麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年6月12日(金)9時20分~9時45分)

【質疑応答】

問)

10日の経済財政諮問会議についての御質問です。会議で示された骨太の方針の骨子では具体的な歳出削減額などの数値は盛り込まれませんでした。会議後の甘利大臣のブリーフィングでは骨子の書きぶりは財務省も了承したという説明がありましたが、今後示される素案についても財務省として数値目標を盛り込まないということを了承したと、そういう理解でよろしいのでしょうか。

答)

10日の諮問会議では、私の方からこれまで2018年度の国・地方の歳出の水準に具体的目安を設ける必要があると申し上げてきました。その上で、歳出の基準にキャップを設ける、キャップというのはかつて小泉政権の時でしたか、毎年2,200億円とかやっていた時代があったと思いますけれども、結果的にはうまくいきませんでした。ああいったキャップを設けるということではなくて、財政健全化計画というものを国民にもマーケットにも、そして国際社会にも具体的な説明ができるようにしておかなくてはいけないわけなので、そういう理由がありますから実効性のある予算編成を行っていくためには歳出改革が2020年度と言っているけれども、今どれくらいになっているのですかという進捗状況を評価するためだということ、民間議員の方から2018年度の一般歳出の水準についての考え方というのは示されておりましたが、目安としてはより具体的な示し方が必要ではないかということを申し上げたと思いますけれどもね。議事録が残っているからそれを見ればいいだけのことだと思いますね。諮問会議で示された骨太方針の骨子の案でも2018年度のPB赤字の対GDP比以外の目安も使って歳出改革の進捗状況を評価することとされていると思いますので、計画に歳出水準についてのできる限り具体的な目安が盛り込まれる必要があると考えていますので、引き続き、政府部内で調整を行っていくということではないでしょうかね。

問)

2018年度の歳出の基準について大臣が具体的な目安が必要であると説明されたのに続いて、大臣は景気を冷やしてはならないと。それでは2017年の消費税率10%への引き上げもできなくなり、全体がおかしくなってしまうと発言したと甘利大臣の会見では紹介されています。これは今国会で成立した消費税法の改正で景気条項がなくなって、2017年4月の消費税引き上げは確実に実施されるものということになったわけですが、景気が腰折れしたような場合に2017年の消費税10%引き上げはなくなる可能性もあると大臣はお考えなのか。

答)

最大の問題はデフレに逆戻りさせないようにするのが一番なのではないのですかね。だってそれが全てなのではないの。例えば、歳出を絞りに絞って急激に歳出を落とすことによって結果として景気が腰折れして、GDPがマイナスになります、何がマイナスになります、株価も落ちます、という仮に極端な例になったとした場合は、当然のこととしてそれで予定どおり2%上げたといった時の揺れ戻しはこの前3%上げた後の揺れ戻しどころの騒ぎではなくなるということになる、誰が考えても当たり前ですから、そういうことにはならないように2017年に自然に消費税が2%すんなり上げられるように、国民から見てもこれだけ景気が良くなっているのだから2%ぐらい上がってもしようがないなというような雰囲気にしておくように考えるのが当たり前なのだと思いますけれどもね。

問)

今のお答えを踏まえてお尋ねしたいのですが、ということは大臣が具体的な目安が必要だと言われた2018年度の歳出水準は金額では示されるのでしょうか。大臣のイメージとしてはいかがでしょうか。

答)

いろいろなやり方があると思いますけれどもね。前の時には2,200億円というのを毎年やって、5年間で1.1兆円とかという話でしたけれども、結果的にあれはできなかったでしょう。それが答えですから。歳出のキャップを決めてやるというやり方ではうまくいかなかったという経験則に学べば、それ以外の方法を考えなければいけないということだと思いますけれどもね。

問)

諮問会議について、この10日のやりとりでは、骨太の方針2015の骨子の中にこう書いてあります。予算編成の考え方として経済財政諮問会議の中に専門調査会を設置して、これが概算要求基準で分野ごとの枠を設定せず、政策効果の高い歳出に転換するかどうかを評価する、点検すると。専門調査会が予算要求項目を点検、調査して、財務省はそこと連携をとって予算編成をするという提案も民間議員からされています。大臣はこれに対して概算要求基準の仕組みは昔に比べて大きく変わっている、さらに工夫できることがあれば見直していきたいと発言されています。内閣府はこの提案を財務大臣も了解したと理解しているようですが、これは大臣の発言の趣旨と違っているのでしょうか、同じでしょうか。

答)

