回るという保証があるならまだ理屈が立ちますよ、払っている人の分が増えるわけですから。その分があるのだったら、それなら理屈は立つとは思いますけれども、ただ下げると。下げた分の余剰の分はどこに回るのかということが、内部留保ということになるのでしたら、それはなかなか世間はとおりにくいだろうなという感じはしますので、私はそこは人件費に回るという保証がないと、なかなか難しいなという感じがします。

問)

所得税で上乗せしている部分、これを取っ払えなんていう方もいらっしゃいますけれども、それはまた少し筋が違うということでしょうか。

答)

7兆円の額で埋めているのですよ、あれは、25年間で。7兆円に匹敵するようなものはそんなに簡単には出てきませんから、そんなに簡単に出てくる話ではないですし、復興はみんなでやっていかなければいけない部分なのだと思いますので、そこのところは今言ったそれもやめてしまえという話には、なかなか繋がっていかないだろうと思います。

問)

先ほどの質問の中で、消費税について、10月1日に消費税の引上げを決めた場合と、10月1日という言葉をおっしゃったように聞こえたのですけれども。

答)

10月1日にいわゆる消費税を上げる上げないということを決めていこうという話になっているというのでしょう、甘利大臣はそう言っておられるのですから。甘利大臣が前に言われた話だというように思いますので、それを単に言っているだけであって、総理として10月1日に決めたというような話を聞いているわけではありません。甘利大臣が言われた話をもとにして、あの時確か9月の初めでしたかね、10月1日と言われたので、えっと思ったのですけれども、とにかくそう聞いておられるのだと思いますが、そういった意味では、それ以上の意味ではありません。

問)

復興予算をめぐっては、昨年の民主党政権の時もいわゆる流用問題が社会問題になって、被災地以外に使うということが、かなり問題になったと思います。復興増税の関連で、復興のために使うとしていた財源を、仮に1年前倒しということになりますと、それは復興増税の税金の流用ということが問題にならないかということが危惧されると思います。そこについては、大臣はどのようにお考えですか。

答)

マスコミ以外でも、そう思う人が多いと思います。

問)

先ほど消費増税について、法律でも決まっているとおり総理も決して反対ではないというお話なのですけれども、麻生大臣の御認識としては、総理は予定どおり上げるということで決意されているというお考えでしょうか。

答)

その種の質問は誘導尋問なのだと思いますけれども、法律で決まったことを実行するのが行政の長としての仕事ですから。

問)

月末の経済対策には、これまでの御説明ですと具体的な金額は入ってこないという理解でいたのですが、入ってくる可能性もあるのでしょうかという点、対策の金額面での規模というのが入ってこないという理解でいたのですけれども、それが入ってくる場合もありそうなのでしょうかという点と、補正予算も含めて新規国債の発行はないというこれまでの方針は維持されるという理解で良いのでしょうかということについて、お考えをお聞かせください。

答)

額まで言えるかと言いますと、御存じのように、各企業の今年度の決算について見通せるのは、大体11月末ぐらいですから。10月1日には、基本的にどれくらいの税収入が上がるのか、上振れするでしょうとか書いてありますよ、書いてありますけれども、本当ですかねという点に関しては、なかなかそんな予測だけで税収を見積もるわけにいきませんから、ある程度きちんとしたものが出てくる11月末まで額として出せるということは、なかなか難しいだろうと思いますね。それから来年度の補正予算というものは、今から組んでいくことになるのですが、その補正予算の額等々については、どれくらいにするのかも含めて、一番の問題は、基本的には国債の発行をしなければいけないのか、するべきでないとか、してもやるべきだとか、実にいろいろな意見があるのですけれども、少なくとも今の時点に関して、国債を発行するとかしないとか、なしでやるとかやらないとか、そういったことについて、現時点において対策の規模ですとか、対策のやり方、国債を出すか出さないか等々の方法について、今の段階でまだコメントできる段階にはありません。

問)

復興特別法人税の絡みで、人件費に回る保証がないとなかなか難しいのではないかという話が先ほどありましたけれども、ただ大臣も仰ったように、企業の経営者からしましたら、それを政府から決められるのはどうなんだという考えになるのは当然だと私も思うのですが、そうすると保証というのは例えばどういったことを想定したら良いのでしょうか。

答)

それは人件費に回してくださいということをいろいろ言われるのだと思いますよ、甘利大臣の立場としては、きっと言われるのだと思います。言われて、はいと素直に言うか言わないか、仮に言ったとしても、それどうやって担保してくれるのかというのがありませんと、なかなか難しいのではないかなという感じはします。これは経産省等が考えることなのであって、これは財務省が考える仕事ではないのかもしれませんけれども、そこのところの保証がないとなかなか難しいでしょうね。世間的になかなか通らないでしょう。復興に関して所得税を払っておいて、その所得税を払う財源がこっちに回ってくるならまだ一応の理解は付けられるとは思いますよ。ですけど、マスコミの書き方によれば、法人税を下げて個人はそのまま引き上げ、または据え置きかとかというような感じになりますので、実は法人税の分は所得税の足しに回ってくるとしても、書き方としてはそういう書き方をされる可能性というのはありますからね。それはなかなかちょっとというところになり得ると思うのが1つと、どうやって行うかというのが、これは我々が考えるのではない、経産省がきっと考えているのだとは思いますけれども、今のところそこのところの詰めができていません。

問)

先ほどの御回答の中で、安倍総理との間で意見が少しすれ違っているようなニュアンスの発言をされましたけれども、この件に関して、お互い落としどころみたいな、何となくそういうようなところ、腹の中で何となく持っていたりするのかどうかというところについてお聞かせください。

答)

質問の内容が、個人の感じとしてどうですかというような、そういった話について、今のこの段階でコメントすることはありません。

(以上)

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