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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年10月24日(金)8時52分~9時15分)

【質疑応答】

問)

先日、北京で開かれましたAPEC財務大臣会合の際に大臣は中国の張高麗副首相と立ち話をされまして、来月APECに合わせた首脳会談の提案をされております。中国との間では長らく接触もままならないような状態が続いてきましたけれども、最近は対話の兆しが出てきております。この局面変化の背景というのと特に中国側の変化というのを大臣としてどう分析をされているかという点と、尖閣諸島や総理の靖国参拝等について中国側は依然としてハードルの高い要求もしていますけれども、この局面での日中首脳会談の意義、期待するところについてお伺いできればと思います。

答)

日本から中国に対する投資はこの半年で50%近く減っていますよね。調べてみてください、50%近く減っていると思いますよ。かなりの人が帰ってきているし、アメリカも随分人が減っているし、そういった経済関係という状況は今後7.3%とか7.4%という経済成長を目指す上ではマイナスになると、経済が分かっていればそう思っていると思います。そういった意味ではそういったものもきちんとやらないと、更に戦略的互恵とか言うのだったらそこをきちんとやらないと今後のためには双方あまりいいことがないのではありませんか。そのために何で引っかかっているかというのははっきりしているのだから、その意味では今回APECというのが北京で開かれますから、そこで双方が会うというのは最も自然なのではないのですかという話をしたのです。私の場合は経済という点で、その意味では向こうとしては聞きやすい話にしてありますから、政治の話をせず、経済の話、向こうも張高麗という7人の常務委員の1人で、エネルギーをやってきた方だと思いますけれども、それがこの先どういう形になっているかというのは、これから先は向こう側の話ですね。

問)

消費税についてお伺いいたします。一昨日、自民党本部で山本幸三議員が主催して「アベノミクスを成功させる会」という議連が開かれました。内閣官房参与の本田悦朗さんが講演をされて、増税時期の1年半先送りをするということを御主張されました。終了後のブリーフでは山本議員は出席者から賛同が多かったというようなブリーフをされております。現場へ行っていたのですけれども、出席者は当選回数が少ない議員の方が比較的多いかなというふうにもお見受けしたのですけれども、自民党内からこういう慎重論が出ていることについての見解と、また本田さんの1年半先送りということについての大臣としての考えをお聞かせください。

答)

そういう会合があったという話は聞きましたので知っています。大きなものを決めていく時には、この自民党というところは昔からいろいろな組織、また議連等々、いろいろなものが立ち上がっていろいろ自由な意見を言えるというところが自由民主党の最もいい伝統だと思います。いろいろな意見を言われるのは別にそれは何ということはないのであって、最終的に決められたら決められたとおりにやっていくというのが自由民主党の長い間の良き伝統だと思っています。今回も、これは前々から法律で決められている話で、それに当たってどうそれを実行していくか、附則18条3項に沿ってどうやってそれを実行せしめるかというのが行政府側の立場ですが、立法府の立場から、ではそれをするならもっとこうだとか、いろいろな建設的な意見が出てくることもあり得るでしょうし、いろいろな意味での意見が出てくるのは別にいいことだと思いますけれどもね。その程度です。

問)

1年半の先送りという本田さん、内閣官房参与の提案については何か御所見ありますか。

答)

