麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年1月13日(火)11時19分~11時34分)

【質疑応答】

問)

予算編成のことですが、昨日の官邸でのぶら下がりで大臣は2015年度にプライマリーバランスの対GDP比の赤字を半減させるという目標については達成できる見通しであるというお話をされました。大臣は常々消費増税の延期で達成はなかなか厳しいというお話もされていたと思うのですけれども、その達成に至った背景などについてお伺いできればと思います。

答)

達成に至ったとはまだ言っていないのですから、間違えないでくださいね。まだこれはGDPの数値がきっちり出ていませんから今の段階で達成ということは言えない。GDPの数字が出てからにしてください。まずどうしてそういったメドが立ったのかと言えば、29年度の4月に消費税率引き上げということで1年半繰り延べになったのですが、税収、それから税外収入、日銀からの分等々がありましたので、一定の増加が見込まれるということと、もう1つは歳出面においては消費税増収分を活用して行う社会保障の充実を見直すということで、社会保障の自然増というものを含めてこれはかなりの効率化を行っているところですので、これによって国債発行額を前年度から約4兆4,000億減らせるということになりました。国の一般会計のPB改善幅は去年が5兆円で、今年は4兆円を目標にしていたのですが、去年が5兆円、今年が4兆6,000億円ぐらいということになりますので、そういった意味では目標が見えてきたということだと思っています。それから経済再生と財政の健全化の両立ということを考えて、平成26年度の補正予算というものの編成に当たって、補正予算による27年度のPBのバランスの悪化、平成26年度の補正予算を組んで、その分が繰越になった場合は、その分が平成27年度に上がってきますので、それは27年度のPBに悪い影響が出てくるということも考えて補正予算によるものを最小限に抑えるということをやらせてもらったのだと思います。いずれにしてもこういったようなことを行って、この予算を前提とすると、加えてGDPが言われているような数字になるというのであれば、いわゆるプライマリーバランスの対GDP比赤字半減が見込まれるというところまで来つつあるのかなと思っているということです。

問)

先週、自民党が政府系金融機関のあり方について提言をまとめました。政策投資銀行については今後10年程度、2分の1政府が株式を保有する、その後民間金融機関が危機対応融資を整えない限りは3分の1超を保有するという形で提言されています。商工中金についても一定の政府関与を残すという提言内容になっております。両政府系金融機関を所管する大臣として、この自民党の提言にどう対応されるのか。そして完全民営化について、これが事実上の先送りであるとか棚上げであるとかという批判があるわけですが、大臣としてはこういう批判、指摘に対してどのようにお考えになりますか。

答)

1月9日に今あったような提言が自由民主党から出されたということだと思いますが、これは完全民営化の方針は維持しながらということですけれども、思い返してもらえばリーマンショックの時に民間の金融機関が企業に対してどれだけバックアップしましたか。中小零細と頼んだけれども、アメリカに出ていっていた多くの中企業は苦しんでいましたから、その分に関して政投銀が支援したという例というのを思い出してください。そういったものをきちんとやれたのは政投銀というものがあったからだというのがありますし、3・11の時も似たようなものだったと思いますので、そういった意味ではこういった機関が危機対応というような時といわゆる成長資金の供給とか、今後海外での成長資金等々を考える、いろいろ今積極的な政策を考えられていますけれども、そういった面を考えたらこの政策銀行の活用というのはバランスのとれた提言かなという感じがしますね。財務省としてはこういった話が出てくると、この提言に沿って政策金融改革というもの、民間企業の現状等々をいろいろ考えて、これは法律で言えば政投銀法の改正案というのを策定する必要があろうと思いますし、これを早急にやらなければいけないということだと思います。こういったような大きな銀行がそういった非常時に当たってそういう自分の銀行だけではなくて産業全体とか日本の経済全体を考えて率先して融資する、資金繰りを助けるというようなことをするということがこれまで限界がありましたから、そういった意味ではこういったものを考えるというのは、自然災害の多い国でもありますので、こういった考え方というのはあろうと思います。当分の間というので、大銀行がそういったものを積極的にやられるようになれば政投銀が引いていけばいいだけの話なのであって、最初につばをつけて頑張ってやるというのを示さなければいけないという時には政投銀というのは大きな役割を果たすということは、これまでの実績ではっきりしています。それに伴っておりますので、民営化はそういったようなのがずっと落ち着いてきてからやればよろしいのではないですかね。

