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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成25年12月17日(火)12時28分~12時52分)

【質疑応答】

問)

診療報酬についてですが、大臣はこれまで診療報酬の引上げについて国民の負担が増えるとして慎重なお考えを示しておられますけれども、医者の給与等の本体部分については、来年度消費税が上がって病院が医療機器や薬の購入にかかる消費増税の対応分を除いてもマイナスにすべきだとお考えでしょうか。

答)

これは現在調整中であり、具体的な数字を申し上げることができる段階にありませんが、診療報酬につきましては、先日に閣議決定された予算編成の基本方針において、自然増を含む医療費の合理化・効率化に最大限取り組み、消費税率引上げに伴う医療機関等のコスト増の問題に適切に対応しつつ、新たな国民負担につながらないように努めるとされています。また、診療報酬本体については、医療費の増加に伴う国民負担の増加を勘案しつつ、これまでの改定による影響なども踏まえ、適正な評価を行うという方針が示されております。財務省としては、こうした方針に基づき、診療報酬本体に関して、例えば、1兆円の自然増という話が当然増みたいにマスコミは書いていますけれども、7対1入院基本料の算定基準の部分が急増していますから、こういったようなものは抑制されるのではありませんか、それだけでも随分な額が出るでしょうという話をしておりますので、診療報酬本体というものを十分に下げられる要素というのは多くあるというのが基本的に、私自身はそう思っています。

問)

新規国債の発行額についてですが、大臣は先週の会見で25年度当初を上回るか下回るかはもうちょっと詰めると仰っていましたけれども、25年度当初は42.9兆円だったのですが、これよりも減らすことを目指すというお考えでしょうか。

答)

中期財政計画において、平成26年度及び27年度予算において、それぞれ前年度を上回らないよう、最大限努力すると示しております。また、先日の12日に閣議決定されました平成26年度予算編成の基本方針においても、同様の目標が設定されております。現在、税収の動向を踏まえつついろいろやっているところではありますけれども、歳出の重点化・効率化を図ることによって、新規国債発行額をとにかく前年度水準以下になるよう努力をしたい、詰めていきたいと思っています。

問)

昨日、総務省の諮問機関である地方財政審議会で、来年度の予算編成の焦点となっている1兆円ほど上乗せされている別枠加算について、地方財政を考えると継続する必要があるという意見が出され、総務大臣の方に答申されたということだったのですけれども、交付税は非常に額が大きいということでありまして、予算の編成でも非常に焦点となると思います。プライマリーバランス対象経費も含めてどのようにお考えでしょうか。

答)

別枠加算というのは1兆円の話ですか。あれは麻生内閣の時に、当時リーマンショックを受けて地方自治体の財政というものも非常事態というような事態でもありましたので、あの時は1兆円の枠を加算して地方交付税の負担の割合が、それまで5対5だったものを6対4、国が6、地方が4という形であの状態を切り抜けていったという時のものだと思いますが、間違いなく来年度予算から地方税収というのは増えるでしょう、どう考えても。消費税の分だってあるのですし、景気が良くなればその分だけ地方事業税も入ってきますから。したがって、あの時のような非常事態という状況からは明らかに平時、非常時から平時に戻っていなくてはおかしいのであって、従来の6対4がその前の5対5まで戻していくのは当然だと思いますし、そのほか増える分が、2兆円以上ぐらい予想されますから、そういった意味では特別な1兆円というものは、この際元に戻していただこうと思っております。

問)

その別枠加算ですけれども、来年度一気に解消するというお考えか、段階的であるか、この辺大臣のお考えはいかがでしょうか。

答)

こっちとして少なくするに越したことはないとは思ってはいますけれども、これは今から話し合いです。なかなか先方としても、それを一挙にということは、どういうことになるかというのは、少しいろいろしなくてはいけないところが出てくるかもしれませんから、今はコメントできる段階にはありません。

問)

経済財政諮問会議でも今回の予算を編成するに当たって、プライマリーバランス対象経費については72兆円というのを目途に予算編成がスタートしていると思います。その中で特別会計の改革の関係で0.8兆円程度、これは歳入の裏付けもある話なのでいわゆる収支には影響を与えないものだと思うのですが、これを加味すると72.8兆円ということがそもそもの予算編成のスタートだったと思います。この72.8兆円というものまで絞り込むのかどうかという大臣のお考えについてお話を伺えればと思っております。

答)

