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麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要

(平成27年7月24日(金)10時04分~10時24分)

【冒頭発言】

本日の閣議において、「平成28年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」、いわゆる概算要求基準が閣議了解されております。経済・財政再生計画の初年度の予算に当る来年度予算は、この計画をしっかり具体化していく予算ということになります。予算編成に向けて本日の閣議了解では、最終的な予算の総額は年末までの予算編成過程で決定すること、8月末の各省からの予算の要求については、例えば裁量的経費については10%削減をしていただいて、同時に削減後の額の30%を別途要望できることなどを定めております。これは安倍内閣発足後の2年間と基本的に同様の仕組みでありまして、弾力的な仕組みの下で各省に知恵を絞った要求をしていただきたいと考えております。その上で予算編成過程におきましては、歳出全般にわたり、これまでの歳出改革の取組を強化し、予算の中身を大胆に重点化していきたいと考えております。その中で一般歳出の水準等について経済・財政計画における目安を踏まえたものとしてまいりたいということであります。

なお、閣議では平成28年度税制改正についても発言をいたしております。この中で法人税改革など様々なテーマが想定されるところですけれども、課税ベースの拡大に向けて租税特別措置をゼロベースで見直すなど要望段階から主体的に取り組んでいただきたい旨、各大臣に伝えたところです。

【質疑応答】

問)

シーリングについてお伺いします。焦点の社会保障ですけれども、6,700億円程度の増加まで要求を認めることとされました。一方で骨太の方針では年5,000億円増程度にとどめてきた過去の取組を基調としてということも書かれております。この差額をどう抑制していかれるおつもりでしょうか。

答)

年金医療にかかる経費については、まずは現時点で6,700億円と推計しているのですが、これは高齢化に伴う増加額について予算編成過程において引き続いて経済再生やこれまでの改革の成果などを適切に見込みつつ、精査をしていくことになるのだと思っております。また、概算要求基準においては、経済・財政再生計画に基づいて過去3年間の増加額が高齢化による増加分に相当する伸びとなっていること、経済・物価動向等を踏まえてその基調を平成30年度まで継続していくことを目安として、合理化・効率化に最大限に取り組むことといたしております。経済・財政再生計画においては、これを実現していくための改革のメニューというものが幅広く示されているところでもありますけれども、今後、社会保障給付費の動向も見ながら改革の具体的な内容について、予断を持たずに検討してまいりたいと考えております。経済・財政計画においてはジェネリックの話とか医療提供体制の改革とかいろいろありましたけれども、幅広い項目を掲げられているのは御存じのとおりです。また、予算の重点化について、来年度の予算においては、公共サービスの産業化とかインセンティブ改革など、基本方針2015などを踏まえた諸課題について、これまでと同様に優先課題推進枠での要望を可能としております。各省に知恵を絞っていろいろ要求・要望していただくのだと思いますけれども、少なくとも優先順位をぜひ洗い直していただいて、無駄を徹底して排除しながら、予算の中身について重点化をしていただきたいというようにお願いをしております。3年間で1兆5,000億円は、単純計算すれば毎年5,000億円ということですけれども、これを3年間のトータルで2018年までにそういうことをしていくというように計算して、初年度6,700億円ですけれども、それがどういう形になっていくか、我々は弾力的に、トータルで1兆5,000億円というものでやっていきたいと思っています。

問)

東芝の不適切会計問題について御質問です。東芝の前の監査委員会委員長を務めていた久保誠さんが、21日に金融庁の企業会計審議会の会計部会の臨時委員をお辞めになりたいということで申し出があったということで、久保さんは第三者委員会の報告書の中では監査委員会の委員長としてきちんと仕事をしていなかったというか、機能不全に陥っていたということを指摘されていまして、21日付で東芝の取締役と監査委員会の委員長を辞任されて、それを受けて会計部会の方もお辞めになるということだと思うのですけれども。金融庁の会計部会では、国際会計基準の任意適用の拡大と日本としてあるべき国際会計基準の姿を発信するということで会計部会を立ち上げて、久保さんもその議論に参加していたわけですけれども、久保さんがこういう形でお辞めになることで会計部会としての発信力とか今後の議論の影響について、どういう風に御覧になるでしょうか。

