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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月8日(火)11時02分~11時21分)

【質疑応答】

問)

5月の国際収支が発表され、経常収支が4カ月連続の黒字となりました。輸出や知的財産権等使用料の収入が増えた一方で、所得収支は2カ月連続の減少になりました。今後、日本の強みをどういうふうに稼ぐ力に結びつけていくかということが日本経済の課題になるかと思いますが、今回の結果の分析も踏まえて、大臣の御所見をお伺いさせてください。

答)

これは少し長い話になりますが、経常収支の黒字幅が縮小していますという話で、今回は438億円減って5,228億円になりました。これは、引き続き貿易収支が赤字になっており、6,759億円の赤字となっております。貿易収支が赤字になった内容を、後でよく分析しなければいけないところですが、いわゆる投資した分、第1次所得収支というのがあり、こちらは1兆4,779億円の黒字になっています。今年の1月から月別で見ますと、1兆3,425億円、1兆4,605億円、1兆7,904億円、1兆8,331億円とこちらの方は増えています。この経常収支の先行きは、内外情勢、為替、石油や液化天然ガスの価格の動向、加えて金利等によって経常収支は動きますので、動向を今後とも注意していきませんと、少なくとも貿易収支だけで見ていきますと、話を間違えてしまうのではないかなと、私自身はそう思っています。

問)

先週4日に、金融庁が金融モニタリングレポートを初めてまとめましたが、そのレポートの中で、地方銀行についてですけれども、収益率が2割強の地銀がマイナスであるとか、人口減少の中で、中期計画で貸出金の増加というのを各行とも掲げていますけれども、それは人口減少の中ではあまり成立しないビジネスモデルなのではないかという厳しい指摘も見られました。地域の再生というものも、アベノミクスの1つとして掲げていますけれども、その中心的な担い手となるべき地銀が、このような指摘を受けていることについて、どのように考えられるか、地銀のあり方であるとか今後のビジネスモデルについて、御意見を伺えればと思います。

答)

まず、基本的には、これは何回も言っていますが、これは経営の話なので、経営判断をするのは金融機関、地銀なら地銀という一地方銀行の経営判断によるので、これに関して、どうのこうのという話ではないというのが大前提です。その上に立って、人口を見ると、縮小傾向にある、人口が大都市部に集中する傾向があるということは人口減に、地方の方はいわゆるマイナスアルファがかかるということで、人口減は平均の人口減よりさらに加速するということを意味していると思います。そういった意味では、中長期的に10年とか先で検討していった場合、どうなるのかというところが一番大きな問題だと思います。そうすると、地方で人口が減る最大の理由は何かと言えば、それは地方に仕事がないからということが一番大きな理由だと思います。そういった意味においては、経営の課題というのは、企業の誘致をやるのですか、もっと他のところに出ていくのですか。他方、地方銀行が他の銀行を買ったりしているでしょう。九州の銀行を買ったり、隣の県の銀行を買ったりしています。そういった状況に目をつけて、さっさとやっている銀行があるわけでしょう。そういうのを見ていたら分かるように、銀行の経営者として、そういう意識を持ってどんどんやっているところもありますというところだと思います。モニタリングの結果としては、いわゆるレポートにおいても、地域銀行についての検証結果とか課題の認識等々を示したというところですから、その資料を参考にしていただいて、どういった金融サービスがというのを考えていってもらわなければいけないということだと思います。他方、地方の銀行が手を引かれたら、地方の中小機関がという話になりますけれども、今度は逆に大企業・大銀行の方は、地方の中小企業の中で極めて内容の良いところに対して、今までは全く相手にもしなかった大銀行が、地方の優秀な内容のところに目をつけて、そこに融資を申し出てきているでしょう。最近そういう傾向があるでしょう。やはり良いところにはどんどんお金を貸そうとしているという傾向は、この半年間はっきりしていると思います。

問)

軽減税率について、自公両党による業界団体へのヒアリングが、今日から始まっています。業界団体からは、過度な事務負担になるという意見が出ることも予想されますし、大臣はかねてから線引きや区分経理については難しい面があるという認識を示されていますが、ヒアリングではどのような点に特に耳を傾けていきたいとお考えでしょうか。

答)

