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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年9月9日(火)10時46分~11時08分)

【質疑応答】

問)

昨日、内閣府が4-6月期の実質GDPにつきまして年率換算7.1%減、下方修正しました。設備投資が落ち込んでいるという最近の統計も反映させたということですけれども、この内容を踏まえまして大臣の景気認識をお聞かせください。

答)

下方修正になった1次QEがマイナス6.8%だったので、その意味ではマイナスで若干の下方修正になったということですけれども、今言われたように民間の設備投資というのが大きく落ちている。マイナス2.5%だったのがマイナス5.1%になったというのが一番大きなところなのだと思いますが、別に駆け込み需要と反動減というのを除けば経済の趨勢として1-3月期、4-6月期ならして約半年間で、前期比よりは前年同期が問題なので、前年同期比で言ったらプラス1.3%ぐらいですから、そういった意味では月例経済報告にも出ていたのと同じように、景気認識としては今までどおり、大きな変化はないのだと思いますね。直近の去年10-12月期に比べて0.5%ぐらいプラスになっていると思いますから、その意味で趨勢としては、景気は緩やかにという政府の発言に大きな変化はありません。

問)

先日の記者会見で消費税率引上げに際した経済対策として補正予算の編成も1つの選択肢であるという考えを示されたと思います。今後景気の回復の足どりが重ければ補正予算の編成も早めて、この秋に開会する臨時国会に提出する、そういうふうなお考えはございますでしょうか。

答)

ないです。足元の景気動向というのは続いているという認識は先程述べたとおりなのですが、ご質問の趣旨というのは秋の臨時国会に景気対策の補正予算を出すのかという話なのだと思いますけれども、この秋に補正予算を来年のために出すなんていう気は今の段階で全く考えていないというのははっきりしていると思っております。今後、年末の消費税の判断までにこの7-9月期のQEとか、またその他の経済指標というのはいろいろ考えることになります。それらを見極めた上で必要な対策というものをとっていくのですが、そのための準備というのは今のうちからきちんとしておかなければいけないというのは当然のことなのだと思っておりますので、その考えをこの間話したのですが、27年度で予算等を講じるのは自然だと思いますよ、27年度で。だけど今の段階で、この秋の臨時国会でというようなことを来年度に合わせてという考えは全くありません。

問)

今週末にアジア欧州会合の財務大臣会合が開かれる予定になっております。足元、外国為替市場では欧州中央銀行の追加金融緩和に伴いまして日本と欧州両方の通貨安が進行しやすいという基調に今なっていますけれども、週末の財務大臣会合ではこうした為替の状況につきまして協議されるかどうか、その見通しについてお聞かせください。

答)

前から言っているように為替の水準についてコメントすることはありません。その上で今回のASEM(アジア欧州会合)の大臣会合で、経済・金融情勢とか、また成長を、財政再建ばかりから経済成長が必要だとフランスのオランド氏はじめ、そういった意識が欧州の中でも出てきているように思いますけれども。いずれにしても成長に向けたアジアとヨーロッパとの間でのパートナーシップとか、また貿易投資等々についての議論をするのだと思いますけれども、日本としてはアベノミクスの進展というのをきちんと紹介していかなければいけないのかなという感じがします。今ヨーロッパはちょっと自国の中、28カ国の中の話が非常に大きな要素になっているのですかね、昨日のバローゾ欧州委員長の会見を見ていても、やはり欧州の中の状況に関して非常に気を配っているなという感じはしますので、頭の痛いところでしょうね。それはそんな感じがしますけれどもね。

問)

為替について2点お願いします。先日の会見で急激な変動は望ましくないという御発言があったと思うのですが、昨今の動きというのは急激な反動かどうかという御認識はいかがでしょうか。

答)

何回も言うけれども、為替の水準についてコメントはしないとさっき言ったので、もう1回聞いたら何か言うかなと思って聞いているのかもしれないけれども、そんなのに引っかかるということはまずあまり期待しないように。一般論として為替の急激な変動が望ましくないというのはいつでも同じことなのであって、特定の水準を念頭に置いて言っている訳ではありません。急激に為替が上がっていくというのは、急激に為替が下がるという確率も高いことを意味しますから、緩やかに物事が変化していく方が望ましいというのが為替というものを考えた時の基本だということを申し上げております。

問)

今回の変動について、円安ではなくてドル高という見方が多いと思いますけれども、それについてはいかが見ていらっしゃいますでしょうか。

答)