問)

大臣折衝で認められた予算についてお尋ねします。外務省の予算で戦略的な対外発信が満額認められていますが、これは財政制度等審議会の予算の編成等に関する建議では新たな箱ものを創設する費用対効果の観点から疑問が多いと。そもそもの必要性を根本から検証すべきであるという提言が出されています。大臣は検証された上でこの費用を認められたのだと理解しますけれども、財政再建と経済成長とは一見すると関係のない予算をお認めになったその理由をお聞かせください。

答)

今の話は主にジャパンハウスと言われるものだと思うのですが、これは日本がはっきり発信をしなくてはならない部分というのは幾つもあると思いますけれども、それは政府が主にやっていく仕事といっても、これは政府の話よりは民間ベースで出てくるというような形の方が私は望ましいといつも思うのですけれども、今の話でいくとあちらこちらでこういった何々ハウスというのをやっている国は無いわけではありません。しかしその実態を見ると、幾つかしか知りませんけれども、極めてがらんとした、役人がやったら大体こんなものだなというのしかないのですが、そういったものを考える時にぜひ、我々としては誰がやるのかというところが一番問題なので、この中で言えばそれを運営する地元の誰がするのかというのがはっきりしているということでないとできませんというので、これは運営委員会がやりますと。今3つになったのですが、ロサンゼルスだったらあの人が出てくるのだろうなと、サンパウロだったらこの人が出てくるのだろうなという人がちゃんと入って、きちんとそういった人達が日本の発信をしますというようなプログラムを考えないと、お役所で考えると大体つまらないものになるので、1回見たらもうたくさんという話になるのだと思いますから、やり方としては各県でもいろいろ観光に合わせて、各県が海外でという話をされますけれども、物理的になかなかできないので、こういった場所は貸しますと。いろいろな形で運営の仕方は十分に工夫してもらわないといけないので、それは十分効果があるかどうかをよく見た上で、そのプロジェクトをよく見させた上で予算を配分させていただきますということで言っておりますので、場所がある時に、今景気が悪くなっていますので場所が空いていますので、空いている場所ならいい場所に借りた方がいいからということで、後できちんと効果も検証させていただきますという条件をつけてこれをオーケーしたということです。

問)

消費増税と予算編成の関連でお尋ねします。来年度の予算編成はPB赤字を圧縮できる見込みになりました。消費増税を見送ってもこれだけ圧縮できるということで、消費増税を見送っても財政再建が可能ではないかという声が生まれないかという懸念や、あるいは内閣府が昨日発表した今年度の実質成長率がマイナスに落ち込んだということで、やはり消費増税すると景気に与える影響が大きいのではないかというような消費税に慎重な声が生まれるのではないかという懸念に対してどのようにお考えでしょうか。

答)

一番税収が伸びた最大の理由は何だと思いますか。

問)

法人税などの影響でしょうか。

答)

一番伸びたのは、12兆円伸びたでしょう。安倍内閣になってから約42兆円が、来年度の予算で約54兆円ということは12兆円伸びたわけでしょう、簡単にざくっとした計算で言えば。そのうち一番伸びたのは、消費税では6兆円ですから、一番伸びたのは消費税ですよ。その他に所得税や法人税があって、トータルで12兆円。税収がこれだけ伸びたからといって、来年度も伸びるか、それは今まで赤字で払っていないところが払うようになったから一挙に増えたのであって、毎年6兆円増えていくなんて期待しているような話には世の中ならないから、今の話は物理的になかなかそんな簡単にはいかないというのが第1点ですな。それから消費税に関して、今実質成長率がマイナスになったとはいえ少なくとも1-3月期等で上がっている部分がありますから、そういったものも全部考慮して計算しないとなかなか今みたいなことは言えないので、2四半期続いたからといってそれが今後とも続くという数字ではないということははっきりしていますね。

(以上)

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