何を基準に1年半なのかがよく分かりませんが、1年半先になったらどうなるかというお話ですけれども、日本の場合は確実に消費税を上げるというのを与野党で合意して2年前に決めて着実に実行し続けてきて、去年2月辺りは円の独歩安を言われ、国債の比率の話をされ、いろいろされていたのが、日本は間違いなくアベノミクスによってデフレ不況からの脱却というのを目指していますと。デフレーションによる不況というのをやった経験者はこの参加国の中にはいません、世界193カ国、1945年以降、デフレーションによる不況をやった国はありませんから、私達はそれを先端的にやっている国なのであって、それが20年間デフレーションによる不況に耐えて、そして出した結論がこれ。その結果として円安になったのであって、円安を目的とした結果こうなった訳ではない。まずデフレ不況からの脱却が主語、それに伴って円安になりましたという話。我々は財政再建というのをもう1個抱えており、財政再建については与野党が合意してきちんとした対応をしますということを言って、きちんと3党で合意して今年実行しますと。本当に実行するのかと言うから、しますと言って、事実今年4月から実行していますから、他の国からこの種のことに関して言われることはない。これは国際社会における日本というものの、国際金融の世界における日本の信用だと思いますので、これを確実に実行し続けていくということが日本という国の信頼、日本の国債への信用、そういったものを保証していく上でも非常に大きな点だと、僕はそう思っています。12月に向けてきちんとした内容のものを作り上げて、附則18条3項等々いろいろなクローズがついていますので、その条件にきちんと対応できるようなものにして、消費税の所期の目的をきちんと達成することによって少なくとも少子高齢化等々、日本が今後社会構造的に抱える問題に対応するためにはこれしかないと、そう思っていますから、そういった方向で事は進んでいかなければいけないものだと思っていますけれどもね。

問)

昨日、国債の3カ月物、国庫短期証券の国債の入札がありまして、そちらで国債の発行市場としては初のマイナス金利がついたのですけれども、マーケットにはやはりこれは市場としては異常なことだという見方も出ているのですけれども、大臣として国債の入札で初の平均マイナスの利回りがついてしまったことについて御所見、また御懸念等はございますでしょうか。

答)

マイナス0.0037%かな。市場の参加者が相場観というものに基づいてみんなそれぞれ買いを入れる訳だけれども、決定されたものに対して、発行する側の当局として具体的な評価に言及するというのは、これはいかがなものかと思いますので差し控えたいと思います。いずれにせよ財務省としては今後とも市場との対話等々を通じて国庫短期証券とか国債とかそういったようなものが確実に売られていくということを行うためにいろいろな金利というのがあっても別におかしくありませんので、それが確実に3カ月後か6カ月後か何カ月後かは別にして、それがまたそれ以上で買われると思ったらそれは買いなんですよ。0.0037%であろうと0.00037%であろうと、それはちゃんと上がるというふうになれば、それでも買った方がいいという、利回りがそっちの方がつくと思えばそれをやるのであって、資金需要がほかに、3%、4%で借りてくる資金需要が外にあったらそっちを買いますよね。だけれども、マネーサプライとしては、出す資金需要がないとなれば、日銀からの短期当座預金等々の分を何に回すかというのはみんな真剣に考える訳でしょう。その結果、ないとなれば、いろいろなことを考え、知恵を回すところなのであって、どれがいいかなといろいろ考えて、いろいろな知恵の出し方の話なのであって、いろいろなものが出てくるとしても別に驚くことはないのではないですかね。珍しいというだけの話であって、他の国でない訳ではないでしょうし。

問)

閣僚の政治資金に関していろいろな問題が伝えられておりますが、今日本経済が非常に大事な局面にある中で副総理としてどのように状況を認識されていて、どのように対応していかれたいとお考えでしょうか。

答)

今の経済状況についてですか。

問)

政治資金等の問題に対して、政治資金の問題というのは経済の話では、経済が非常に大事な局面なので。

答)

政治資金の話というのは、基本的にはこの前の会見で申し上げたと思うのですけれども、これがどう消費者に影響し伝わっていくのか、どういうことになるのかという判断に関しては、これはよく分かりませんね、今の段階で。分かりませんけれども、こちら側としては来年10月の消費税の2%引き上げというものをきちんと実行していくために、日本としては12月の予算編成時期までにきちんとその対応をしなければならないというのが我々のスタンスですから、そのことに関してはこれまで申し述べてきたスタンスと変わっているものは全くありません。本年中に適切な時期を見て我々としては判断しますということを申し上げてきたあのスタンスが今回のことによって変わるということはありません。

