麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣臨時閣議後記者会見の概要

(平成27年1月9日(金)17時50分~18時06分)

【冒頭発言】

平成26年度補正予算について先程の臨時閣議で概算を決定しておりますので、その概要を申し上げます。この補正予算は昨年末に閣議決定した地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策などを実行するためのものです。具体的には歳出面において経済対策関連として現下の経済情勢を踏まえた生活者・事業者への支援に約1.2兆円、地方が直面する構造的課題への実効ある取り組みを通じた地方の活性化に約0.6兆円、災害復旧・復興加速化など災害危機などへの対応に約1兆7,000億など、合計約3兆5,000億円を計上するとともに、地方交付税交付金やその他の経費として約1兆4,000億を計上する等、既定経費の減額として国債費を中心に約1.8兆円の減額を行っており、補正予算全体の規模は約3兆1,000億円としております。次に歳入面、給与・配当所得の増加などを背景とした今年度税収の増加約1兆7,000億円や税外収入の増加約0.1兆円、25年度決算の剰余金受け入れを計上するなどして、必要な事業に要する財源を超える部分につきましては、財政健全化の観点から公債金の減額を約7,500億円行うことといたしております。財政投融資計画、これは本経済対策を踏まえて約1,100億円を追加、足元の景気の状況に対応するための中小企業・小規模事業者への支援等を実施します。今後次期通常国会への補正予算提出に向けて作業を進めて、早期に成立をさせていただけるよう政府一丸となって取り組むとともに、引き続き平成27年度本予算の編成につきまして全力で取り組んでまいりたいと考えております。

【質疑応答】

問)

今回の補正予算と経済対策は昨年4月の消費増税、それと最近の円安の負の影響による景気の低迷、特に消費の低迷を下支えするものと理解しておりますが、今回の補正の3.1兆円という総額並びに生活者・事業者への支援1.2兆円の支出の規模というものは、この目的を達成するのに十分とお考えでしょうか。

答)

多分皆さん方のほうで昨年度補正は5.5兆円だったという話とよく比べて、よく書いてありましたけれども、去年は間違いなく消費税が3%上がった後の反動減対策というのを含んで5.5兆円というのをさせていただいたと記憶しますので、今回はそういったことではありませんので、3.1兆円というものの内容を見ればそれなりの対応が出来ているのではないかと思っています。

問)

今回の補正予算の編成では税収の増加というのが非常に寄与したと思うのですが、来年度についてはどのように見通されておりますでしょうか。期待出来る点などがありましたら。

答)

27年度の税収というのは、26年度補正税収をもとに、見積もりというのを行うことになっているのですけれども、1月14日の27年度の予算編成の概算決定に向けて今最終の作業中というところになっていますので、今のこの段階でこれくらいですというようなことを言う段階にはないということだと思いますね。

問)

補正予算についてお尋ねします。今回の補正予算は消費や地方の活性化をスピード感を持って対応するためのものと伺っておりまして、その分、効果に時間がかかる公共投資は少なくなっている内容でした。そもそも補正予算はこうした年度をまたぐようなものは少なくなっているべきものと私は考えますけれども、今回の全体3.1兆円の中に占める公共投資0.4兆円ぐらいの、このぐらいの比率を今後補正予算を組む場合もスタンダードになると思えるでしょうか。

答)

それはスタンダードになるというように今の段階で思っているわけではありません。少なくとも今回の場合は、特にいわゆる資材等々が上がったとか、人件費が上がったとか、人手が足りないとか、いろいろなことがありますので、大分解消しましたけれども、そういったものを含めて全体像としてこのままいってもなかなか人が集まらないとか、工事がうまく出来ないとか等々があって、繰り越すということは27年度の予算の中においてそれはマイナス要素になります。プライマリーバランス等々のことを考えた場合においては26年度の分が27年度に繰り越してくるというのをなるべく避けた方がいいとか、いろいろな要素がありましたので、こういったものになっていると思います。補正予算というのはその時、その時代、その時の状況等々によって内容が違いますので、今回のものが常に来年の1つのモデルケースになるかというようなことはないと思います。

問)

せっかく補正予算が概算決定されたので改めてお伺いしますが、今回の補正予算はもちろん経済成長を加速することと同時に財政再建に配慮したものだと思いますが、できあがりについて大臣の御感想、そして評価などをお伺いできればと思いますが。

