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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年9月5日(金)10時39分~11時06分)

【質疑応答】

問)

来年度予算編成についてなのですけれども、各省から概算要求が出揃いまして、要求総額が101兆6,806億円、昨年が99兆円でしたので初めて100兆円突破、要求総額としては過去最高ということなのですが、この過去最高という金額についてのまず率直な大臣の受け止めと、常々大臣が強調なさっている経済成長と財政再建を両立させる予算の編成に向けて、改めてですけれどもどのような姿勢で臨まれるか、お考えをお聞かせください。

答)

概算要求の総額が8月末で100兆円超えたとか超えないとかという話自体はたいしたことはないと思っています。その上で問題は基礎的財政収支、プライマリーバランスの対象経費というもので見れば、あれは内閣府試算が74.4兆円だったと思いますので、今回の概算要求でいくと1兆5,000億ぐらい多いから75.9兆円ぐらいになっているのだと思っています。問題は、さらに概算要求の段階では10%の消費税の上乗せの際の社会保障の充実とかそういったところの分に関しては入っていませんから、その意味では消費税関連の分で、関連経費が1兆円ぐらい増えてくる、追加要求が出てくるということが考えられ、プラス1兆円乗るから2.5兆円ぐらいがオーバーするということになるのだと思いますので、27年度予算の編成はなかなか難しいというのははっきりしていると思います。いずれにしてもメリハリのある予算にしなくてはいけないので、いろいろな意味で聖域のない見直しやら何やら、いろいろなことをやっていかないと。なかなかそんな簡単な話ではないということははっきりしていますね。

問)

来年10月からの消費増税についてなのですけれども、昨日、日銀の黒田総裁が記者会見で増税を実施した場合のリスクと実施しなかった場合のリスクについて言及されまして、増税を実施した場合のリスク、経済の落ち込みに対しては財政金融政策で対応が可能である一方で、増税をしなかった場合のリスク、マーケットから財政再建に対する努力や意思に疑念が持たれてしまった場合、そうしたリスクが顕在化した時は対応のしようがないというご発言があったのですけれども、大臣としては、仮の話なのですけれども消費税をこのタイミングで見送った時に起こり得るリスクというのをどのように考えていらっしゃるのか。

答)

それは何も今に始まった話ではないので、去年の8%、3%上げる時にも総裁はほぼ同様の趣旨を各有識者との懇談の時にも話をされておられますし、それ以後約半年間ぐらいの間に何回かその話をしておられますので、これは間違いなく財政健全化に向けて世界中は、日本は消費税を上げて間違いなくその方向で財政再建をしながら経済の成長もさせているという方向で動いているとみんな思っていますから。それに合わせて国債の金利やらはもちろんのことですけれども、株価にしても何にしてもみんなそういう方向になっていますので、そこの部分が崩れるという話ですから、今のは。それはちょっと大変です。事実、それは法律改正を伴うからね。10%に上げるというのは法律で決まっている訳だから、その法律改正をするのも大変だし、どこかでまたもう1回2%上げなければいけないという時にまた法律を変えなければいけないし、そういった意味では結構大変になりますから。黒田総裁の言っている意味は私共としてもよく理解できるところです。確かにそちらの方の対策でいきなり何だ、話が違うじゃないかといって投げ売りでもされた時の対応というのは、大変対応が難しいねというのは確かですね。

問)

今朝の円相場のことなのですけれども、1ドル105円後半まで値下がりをしたと。アメリカの経済指標が良かったのが一因ではないかという見方も出ていますが、こういった円安の傾向について昨日、日銀の黒田総裁も特に今の水準からの円安というのはそんなに経済にとって好ましくないということではないと。つまりアメリカの経済が好転していくならば輸出も増えていくのではないかというような見方をされていましたけれども、一方で一段の円安が日本経済にとって、輸入価格が上がってマイナスになるという指摘もあります。こういったことについて大臣はどのようにお考えでしょうか。

答)