問)

AIIBに関して今日にも設立に向けたMOUの署名が行われる見通しになっています。日本はかねて問題点を指摘されてきたと思うのですけれども、一方で東南アジア等の20カ国超も署名する見通しであること、これについての受け止めと改めて大臣のAIIBに対する考え方や今後の対応方針について教えていただけますでしょうか。

答)

アジアの新興国・発展途上国にとってインフラストラクチャーというものの絶対的な不足というものは極めて大きい。インフラストラクチャーの整備というのはイノベーションをやっていく意味においては絶対の条件。そのインフラストラクチャーの絶対量が不足し、電力とか道路とか港湾とかというものがないとなかなかそういったものに発展しない。このためインフラストラクチャーは絶対。これは経済の基本みたいな話だと思いますが、その絶対量が不足しているのでアジア開発銀行とかODAとかいろいろなものでこれまでやってきましたけれども、そこにAIIBというものが中国からできます、それ自体は決して悪いことはだとは思いませんが、然らば伺います、そちらには審査能力がありますか。審査能力がなくて焦げ付いたとします、その国にはADBも貸してあります、ODAも貸してあります、世界銀行も貸してあります、といった時に、そのお金も滞ることになりかねない。その時の返済は、AIIBが後に入ってきたりしなければ返済はきちんとされていたかもしれないと。にもかかわらず、AIIBが入ってきたおかげで返済が滞ることになった時には、返済の猶予とか返済をしないとかというような滞った時の責任は、それは例えば4行ある場合、AIIBの、残りの銀行も含めて4等分します、そんなとぼけた話では駄目ですと。一番最後に入ってきたのだから、その分はそちらでちゃんと責任を持ってくれるのでしょうねとか、1つの例ですよ。また、この国に対して私達から見て、とてもではないけれどもそんなに返せるはずがないと思う場合があるだろうけれども、そういったものはどういう基準に基づいて新たにこういったものに貸すのですかと。それに当たって返済計画とか、そういったものがきちんとあるはずでしょうと。そういったものを見せてくださいと。そういう意味で透明性、トランスペアレンシーというものははっきりあるのでしょうね。それに当たって、中国だけが巨大ですけれども、その他の国々のパーセントを見ると発言力はありますかと。理事会が開かれて、その理事会で正式に協議してもらえるのですかというようなことに関しては何一つまだ決まっていないから、今回のMOUのサインというのはしても、最終的な条約のサインというのとは別の話ですよというケースもあるでしょう。従ってこれがはっきりしない限りはということで、サインすると思っていた国も何国かサインしないようですけれども、そういった国は同じことを考えているはずですよ。もし何か起きた時はちゃんと私達のお金を先に返すのですよと。それをしないでこれに入られた時には、今やっているお金の方はもうこれで終わりですよと。だって返ってこない感覚できますから。銀行にとって貸しているお金としては当然危ないということになりますので。MOUに今日サインするのだけれども、どの国がサインするのかというのは、私達の知っている話でえーっというような国がサインしないような話が聞こえているから、そういったものがどういうふうになってくるのかなとは思ってはいますよ。ただ、AIIBのアイデア自体は決して悪い話ではないけれども、これまでのみんなでという話とはちょっと違って、形としてはBRICSの銀行の話にしてもAIIBの話にしても、そんなにBRICSでそれだけのお金をみんなで5等分できますか、それだけの資金がおありですかと言われた時に、何となく大丈夫かなという感じがしないでもありませんね。ですから、やっぱりお金を貸すというのはなかなか難しい話なんですよ。だからそういった意味でお金を貸す以上は取り返せる能力がなければお金は貸せませんからね。だからそういった意味ではきちんとしたものをちゃんとしているというか、保証がないとなかなか他の国としては、大丈夫か、という話になるのではないかという感じはしますね。

(以上)

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