軽減税率については、与党税制協議会の資料が6月5日に公表されていると思いますので、この資料を踏まえた国民的議論がなされることを我々としては望んでいます。与党税制協議会において、関係業界等からのヒアリングを始められるということは承知していますが、詳細について知っているわけではないので、いずれにしましても、引き続き与党で検討していくということなのだと思っています。どういうところが課題かと言いますと、区分については、何はよくて何は駄目なのかということです。全ての飲食料品から酒類だけを除いて軽減税率を導入しましても、それだけで1%当たり6,300億円ぐらい減ります。結構大きな額が減りますので、その分をどうするのかという話になると思います。消費税を10%に引き上げて入ってくる、消費税1%引上げで2兆7千億円入ってくるうち、一挙に6,000億円減りますという話は結構大きい額ですから、そういったものを考えてもらわなければいけません。2つ目として、どうやって分類するのでしょうか。ビールは高いけれども、焼酎は安いというのを、焼酎は更に安くしろ、ビールはそのままでいいというような話を誰が決めるのですか。それから当然のこととしてこれだけ減税をするということになりますと、インボイスという内訳が要りますから、その内訳を作成するのは大変手間がかかる話です。インボイスを作成するなら今まで免税だったところが課税となりますとか、そういうような話で、これをやろうとしますと、結構面倒な話が多く出てくるという話を忘れてもらうと困ります。小さな商店街や中小企業の事業者の方こそ、この話は結構手間がかかる話なのだと思いますので、そういったところは幅広く考えておいていただかないと問題なのかなとは思います。いずれにしましても、今から6カ月間ありますから、その間いろいろ議論をされるのだと思います。まずはヒアリングから始まりますので、どういうものが出てくるか、先日の消費税率を8%へ引き上げる際も、私と甘利大臣と黒田日銀総裁と3人で何回か議論しましたので、そういった話になるのだと思います。

問)

消費者としては、税負担が少ない方が良いという感情を持っていることも確かだと思います。公明党は年末までに軽減税率についての制度設計をまとめたいとしていますけれども、大臣は年末までにこの着地点を導き出すべきとお考えでしょうか。

答)

これは税制改正大綱にも書いてあるところですが、国民の理解を得るためのプロセス等、軽減税率制度の導入に係る詳細な内容について検討し、平成26年12月までに結論を得て、と書いてありますので、更に内容を詰めていかれるのだと思います。商店街の事業者も消費者ですから、両方兼ねておられます。消費者側に立つ人が、商店の経営をする人を兼ねている場合がありますから、そういうことも考えてどちらの立場で言うのですかという話をしませんと、消費者と言ったら全部入ります。みんな消費者ですから。そういった意味では、なかなかこの消費者という言葉は、消費者だけという方はあまりいらっしゃいませんから、選択の仕方としては、言葉はよくよく選んで使わないといけないところかもしれません。

問)

一部報道にも出ていましたが、酒税の税収が減少する中で、特にビールなど風味が似た商品によって税率が異なっている現状をどう見ていらっしゃるのか、見直しが必要かどうか、現時点での大臣の御認識をお伺いさせてください。

答)

ビールの売上げが減っており、これを見直すという話が報道されていましたが、これは昨年末の与党税制改正大綱において、同一の分類に属する酒類間の税率格差を縮小する方向で見直しを行うこととし、速やかに結論を得るよう検討を進める、と既に書いてあります。こうした方針に沿って、税負担の公平性の観点や厳しい財政状況等も踏まえて検討していかなければいけないと考えています。酒税収は1兆3,410億円ですが、そのうちビールが半分近くあり、6,120億円です。そういった話になってきますと、ビールは酒税の比率が大変高いですから、発泡酒等と一緒にしようかという話が出てくるところです。ビールは350mlの酒税額が77円と大変高いです。ビールを外税にしますと飲む方がいなくなるだろうと私は思っているのですけれども、あれは内税ですからみんな何となく飲んでいますが、私はそういった意味で、今これをビールが77円とか、発泡酒が47円とか、新ジャンルが28円とかいろいろありますので、これを一律にした方が良いのではないかという御意見がありますが、ではそれで売上げが増えますかと、酒税はそれで税収が増えますかと、私はそれはどうかなという感じがします。とにかく与党税制改正大綱に検討すると書いて、今、その検討を開始されているのかなと思います。

(以上)

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