私共は基本的には、来年の消費税の増税に伴う景気の後退する分というものをなるべく抑える形で、いろいろな形で財政を出動、もしくは景気刺激策、減税等々を行うというのは、来年に増税されることによって起きるいろいろな弊害を避けるという意味において、いろいろ配慮しなければならないという観点が1つと、やはり基本的には財政は再建していくというもう1つの大きな課題があります。そういった意味では、少しでも国民の税金負担が安くなる方が正しいですし、その部分だけこれまでにたまっている、いわゆる国債の累積に対して返還を少しでもできるように考えますので、全体としては少しでも減らせればと考えております。

問)

全体として減らせればということの一方で、経済成長と財政再建の両立という問題がある中で、税収もかなり増えるような雰囲気もある中で、そういう意味では72.8兆円という数字にこだわらずやっていくべきとお考えなのかお伺いさせてください。

答)

基本的には72.8兆円という数字は、去年と比較して72.8兆円なのですけれども、我々としてはプライマリーバランスを2015年までに対GDP比で2010年度の水準から半減するという目標がありますので、そういった意味からしますと、今この段階でまだどれくらいということを言う段階にはないとは思います。私共としてはそういったものも勘案しながら、なるべく財政の健全化というものも常に忘れてはいけないという観点なのだと思います。

問)

診療報酬に関して現在交渉中ということなのですが、今まだ1,000億円ぐらいの開きがあるという感覚を取材の中で得ています。そういった中で引き上げるというふうに話している厚生労働省側の話を聞いてみますと、これから医療体制の充実というところを求めていて、特に高齢化、高度医療化というところでますます必要になるのだから上げた方がいいというような話が出ています。そういったところの意見というのは、大臣は御納得できる上で、それでもやはり引き下げた方が良いというお考えなのでしょうか。

答)

少なくとも消費税が3%増えるということは、イコール国民の負担が増える、加えて医療費の負担が増えるということです。そういった意味では、社会保障充実のためにこれは充てますと。社会保障と税の一体改革というのはそういう趣旨でスタートしていますから、そういう状況の中にあって社会保障充実のために消費税を上げた、診療報酬も上がったというような形は何となく、そのために消費税を上げたのではないのという意識は必ず出てくるところだと思いますので、国民負担が増えるということを抑えるというのは当然の対応だと思っています。ですから厚生労働省はさっき申し上げた病床の7対1の話を含め、いろいろやれるところはあるのではありませんかという話ですから、まだまだそういった意味では努力をしていただかなければいけないところが多くあるのだと思います。

問)

昨日発表された日銀短観についてですが、大企業の製造業でDIがプラス16と4期連続の改善となりまして、また大企業の設備投資の計画が昨年度より4.6%増加、中小企業は昨年度より7.9%の増加という結果になっていますけれども、これについて大臣、この数字を踏まえて今の景気についてどのように見ていらっしゃるか教えてください。

答)

短観というのは基本的に気分ですから、中小企業の経営者なり大企業の経営者の気分の話ですから、数字として何%ずれたからどうのこうのというような、数字の積上げをやっているような話ではありません。私達も聞かれていた立場ですからよく分かりますけれども。ですから、世論調査が当たらないのと同じです。なかなかそんなに簡単にはいかないのです、人は。ですから、そういった意味では短観がどうだなんて言って、一喜一憂するなんていうような種類のものだとは思いませんが、4期連続プラスに変わったということは、やはり企業経営者の気分が下を向いていたのから上向きになっているということは確かです。それから、中小企業・全産業で上向きになったというのは、株が1990年から下がりましたからその1年後、1991年ぶりぐらい、ですから22年ぶりで、そういった意味では気分が変わってきているということは確かです。設備投資も増えてきています。増やすと言いますけれども、それは前の時からも機械受注は増えていましたから。機械受注というのは設備投資の先行指標みたいなものですから、上がってくるだろうなとは思っていました。状況としてどうやら設備投資をやれば一括償却を認めてくれるとか、即時償却を認めてくれるとか、いろいろな形で補助金が出るとかというのがだんだんみんな知られるところとなりましたので、何となくデフレでずっと設備投資を止めていた中小企業も、これならやれるかなというように思ってもらえたのがあります。輸出やら何やらいま一つ自信がなかったところも多かったと思いますけれども、株価も、随分いろいろな記事をマスコミに書かれながらも、きちんと1万5,000円台そこそこです。あの頃79円でしたのが今は100円を超えて、ほぼ100円台は維持というような状況になってきます。商売をしている観点からいきますと、この内閣の方針がそんなに変わらないのではないかな、この内閣もそこそこ続くのではないかな、秘密保護法で特別高等警察の再来かみたいに書いていたマスコミもありましたが、それにもかかわらず内閣の支持率というのがそんなに落ちるということもなく行っているのは、経済がそこそこうまくいっているからです。私はそう思います。経済がやはりこの20年間近く、極めてマイナスと言いますか、デフレ不況という、もっと正確には資産のデフレーションというものが続いていたものが、株という動産が上がり、不動産もそこそこ大都市圏で上がり始めたという状況で、自分の持っている資産価値が上がるということは担保価値が増えるということですから、それは結果として、機械も十何年間全然更新していないから、電力料金がこれだけ高くなることを考えれば、電力消費量の安い設備に切り換えるのは今かというように考えます。そういった気分になってきている人が増えているのかなという感じはします。4期連続というのはそういうことですかね。中小企業・全産業がそういったようになったのは、本当に20年ぶりぐらいですから、それは大きかったと思います。