マスコミは上がっても大変、下がっても大変、どっちでも大変と書きたがるところですから。そういった前提で話を読んでくれている人がいればいいけれども、みんな煽られて記事をそのまま読まれる人が多いと影響が出るので甚だ問題だとは思っていますが、こういったものは緩やかな形で上がっていくとか緩やかな形で下がっていくというのが為替としては正しいので、急に上がったり下がったりするというのは極めて危険を伴うということなのだと思っています。それが1点。それからアメリカと日本の場合においては、過去の例を見ても金利が上昇したらアメリカのドルが上がって日本の円が下がる、金利が上昇した場合ですよ。イエレンという人はそういう意味では上げようとしているのか、実際どうなのか分かりませんけれども、そういった点からいったら今の状況としては、値段が102円から103円、今105円ということになってきていますけれども、どれくらいでいくのかというのは正直、先行きを予想するというような立場にありませんから、そういったことを申し上げられるあれもありませんけれども、少なくともそういったものは急激に上がったり下がったりするのは最も好ましくないなと私共はそう思っています。

問)

来週イタリアのミラノでASEMアジア・ヨーロッパ会合が開かれますけれども、大臣が出席されるならば2008年の額賀大臣以来6年ぶりだと思います、閣僚としては。この会議の意義というものをどう考えるかということと、大臣としては日本のことをこの会議の場でどのようなことをアピールというか、お話ししたいというふうに考えておられるのか、お願いできますでしょうか。

答)

リーマンショックが起きた2008年9月のすぐ後に北京で開かれたのがアジア欧州会議だったと記憶します。その時には総理大臣をやっていたので、あの時には北京に行ってフランスとかドイツから解散するのかと質問をされたから、何の話かと聞いたら、いわゆるリーマンショックというのはヨーロッパで大変なことになっていると。アメリカではもっと大変なことになっている、アメリカは今から11月の選挙で大統領は代わるし、そういう時に日本まで解散されたら大変なことになるから何とかしてくれと言われたのが1つ。胡錦濤という当時の国家主席から、これから世界経済はどうなると言われて、それは不況になるさって。一番どこが不況になるかと言ったら中国が一番不況になると。なぜならアメリカに輸出している比率が高いから。日本の場合は貿易依存度が少ないけれども、おたくの場合は貿易依存度が高い。従って一番アメリカに輸出している比率が高い中国が不況になる。通訳が終わった途端に、その時にドルを売ってユーロを買うという話をヨーロッパがしているかと言うから、もともと技術屋だということは知っているが、少なくとも今の段階でドルという通貨を一番持っている国は中国と日本です。持っている資産を売るということは、自国の資産を下げるということだ。売る馬鹿がどこにいるのだと。じっと持っているのだと。それが最も正しい対応だと。その代わり、何をすればいいと。そこまで言わせるのかと思って、内部でやるべきことはいっぱいあるのではないのかと、そっちは。少なくともあちこちで大陸内の地域格差があるのだから、地域格差をきちんとするために少なくともおたくはやるべきことはいっぱいあるのではないの、インフラやら何やら遅れているんだしというような話をしました。だから、あの時は当然のこととして首脳会議ということでそれをやったのですけれども。今度は財務大臣会合ということで、僕は首脳ではありませんから、財務大臣会合で何が出てくるかというのは今のところ、日本としてはあの時とは情勢が全く違いますし、いろいろな意味でヨーロッパの情勢は、あの時はみんなユーロが大変いいから買ったらどうかという話だったのだから。あの時とは状況が全く逆転していると思いますので、向こうとして何を質問してくるのか、こちらとしては対応の仕方はあの時とは全然違うということは確かですけれども、欧州アジア会議というのは、僕には極めて大きなものなのだなという意識がありますね。何となく日本の報道を見ていると、日本とアメリカとアジアといったら中国と韓国しか書いていないからね。ヨーロッパのことというのはほとんど書いていないから間違ってしまうけれども、ヨーロッパの話というのは結構大事なところだと思っていますので、丁寧に話を聞かなければいけないなとは思っていますね。

