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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年11月19日(火)9時27分~9時47分)

【質疑応答】

問)

12月上旬にまとめる経済対策については、5兆円規模とすることが決まっておりますけれども、その経済対策が柱となる補正予算の規模については、どの程度の額をお考えでしょうか。

答)

今日、甘利大臣から各省庁に対して、いわゆる案を出せという話を指示しておられます。規模について今から予算の検討を進めていくことになるのですけれども、5兆円規模の経済対策を実行するに十分な規模にする必要があるということであって、具体的な内容は今からです。

問)

大臣は国債の追加発行は避けたい意向を示しておられますが、今回の補正予算の財源については国債を発行しないで財源を確保できるメドはついているのでしょうか。

答)

今の段階で私共としては国債発行はなしでいきたいというので、税収やら何やらいろいろなことを、まだまだ詰めなくてはいけないところが多くありますけれども、基本的には国債発行はなしでやっていきたいと思っています。増税をお願いしておいて、傍ら景気対策のためとはいえ国債発行を新たにするというのは少し形としてもいかがなものかと思います。

問)

先週金曜日の経済財政諮問会議で、来年度の診療報酬について民間議員から抑制を求める提言が出ました。診療報酬のうち医者の技術料に当たる本体部分について、大臣は引き下げるべきだとお考えでしょうか。

答)

民間の議員から診療報酬本体部分は消費税率引上げのタイミングも考えると本来引き下げるべき、薬価引下げ分の財源を診療報酬本体に利用することは問題という指摘がありました。そういった指摘だったと記憶しているのですが、私の方からは医療費の増は企業・家計の負担増になりますと。足元の医療経営というのを見ますと、昨年、一昨年に比べて改善していますから、そういう中でこうした負担増は回避すべきです。したがって、診療報酬体系というのに関しては、私も同様にいろいろな形で増にするというのに対してはいかがなものかと思っています。また薬価の改定から、新しい財源は生まれないということも申し上げて、いわゆる後発医薬品、通常ジェネリックと言う後発医薬品の使用の拡大のためには、様々な施策と合わせて特許が切れている薬品というのは幾つもありますから、特許が切れた薬価を大幅に引き下げるということが必要だという点を申し上げたと思っております。また、総理の方からは、新たな国民負担増につながるのは厳に抑制する必要があると。診療報酬のあり方を初め、自然増を含む社会保障の歳出の合理化・効率化を最大限取り組む必要があるということと、先ほど申し上げたジェネリックの薬品については、欧米並みの普及率を早急に達成する必要があるという話が出ていました。それは私共が出した資料で、特許切れ市場における後発医薬品のシェア、パーセンテージ、独占率というのがあるのですが、アメリカは90%がジェネリック、日本は40%、イギリスが70%、ドイツが80%といろいろあるのです。そういう中で日本が40%なので、こういう実態を見ると我々としては特許を開発するために、特許を出せるような新しい医薬品を出すためにはこういったものだというお話がありますけれども、特許がよく出ているアメリカは90%ですから、そういった現実を考えるとなかなかその種の話は説得力がないと思っています。いずれにしましても、今後の予算編成の過程において、医療費を含む社会保障というものについては、自然増を含めて合理化とか効率化とかというのは最大限に進めていってもらわなければいけませんし、診療報酬本体を初めとして極力その水準を抑制する方向で調整をしていきたいと考えております。

問)

明日から自民党の税制調査会の総会が開かれまして、来年度の税制改正に向けた議論が本格化しますけれども、その中で焦点の1つとなっている生活必需品の税率を低くする軽減税率の導入について、大臣の考えを改めてお伺いさせてください。

答)

軽減税率については御承知のとおり対象、財源、そして中小企業者の事務負担、また区分け等々、課題が今までも言われているとおりですので、まず納得が得られるような、これだったらしようがないというようなものについては調整していただかないと、財源、対象品目の線引きというものが、これは大変難しいだろうとは思います。イクラはいいですけどキャビアは駄目ですとか。イクラとキャビアの違い、ヨーロッパへ行きましたら、あれはレッドキャビアと言うのではないのですか、言っていたら切りなく出てくるのです。ですから、そういった意味では難しいなと。対象品目の拡大に歯止めをかけるのは、難しいなと正直思っています。また、消費税による増収というのは社会保障関係費に充てることになっていますので、軽減税率によって幾ら減収するのだか知りませんけれども、減収することによって社会保障の充実に回すお金は当然減るということになりますので、それで良いのですねということも出てくるでしょう。これまで税金を払っていない売上高1,000万円以下の中小企業の零細業者の方々は、多分それで物を企業に納めると軽減税率の分だけのインボイスを出しなさいと。インボイスを出せないならあなたのところからは買えませんということに、多分買う立場の方からだったら言うと思います。インボイスがつかないわけですから。そうなりますと、各業者は全部インボイスを出すために、これまで払っていなかった消費税を一挙に8%払い始めるというのは、これは中小企業の取引には影響は大きいと思います。そういった企業の多い地域でしたら、この種の意味は分かると思います。手間暇としては大変ですよという感じはします。今後どうしていくかというのはこれからの話なので、与党の税制協議会軽減税率制度調査委員会というのが開かれるのだと思いますけれども、議論は続けられていくので、その中でどういう議論になっていくのか、私共としては注目をしておかないといけないところだと思います。

