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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年4月4日(金)9時02分~9時17分)

【質疑応答】

問)

消費税率の引上げについてですが、4月1日に引き上げられまして、一部のスーパーでシステムの問題から店舗が開けないなどの混乱もあったようではありますけれども、全体としては大きな混乱はなかったと思っております。この引上げからまだ4日ではありますけれども、大臣はこれまでの状況についてどう評価していらっしゃいますでしょうか。また、前回の会見では、この数カ月間が正念場であると仰っておりましたけれども、今後の財政運営について改めて大臣のお考えをお伺いさせてください。

答)

電車の駅の自動改札が開かなかったとか幾つかの報告が上がっていますし、スーパーのレジが動かなかったという話も何カ所かありましたが、いずれも1日中にほぼ解決し、2日の午前0時からはうまく動いているとのことですので、御迷惑はかけたのだとは思いますけれども、小売店の数の割には、概ねうまくいっているのかなとは思っています。

2つ目の質問に関しては、これはまだ4日間では分かりません。もうしばらく、4-6月期の数字を見た上でないと何とも言えません。

問)

G20についてですが、来週、ワシントンでG20財務大臣・中央銀行総裁会議が予定されております。ウクライナを巡ってロシアと米欧の対立が続く中で、経済への悪影響ということも懸念されている状況かと思いますけれども、今回のG20ではどういったテーマが焦点になるとお考えでしょうか。

答)

10日から11日にかけて行われるのですが、少なくとも今の世界経済とか成長戦略とかそういった話をすることは確かでしょうが、ウクライナに関して言いますと、IMFミッションチームが行って帰ってきまして、それなりの事務レベルの合意に達したところでもあります。このような進展については、それをどうとらえるかについて意見を交換するということになるのだと思います。ヨーロッパとアメリカでは意識がかなり違いますし、日本も距離的に大分違いますので、直接に影響がという話ではありませんから、少しまた立場が違いますけれども、ヨーロッパとの関係というのは一番大事なところかなと思いますので、話をよく聞いてみないといけないと思っています。

問)

消費税率引上げの件に関しては、数の割には大分うまくいったのではないかということでしたが、いろいろ調べてみますと、商店街の小さな小売店では消費税の転嫁がなかなかうまくできない、やはり客離れが怖いということでしっかり転嫁できていないという声が上がっています。消費税の転嫁に関して政府も大分いろいろ対策をとられていますが、こういった現状を大臣はどのようにとらえていらっしゃいますでしょうか。

答)

これはある程度力関係がありますから、そういった意味では商店とお客との関係に幾つか理由があるのだとは思います。それはゼロなんていうことはあり得ませんから、幾つかは確かにあるのだと思います。これはある程度時間をかけて対処していただく以外に方法はないと思います。ただ問題は、仕入れとの関係、元売りとの関係で、そこで安くするのまけろのとか、スーパーは大量に仕入れますから3%分は卸売業者で負担してくださいとか、そういったものは、経済にとってはインフレの方向に向かっていくのと逆の方向にもなりますし、そこのところに関しては厳しくやらせていただきますということで、いろいろ人を増やして監視や調査を行っていますので、時間をかけて丁寧にやっていかなければいけないところでしょう。

問)

一方で消費税率10%も、法律では来年の秋に導入となっていくと思うのですが、そうしますとますます転嫁できずに、大規模のところと小規模のところで二極化に進んでいくのではないかとも思いますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

そこは今からまだ1年半ぐらい先の話でもありますし、それまでの間に経済が4-6月期以降、7-9月期、10-12月期でどうなっていくかというのを見た上でないと、今の話は何とも言えません。消費税率を上げる時には常にそういったものは毎回ついて回るもの、どこでもそうですけれども、ある程度時間をかけて見る以外に方法はないと思います。

問)

そういった小規模小売店に向けて、何か対策を考えていかなければいけないかなというようなことは、現時点でありますでしょうか。

答)

今の段階で考えているわけではありません。

問)

日銀の異次元緩和から今日でちょうど1年で、その前提となる共同声明の作成に当たっては大臣も相当汗をかいたと思われるのですけれども、まずこの1年間の日銀の大規模金融緩和の評価についてお伺いさせてください。