問)

消費税と金融政策についてお伺いしたいのですが、来年法律に書かれたとおり消費税を10%に引き上げていける経済状態にしていくために現在緩やかな景気回復基調は維持されているとはいえ、まだ力強い経済というところまで至っていない中で、確実に10%に引き上げられる経済にしていくためにさらなる追加の金融緩和というものの必要性について、大臣どのようにお考えかお聞かせください。

答)

これは今の段階で、すごくいい質問だとは思いますけれども、今の段階で来年10月に引き上げていくというのに対して今年12月一杯までに、予算編成の技術上、今年12月に大体決めなければいけないと。半年前だと4月になってしまいますので、その意味では今年中にということを考えてはいるのですけれども。直近の数字を見ればそんなに悪い数字でもありませんし、別に驚くような数字でもありませんので、その意味では私共としては形として今の状況で、これをしておかなければいけない、補正をあらかじめ組んでおかなければいけないとか、予算をとか予備費をとかというようなところを今から少し考えておかなければいけないところだとは思いますけれども、これはまだあと半年ぐらいありますので、12月までの間にいろいろな情勢をもう少し見ながら、もしもの時には準備をしておかなければいけない。その時に慌てないようにしておかなければいけないなとは思っています。

問)

今回の内閣改造による政策への影響について大臣のお考えを教えてほしいのですけれども、経済産業大臣に以前財務副大臣を務めていらっしゃった小渕氏が就かれましたけれども、政府内には法人減税の財源に関して税収の上振れを充てようとする考え方がありますが、小渕氏が経済産業大臣に就かれたことで恒久財源をという財務省の考えに関して理解を得られやすくなったかどうかということをまず教えてください。

答)

基本的には消費税10%、来年に法人税を20%台に向けてということは決まっていますから、そういった意味では何らかの形でやるのですが、ただし、それは恒久財源が要るという話はしてありますので、そういった意味では法人税を下げるに当たってはきちんとしたものがないと、上振れなんていうものは下振れもありますから、とてもじゃないけれども充てる訳にいかないから、そういった意味では上振れではなくて恒久的なものが要りますよという話をしなくてはいけないので、それはご理解いただいた上であの話は決まっていますから。恒久財源として財界は何を出されるのですかね。自分で出すほどそんな度胸はないと思いますね。従ってこっちから決めて、やりますからこれですということをやっていかなければいけないところだと思います。問題は恒久財源を見つけるのが1つと、もう1つは法人税を下げて、下げてもらった分の税金で何をするかですよ。内部留保ですか。これ以上貯めて何をするのですか。今でも一昨年で304兆円、もっと出ていると思いますよ。そういったものを何にされるかなのであって、我々としてはコーポレートガバナンスとかスチュワードシップ・コードとか、いろいろなカタカナが出てきていますけれども、そういったものを使ってきちんとしたものでないと、304兆円、その分、さらに増やした分については国民の税金で安くなった訳ですから、税金が安くなった分だけ、その分だけは別にいただきますよということを言うか、いろいろなことが考えられると思いますよ。しかし、大事なことは景気浮揚ということが勝負ですから、その景気浮揚のために民間の経営者がそれをどういうような形で出されるか、アイデアとしてこれはどうですかと。今いろいろ巷間言われていますけれども、みんな少しずつ考えて、29.何%まではしなければいけない、何年間かかけてやらなくてはいけないのだとは思っていますけれどもね。

問)

GPIFのリスク投資に積極的な塩崎氏が厚生労働大臣につかれましたけれども、今後いろいろポートフォリオの見直しとかが秋にかけて進んでいくと思いますが、今回の人事によってGPIF改革に与える影響、大臣のお考えを教えてください。

答)

