麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年3月17日(火)8時42分~8時49分)

【質疑応答】

問)

先日、中国の全人代が開かれまして、2015年の成長率の目標を前年より0.5ポイント低い7%前後とする方針を決めました。今後は7%前後の成長を目指すとしていますが、李克強首相自身が簡単ではないと述べています。中国経済には減速懸念がありますが、今後の中国経済の見通しと日本経済への影響について大臣の御所見をお願いします。

答)

全人代の発表については、李克強指数という言葉があるぐらい、李克強首相のあれは結構現実に近いなと常々そう思っていますけれども、緩やかな拡大傾向というのは続けていけると思っておられるのではないでしょうかね。不動産価格がかなりきついことになってきているのかな、金融市場に与える影響、シャドーバンキング等いろいろ無いわけではないのでしょうけれども、下振れリスクがあるであろうことは常に気にかけておかねばならないところかなとは思っています。注意して見ておかねばいけないというところでしょうね。

問)

春闘の賃上げ交渉で明日が集中回答日で、その前に大臣のお考えを聞く機会はこの場だけですのでお尋ねします。現在のところ、ベースアップは組合の6,000円の要求に対してトヨタが4,000円、大手電機6社が3,000円という状況が伝えられています。これはいずれも去年のベースアップを上回るベースですが、一方で消費者物価の上昇にはベースアップだけでは届かないという点や中小企業は赤字が多く、それを下回るということで、企業間格差も懸念されています。ベースアップが2年連続続くことになりそうなのは安倍政権の政労使会議のたまものだと総理は言っておられますし、大臣は持続的な賃上げができる環境を作ることが大事だと主張されてきました。今回もこの途中経過を踏まえて、今後またさらに賃上げをするためには、例えば今年の年末に3度目の政労使交渉をするなどのお覚悟があるのでしょうか。

答)

賃金を上げるということは企業にとっては生産性が上がるということがない限り賃金を上げ続けることは不可能です。従って経済が良くなっていくということは、企業にとって生産性の向上が持続することと同じことですから、その意味では今言われたように賃金が去年今年と2年連続で上がっていくことは企業の生産性が上がり始めていることを意味しているし、事実、企業の中においてはいわゆる内部留保を含めて経常利益が常にこのところずっと上がってきた、史上空前と言われるほど上がったことはそれを意味しているのだと思います。それが来年も再来年もということは、これは生き物ですから何が起きるか分からないということですから何とも言えませんけれども、少なくとも企業としては出た利益を設備投資にも回さない、賃金にも配当にも回さず内部留保に蓄えるだけという状態ではなくなって、その利益の一部を上げる、労働分配率を上げるという傾向になってきていることになっているのは日本の企業にとって、経済にとって良いことですし、それは消費が上がることと同じことになっていきます。いわゆる実質可処分所得等がしっかりとしたものになっていけばいいことだと。今その途中経過なのだと思いますけれどもね。20年続いているデフレから脱却していくのに1年や2年でなかなか意識は変わらないと思いますよ。ですから、もうしばらく時間がかかるとは思っていますけれども。

問)

金曜日の会見でも御説明いただきましたが、中国のインフラ投資銀行なのですけれども、英国に続き豪州で前向きな姿勢を示しておりますが、大臣も御指摘されたようにAIIBにはいろいろな問題もあります。日本としては今後どのように対応していくお考えでしょうか。

答)

これは前にAIIBの内容についてはいろいろ問題があり、どうやって運営するのか、常任理事会があるのか、誰がどこで何をというようなことを明確に我々つかんでいませんし、他国もみんな同じような状況だと思いますので、MOUにはサインするということにして、中に入ってそういったものをきちんとやるべきだという意見がヨーロッパには多いと思います。そういった意味では、MOUにサインして、中に入ってやる、それでその条件を満たさなければ、MOUですから合わなければできないということですから。今から中国といろいろ交渉されていかれるということなので、何を条件にするかというところは日独なり、日米なり、G7なり、いろいろな国の意見をある程度調整してやっていくことが必要なのだと思いますけれども、一般論としてはガバナンスというもののあり方とか審査のあり方とか、そういったものについては我々としてはいろいろ問題があるように思っていますので、その点は指摘しているところです。

(以上)

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