麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年1月27日(火)10時33分~10時44分)

【質疑応答】

問)

昨日国会が召集されまして、大臣は財政演説で景気の好循環に向けた経済対策を盛り込んだ補正予算の早期成立を訴えられました。好循環のためには官の取り組みだけではなく民間の取り組みも不可欠ということで、特に春闘の動向が注目されるわけですが、昨日榊原経団連会長が労使フォーラムでボーナスや手当を含めた賃金の引き上げについて前向きな検討をお願いしたいと経営者に呼びかけました。大臣はこういった経営側の姿勢についてどのようにお考えでしょうか。

答)

これだけ史上空前の経常利益というものが出ていますから、出た利益が内部留保にじっと留まっているのではなくて、給与、賃金、配当、また設備投資等に向かっていくのが結果として民間による景気の好循環というものの一番基本になると思いますので、給与が上がるとそれは消費が増えるということに期待が持てますので、そういった意味では経済の好循環というものを考えた時には望ましい方向なのだと思っています。問題はこれが1年限りではなくて、継続していくためには企業の生産性が上がらないと企業は継続してこういうことができませんので、そういった意味では引き続きこういう景気循環が好循環に回ることによって賃上げ、いわゆるベースアップ等が継続性を持っていけるような状況になっていくのが最も望ましいと思っています。

問)

国際金融情勢のことなのですけれども、一昨日ギリシャで総選挙が行われまして、急進左派連合という野党が勝利をおさめたようです。急進左派連合の主張はユーロ圏諸国が求めてきた緊縮財政の転換を求めております。マーケットにはギリシャがユーロから離脱するのではないかとか、そういったこともありまして市場の混乱要因にもなっているようですけれども、大臣としてユーロ圏が進めてきた債務削減に対する取り組み、そして国際金融情勢に対する影響についてどういうふうにお考えでしょうか。

答)

過半数には届かなかったけれども、第1党になった。ギリシャでは第1党には50議席が与えられますが、過半数に数議席足りなかった分を右派と連立を組んだという形になっているのだと承知していますけれども、右派と左派とが一緒になって一体何をやるのかというのは、正直、政治としては興味がありますけれども、両方ともユーログループの緊縮路線からの離脱といったことを言ってみたり、選挙中にニュースでやっていましたので聞いていましたけれども、これが現実、政権を取られてどうされるのかというのはよく分かりませんし、離脱が何を意味するか、これは結構大きな影響が出てくる可能性がありますので、そういった意味では今からしばらくの間、いよいよ交渉がユーログループとの間で行われるのだと思いますけれども、これは欧州の経済というものが安定的に回復していくためにどういった方向になっていくかというところが一番気になるところなので、注目して見守っていかなければいけないところだろうなと思っています。

問)

先週に続いてテロ対策についてお尋ねします。大臣の御助言もいただきましたので慎重に言葉を選んでお尋ねしたいと思います。来月9日にイスタンブールで開かれるG20財務大臣会合が迫っています。29日からワーキンググループ会合が始まりますので、この会議についての事務方との打ち合わせや御指示について最新情報を教えていただきたいのですが、特に今度の会議はフランスでのパリの襲撃事件や日本人の人質事件などテロ事件が起きた後、日本政府が参加する大きな国際会議としては初めてです。このうちフランスは先週来日されたサパン財務大臣がペーパーカンパニーを使った資金の移動などを素早く捕捉できるようなツールが必要だと訴えておられました。G20の場でもこうしたテロ資金の対策についての議論なり声明に盛り込まれるなどの可能性があった場合、日本政府としては積極的に意見表明などをする姿勢なのか、それとも現在の人質事件が進行中であることを考えて、テロ組織を刺激しないように表立った振る舞いは控える方向なのか、この辺りを教えてください。

答)

一昨年5月にG7の財務大臣・中央銀行総裁会議がロンドンの郊外で開かれた時に正式にこれは日本から提案して、いわゆるBEPSと言われる、Base Erosion and Profit Shiftingを略してBEPSと言うのですけれども、それの資本移動のことに関して、これはおかしいと。いろいろな国が税金で捕捉しているところが巨大な企業がどの国の税金も払わずに巨万の利益を得、それを特定の国にというような状況を見過ごしているのは中央銀行の責任ではなくて財務大臣の責任だろうという話をしたのが最初だったと思いますので、あれが事の始まりで、OECDでこれを検討しますといってOECDの租税委員会でこの問題の研究を開始したのだと思っています。G20の議題というのはまだたくさんありますので、これが今どういう形で挙がってくるか、今の段階でまだ決まっているわけではありませんが、いずれにしてもこういったテロ資金に限らず、税金を回避するようなものに対してきちんとした対応をしないと払っている人が馬鹿を見るような形になるのは断固避けなければいけないというように思っています。まだ今回のG20の議題が決まったとは聞いていないので、今からいろいろこの話が出てくるとは思いますけれども、日本としては当然のこととしてこういったようなものは今回のことに限らず全体として、そういった租税回避というような事態をきちんと芽を摘んでおくというのが基本的な日本の姿勢です。

問)

イスラム国の問題に関して1つお尋ねしたいのですが、2億ドルの非軍事部門の支援、これはODA予算から出ていると思うのですけれども、その支援について安倍総理大臣がカイロの演説でISILと戦う周辺各国への2億ドルの支援をお約束しますというふうに表現されたわけですけれども、それをイスラム国側は敵国視するという感じでそういう声明も出ているわけですが、総理の表現の仕方として、非軍事の支援であるにもかかわらずそういう表現をしたことは適切だったのかどうかということについての大臣の御所見を伺いたいのですが。

答)

基本的にやっていることは極めて非軍事的なことははっきりしていますし、今までと特に態度が変わったわけでもないし、これまでと同様なことをしておられるわけなので、その表現、言葉尻1つ1つをつかまえてどうのこうのと言うつもりはありません。

(以上)

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