問)

NISAについて伺います。いよいよ、あと2週間でNISAが始まりますけれども、一方でまだ使い勝手が悪いのではないかと有識者会合などから指摘されている部分もあります。今後、政府としてより使いやすくするために、どういったところを検討されていくのか教えていただければと思います。

答)

どういうところが使いにくいかという話を、もっとテレビで出せばいいんですよ。自分達としては、こういう案の方がいいのではないですかというのを、書けばいいのですよ。それをやらないで、出たところだけ批判するという発想では、世の中やっぱり良くならない。1年限り、1回決めたら変えられませんということになっていたことを移動できるようにしましょうとか、額をもうちょっと上げようとか。これを悪用する人も出てきたり、いろいろするのだとは思いますよ。だけど、そういったことを差し置いても、少なくとも企業、個人が貯金するというのがずっと続いた。日本人にこのところ続いた発想だと思いますね。このところというのは、100年というのはオーバーだけど、70~80年間続いたのであって、投資よりは貯金という発想で、国も貯金をしてもらって、その貯金した金を郵便貯金から財政投融資に回して、予算で獲得して何とかやる体制を日本という国はずっとやってきたんですよ。しかし、現実問題として、個人が投資をするということは、何となく株屋さんというのは、およそ信用できないような職業のイメージだったんですよ、我々が学生の頃は。今は、随分大層なものになっておられるそうですけれども、昔はそうではなかった。それが、だんだん投資とかに金を回すようにしようという発想というのは、決して間違っているとは思わないですね、僕は。だから、これからの時代、物が豊かになってくる、持った金をじっとしておいても、普通預金にしたって幾ら利子がつくんだね。1,000万円預けても、やっとティッシュペーパーが何個か買えるぐらいのものにしかならないんじゃないですか。今、普通預金の利子が幾らになっているか知らないけど、0.00幾つみたいな話だから。そういったものだったら、その1,000万円を投資に回そうとか、投資してみようとか、リートでもいいですよ、NISAでもいいですけど、そういったものに回そうということをちょっとやってみて、こういうものかと思ってもらえれば、また別のものが幾つもありますから。そういったものに投資していただくということが、国の経済が大きくなっていく。国の経済が回っていくためには、個人金融資産1,600兆円のうち860兆円が預貯金とかというような金の預かり方になっているのは、この国だけですからね、極端に預貯金が多い比率というのは。それをもう少し投資とかというものに回っていくようにするために、NISAをより良く、より使いやすくするためには、こういう点をもっとこうすれば良いということを使った人達の意見を集めて、それで番組でも作ったらいいのでは。役人に聞くよりは、そっちの方がよっぽど情報が収集できると思いますよ。役人が聞いたって、何となくみんな何か調べられているのではないかとか、税務署から何かつけ込まれるのではないかというような発想を思いますからね、みんな。だから、記者の方が、まだ人から信用されているのではないですか、その点は。それで、こういうことをやったらどうですかと、番組でやれば、ほぉ~と思って参考になりますよ、こちらも。それを全然やらないで、人にやらせるのを待って、ただ批判しようなんて、あまり建設的ではないからやめた方がいいですよ。だから、是非調べてやってみて。その上で考えますから。この問題は、幾らでも自由に考えます。

(以上)

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