答)

中央銀行というものは、間違いなくその国の物価安定、いわゆるそういったものが基本的な中央銀行の使命です。その観点から言いますと、間違いなく日本銀行は物価を安定させたという意味においては、間違いなく中央銀行の中ではものすごく大きく活躍した中央銀行です。ただ、今のように、日本の場合のようにと言うのが正確なのか、日本のようにデフレーションになった場合、その政策が正しいかと言いますと、なかなかそうではなかったのではないかと多分歴史家は言うのだと思いますけれども、少なくとも通貨をかつては360円から300円、240円、120円、108円、そして一番安い頃で75円まで通貨の価値が上がってきたという点に関しては、私は決してインフレーションであれば間違いなかったのだと思いますが、デフレーションということになると違ってきて、通貨というものの国際競争力や何やらを考えた時には、2009年以降通貨安競争はやめようということをみんなでG20を含めて合意した後、各国は通貨安という為替介入はしなかったけれども、通貨の供給量を大量に増やすことによって結果的に通貨安という副次的な効果が生まれました。この間、日本では、通貨は上がって70何円まで行き、リーマンショックの前108円だったのですから、それが70何円まで上がった。また、デフレも継続し、日本の経済に与えた影響というのは極めて大きかった。こうした中、デフレ不況から脱却するために、各国と同じように通貨の供給量を積極的に増やす金融緩和をやってくださいというのが1月22日の白川総裁との共同声明、それ以後、黒田総裁に代わっていろいろな方法で徐々にというのではなく一挙にどんと異次元の世界という感じで通貨供給量を増やした結果、少なくとも日本の場合でいけば物価はコアでいけば0.2%のマイナスから、デフレからインフレに1.3%のプラスまで上がり、そしてGDPは5四半期連続プラスというようなことになっていますから、そういった意味では間違いなくこれまでの評価というのは評価されてしかるべき、我々の立場から言えばそういう立場です。

問)

今後ですけれども、まさにデフレ脱却のとば口に立って、物価も上がってきまして、これからまさに物価が上がる一方で長期金利は抑え込んでいかなければなりません。デフレ脱却、経済成長を目指しつつも金利の上昇を抑えて財政再建も果たしていかなければなりません。大臣がよく仰る二兎を追うということを、まさに世界の各国がまだどこもやっていないことを、日本はこれから成功していかなくてはならないと思うのですが、今後の金融政策や財政運営の課題、についてお伺いさせてください。

答)

第3の矢により民間の設備投資、民間の消費がどれくらい上向くか、これがほぼ全てです。こういったものが出てくれば、資金需要が増えて、いわゆるマネーサプライが増えてきます。企業にとって、手元の資金が減って借金が増えるというような状況になって初めて経済が成長するわけです。経済成長というのは御存じのように消費が増えるか、設備投資が増えるか、政府支出が増えるか、基本的にはこの3つですから、その3つのうち2つが今止まって政府だけに偏り過ぎているのを、少なくともその部分が増えてくれば、企業の資金需要は増えていくことになります。準備預金は法定準備金の12倍ぐらいになっているのかな、今。そういうような需要が一日も早く出てくる、そういう状況ができるというのが最も期待するところで、そこにいけるかいけないかが今年、いわゆる正念場というのはそこです。幸いにして今いろいろな需要が、大きな家具とかそういったものも結構出てきていますし、その配送するトラックもいろいろ出てきています。新しい規制緩和等々が新しい需要を作り出す、そういったようなものにも政府としてはもっと、農業とか厚労関係のものとか、その他いろいろやっています。20年デフレだったのですから、いきなりインフレになって明日から景気が良くなるなんていう、経済というのはそういうものではありませんから、時間がある程度かかるとは思いますけれども、数年でそういう方向が見えてきて、民間がマネーを必要とする状況になれば、法人税も入る、何も入ってきますから、今度は国債に頼る必要性が低下する、そういったことになるのだとは思いますけれども、これは時間差が必ずありますから、10年も20年もかかる話ではありませんが、結構時間のかかる話ではあります。

(以上)

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