手を変えた質問なのだけれども、為替の水準についてはコメントしないと言ったさっきの答えと同じですから、あまり同じようなことを聞かないで。答えはいつも同じだから。

問)

経団連が昨日、政治献金の呼びかけを5年ぶりに再開するというふうに表明をしました。経団連は法人実効税率の引下げを強く求めているのですけれども、国民の側には法人減税の恩恵が結局政治献金に回るのではないかという批判もあるのですけれども、この献金再開の動きと法人税改革についての大臣の御所見を改めて伺えればと思うのですが。

答)

企業からの政治献金の話というのはずっと続いている話なのであって、何も今急に始まった話でもない。それから経団連の会長が代わっておられますので、そういった意味での話も含めて、僕は経団連の内部事情がどういう形になっているかはよく知りません。法人税の実効税率の引下げの話というのは、これはこの前、安倍総理からもお話があって、財務省としてはこの点を考えていかねばならぬということは確かなのですが、確実な財源というものが出てこない限りは、上振れしている部分を回せとか何とかというのは不安定な話で、恒久財源なしに減税ということはできませんので、そういった意味では恒久財源を今から探しますと。私共に探させるのだったら、そちら経団連もしっかり探してくださいよ、というのが1点。2つ目、税金を払わない分だけ、税金の分だけ利益が出ることになりますが、その分は何に使うのですか、また内部留保ですかと。内部留保は一体幾らまでやるのですかと。もう328兆円になっていませんかと。この1年間、20兆円ぐらい増えているでしょう。その328兆円、またさらに増やすのですかと。従ってその分は配当か設備投資か賃金か、しかるべきところにそのものが使われない限りは、景気には全然いい影響を与えませんから、従って使っておられる企業の数が、絶対量が少ないわけですから、そういった意味では下げた分についてはきちんとしたコーポレートガバナンスというものでやっていただいて、内容をしっかりチェックさせてくださいと。それからスチュワードシップ・コードに160社に受け入れていただいて、9月2日に公表されているのは知っているとおりなので、その内容等々についてはどういった内容のものをきちんとおやりになるのか、それをよく見極めさせてもらわないと、ただただ下げて内部留保、貯められるだけだったらおよそ意味がありませんので、きちんとやっていただきたい。これは私共がずっと申し上げ続けてきていることです。

問)

その関連で、昨年と同様に、例えば政労使会議を通じて企業に対して賃上げを要請するというようなことはお考えではないでしょうか。

答)

政労使と言うけれども、「使」はそれを望んでいると思いますか。

問)

望まないと思います。

答)

その上で合意するというのは、政労使の間で、三者で合意してこの間始めたけれども、今度は「使」がそれを合意するかね。自分の会社の給料を幾ら上げるかというのを政府に決められるなんて面白くないと思わない方がおかしいでしょう。自由主義経済をやっているのですよ。統制経済をやっているのではないのだから、労働組合の仕事を政府に代ってもらって、労働組合は何もしないで政府から言われてやっている、労働組合の手抜きもいいところではないかと古賀さんに言ったことがあるけれども、そういったものはきちんとやるべき仕事をやらなければ、お互い会社の話なのだから。それを度々政府にお願いしてやってもらうなんていうのは恥ずかしいと思いますよ。去年12月の時は、こんなことを毎年やられるおつもりですかと言ったけれども、僕としてはそういったような形は、そういった批判が出ないようにきちんとした形でやっていかないと。税金は安くなったは、給料は上がらないは、消費物価は上げていくは、ということになったら、勤労している人達にとっては、大変迷惑する話になるのではないのかねと。それこそ新聞で書くべきところなのじゃないですかね。そんなことはまさかないでしょうねと新聞で書いてくれるならまだ分かるけれども、給料を上げてもらうために政府の力を借りるのですかと、組合もそんな情けないことは言わないだろうと思っていますけれどもね。

問)

今週末のASEMの件ですけれども、先程、副総理からはアベノミクスの進展について紹介していくというお話だったのですが、例えば日本の財政事情とか消費増税の判断を12月に控えているとか、この辺の税財政問題についても日本の状況、そして今後の決意などについても説明される御予定でしょうか。

答)

これはその場において海外からどういう具合に見られているかというところと関係してきます。少なくとも海外は、上げる前提でみんな事は動いていますから、またこっちも変えるとすればそれなりに法律を変更しなくてはいけませんので。そういった意味では海外でこのことに関してちゃんとやるのでしょうねというのと、当然やるに決まっていると思っている人と、いろいろでしょうから、その場の質問に答えて、聞かれたらきちんとそういった対応で答えていかねばならないだろうと思っています。

