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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年7月18日(金)10時50分~11時04分)

【質疑応答】

問)

昨日の政府の月例経済報告で景気の基調判断が半年ぶりに上方修正されました。一方で5月の機械受注の額が大幅に減ったり、レギュラーガソリンの値段が170円に近づいたりというような、若干心配される指標もあるのですけれども、一番大事な7-9月期の景気の見通しについての大臣の現在の御認識を伺いたいと思います。

答)

機械受注だけで判断するほど単純に物は決まらないと思います。機械受注でいえば、前月比の話ばかり聞くけれども、前年同月比というものをきちんと見た上でやらなければいけないと思います。前年同月の数字を見れば4月はプラス17.6になっていますし、5月はマイナス14.3になっていますけれども、ブレが大きいものですから、今年でも3月は確か高かったと記憶しています。そういった意味では反動減というものは必ずついて回るものですから、別に驚くことはないと思います。消費税の引上げに伴う駆け込み需要というものの反動というのは和らぎつつあるという考え方は基本的に変わっていません。そういったことで基調判断が上方修正されたのだと思っていますので、緩やかな回復が期待されているという判断は私も同じです。

問)

幼児教育の無償化の問題に関して、下村文部科学大臣が先日の記者会見で、まず5歳児について所得制限付きで無償化を実現したいという意向を表明されておりますが、300億円の財源が必要とも言われております。この文部科学省の無償化案に関しての大臣の御見解を伺えればと思います。

答)

私の知っている範囲では、財務省に対して文部科学省から、まだ正式な相談はないと思います。正式に言われたことはなく、詳細を承知しているわけではありませんから、答えようがありません。いずれにしても幼児教育無償化の話は、骨太方針に「財源を確保しながら段階的に進めていく」ということが書いてあったと思いますので、政府全体の方針としてきちんと財源を確保しなければいけないと思います。文部科学省から財源についても御提案をいただけるものだと思っていますので、それを伺ってからの話になると思います。

問)

ウクライナの情勢ですけれども、アメリカが追加制裁をしたりだとかEUが検討したりだとか、また飛行機の件があったりだとか、いろいろなことが最近起きていますが、足下の追加制裁について日本としてどういうふうに対応していくべきかお伺いします。

答)

ウクライナについて、日本の場合は情報の絶対量がヨーロッパやアメリカに比べて少ないと思いますので、ヨーロッパやアメリカの動向を見ながら我々としては対応していくことになるのだと思います。ただ、飛行機が撃墜されたか爆破されたか詳しくは知りませんが、ウクライナの上空でああいった形になり、情勢としては極めて不安定ということになると、石油の価格が上がるとかいろいろな意味で経済に対して悪影響が出てくるという可能性は十分に考えておかなければいけないと思います。

問)

最近日本では、ロシアに対して企業投資などもたくさん行われていて、天然ガスなどのエネルギーもたくさん輸入していますが、長い目で見たとき、日本とロシアの経済関係というのはどうあるべきだとお考えでしょうか。

答)

ロシアの経済というのは、石油やガスというような天然資源の輸出によって主に経済が動いているというのが基本的なところなのだと思います。ロシアとしてはそれ以外のいわゆる製品を作るとか、ガスもナチュラルガスに変えるとか、それから石油も原油ではなくて製品化してポリ塩化ビニールにするとか、ナフサにするとかいろいろな形の技術というものを、付加価値をつけて輸出するようにしないとロシアの経済は、これ以上はなかなか難しいということになると思います。今、石油の価格はWTIで103ドルぐらいかと思います。そういったものを見ながら考えなければいけないところでしょうが、100ドル切って90ドルだ80ドルだという話になってくるとロシアの経済にとっては大変なことになります。そういった意味ではアメリカのシェールガスやシェールオイルというものが出てくるとみんなそっちへ行きますから、ロシアにとってはかなり深刻です。そういったようなことを考えるとロシアの石油を止められたら大変だという話ばかり出ますが、先がどうなるかというのは、相手側もいろいろ考えると思います。そういう技術を持っているのは日本ですから。日本は、原発が止まっている状況で、ロシアから石油を買っています。日本の輸入が止まったら石油の値段は下がります。石油の値段が下がるということは、イコール、このような紛争をやろうと思っても、やるだけの経済力がつかないことになります。いろいろなものが複合的に絡んでくるのだということまで考えてこの種の話は対応していかなければいけないと思います。

問)

BRICSの新開発銀行の設立についてお聞かせください。BRICSが先日、新開発銀行として5カ国が100億ドルずつ資本金を出して新しい銀行を作ると合意がありました。それから外貨準備基金というものを作るということを決めました。これについては既に世界銀行であるとか、IMFという国際機関があるわけですが、それと似たようなものを新たに作るということになっています。このことについて、新開発銀行というものに対し大臣がどういった評価をされているかということと、既存の国際金融の秩序に対してどういった影響を与え得るのかという点についてお聞かせください。

答)

世界中としては、他にもAIIBと称するアジア新開発銀行をやろうとしているという話は前から聞いております。アジアの中においてインフラ整備資金が不足しているというのは事実ですから、それはそれなりに、決して悪いことだとは思いません。ただ問題なのは、このお金を融資されるということになると、BRICSでやる、中国がAIIBでやるとなると、お金は貸したら返ってくる前提で貸すわけですから、融資の審査がかなりアバウトなものになって、いい加減なものや厳しさを欠いたものになった場合は、それは焦げつく確率が高いと思います。そうすると、世界銀行もIMFもADBも日本のODAも、貸しているお金が焦げ付いた場合に、こちらのお金が優先して返ってきますか。新しい銀行と同じ比率で返ってくるといった場合は、今まで貸しているところにしてみれば、少し待ってということになります。したがってBRICSで一応の合意ということになっていますけれども、まだ今の段階では何とも言えません。ただ、我々としては、もしくは世界銀行やらIMF等にしてみれば、私が言ったことと同じようなことを考えていると思います。

(以上)

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