問)

甘利大臣から各省庁に対して補正、もしくは経済対策について案を出しなさいという指示が出たという御発言がありました。経済対策については、骨格については公表になっておりますけれども、改めて重点配分すべき分野、もしくは補正予算編成についての方針について大臣の御所感をお伺いさせてください。また、総理の方から何か御発言などがありましたら、御紹介いただけますでしょうか。

答)

経済対策については、10月1日の閣議決定に経済政策パッケージが出されたということと、本日の甘利大臣の話というのがありました。消費税率引上げに伴う駆け込み需要というものと、その反動減を緩和するということで、来年4月1日以降に効果のあるものを検討しなければいけないのだと、私はそう思っております。したがって、補正の中で4月1日以降ということを計算して、一括償却、即時償却、また補助金の話にしても、いろいろな点はそういった反動減を緩和させるとか、経済の成長率を押し上げていくということになると公共事業やら何やらも、急激に増やすということを言っている方が多くいらっしゃいますけれども、現場をやったことがないのでしょうね。今、アースドリルを持っているところ、どれくらいありますかね。アースドリルというのは地面に穴を開けていくドリルですが、業者で持っているところってないのではないですか、小さなところで。リースで行っている部分もありますけれども、リースの方もこの10年以上、公共工事を約半分に減らしていますから、建設業に従事している人も今は約500万人、かつては700万人弱ですから3分の2近くに減っています。仕事も14兆円ぐらいあったのが今は5兆円台、これも半分以下に減りました。したがって、仕事が出てきても、今は落札できません。落札できない大きな理由としては、単価が上がったということもさることながら、現場で働く鉄筋工ですとか型枠工ですとか、そういったいろいろ建設現場に必要な従業員の確保ができない。絶対量が不足していますから、当然人件費が上がる等々で入札が成立しないというような事態になる状況になっているということを考えたりなんかしますと、やはりこれからは、メンテナンス等々含めて社会資本を確実なものにしておかない限りは、経済が成長することはありません。新興国ではよく分かるところなので、確実、安全、そういったようなものの社会資本をきちんとしておくということができなくなってきているという現状、補修ができていません。首都高速道路1号線を初め、いろいろよく言われているところですけれども、そういったものをきちんとやっていくというようなものにつながっていきます。そういったようなものに、この社会資本を整備し、このインフラをやりますということは、確実にいろいろな意味で経済の流れが良くなります。人の流れ、物の流れ、お金の流れ、情報の流れ、そういった流れが加速します。良くなるというものにいわゆる投資するですとか、そういったことをやっていかなければいけないということを考えながら策定していかなければいけないということですので、何となく数合わせだけで公共工事なんて言ったって落札できませんよ。それが現実ですし、第一、工事現場で働いている方は、マスコミは例によって、農業従事者の平均寿命が65歳以上になったばかりしか書いていませんけれども、工事現場の、建設業に勤めている人の平均年齢というのは、60歳はオーバーですけれども、50歳は超えているかもしれません。作業現場で仕事している顔を見ましても、若い人の数は減っているように私は思います。そういったことを考えますと、長期的にどうするかというようなことも考えないといけないものなのではないのかなと思っています。先ほどの話に戻りますけど、いろいろなことを考えて今後やっていきませんと、インフラの整備を徐々にですけれども、確実に5年、10年やっていきますという方向をきちんと示さない限りは、建設業の現場に人が入ってきませんし、建設業者も建設機械を買わないですし、リース会社もそういったものの需要がないと思えばそういうことをやらないしということになりますので、やはり基本的には、長期的な方向をきちんとしておかないといけないというところも頭に入れておかないといけないのではないですかね、こういった話は。財務省の中にいますと、短期的に、年度の予算しかやりませんから。また、マスコミも来年度はどうですかと、それしか聞かないですから、だから何となくそうなってしまっているような気がしますけれども、ここが一番肝心なところだと思います。

総理からは、特にこの話については、今からということでいろいろな話、前からこの話はやっておられましたので、閣議のところでどうなったかなんてことを言うことはありません。私が、即閣議の内容を漏らしているような話をとりたいという気持ちは分からないでもないですけれども、そのことを話すことはありません。

問)

今日、閣議後に国土交通大臣とお話をされたということですけれども、特に何か公共事業に関して、先ほどのお話もありましたが、意見交換なされたということでしょうか。

答)

いろいろです。

(以上)

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