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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成25年12月5日(木)17時39分~17時59分)

【冒頭発言】

先ほどの臨時閣議において、好循環実現のための経済対策を決定しております。この経済対策は、10月1日に閣議決定された経済政策パッケージの一部として、来年4月の消費税引上げに伴う駆け込み需用とその反動減を緩和し、同時に経済の成長力の底上げと好循環の実現を図り、持続的な経済成長につなげる観点から、各省の施策を取りまとめたものです。具体的には、競争力の強化、女性・若者・高齢者・障害者向け施策、復興・防災・安全対策の加速、簡素な給付措置等の低所得者や子育て世帯等への配慮といった柱立てのもと、例えば中小企業の設備投資促進のための補助金、東京五輪準備も兼ねた交通ネットワークや学校耐震化などの公共投資、女性・若者の雇用対策といった施策を盛り込んでおります。また、規模につきましては、国費5.5兆円、事業規模18.6兆円となっております。今回の経済対策に基づいて、具体的な予算額を整理し、来週中に平成25年度補正予算の概算閣議決定を行いたいと考えております。

【質疑応答】

問)

経済対策の中で、実質GDP比でおおむね1%程度の経済効果があるとなっておりますけれども、具体的にどのような分野でどのような効果があるかというところについて、もう少し御説明をお願いします。

答)

GDPの押上げ効果というのは、内閣府の試算によりますと、おおむね1%程度と見込まれております。今回の経済対策を経済政策パッケージに盛り込まれた1兆円規模の税制措置等と併せて速やかに実行することで、デフレ脱却と経済財政に向けた道筋を確かなものにするということです。例えば設備投資の一括償却を行いますとか、また所得の拡大を促進するためですとか、また住宅ローンの減税ですとか、そういったような諸々のものを合わせることによって、駆け込み需要といったようなもので、無理に3月までに遮二無二やらなければいけないというようなことを行うことによって、逆にコストが上がったり、人手が足りなくなったり、資材が逆に上がったりすること、これをならすことによって7月、8月以降もずっとそういったようなものが持続的に出ていけるようにすることなどを考えますと、いわゆる資材の急激な高騰ですとか人手の不足とかいったものが、ある程度緩和できるということも含めて、いろいろな効果があると思っています。

問)

そうしますと、効果は来年度前半だけではなく、後半の方もずっと続くということなのでしょうか。

答)

公共事業は下期の方が多いですから、基本的に通常、上期・下期に分けたら下期の方が多いでしょう。上期に主に集中するからといって下期に落ちるかといえば、それは通常ベースで言っても下期の方が多いですから、発注された仕事が消化していく意味でも、来年度急激に仕事が出ていてもそれに対応できるだけの人手が足りなかったり、資材が不足していたり、いろいろなことがありますから、そういったことをならすということにしてありますので、基本的には下期に向かっても、経済が基本的に持続していくというような方向で事が動いていくだろうと思います。

問)

かねてから大臣が仰っておられたように、今回の経済対策では国債の追加発行は見送られる形になったと思います。改めてその財政規律という観点と、財政制度等審議会の報告などを拝見していますと、そもそもこの増税の対策で補正をやるというのは例がないということを書いている文脈もあると思うのですが、改めて財政規律という観点に立った時の今回の経済対策の評価についてどうお考えになりますでしょうか。

答)

消費税を上げて国債発行というのは、基本的にマスコミ的に考えても趣旨が合わないでしょう。

2つ目として、少なくとも予算の面でいけば金利は思ったほど上がりませんでしたので不用額が出ました、また、税収が上振れしました等々、いろいろなこともあって結果として、いわゆる国債を増発せずして補正予算が組めるということになったのだと思います。これは結構いろいろ意見のあったところですけれども、もっと景気対策をやるべきだという御意見もありましたし、国債を増発してでも景気対策にという御意見もありました。いろいろあったのだと思うのですけれども、私共としては国債の発行をやらずにできるということは、このまま景気がうまく腰折れしないでいくような形になればいいなというのが正直な実感です。まだ分かりませんよね、経済というのは。簡単なものではありませんから、そういった意味では、やはり税収が意外と伸びるというのが大きいだろうなと、それは言えると思います。

問)

公共事業に対して1兆円程度が使われることになると思いますが、その効果、人手不足ですとか、今そういう話がありましたけれども、お金を使う一方で、そういった問題というのも、もちろん今現在あると思うのですけれども、その意味での今回の公共事業への投資の効果について、御所感をいただけますでしょうか。

答)

今、経済対策という面で言えば、それは確かにオリンピックも兼ねたという意味で、東京で言えば圏央道やら何やらを含めて、交通やら物流のネットワークの整備というのは、大変大事なところだと思っています。新たに土地を買う公共工事というのは基本的に売った人にお金が入る、そのお金はまた銀行に貯まる、新たに設備投資には回らないというのであれば、基本的に老朽化していると言われるようなもの、例えば昭和39年の東京オリンピック以前に造られたインフラ、高速、首都高速をはじめ多くありますけれども、老朽化し耐震強度が不足している、そういったものへの公共工事は、いわゆる仕事が直接発注される、雇用が増えるというものであって、土地代に消えてまた銀行に貯まるということがないようなことを考えておかなければいけないと思います。各予算の項目に当たっては、そういう点を一番重点的にやってもらわなければいけないという点を指示してあります。

問)

今回の経済対策は、経済の好循環を実現するための経済対策ということですが、企業の賃上げにつなげるための施策として、復興特別法人税の前倒し廃止を決められて、それを補填するための8,000億円も含まれております。来年3月には春闘もあるかと思うのですけれども、今回の経済対策は本当にその経済の好循環につなげるために、今、企業の賃上げというのも重要なポイントの1つかと思うのですが、改めてこれからこの経済対策を単に駆け込み需要と反動減の穴埋めだけではなく、経済そのものの底上げにつなげるために何が大切と考えていらっしゃるのか御認識をお伺いさせてください。