答)

まず個別の経営陣の責任等について、それはそれぞれの会社において判断されるものであって、我々として一会社についてのコメントを1つ1つすることはありません。それから今回の場合は、これは着服したとかという話とは違って、別の意味で東芝という大きな会社、国際的にも知られた大きな会社の経営の内容がなかなか信用できないというようなイメージというものができたというところが問題なのだと思うのですね、全体としては。東証とか、一会社がそういうことをやっていると他の会社も似たようなものではないかと。他の会社も、真面目にやっている会社はみんな迷惑してしまうから、そういった意味での影響は大きかったと、私共はそう思っています。それから、本人からは21日付で辞任したい旨の連絡があったところなので、本人の希望も踏まえて、適切に対応したいと考えています。

問)

会計部会の今後の議論ですとか、日本としての会計基準に関する発信力ですとか、こういったものに影響というのはどうでしょうか、出るでしょうか。

答)

発信力というより信用力でしょうね。

問)

冒頭、大臣の御発言でありました今日の閣議で、税制改正について御発言されて、租税特別措置はゼロベースで見直すことをおっしゃられたということですが、租税特別措置の満年度といいますか、年度終了のものについて言われたのか、それとも租税特別措置の期間中のものも含めてということなのでしょうか。

答)

期間中のものを含めて初年度にもかかわらずやってしまうというようなことを考えているわけではありません。ただ、租税特別措置というのは前々からそろそろ洗い直した方がいいのではないかということはいっぱいありまして、新聞等でもいろいろ書いてあったではないですか。各社、テレビ局を含めてですよ。そういったものを含めてこういったものをやった方がいいのではないかという話は前からありますので、今こういった非常事態でもありますので、私共としてはPBバランスを考える時に、いろいろなことを考える時にはっきりしていますね、その中にいろいろなものを幅広く考えておかなくてはいけないのだろうと思っています。

問)

日本経済新聞社がイギリスのフィナンシャルタイムズの買収で合意したと発表して大きく報じられております。大臣は従来から日本のマスコミと海外の記事とを読み比べておられますし、我々日本の新聞やテレビには率直で、時には厳しい御意見を頂戴する貴重な読者、視聴者のお一人でいらっしゃいます。フィナンシャルタイムズの記事の内容にどのような影響が出るか、特に日本経済の姿がフィナンシャルタイムズの読者により正確に伝わるのか、それとも時には政権の意向にそぐわないような形で伝わっていく可能性が多いのか、プラス面、マイナス面を含めて教えてください。

答)

個人的にはフィナンシャルタイムズという新聞はクオリティーのすごく高い新聞だと思いますけれどもね。海外で読みたくなる新聞の中の1つだと僕はそう思いますけれども、そのフィナンシャルタイムズが日経新聞に良い影響を与えてもらうということの方が私ら日本の読者にとっては大きいと思いますね。それをどれだけきちんと理解してそれをとってくる、それをそのままきちんと載せられる、妙に脚色しないで、ちゃんと自分でそれを第三者の意見としてきちんと載っける、大量に人を送り込んでもろくなことはありませんから、有能な人を1人か2人か送り込んできっちりやっていくという姿勢でやらないと、こういうのはうまくいきません。外国の場合は、日本から発信される記事というのは、日本語を読めない人が多いからジャパンタイムズを読んで書いている記者が多いからね。そういった意味では日経新聞のまともな経済記事が英訳されてきちんとした形でフィナンシャルタイムズに載るようになるというのは、それは日本にとっても決して悪いことではありません。良いことだと思いますよ。1,600億円で採算が合うとか合わないとかというのは私にはわからない。