問)

ASEMについてなのですけれども、ヨーロッパの中央銀行が金融政策で、今ヨーロッパの成長率が大分弱含んでいると。デフレへの懸念が続いているということで金融政策を打っていますけれども、ASEMでも直近そういった政策の発表などもありましたので議題には上るのかなというふうな予測はしているのですが、大臣はどのように思われているか、また今のヨーロッパのデフレへの懸念が続いているという情勢についてはどのように捉えられているか、お願いします。

答)

ヨーロッパも何となくクライシス、金融危機という状況からは脱しつつあるということは多分そこそこ認識している。あの時は、ユーロは崩壊するのではないかと報道されていたけれども、崩壊しなかったから、そういう意味ではヨーロッパにしてみれば、ユーロゾーンの一応の崩壊は免れた。きちんとした形で今やっていかなければいけないけれども、内容は18カ国の中で、上から下まで大分差があるということは確かなので、少なくとも他国の金融の政策の話ですから、それについて日本側からどうこうコメントする立場には全くないのですが、少なくとも欧州の物価の安定というものが出てこないと経済の成長につながらないということ、またそれが結果的には世界の経済にもいい影響を及ぼしていくことになるのだと期待しているのですけれども、少なくとも日本の経験というのはヨーロッパが今からやっていくに当たって、こちらもかつて、債務超過に陥った企業が続出し、銀行も極めて厳しい状況になった時、不良債権を外に出してきちんとした1997年以降の経験というのは、他国がやった経験というのはそんなありませんから、そういった意味では日本の経験が役に立つことは確かだし、よく問い合わせなんかがあることも事実ですけれども、そういったようなものというのは課題を解決した先進国であることは、日本はそういった意味の先進国であることは間違いありませんから、そういった意味でいろいろな質問をよく受けることもありますし、個別の話もよく聞かされますから、そういった話に関しては私共として質問があったら答えていくことになる可能性はあると思います。少なくとも最初に言ったように他国の政策、ヨーロッパの政策全体について我々として、日本として、個別にコメントするという立場にはないということだけははっきりしておかないと介入みたいな話になるのは避けなければならないところだと思いますけれどもね。

問)

先程の政労使会議に関することについての確認で、そうすると今年については、賃上げはあくまで民間に任せるというか、経済の好循環を進めるために政府としてできるようなことというのはそう簡単には見つからないという状況なのでしょうか。

答)

民間における企業の、いわゆる幾ら払うとか払わないという話については、少なくとも自由主義国家の経済の中において賃金を幾らにするかということは、共産圏の国と違って政府が決めて来月は幾らにしてくださいなんていうことが言えるようなシステムではありませんから。そういった意味では基本的には労使で話をされて決められるのが正しい。ただ、日本の場合はこの20年間を見てもらったら分かるけれども、少なくとも日本の場合は雇用を維持したんですよ、企業は。赤字の企業でも雇用を維持して給料を下げたでしょう。アメリカ等のやり方は、どういうやり方をしたかと言えば、雇用をカットしたのですよ。それで給料は下げなかった。むしろ上げたというやり方をした訳でしょう。こっちは失業率が下がらなかった、向こうは失業率が上がった。こちらは、給料はデフレに合わせて減っていった。デフレ以上に減りましたよ。その代わり、雇用は確保された。対応の仕方が全く違ったんですよ、やり方が。それがこの20年間で一番分かっておかないといけない大事なところだと思います。従ってこれから日本の景気が良くなってくるのであれば、給料は少なくとも20年前に比べて、日本の初任給に限らないけれども、給与というもののベースはかつてのように日本の給料は円高でもあったのが、今106円ぐらいになっていますから、そういった意味で国際的なあれでいけば日本の給料は下がっていることになりますから、そういった意味ではきちんとしたそういったものを踏まえて、組合と企業の経営者側が話をするのが筋なのであって、そういうのを踏まえてもっと何とかしろなんていうのは政府として、そういうのを言うべきではないし、また言われるようになったら企業も終わりですよ。だから労使でちゃんと話し合いで納得できるようなものにしてもらわないと、GDPは増えていきませんから、消費が伸びるためには給与の伸びも必要ですから。ただ、こういったような話はこれから、まだ4カ月も先の話ですから、今からだんだんそういった話が出てくるのだと思いますけれども、それまでの対応で、今の段階で何一つ決まっている訳ではありません。

(以上)

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