答)

基本的に今申し上げたように、過去20年間ぐらい、ほぼ企業の新規の設備投資は止まっています。電力消費量が大変高いものを省エネの設備・機械ですとか、また、新しい能率の高い精密機械を造る機械、いわゆるマザーマシンですとか、そういったものを含めて、いろいろな新しい設備投資を行いたいけれども、景気が悪いから、デフレだから、経済の先行きが見通せないからというので、中小企業に限らず、企業は設備投資をしてこなかったのだと思います。それが今回の形で経済は、今後デフレーションではなくて、2%ぐらいでインフレーション化していくというのであれば、企業としてはじっと内部留保を持っていても、それは仮に2%物価が上がるとするならば、じっと持っているだけでしたら、それは資産が2%目減りするわけです。そういったものでいくと2%に見合うものを、設備投資をしようと思えば、効率が15%良くなります、電力消費量が20%減ります、そういったようなものに設備投資していけば、償却に6年、8年かけなくて、一括償却を認めますというようなものは、間違いなく長期的に経済が回っていくということになります。それを国内の方の工場のサプライサイドの方で言えばそういうことになるのですが、今度はそれを使う、いわゆるコンシューマーサイドの方で言えば、個人の所得というものが、今までが物価が下がっていたから、給料や初任給が過去20年間ほとんど変わらないでいても物価が下がっていけば、その分だけ可処分所得が増えているわけですから、その意味では楽な部分というのはないわけではなかったと思います。しかし、これから仮に物価が上がっていくのであれば、それに見合う分だけの給料も同様に上がっていってもらわないと、これは間違いなく可処分所得が減るわけですから、そういったようなことでは経済が好循環していくことにはなりません。そういった意味では、企業の利益が上がった分に関しては、24年度末で約305兆円の内部留保が企業の中であるというのであれば、そういったものは、これからは是非、賞与ではなくて給与に回してくださいというお願いをさせていただいて、経団連等々と何回か会合を持たせていただきましたけれども、そういったところでも、我々はずっと同様なことを要請してきたんですけれども、このところ、そういったところに対する答え方が間違いなく、前向きな答えが経団連からも出てくるようになったというのは、1つの方向として景気が良くなってくるという確信と、それがある程度持続するであろうという確信がなければ、経営者はそれを飲むことはありませんから、政府に言われたから給料を上げますなんて、そんないい加減な経営者というのは普通はいませんから。ですから、そういう意味では、ある程度方向が見えてきたというのがこの10カ月間の実感としてありますから、そういった方向で応じてきたのだと思っていますから、どれぐらいこういったものが今後影響を持っていくか分かりませんけれども、この姿勢をずっと持ち続けていかないといけないのだと思います。

問)

1月の緊急経済対策と比べますと、消費増税対策という点があって簡素な給付ですとか住まい給付金ですとか、大臣も、そのまま、はいと言うわけにいかないと仰っていましたけれども、公明党からの児童手当の増額というのが最後にあったと思います。簡素な給付以外に中間層に1万円ずつということを考えますと、かなり多くの人にお金を渡すということによって、逆進性対策という点では薄れたのではないかという声もあるのですが、最終的に減額されたことも含めて、大臣は児童手当についてはどういうふうにお考えでしょうか。

答)

児童手当については、これは総額でたしか1カ月分増額という公明党の仰っている話だと思いますけれども、いろいろな意味で、日本のこういう話というのは、これまでは票のある高齢者に偏り過ぎているのではないですか。マスコミの書き方によるのでしょうけれども、何となく高齢者を大事にしましょうという話が大変多いですけれども、早い話がこれから育っていく人、これから日本のために頑張ってくれる人、そうした人を生んで育てている人、そういった人に対する配慮という方が、何となく子供はしようがないからとか、主婦は投票に行かないからと大体マスコミが書くからそういうことになるのではないですかと言った人がいました。どれほど説得力のあるマスコミか知りませんけれども、基本的にはそういった方向になってきた分を、少なくとも子育ての方に振っていくというのは、私共としてはそこらのところは考えなければいけないとは思ってはいます。それを私共としては、中間層に対しても、いろいろな意味で消費税の上がることに伴う、いわゆる消費が多い、支出が多い中間層の子育て世代に対していろいろ配慮するというのは、別に不思議なことではないと思います。

問)

今回の補正予算では税収増ですとか、予算の余った部分とかを目一杯使うような形になったかと思うのですが、借金を返すという考え方ももしかしたらあったのかなというふうに思ったのですけれども、先ほど景気でまだわからない部分があるという御説明があって、やはりまだ税収増を借金返済に回すというような段階では、日本経済はまだそういう段階ではないという御判断でしょうか。

答)

今、我々としては2015年度は対2010年比で、いわゆるプライマリーバランスを半分にしますという目標を掲げ、そのためには年間約4兆円を削減していきませんと、プライマリーバランス50%減を2年後にという達成はできません。まず4兆円、次に4兆円とやっている分を、我々としては、もし余剰が出るのであれば、その4兆円の部分を先に5兆円やっておくというような形で借入金の返済分は大きなものにしておくに越したことはないと、私たちはそう思っています。税金が確実に増えるかどうかなんていうのは、ある意味これは株の予想より難しいです。最後の段階でなかなか確実なものは言えませんから、来年の3月にきちんと最終的に締まるまで、一応我々としては上振れするであろうという前提で考えていますけれども、実際になるかならないかは、よくやってみないとわからないというのがこの世界だと思います。

(以上)

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