問)

先程の法人税改革の関係で再度御質問させていただきます。今年度は2.51%で、来年度3.29%というふうに下げるということは今年度の税制改正で決まっていますけれども、先程、租税特別措置をゼロベースでいうふうにおっしゃっておられましたけれども、さらなる法人税の引き下げについては基本的には租税特別措置だけをもって課税ベースの拡大を図るということをお考えでしょうか。それとも減価償却なども含めての改革も含めてでしょうか。

答)

そこまで今細かく詰めているわけではありません。私共が一番関心あるのは、法人税を下げて何に使うのか。下げてもらった企業はその分だけ純利益になるでしょう。税金が減るわけですから純利益で出てきますよね。純利益がそれだけ増えるわけですから、その増えた分で企業は何をするのですか。少なくとも内部留保が去年の1年間で304兆円が328兆円、だから24兆円増えている。1年間で24兆円増えている、月割り2兆円、企業の内部留保がたまっているでしょう。単純計算すれば、さらに法人税を下げて、それがもっとたまるわけだよね。会社は内部留保するためにやっているのですか。おかしいと思いませんか。労働分配率はどれくらいこの5年で下がりましたか。この5年か6年でみれば10%ぐらい労働分配率は下がっていますよ。分母が小さくなったり大きくなったりするだけで簡単に変わりますから、リーマンショックの後は分母がボンと小さくなったから分配率がドンと上がったりしていますよ、ああいう時は。そういった時を除けば、基本的には労働分配率というものは下がっていますよ。70%を切っているでしょう。65%とか66%とか、そんなところまで下がっているはずですよ。普通、内部留保が増えたらその分だけ給料を上げるか、配当を増やすか、設備投資を増やすか、何かするのではないですか。それを何もしないでただ税金を下げろと言って、下げたお金で何もしないでじっと持っている、何のために下げているのだか意味がわからないね。下げるなら下げるでちゃんと社会貢献するのだったら、その分で何をしてもらうということをはっきりした経営として出してもらわないと、さらに下げろと、下げて何するかというのは見せてもらいたいですね。その上で考えますよ。

問)

IMFの年次報告書で日本の経済について中長期的に成長率は低い水準にとどまると。財政も非常に巨額な債務を抱えており、持続的ではないというふうに示しまして、再来年4月に消費税率を10%に引き上げるのについてさらなる税率の引き上げを求めたり、構造改革、財政健全化の実行を強く求めていますが、これについて大臣のお考えをお聞かせください。

答)

前からIMFといろいろな話をよくしていますから、今に始まった話ではないので、私共として基本的な考え方というのをこの間も副専務理事が来て、対日審査というのをして帰っていったと記憶しますけれども、我々としてこういったような外部的な意見を聞くというのは大変良いことなので、財務省の意見だけ聞いてしまって意見が偏っているということは十分考えておかなくてはいけないのであって、民間企業だって監査を受けているのと似たような話ですよ。そういった意味ではいろいろな意見を聞くというのは非常に大事なことだと思っていますので、我々として構造改革はより一層やっていかなければいけないということは考えていますけれども、少なくともこの数年間で見れば、それが常に正しいかといえば、このところ我々の推計の方が当たっていて、IMFの推計の方が間違っていましたから、国の内容について当たったり外れたりすることもありますし、経済というのは生き物ですから、そんな簡単にきちんと羊羹を切るみたいに右と左で簡単に分かれるなんていう話はないのですけれども、いずれにしても経済再生と財政健全化計画の両立を掲げて取り組んでいるところであって、そういった意味では我々としてはどちらか片方だけというので、財政再建だけをやって経済がしぼんでみたり、経済再生の景気の良さを売って財政がさらに悪化してみたりということがないように、そのバランスをとりながらやるところが最も難しいところだと思っていますけれども、IMFからの話も貴重な提言の1つだというぐあいにとらえています。

(以上)

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