10日の諮問会議において概算要求基準については、いわゆる概算要求に、シーリングがあると民間議員の方はまだ思っておられるわけでしょう。あの書き方から言えばそうですよ。しかし、現実問題として、この2年間の概算要求の基準の仕方を見れば、別にシーリングがかちっと決まって、総額幾らでかちっと決めているわけではないでしょう。マイナスにしておいて、こっちで足したり、いろいろなことをしたりしていますから。従来のシーリングとは全く違ったやり方になっているのを理解していないのかね、あれは。しかし、いずれにしても私の方からは概算要求の基準については、この政権になってからは旧来方式のようなものでやっていませんから、それを抜本的に改めていますので、8月の概算要求の要求時点ではなくて11月から12月にかけての予算の編成過程で予算総額を決める方式に転換しているのが現実で、例えば社会保障の自然増は概算要求だったら今年度は確か0.8兆円だったと記憶しますけれども、それは概算要求ですから、従来だったらそれがシーリングの頭でしょう。ところが現実問題として幾らになったかと言えば0.4兆円だったでしょう。そうなっている、義務的経費というお金もありましたけれども、要求額の確保は全然前提としていないわけですから、これを見たら明らかなので、予算編成の過程で精査を促しているという説明を私の方からしたのだと思いますね。その上で現行の概算要求の基準の仕組みを維持しながら予算の質的な見直しをやっていかなければいけないという観点から工夫はできるだけ検討していきますということを申し上げさせていただいたと。現行の概算要求基準ですよ。いずれにしても来年度の概算要求基準については財政健全化計画が6月に出ますので、それを踏まえて私の方で責任を持って策定をしていかなければいけないだろうと思っています。

問)

国税庁が昨日、自民党の部会にワインの産地表示の新しい制度を作るという提案と、現在酒税の保全及び酒類業の組合に関する法律に基づく告示という制度を改正することと、それを生かして日本酒を新たな地理的表示にする提案などが報告されています。1つは、ワインは酒税法では果実酒としか規定されていなくて、今回新しい産地表示をするのはEUとの貿易交渉に伴ってEU側から要請されているものに応えたという点も一因あると思います。現在、税法でこうしたお酒の品質や産業保護までカバーし切れていないという面が今回明らかになったのではないでしょうか。大臣は昨年の国会答弁では、これは日本酒についてですけれども、ワインと違って日本酒は米の産地と醸造地が一致しないことが多いので地理的表示については難しいという見解を示されています。特にワインについて、ワイン法といった品質や産業保護も含めた新たな法律を財務省以外の省庁、例えば農水省が制定する余地というのは考えられるでしょうか。

答)

これは去年というより大分前から自民党の勉強会でやっていたのですよね。随分前からの話で、何も急な話ではないと思いますけれども、国産のぶどうの中から醸造された日本ワインの保護と振興が始まって、今現在、日本のぶどうだけで日本のワインができているものよりは外国のカベルネ・ソーヴィニヨンとかああいったようなものも持ってきてやっているのが7割か8割ぐらいいっていないですか。でなかったら、あんなにたくさんできるわけがないですよね。日本であんなにぶどう畑はないから。だからそういった意味では、消費者にとってわかりやすい表示をするという観点から、ワインの表示ルールを整備していくという必要はあるのかもしれません。それはそう思いますね。それから地理的表示、日本酒ということになっていますけれども、例えばボルドーと言ったら間違いなくハムを思い出す人はいないと思います。パルマと言ったらハムを思い出すのでしょう、みんな。違いますか。そういった意味でパルマ産と言えばハムで、ブルゴーニュと言えばとか、ボルドーと言えばというようなイメージのものがあります。日本酒については、あれは確かクールジャパンの話を始めた時だから大分前だと思いますが、あれを言った時に報道では国営漫画喫茶で終わってしまったと思いますね、あの頃は。クールジャパンの時に日本産の酒類の輸出をすることになるので、日本食がこれだけ国際的にどんどん広まってくれば、日本食に一番合うのが日本酒ということになってくるから、日本酒のソムリエが出てきたり、いろいろなことが間違いなくそういった流れになるということで、あれは日本産酒類のブランド力の向上も重要なのではないかという話をしたのですよ、確か。カリフォルニア産米での日本酒ではなくて、日本でできた米、山田錦なら山田錦という日本でできたお米を元にしてというのが重要だと考えているという話をしたので、いずれにしても日本産の酒類の振興について引き続き、どういったものがよりきちんとしたものになっていくかということで検討していくことになるのだと思いますけれどもね。そういう流れになっていると思いますね。