答)

補正予算のできあがりというのは、うまくいった場合によかったなという話になるのですけれども、やっぱり生活者の支援のために4,200億円、経済の弱いところ、脆弱なところに的を絞って、かつスピード感を持ってやりますというために事業をしっかり計上するというのを大前提にしましたので、そういったものについては結構それなりに的が絞れているかなと思っているのと、もう1つは、必要な事業に要する財源を超える部分というものについては、公債金の減額に充てるということにしましたので、そういった意味では経済再生と財政再建と両立させるという観点からいくとそれなりのものが出来上がっているというように考えてはいますけれども、なかなかこういったようなものというのは結果論ですから、そういったようなものがうまく絡まってうまく回っていく、極めて時間は限られていますけれども、回っていくということと、よく言うように景気というのはかなり気の部分が大きな要素を占めますので、そういった意味ではこの補正がこういった形で出るというのは、結構予算を使い切ってしまっているところ、いろいろなところにとっては本予算が出るまでの間こういったものでつないでいけるという意味で、経済を切れ目なくという点においては額としてもスピード感もあって、事業の内容も悪くないと思いますね。

問)

今回の補正予算で来年度のPB、基礎的財政収支に与える影響なのですけれども、1.2兆円ぐらいではないかというふうに言われています、悪化の要因として。来年度PB半減目標については達成出来るのではないかという観測もありますけれども、悪化要因の数字がPB半減目標達成に向けて与える影響についてはどのように大臣は評価されますでしょうか。

答)

3月までで使い切れない部分が繰り越しになる部分というのがありますので、それがマイナス要因になるというのは間違いありません。それはそういう計算方法でそういうルールになっていますからなるのですが、ただ来年度のプライマリーバランスの半減目標というものは、安倍内閣スタートした時から一種の約束みたいなものでやってきておりますので、去年7月に内閣府が出した中長期試算の中で、あの時は確か7,000億円だったかな、約0.7兆円過剰達成しているという部分があったでしょう。それがありましたし、26年度の国の補正後の税収が1.7兆円程度増収するということが見られておりますので、27年度においても順調な国の税収とか地方税収等々が追い風となってくれるということを、かなり期待もあります。確実に何が起きるか分からないのがこの世界ですから、経済というのは本当によく分からない、そういうところは分からないところがあるのだとは思っていますけれども、それは今回の補正予算の手当てをすることにしていますので、そういった意味で消費税の引き上げによる増収が今年10月から見込めたものが見込めなくなった分というのが、それがマイナスということになるのですけれども、引き続いてこの27年度の予算においてもいわゆる社会保障の自然増というようなものを含めて見直す、また歳出の重点化・効率化というふうなことを当然のこととして取り組むことによって赤字の半減目標というものを従来通り、これはきちんと仕上げていけるというものに予算としてはしていきたいと思っていますし、やらなければいけないと思っています。少なくとも当年度、年度の初めから達成できませんというような予算を組むつもりはありません。

問)

あさってからいよいよ閣僚折衝が始まると思いますが、閣僚折衝の1つの焦点は介護報酬だと思いますけれども、介護報酬の引き下げを財務省は求めておりますが、これに先立って大臣のお考えをお伺い出来ればと思いますが。

答)

介護報酬というのは今いろいろまだ調整中なのでとても今コメントできる段階にはないのですけれども、少なくとも介護の部分については、介護をやっている事業所の大きさ、また年度、年数、10年たっていますというのと最近建った、それから小さな事業所、大きな事業所等々、内容によってかなり差がありますので、こういったようなものを一律にというのはなかなか難しいのですけれども、そういったものをきちんとやっていただき、事業種ごとにきちんとやるとか、そういったようなことは厚生労働省としてやってもらわなければいけないところでしょう。今後ともこの介護報酬の中で事業所によってはえらく利益が出ているところもあれば、利益が全然出ていないところもある、それが能力によるものなのか、もしくはその事業所のもともとの経緯によるものなのか、いろいろ全部違いますので、そういったものをよく見極めるということが大事なのだろうと思っています。下げてもらわないと今後とも介護報酬というものが永続していく、今後増えていく確率が高いので、そういった意味では介護報酬を減らすという、絶対額として減らしてもらわないといけないと思っていますけれども、どれくらいのパーセントか等々についてはまだ検討中、調整中としか今の段階では答えられません。

(以上)

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