GPIFというのはかなり国債に偏っているというのは確かですから、その意味で今12プラスマイナス6ぐらいだったと思いますから、その分を少し触るというのは確かですよ。上に張りついてしまっているような形になっていますから。それ以上、上に張りつくと売らなくてはいけないことになっていますから、そういった意味ではそこのところのパーセントの枠をどれくらい変えられるか、これは今からの話だとは思いますけれども、GPIFというのは、あれで130兆円ぐらいか、世界最大のファンドに近いですよ、あれは。その金がどう動くかというのは、世界では非常に大きな関心がありますので、そういった意味ではその額をどの方向に幾らというのは一番関心のおありになるところ、海外から見ていればそうでしょうし、株価に与える影響も極めて大きいのははっきりしていますので、ちょっとこの時期は、GPIFですから、もう少しその種の専門のプロを集めないと。投資を思いつきでやられては130兆円は大き過ぎますからね。だからきちんとした人を揃えないとなかなか影響が大きい。上がる時はいいけれども、下がる時もありますからね。そう思います。

問)

長期国債の先物で海外投資家が相場操縦したのではないかという疑いで証券取引等監視委員会が調査を進めていますけれども、国債を預かる大臣としてのご所見をお聞かせください。

答)

報道としては承知しています。しかし少なくとも監視委員会の個別事項の対応について財務省でコメントするということはありません。それだけは申し上げられると思いますけれども、いずれも市場全体を適切に監視しておいてもらわなくてはいけないというのははっきりしています。

問)

大臣の補佐官についてお聞きしたいのですけれども、国家公務員制度改革に伴った大臣を政策的に補佐する役割として、政治家、あるいは有識者とか民間から登用することも可能になっています。今の段階で補佐官を起用するお考えがあるか、あるとしたらどういう方を想定していらっしゃるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

答)

必要な人がいれば、大いに利用したらいいと思いますけれども、今すぐそういった人の目当て、これが必要という思いはありません。

問)

先程消費税の関連の質問のところで大臣は、もしもの時には準備をしておかなければならないというお話をされたのですが、これは景気情勢によりますが、万一の場合には補正予算を組んで景気対策をすることも視野に入れて検討されるという理解でよろしいでしょうか。

答)

それはあるでしょうね。補正予算も1つの方法。いろいろな方法がありますから。経済というのは生きているから、簡単にぱっといけるようにしておかないと、タイミングが1つずれたら効果が半減する。だからさっと対応ができるようにしておく、準備だけはしておかなければいけない。

問)

先程の円安に関連してなのですけれども、各種指標で、この段階で企業の海外輸出が思ったように伸びていないという指標が出ていると思うのですけれども、今回の円安水準によってその動きというものに変化が出てくるというふうにお考えでしょうか。

答)

これは企業でどうされるかだからよく分かりませんけれども、少なくとも幾つかの情勢は昔とは変わった。第一、企業は海外において輸出の比率を大きく増やそうとしていない。なぜならそれによって貿易摩擦が起きるから。それをやるくらいだったら、値段がそのままで今売れているのだったら利益を増やした方がいい。立派な考え方ですよ。それによって国内の利益が増えますから。それが1点。2つ目、海外で生産拠点を既に構築していて、従ってそこから輸出するだけで十分に賄えるというのであれば、円安になったからといって、今円安で高い、円高の時に安く工場を作っているのが、円安になってまた工場をというのはよほどのことがない限りは、それは乗ってこない。当然のこと。3つ目、今日本における報道では、みんな日本は貿易立国と書いてあるけれども、先進20カ国で日本より貿易依存度の低いところはブラジルとアメリカ以外は知らないのだけれども。他の国、ドイツとかみんな高いですけれども、そういったところと日本とは全然違いますから。そういった意味では日本は貿易立国ではないのではないですかね。そういった意味では情勢としては、貿易というのは非常に大きな値打ちがありますけれども、日本の場合、それよりはきちんとした会社の内容を整えていくというような方向に事が進んでも、別にそれほど驚くことはないのであって、そういう経営判断というのも十分にあり得るだろうとは思っています。

(以上)

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