今、国税庁で主にそういうことをやっているの。自民党とか部会でやっているの。どっちでやっているの、これは。

問)

国税庁が自民党の部会に報告をしたということで、この制度そのものは国税審議会の酒類分科会にかけられると。

答)

大分その後進んだんですね。

問)

一昨日の衆院財務金融委員会で黒田日銀総裁の為替に対する発言で市場が、かなり急速に円高が進んだのですけれども、為替政策を所管される大臣として日銀総裁の御発言、委員会に実際おられたと思いますけれども、どのように受け止められたか、お聞かせ願えますでしょうか。

答)

株が下がったかな。だったでしょう、あの時。為替しか見ていなくて、一緒に株も見てもらわなくては困るね。あの黒田総裁の発言については、そこにいましたから承知はしていますけれども、為替の水準については私の方からコメントすることはありません。

問)

国会の話なのですけれども、安保法制をめぐって憲法審査会で憲法学者が違憲だというふうな表明をしたことで違憲か合憲かという議論が非常に盛んになっていますけれども、その一方でなかなか世論調査をしても国民の理解はなかなか進んでいないという状況もあります。こういった状況について副総理としても昨日の為公会でも発言はありましたけれども、こういった国会の状況をどのように御覧になっているか教えていただけますか。

答)

国会の日程がかなり遅れてくることになっているのではないのかね。そういうことになるので、国会の会期の延長が視野に上がってきているというところになりつつあるのだと思いますけれどもね。それ以上言いようがありませんね、今の段階では。

問)

大臣は昨日の派閥の会合では、こういう時はばらばらにならずに一致団結していくことが大事であり、そうしないと事は進まないとおっしゃっています。一方で、丁寧に地元でもわかりやすく説明することが必要で、これは役人の仕事ではなく政治家の仕事であるということも問われています。つまりこれは今後の会期延長の時期に対して十分な審議というのはどのぐらいの期間を示すのか、大臣のイメージをお聞かせいただきたいのです。延長は8月10日までか、あるいは24日ぐらいまでか、どちらが十分な審議というのには適当な期間だとお考えですか。

答)

そんな具体的な日にちは、これは国会対策委員長の佐藤勉さんにでも聞いてください。聞く相手を間違えているよ。それから基本的には抑止力というものを、日本の安全のためには抑止力というものが必要だと言ってきた自民党であり、保守政党はそう言ってきたわけですよ。安保改定以来、昭和35年からずっと、60年安保以来言ってきたのだと思いますね。それに対して抑止力が日本を戦争に巻き込んで危なくすると言ったのは革新だったわけでしょう。昭和35年、60年安保から、基本は同じですよ。その答えはどうだったかと言えば、50年間で抑止力というものは戦争に巻き込まないというのが、この50年間、結果はもう出ていますよ。その評価を正式にしないのがマスコミだろうとは思うけれども、あの頃は、みんな抑止力は危ないと書いた人達ばっかりだから、今さら反省もしにくいだろうけれども、50年間答えはもう出てしまったのですよ。ところが状況として、さらに東シナ海やら我々の周りは、いわゆる安全保障の面からいったら危なっかしいというものが、核を持っている国が出てきてみたり、何となくここは我らの領土だとかというのが出てきてみたり、領土拡大をやってみたりするというのが出てくるという状況が、東南アジアに限らずいろいろ出てきているという状況になれば、日本としては国民の安全を考えたより抑止力というものをきちんとしておかなければならないというのが自由民主党の、政府・与党の立場なのだと思いますね。それが、抑止力は要らないということなのか、どういうことなのかということなのだと思いますので、これは間違いなく、今の状況においてはより抑止力というのはきっちりしておいた方がいいというのが我々の考え方なのであって、それをきちんと説明をしないと、新聞ってわざと難しく書いてあるのか、理解ができていないから難しく書いてあるのか、本当に理解できたら易しく書けるはずなのですけれども、どういうわけか知らないけれども、みんな難しく書いてあるでしょう。だからそういった意味では易しくわかりやすくこういったものを書く努力を新聞で期待できないとなるのだったら、後援会に対して自分で丁寧に説明していく努力を国会議員たるものやらないと駄目なのではないですかという話をしたのだと思いますけれども、それによってどういうものが出てくるか知りませんけれども、基本的には何日間の国会延長とかというのは、それは立法府の話ですから、そこのところは国会対策委員会等で話を決められるところだと思いますけれどもね。

(以上)

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