麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成26年12月19日(金)10時43分~10時55分)

【質疑応答】

問)

16日の政労使会議で来春の賃上げに取り組むことで政労使が合意されました。政府としては賃上げの努力をした企業に対して税制面等からどのようなバックアップを考えていらっしゃいますでしょうか。

答)

税制面では前々から所得の拡大促進税制を25年度から導入して、26年度には拡充しておりますので、これを引き続きやっていただくようにしていただかなければいけないと思っております。そして法人税の改革というのは、基本的には広く課税を行いつつ、稼ぐ力のある企業というものの税負担を軽減して収益力の改善に向けた取り組みをしてくださいという話をするということなのですが、こうした改革をしないと、賃上げ賃上げとよく言うけれども、企業の生産性が上がらないのに賃上げはできませんから、生産性が上がるというような話をしないと継続的に賃上げできる体質にはならないということなのだと思っています。そこのところを頭に入れて生産性が上がって今度は利益が出るようになりました、問題は、今度はその利益が給料、配当、設備投資等々に回っていくというようなことをしないといけない。内部留保が去年9月公表から今年9月公表までの1年間で利益が出た企業の内部留保は24兆円増えているかな、だから月々2兆円ずつぐらい増えている計算になりますので、その一部が給料とか配当とか設備投資に回っていくということにならないと、景気の中で大きな要素を占める消費というものが伸びないということなのだと思っています。

問)

経済対策の方向性について伺います。足元の景気動向を受け、具体的にどのような対策、あるいは方向性、考え方が望ましいと思われますでしょうか。

答)

今の中でいろいろ低所得者層、いろいろやっているのですが、足元の景気は緩やかな景気回復というものが持続していると思っているのですが、エネルギー価格の上昇と言われたのですけれども、今日バレル、WTIで55ドル、ドバイで57ドルかな。だからその意味では石油がかつての107ドルとか108ドルから半分ぐらいまで下がってきているとはいえ、まだまだ高いということでもありますので、ガソリン、レギュラーで今152円、全国的には152~153円かな、そんなものだと思いますけれども、今般の景気対策の中ではいわゆる消費とか景気の脆弱な部分にスピード感を持って応えられるようなことを考えなければいけないと思っていますので、消費税の先延ばしをやったりしていますけれども、交付金等々を地方の小さな自治体等々にやったりするということを考えているのですけれども、もうちょっといろいろ詰める話も出てくると思いますので、対応していかなければいけないなと思っていますね。地域差があるんですよ。企業差もあるし、地域差もあるし、そういったものも見なければいけないところだと思いますね。

問)

先程の法人税改革に関連して先日の政労使の後の会見で甘利大臣は、先行して法人税減税が必要だという旨の発言をされておりますが、麻生大臣はそのことに関連してどのようにお考えでしょうか。

答)

基本的には法人税の実効税率を引き下げるためには、課税ベースというものを拡大します。恒久的な財源を確保しないで上振れだけでやりますなんてことはしません。その上で今課税ベースの拡大というものに関して具体的な議論を詰めている最中なのですけれども、いずれにしても今の段階でいろいろ議論をされている結論を先取りするような答えをここで言うことはありません。

問)

ロシアのルーブルが急落して、金融市場に若干動揺が起きているのですけれども、原油価格を発端としたロシアの通貨急落が世界経済及び日本の経済に及ぼす影響についてはどのように御覧になっておられるでしょうか。

答)

他国の通貨の話をするのはいかがなものかねという話なのだと思いますけれどもね。猛烈な勢いでインフレが進行して、ロシア政府としていろいろな対策を講じられるのだと思います。1ドル80ルーブルぐらいに下がったかな、それで介入して60ルーブルぐらいまで今戻しているとはいえ、かつて40ぐらいでしたから、その意味ではいろいろやっておられるのですが、1998年の時に比べれば外貨の準備高が大きいでしょう。4,000億ドルぐらいいっているはずだから、かつてとは大分違っていると思いますので、その意味では1998年の時のような騒ぎにならないようにロシア政府としてもいろいろ対応しているのだと想像しますぐらいしか言えません。

問)

介護報酬の改定についてお尋ねします。昨日民主党が集会を開いて、そこに出席した厚生労働省と法人の経営者の話によると、財務省が主張しているマイナス改定、収益が上がっているのでそれを適正化するというマイナス6%、職員の賃金上昇を差し引いても4%台にするという主張の前提となっている内部留保がたくさんたまっているという考え方について、内部留保は施設整備や人件費にしか使えない積立金なので、その高さをもとにマイナス改定をするのはおかしいという主張をしています。来年の通常国会でもそうしたことの論戦が予想されますが、大臣としてはこのマイナス改定の必要性をどのように説明される御予定でしょうか。

答)

中小企業の収支差率、大企業の収支差率、いろいろ違うのですけれども、介護事業者の収支差率は今、何%ですか。

問)

3%、2%かそのぐらい。

答)

いや、8%とか、とにかく圧倒的に高いのですよ、収支差率が。それはちょっと高いのではないですかと言って、たまった内部留保の桁も大きなものになっていますから、そういった意味ではそれはちょっといかがなものかという形になっているのが現状なのだと思うんですね。従ってこれは、そういった具体的な内容について今政府部内で、厚生労働省等でいろいろ検討しているのだと思いますけれども、その辺についてまだコメントする段階にはないと思っています。いずれにしても経済財政諮問会議で提出された資料があったと思うのですけれども、処遇改善を確実に実施してくださいと。介護職員の給料が安過ぎるのではありませんかとか、職員の処遇についていかがなものかという意見を出したし、いろいろしていたのですけれども、社会福祉法人としては内部留保を配当できるわけではありませんから、そういった内部留保そのものを考えて、介護報酬の適正化を行っていかなくてはいけないのではないかなと思っているのですけれども、いずれにしても予算編成過程で、これは厚生労働省とよく相談をしなければいけないところだとは思いますけれどもね。これは新しい施設、昔からある施設によって差がありますし、いろいろ場所によって差がありますので一概には言えないところであるところは確かですよ。

(以上)

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