麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年7月17日(金)9時49分~10時03分)

【質疑応答】

問)

2016年度予算の概算要求基準について伺います。骨太の方針でも社会保障の歳出目安を盛り込んだりということで財政健全化の考えも入れているわけですが、今後予算編成に向けてどのような姿勢で臨むのか、大臣のお考えを教えてください。

答)

骨太の方針2015の中で経済・財政再生計画が決定されており、これまで約2年半にわたる安倍内閣のやってきたやり方の結果、それなりに経済は上がってきているという状況にありますので、私共としては基本的には経済再生と財政健全化は、こういったものをベースにしてやっていけるのではないかという実績はそれなりに出ていると思っています。したがって今後の予算編成に当たっては当然のこととして経済・財政再生計画の5カ年計画の初年度に当たるということになりますので、概算要求期限は、通常8月末ですから、8月末までに出てくると思いますが、いずれにせよこれまでやってきたことを基本にして本格的な歳出改革に取り組んでいくということなのだと思います。

問)

安全保障関連法案が昨日衆院を通過しました。大臣は以前にもう議論はほぼ出尽くしていて、どこかで結論を出さなければいけない時期に来ているというふうにおっしゃっていましたけれども、今回の通過を受けた大臣の受け止めをお願いいたします。

答)

今の話からいったら、少なくともこういった極めて大きな政策の決定ですから、きちんと丁寧にという話を申し上げてきたのですが、116時間と30分といったかな、116時間を超えるような審議というのは、少なくともこの世界に30年ぐらいしかいませんけれども、116時間を超えるなんていう審議は私の記憶ではそんなにないのだけれどもね。そういったものをきちんとやっていますので、どこかで結論を出さなければいけないと。まだよく説明が足りていないとか、116時間と史上でも長い審議をやってまだ分からないとか、分かりたくないのか、分かろうとしていても分からないのか、いろいろ考え方はありますよ。全然分からないのかどうか。しかしどこかで決めなければいけないことははっきりしています。そういった意味では決められない政治というものを約3年半やっておられた方もいますけれども、我々は少なくとも国民から決めるということを期待されて政権を担っている以上、私共としてはきちんとしたどこかの段階で出さねばならないということであるが、このタイミングとしてはきちんと各党皆それぞれ意見を言われ、反対を言われ、そして最終的に欠席されたりなんかされた方、それは御自分の意思の話なので、そこのところは国会でお決めになる話ですから私共に直接関わり合うところではありません。ただこういった段階できちんと決めるというのは私共としては当然なのだと思っています。

問)

東京五輪のスタジアムになる新国立競技場の建設計画の見直しについて昨日総理が表明されました。大臣は先日の会見でも今のデザインによって五輪を招致できた部分もあるということもおっしゃっていましたけれども、見直しの是非についてのお考えをお願いいたします。

答)

新国立競技場をきちんと作り直すと決めたのは菅内閣ではなかったかな。そしてデザインを決めたのは野田内閣。決められた後、私共はいきなりこれですといって見せられたのが翌年、私共が政権に戻って最初に見せられたのがこれですから、その経緯やら何やらというのは前の内閣の話なので私らが詳しいわけではありません。しかし当時はまだオリンピックが決まっていなかったので、オリンピックが取れたらとかいろいろな、たらればの話が当時まだいっぱいやっている頃でしたので、オリンピックが決まるまで9カ月ほどあったと思いますけれども、とにかくそういった話の間に取れる前提でこういったものをされたらどうですかという話で、これは文部科学省と決められた方のJSCなりで話を詰めておられると私共はそう思っていたのですけれども、JSCと文部科学省との間にその種の話はあまりされた風もないし、主催は御存じのようにオリンピックは東京ですから、東京でオリンピックをやるわけで、東京が主たる使用等をされるのですが、あそこは国立の競技場ですから、国立の競技場は基本的にはオリンピックをやるとするとその前の年にプレオリンピックをやることになっていますから、その分を合わせると2019年までという話が出てくるということなのだと思っています。したがって私共としては、それをできるだけというように、決まったのだからそれでやらないといけないと思いますけれども、私共から見て幾つか疑念はありました。最初のあの設計図を見せられた時に道路にかかっていましたからね。私達のところへ予算を出してくるのだったら当然あげて持ってこないとおかしいのではないかと言ったら、全く聞かされていませんという話だから、それで私達のところへ予算を陳情されても、いきなりオリンピック委員会から予算陳情なんて私共の方にしてみれば、文部科学省を通してしか予算陳情なんていうのは、私共は対応できませんからできませんと。しっかり文部科学省とやっていただきたいと申し上げていたのが1つ。それで取れたら東京も応分の負担をしてくださいという話をされていたのだということでしたけれども、それから知事も3人ですかね、石原氏、猪瀬氏、舛添氏と3人代わっていますから、その間の引き継ぎはほとんどやっておられないのではないですかね。そうすると今の舛添さんもいきなり言われても、聞いたこともない話を言われてもそんなこと対応としては非常に困るだろうなと思いますけれども、知事も代わり、政権も代わり、いろいろしたので、その間の継続されるべき条項が飛んでしまっていること、そしてその間、資材高騰、人件費高騰等のことがあってかなりコストアップになっているということで、すごいお金になるものになっているのですが、私共としては財政をお預かりする立場の財務省としては、きちんとした財政というものを考えないといけない立場にありますので、なるべく安く立派なものができ上がる、国立競技場なのですから粗悪なものを作るわけにいかないから、きちんとしたものを作れるように私共もそこはきちんと考えなければいけないと思います。少なくともいろいろな話が出ているので内容は詳しく知りませんけれども、いろいろな形で見直すというのは決して間違った方向ではないと思いますね。

問)

数日前の話になるのですけれども、イランの核問題の関係で14日にウィーンで欧米など6カ国と査察の許可をイランが受け入れたと。今後、経済制裁が解除されていくと見込まれておりますけれども、日本への影響についてなのですが、石油を調達しやすくなる、以前に比べて減っているという輸入量で、また今後石油価格が、イランが輸出量を増やすと下落するということも予想されると思います。こういったことが日本の経済へ与える影響を聞かせていただけますでしょうか。

答)

イランと日本というのは、我々の時代はモッタキという外務大臣だったと思いますけれども、モッタキ大臣を日本に呼んで日本でやったりなんかしていたということを知っている方は少ない。イランと日本との関係というのは少なくとも中近東の中では最も日本は近いところだったと思いますよ。だからその関係というのは結構生きているのだとは思っていますけれども、少なくとも核開発の問題からいろいろな意味でサンクション、制裁をやってきたことに関して、我々も一部付き合いましょうということである程度やったようなところがありますけれども、基本的に関係は決して悪くなかったと思っていますよ。だからそういった意味では今度のEU3プラス3カ国の交渉で最終合意に至ったということはそれなりにいいことだと思いますけれども、これがどういうことになってくるのかといっても、あれはまだ先の話ですから、明日にでもなるみたいなことが書いてあるけれども全然違いますよ。TPPだって決まったらすぐ変わるなりのことを書いている新聞もテレビもあるけれども。核の話も、イランの核合意が仮に今言うようなことができた時、アラブの国々がどんな反応をするかというのは別問題であって、アラブの国々の筆頭は多分サウジなのでしょうけれども、サウジなんかどうやって反応するのですかねといったら、極めてその反応は厳しいですね。外国の新聞を読んだら一番はサウジの反応ですよ。だからそういった意味では、なかなかこの話は石油ができますね、安くなりますねなんて、そんな単純な話ではないですね。それだけははっきりしています。

(以上)

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